コロナ云々が続いてますが、私は腰と脇腹を痛めながら元気にお仕事しています。皆様、お身体を大事にして下さいね。腰と脇腹はつれぇぞ(半泣き
fgo、大盤振る舞いの星5条件付き配布。私は項羽様一択です。やっとぐっちゃんパイセンに再会させてあげられるんや……っ! 王様は無事爆死です。
大盤振る舞いと言えば天華百剣。本日27日から最大300連の無料ガチャです。やるなら今ですよ! 私もやってるんだからさ!(同調圧力
ゆゆゆいは相変わらず爆死です。メブ欲しかった……カッコ可愛すぎるだろ防人カスタムスーツ……。
さて、前回のアンケートにご協力ありがとうございます。今回はアンケートトップ&リクエストから友奈顔大集合です。
ああ、こちらの肉ぶっかけうどんはサービスですのでどうぞお食べ下さい っ▽
「……どこだろうねぇ、ここは」
ポツリと、楓はそう呟きながらそれまでの記憶を思い返す。と言っても、別に何か特別なことがあった訳ではない。少なくとも、彼自身の記憶の中には。
天の神との最後の戦いを終え、神樹が姿を消し、世界が本来の姿を取り戻してしばらく。姉も卒業し、楓達中学2年は3年に、樹は2年に。雪花という新メンバーも加わり、すっかり馴染んだ日常を普通に過ごし、その日も普通に眠ったハズであった。
「……夢、にしても……これはどう反応すべきだろうねぇ」
ならば、今自分が見ている光景は夢なのだろうと思い至る。何せ彼の目に映っているのは気持ちの良いそよ風が吹く緑生い茂る原っぱの上。遠くには高い山々が見え、太陽の光を反射したキラキラと光る湖畔。それらだけであれば、原っぱの上に寝転ぶなりのんびりするなりとしただろう。だが、目の前のとある建物が彼に困ったような笑顔を浮かべさせた。
そこにあったのは、大きな
あまりにも……そう、あまりにも周囲の綺麗な風景とは不釣り合いな、下は小さく上は大きい、まるで飛び出す絵本のようなコミカルな桜色の大きなお城。しかも入り口の上には看板が掛かっており、そこには無駄に達筆な日本語で“楓くん歓迎”の文字。困ったような笑顔の1つくらい浮かぶのは仕方ないだろう。
「これはこのお城に入る流れ、なんだろうねぇ……」
本音を言えば入りたくはない。だが、察しが良いと評判の楓は入らなければならないという事を察してしまっていた。何が待ち受けているのか全く予想できないし、不安しか感じないが……それでも楓は覚悟を決め、この謎の城に向かって歩く。
歩くこと少し、城の前に辿り着いた楓。不思議な事に入り口の向こうから光が見えているのに全く城の内装が見えない。本格的に嫌な予感を感じつつ、楓は城の中に入っていった。
(……これ、実はのこちゃんの夢に入り込んだりしてないだろうねぇ? しかも出られなくなったし)
城に入った瞬間、楓の背後でバタンと大きな音を立てて扉がしまった。更に何やらガチャガチャと複数の鍵を締めるような音が聞こえ、追加で外側から“ドドドド……”と土砂崩れのような音まで聞こえた。完全に外に出られなくなった事を理解しつつ、楓は城の内装に目をやる。
城の外見に反して、中は円柱のような広い吹き抜けの空間だった。天井は見えず、上から桜の花弁がひらひらと雪のように舞っている。なのに床に降り積もるようなことはなく、床に触れた時点で光と消えていっている。
奥には扉が6つあり、全ての扉の上にネームプレートが掛かっていた。右からそれぞれ“友奈1”、“友奈2”、“友奈3”、“友奈4”、“友奈5”と続き、最後の扉だけ“?”となっている。
更に更に、床の上には猫らしき生物? がちょこちょこと短い足を動かして歩いていたのだ。その見た目が園子が持つ抱き枕の“サンチョ”の姿をしている為、楓は実は園子が見る夢に入っている、或いはそういうややこしい夢を見ているのではないかと思った。
(……いや、本当にそうかもしれないねぇ。どういう訳か、今思い出した。自分は実際に、何度ものこちゃんと銀ちゃんに
色々と考えていると、唐突に楓はそんな事を思い出した。それは園子が自身の精霊の力を使って作り出した“夢空間”と呼んでいた空間での出来事。まだ彼女達が散華を返してもらっておらず、大赦に管理されていた時。夢空間で何度も会い、会話をしていたことがあった。と言っても、今この瞬間まで忘れていたのだが。
(ここは夢空間のような場所なのかも……いや、もしそうなら誰がどうやって作った? 神樹様も天の神ももう居ないのに……やっぱりただの夢なんだろうか)
だが、そうなると“誰が”、“どうやって”、“何のために”夢空間を作ったのかという疑問が浮かぶ。戦いが終わり、神々が姿を消し、同時に精霊も居なくなった平和な世界で、どうやって。そんな疑問を感じつつ、何気なく楓は足下に寄ってきていた1匹のサンチョに手を伸ばし、抱き上げて目の前に持って来る。
「スィ、ムーチョ」
「……お前、喋れたのかい」
可愛い見た目に反してダンディな声を発するサンチョ。内心でかなりびっくりしつつもツッコミを入れた楓は彼(?)を下ろし、いい加減覚悟を決めたのか意を決した表情で扉へと向かう。
ここが夢空間であれただの夢であれ、一向に起きる気配が無い。このままじっとしていてもいいのだが、楓としても扉の向こうに何があるのか気になっていた。友奈は分かる。だが、それに番号があるのがわからない。いや、予想は出来ているのだ。ならば、後はその予想が正しいかどうかという話。
深呼吸し1度行い、“友奈1”というネームプレートが掛かっている扉に手をかける。そしてノブを回し、中へと入った。
「あ……楓くん」
「……えーっと……」
そこは、ベッドと2人分の椅子の間に丸いテーブルがある以外には何もない、桜色1色の部屋であった。そして椅子に座る少女が1人、入ってきた楓に向かって笑顔を浮かべて名前を呼んだ。だが、楓はその少女に返答することなく困惑しきっている。
目の前の少女は、楓が知る友奈の姿をしていた。顔も声も座っている背格好まで彼が知る友奈と全く同じ。なのに彼が困惑しているのは、彼女が楓が知る“友奈”とは別人だからだ。
「君は、誰だい?」
「え……わ、私は友奈、高嶋 友奈だよ楓くん!」
「高嶋? 友華さんと同じ名字の……あ、いや、また記憶が……?」
楓に誰かと聞かれ、笑顔から一転して酷くショックを受けたように顔を青ざめさせる私服姿の少女……高嶋 友奈。椅子を倒しながら立ち上がり、目尻に涙を溜めながら近付いて上目遣いに見上げてくる彼女を見て、楓も困惑も強くなる。高嶋と言えば楓の養母である友華と同じ、つまりは大赦の名家の名であるが……そう考えた時、また唐突に記憶が甦ってきた。
四国と同じ姿をした、しかし全く別の世界に召喚され、勇者部に加えてそこで出会った多くの勇者、巫女達と共に造反神と戦うことになった。その中に、目の前の少女は居たのだ。奇跡のような出逢いをして絆を育んだ仲間達の中の1人として。
「……高嶋さん。久しぶり、でいいのかねぇ?」
「あ……良かった、思い出してくれたんだ……うん、久しぶりだね、楓くん」
「……ごめんね、忘れていて。それで、高嶋さんはどうしてここに居るのか分かるかい?」
「ううん、思い出してくれたからいいよ。それとごめんね、私にもわからないんだ。気付いたらここに1人で居たから……だからちょっと不安だったんだ。ぐんちゃんも皆も居ないし、この扉も開かなかったし……楓くんが来てくれて良かったよ~」
楓が思い出した事が分かり、本当に安心したと安堵の表情を浮かべて胸を撫で下ろす高嶋。そんな彼女に、楓は違和感を感じていた。確かに、忘れられていた事は不安だっただろうし、その恐怖は楓にも理解出来る。違和感の原因は、彼女がその事に対して強い……強すぎると言ってもいいショックを受けていたということだ。
楓が知る高嶋ならば、忘れていた事に対して悲しむ事はあるだろうが、仕方ないと言いつつまた自己紹介をしそうなモノだ。だが、明らかに笑うことも出来ない程に恐怖し、泣き出す手前まで来ていた。繋がりが失くなる事を本気で怖がっていた。
(それだけ不安だったって事かねぇ……)
「楓くん……?」
「いや、何でもないよ。自分としても知り合いが居てくれて助かったよ。とりあえず部屋から出ようか。まだ5つ部屋があるから確認したいし」
「うん! 分かった!」
考えた末に、楓はそう結論付けた。1人で突然よく分からない空間に居たのだ、不安にもなるだろう。しかも今彼が入ってきた扉も開かなかったと言う。つまりは監禁されていたに等しいのだ、それも仕方ないだろう。
黙って考えていたからかまた不安そうに顔を伺う高嶋を見て楓は安心させるようにいつもの朗らかな笑みを浮かべ、そう言って部屋から出る為に踵を返す。正直に言えば“友奈”と書かれていた時点でおおよその想像はついていたが、やはり直に目にするのとでは安心感が違う。
「……高嶋さん?」
「なぁに? 楓くん」
「いや……なんで腕を組んでるのかな?」
「ダメ……だった? ご、ごめんなさい! 嫌なら離れるから、だから……何でもするから、嫌わないで……っ」
「ダメじゃないし嫌わないから、安心して? 大丈夫だから」
「ほ、本当? 良かった……えへへ……」
(……本当に、どうなってるんだ?)
不意に、高嶋が楓の左手に抱き付くようにして腕を組んだ。その事に、楓は内心かなり驚く。高嶋とは他の勇者同様に仲が良かったとは思っている。しかし、腕を組んだりするような距離感ではなかったハズだった。だが、楓の記憶とは違って今の高嶋は明らかに距離が近い。肉体的にも、精神的にも。
そう疑問を口にすると、高嶋は今度はこの世の終わりのような顔をしてガタガタと震えだした。その異常な迄の恐れ方にまた驚くが、落ち着いて友奈にするように頭を撫でながら安心させるように優しく口にすると、彼女はまだ顔が青いものの先程よりも安心したのか笑顔を浮かべる。明らかにおかしい高嶋と空間に改めて違和感と異常性を感じつつ、腕を組んだまま部屋を出た楓は“友奈2”の扉の前に立った。
(さて、次は誰だ?)
躊躇うことなく扉を開ける楓。眼前に広がったのは、一軒家の玄関とも言うべき空間。明らかにお城の中にあるような場所ではなし、なんなら2階へと続く階段すらある。そして少女のモノと思わしき靴と男性モノの靴。しかもその靴はよく見てみれば楓が愛用しているモノと同じであった。
「誰かの家……かな?」
「そう見えるねぇ……それに、どういう訳か懐かしく感じる。まるで、前にもここに来たことがあるような……」
不思議そうに中を見回す高嶋の疑問に答えつつ、楓も中を見回す。そうしていると、知らない家のハズなのに懐かしさを覚え、何かを思い出しそうになった。それは先程高嶋の事を思い出した時の感覚と似ており、もう少しで思い出せそうになった時、奥から足音が聞こえてくる。そして奥に見えた扉が開き、そこからまた見覚えのある少女が走ってきた。
「か、え、で、くーん!!」
「おっと」
「え? えーっ!?」
走ってきた少女は飛び付くように楓に突撃し、楓は手慣れたように受け止める。そしてその少女の顔を見た高嶋が驚愕の声を上げ、楓も確認するべく下を向くと……見慣れた顔と目が合った。
彼女もまた、友奈、高嶋と同じ顔をしていた。違うのは褐色の肌と濃いピンク色をした髪色くらいだろう。そして楓はその少女の名を知っている。あの世界での記憶を思い出しているのだからそれも当然であり……同時に、その記憶ではこのように飛び付いてくることはなかったハズだった。
「赤嶺さん、だっけ」
「あれ? いつもみたいに“友奈ちゃん”って呼んでくれないの……?」
「え? 自分がそう呼んでいた……?」
「う、うん……」
楓の疑問に対し、赤嶺は悲しげに、不安げに頷いた。ここでも高嶋と同様に自身の記憶との差異を感じる楓。彼女とは遭遇した当初こそ敵対していたが最終的にはそのお役目の内容を聞いた上で和解しているが、ここまで好意的になるような時間はなかった。やはりこの空間はどこかおかしいと思いつつ、別段拒否するような事でもないので朗らかな笑みと共に名前を呼ぶ。
「……それじゃあ、友奈ちゃんと呼ばせてもらおうかな。君はどうしてここに?」
「どうしても何も、ここは元から……あれ? 外が……何処ここ!?」
「気付いてなかったんだねぇ……」
扉の外を見て驚愕の声を上げる赤嶺。明らかに家の外が別の場所に変わっているのだからそれも仕方ないだろう。そうして驚いている赤嶺に楓はここが謎のお城の中であること、友奈2の扉を開くとここに繋がっていたこと、他にも扉があることを説明し、そこを調べたいと伝える。
「よく分からないけど……分かった。私も着いてくよ。元居た場所じゃないなら戻りたいし」
「ありがとう! 赤嶺ちゃん!」
「それじゃあ行こうか楓くん。その他の扉に」
「あ、赤嶺ちゃん……?」
「……ああ、先輩、居たんだ。楓くん以外目に入らなかったから気付かなかったよ」
「え……」
「あーっと、早く次の扉に行こうか2人共」
「はーい」
「あ……うん」
楓の空いている手を取って家から出る赤嶺。共に着てくれる事に礼を言う高嶋だったが、赤嶺は聞こえていないかのように返事をしなかった。もう一度名前を呼ぶと今度は振り返ってくれたが、その目は高嶋に対して何の感情も抱いていなかった。
再び顔を青ざめさせる高嶋。そんな彼女と赤嶺の手を強く握り、苦笑いを浮かべながらそう促すと片や元気に、片や安心したように返事をする。赤嶺の高嶋に対する態度にやはりおかしいと感じつつ、楓は2人の手を引きながら“友奈3”の扉の前に立つ。
(高嶋さん、友奈ちゃんと続いたから、きっとここに居るのは……)
誰が居るのか予想しつつ、1度2人に手を離して貰ってから扉を開く楓。開いた先にあったのは……何度か入った事のあるとある少女の部屋。そしてそこにあるベッドに腰掛けているのはその部屋の主であり、楓が予想した通りの少女の姿。彼女は扉が開いた音が聞こえたのかそちらへと顔を向けており……そして、3人の姿を見て満面の笑みを浮かべた。
「楓くん! 高嶋ちゃんと赤嶺ちゃんも居る! 良かった、私だけじゃなかったんだね!」
「やっぱり友奈だったねぇっと」
「結城ちゃん! 久しぶりだねー」
「……あ、コーハイちゃんも居たんだ」
ベッドから降りて立ち上がった友奈は一直線に楓達の方へと向かい、そのままの勢いで彼に飛び付くように抱きついた。先程よりも落ち着いたのか高嶋も笑って手を振り、赤嶺は関心が無いのかようやく気付いたように無感情に呟くだけだった。
彼女を抱き止めた楓はようやく違和感の無い知り合いが現れたことで内心で安堵の息を吐いた。園子程の頻度ではないが、こうして飛び付いてくるのは時々ある。どうやら彼女は自身と同じ時間軸の友奈らしい……と、思っていたのだが。
「楓くん……1人で寂しかったよ」
「ごめんね、友奈。もっと早く来れたら……」
「1人は寂しくて、寒くて凍えそうで、あのクリスマスイブの日みたいに耐えられなくなりそうなんだ。楓くんが居ないと押し潰されそうで……ううん、楓くんじゃないと、もうダメなんだ」
「……友、奈?」
「あんなのはもう嫌だよ。楓くんじゃなきゃダメなんだ。東郷さんと一緒でも夏凜ちゃんと一緒でも風先輩と一緒でも樹ちゃんと一緒でも園ちゃんと一緒でも銀ちゃんと一緒でも……他の友達も、家族でも寂しくて寒くて悲しくて苦しくて辛くて仕方ないんだ」
違和感、なんてモノではなかった。明らかに、楓が知る友奈と違っている。確かに友奈は楓に救われた部分もあるだろう。だが、それは決して彼だけではない。勇者部の皆だって、確かに彼女の救いだったハズで。大好きで、大事で、大切だったハズで。
だが、今抱き付いて絶対に離さないとばかりに楓の服を強く握り締める友奈は違った。依存している、なんてモノではない。それが……楓が居なくては死んでしまうのではないか、そんな風に思わせる危うさがあった。
「お願いだから離れないで、一緒に居て、また抱き締めて、頭を撫でて……大丈夫だよって……」
「……うん、自分が来たからもう大丈夫。自分以外にも高嶋さんも友奈ちゃんも居るしねぇ。寒いなら手を繋いでおこうか。ほら、ここから一緒に出ようねぇ」
「うん……うんっ……えへへ、温かいなぁ……」
(早くこの訳のわからない所から出ないと……本当に、何がどうなっているのやら)
「あ、じゃあ結城ちゃんは私と代わろっか? 私は楓くんの服の裾を掴んでるから」
「ありがとう、高嶋ちゃん」
「終わった? じゃあ次に行こうよ楓くん」
(……少なくとも、自分1人では身が持たないのは確かだねぇ。さて、残り2つの部屋にはまさかとは思うが……いや、違和感だらけの空間なんだ、それも有り得るか)
同じ顔の別人3人から向けられる重い感情と違和感がのし掛かり、物理的な重量は増えていないハズなのにやたらと体が重く感じる楓。高嶋に右斜め後ろから服の裾を掴まれ、赤嶺には右腕に抱き着かれ、友奈とは左手で手を繋ぐ。因みに、4人は私服姿である。
友奈3の部屋から出た4人はそのまま友奈4の扉の前に立ち、手が塞がってる楓とニコニコしたまま腕を離す気がない赤嶺の代わりに友奈がその扉を開く。そして、その先に広がる空間に全員が……無関心であった赤嶺でさえ息を呑んだ。
「待ってたよ、皆」
そこは、間違いなく“樹海”であった。と言っても、木の根が敷き詰められているようなあの空間ではなく、目の前に大きな木……神樹があるからそう見えるだけで。そしてその根元に、やはり3人と同じ顔をした、桜色の着物を着た少女が居たのだ。
楓と、そして友奈は知っている。会ったこともある。久しぶりに会うその少女は微笑み、そう口にして自分から4人に近付いてきた。
「……久しぶり、でいいのかねぇ」
「
「えっと……誰? 私達と同じ顔をしてるけれど」
「まさか
「高嶋ちゃん忘れたの? 神奈ちゃんだよ!」
「「誰?」」
(どういうことだ? あの世界に居たハズの2人が神樹様を……神奈ちゃんを知らない?)
2度と会えないかもしれなかった神樹……神奈と再会に嬉しそうにする楓と友奈。それは神奈も同じだったようで……しかし、その後の高嶋と赤嶺の言葉に、2人は驚愕する。何故なら彼女達はあの不思議空間で出会っているハズだからだ。
ここに来て更に大きくなる違和感。その答えに自力でもう少しで辿り着く前に、目の前の神奈がくすくすと笑いながらその答えを口にする。
「2人が知らないのはきっと、その
「その世界では……?」
「うん。ここはね、貴方が知る言葉で言えば“夢空間”に近い場所。あの空間よりも、より夢なのか現実なのか酷く曖昧な空間。2つの境界が曖昧で、混ざって、色んな可能性が入り込む、謂わば特異点のような場所。それがこの場所なんだよ。分かるかな……?」
「「あ~う~……分かりません……」」
「つまり……どんな事でも起こりうる可能性がある空間ってこと?」
「パラレルワールド……みたいなモノか。つまり、ここに居る3人は自分が知る彼女達ではなく、
「そんな感じかなぁ。勿論、私もそうだよ。だって“私”は久しぶりなんて言われるほど貴方と離れてる訳でもないからね」
神奈の言葉に目を回す友奈と高嶋とは反対に全部ではないにしろ理解を示す楓と赤嶺。謂わばこの謎の空間は楓が知る夢空間、或いは神樹内部のあの不思議空間のようなモノ。そこにパラレルワールド……似て非なる様々な世界の彼、彼女達がどういう訳かこうして集まっているのだ。
楓が知らない“if”の世界の彼女達。彼に嫌われる事を酷く嫌い、何をしてでも側に居たいと思う高嶋。彼と自身以外はどうでもいい、自分達2人だけで完結している赤嶺。誰よりも何よりも彼を求め、彼が居なくては1人で立てるかも怪しい程に依存している友奈。
「……因みに、君の世界では自分はどうなっているんだい?」
「貴方も知ってる、私が居るあの場所に居るよ。誰にも触れさせず、誰にも見せず、誰にも会わせず、出さず、逃がさず、ずーっとそこで私と一緒に居るんだぁ……♪」
(そっちの自分監禁されてる!?)
そして、自身の両手を頬に当ててうっとりとしながらそんな事を宣う神奈。ビクゥッ! と他の3人が震え上がりながら左右後方から抱き付いてくるのを感じつつ、楓自身もゾクリと悪寒を感じつつ、口元をヒクつかせる。そして、この空間に迷い込んだ彼女達に共通する“可能性”がどういうモノなのかも理解する。
簡単な話、彼女達は皆一様に彼に精神的に依存しているのだ。他人が見れば度を越えているレベルで、精神を病んでいると言われてもおかしくない程に。ガリガリと己の中の何かが削れていくのを感じつつ、楓は声を発する。
「も、元の世界に戻るにはどうすればいいのかねぇ……?」
「ふふ……え? あっ、元の世界には時間が立てば勝手に戻るよ。それに、ここで起きた事は覚えていられない。あの空間と同じでね。現実味がある夢のような出来事……本来は有り得ない奇跡のような一期一会。それがこの場所。戻るということは、夢から覚めるようなモノだから」
「自分達は夢を見ているだけも同然ということか……」
「それにしては君……神奈ちゃんだっけ? 詳しいんだね、この世界について」
「私とは別の、私よりずっと力や存在感とか何もかもが上の“私”が作った場所だからね、話は聞いているんだよ」
(神奈ちゃん……神樹様よりも更に強い力を持つ神樹様……そういう世界もあるのか)
分かるような、分からないような説明。友奈と高嶋の2人に至っては目を回して頭から煙が出そうな状態。楓と赤嶺の2人は何となく理解出来ているのか曖昧な所があるが、辛うじて着いていけてはいる。
説明を聞き、楓はまた考える。この世界を神樹が作ったという事にも驚いたが、神の力を強める己を監禁……共に居る目の前の神奈よりも更に強い神樹が存在する世界が在ることにも驚いていた。その世界の自身は、世界そのものは、勇者部はどうなっているのか……そう考える程には。
「……説明してくれてありがとう、神奈ちゃん。後2つ扉があるんだけど、一緒に来ないかい?」
「2つ? 他に誰が居るのかな……うん、着いてくよ。世界は違うけど、貴方は貴方だしね」
そんな会話の後に共に扉から出る5人。そのまま最後の友奈5と書かれた扉の前に立ち、楓はノブに手を掛ける。彼の予想では、この部屋の向こうには自身の世界の神樹と同様に消えたハズの存在が居る。
深呼吸を1つ。同じように深呼吸するのが1人。楓と……友奈はお互いに顔を見合せ、頷く。どうやら2人の世界は似通った道筋を辿ったらしい。意を決して扉を開くと、その先にあったのは友奈の時のような誰かの部屋だった。そしてその部屋の中に佇んでいる、長い黒髪に黒い着物を着た少女が1人。少女は扉の音に反応したのか振り返り……5人を見て、笑みを浮かべた。
「正直、また会えると思ってなかったよ……楓くん」
「……自分もだよ」
にこやかに言う彼女……天の神に、楓は苦笑いを浮かべた。正直な所、楓は彼女に思うところはある。だが、最後の戦いの時にその告白のような叫びを聞いている。最後の一押しの時に応援されたような気もする。だからだろう、今はそれほど悪く思ってはいなかった。少なくとも、彼女という神のことは。
「あっ……初めて笑ってくれたね。嬉しい……嬉しいな。結局最後まで私には笑ってくれなかったから……その笑顔、私だけのモノにしたいよ。今すぐにでも君以外のそいつらを刻んで潰して溺れさせて燃やして風穴空けて苦しませて破裂させて……でも、それをすると嫌われちゃうから、やらないけど」
「……それは良かった。また、君を嫌いたくは無いからねぇ」
「今は嫌いじゃないんだ? うん……嬉しい。嬉しいから、我慢するよ」
苦笑いでも笑ってくれたことが嬉しかったのだろう、本当に嬉しそうに笑う天の神。その後に不穏過ぎる言葉の羅列がされたが、首を振ってそう告げる。一瞬怒りが沸きそうになった楓だったが、前とは違うのだろうとまた苦笑いをし、その言葉を聞いてまた彼女は嬉しそうに笑った。
「ねぇ、楓くん。この子は誰? また私の知らない先輩か後輩?」
「結城ちゃんも知ってるの?」
「うん! あの子は天」
(友奈、待った。流石に2人に天の神と紹介するのは……)
(ふぇ? あ、そうだよね。天の神は敵だった訳だし……でも、名前が……)
「「天……?」」
「えーっと、その……」
話に入ってこなかった4人の内、対面すらしたことがない赤嶺と高嶋が疑問の声を上げる。赤嶺としては自身の知識外の同じ顔の存在がまた現れたことに、高嶋は純粋に疑問だった。友奈は知っているらしくそのまま天の神と紹介しようとしたのだが、楓に止められて口をつぐむ。
天の神が人類の敵であることは当然、あの世界を経験している2人も知っているだろう。伝えたからと言っていきなり戦闘に入る事はないだろうが、敵対心は持たれるかもしれない。只でさえ先程不穏な事を言っていたのだから。故に別の名前を呼ぶべきなのだが咄嗟に思い付かず、あちらこちらに視線を動かしていた友奈は神奈と目が合い、咄嗟に……。
「その、この子は……そう!
「は? どうしたの急に……」
(ごめん、合わせて!)
「……うん、天奈です。よろしく」
「天奈ちゃんって言うんだ! 私は高嶋 友奈だよ。よろしく、天奈ちゃん!」
「……まあいっか。赤嶺 友奈だよ、よろしく」
「神奈、だよ。よろしくね、天奈ちゃん」
(中々に不思議というか、壮観と言うか、面白いと言うか……)
友奈の顔をした天の神、故に天奈。いい名前を思い付いたと満足そうにする友奈を何を言ってるんだこいつはと言わんばかりの表情で見るが、楓に小声で頼まれて渋々挨拶をする天の神……もとい、天奈。
納得したのか元気に挨拶を返す高嶋と、疑わしげに見た後にその疑問を呑み込んで返す赤嶺。ニコニコとしながら手を振る神奈。そんな風に挨拶をし合う5人の同じ顔の少女を見て、楓はくすくすと笑っていた。
「ところで、ここ自分の部屋なんだけど……もう1つ扉あるから、確認する為にも出ない?」
「あ、ここ楓くんの部屋なんだ。初めて入ったよ」
「私も。生活するのは私の家だったし。そっか、ここが楓くんの実家の楓くんの部屋なんだ……」
「待って、なんで寛いでいるんだい? 何も面白いモノなんてないし、最後の扉の確認を……」
「楓くんの部屋久しぶりだなー。私ももうちょっと居たいよ楓くん」
「最後の扉は多分誰も居ないし、少し休憩するつもりでここに居るのもいいんじゃないかな」
「私も気付いたらここに居たし、(直接見るのは初めてだし)折角だからもう少し見てみたいかな」
「……まあ、いいけど。本当に何も面白いものなんてないよ?」
「なるほど、これが楓くんが毎日寝てるベッド……あ、寝心地良いね。それに良い匂いもする……すぴー」
「こらこら友奈ちゃん、女の子が男のベッドで寝ないの」
「楓くんって色々難しい本読んでるんだねー、アンちゃんみたい。あ、マンガもあるんだ……日本の歴史? やたら歴史本が多いね」
「自分、結構雑食だからねぇ。マンガは姉さんと銀ちゃん、友奈のオススメが多いかな……歴史本はほぼ全部美森ちゃんから
「あ……神棚、あるんだね」
「勿論だとも。四国に住むものとしてはあって当然のモノだし……自分としても、神樹様は大事な存在だからねぇ」
「……うん、嬉しいな」
「どうしよう、何をすればいいのかわからないよ……」
「そうだねぇ……とりあえず、以前は出来なかったことをすれば良いんじゃないかねぇ。折角同じように人の体をしているんだからさ」
「出来なかったこと……それじゃあ……手、繋ぐとか……抱き締めてくれる、とか。友奈がしてもらってるの見て、羨ましかったんだ。今なら……してくれるかな?」
「……そうだねぇ。今なら、いいかな。おいで、天奈ちゃん」
「あ……ねぇ、楓くん。このコート、着てみてもいいかな?」
「うん? 構わないけど……それ、学校指定の奴だから友奈も持っているハズだけど?」
「楓くんのだから良いんだよ! ……あの時、着せてくれたコートだから」
そんなこんなで、思い思いに過ごすこと体感で数十分。好意を持つ相手のベッドで寝たり、一緒に本を読んだり、嬉しい言葉を聞いたり、かつて出来なかったことをしてもらったり、思い出のコートを着させてもらったりと満足げにしている5人の友奈達。対応していてほんの少しだけ疲れた様子の楓は彼女達を連れて部屋から出る。
部屋を出ると、何故だかお城の中を歩き回っていたサンチョ達の姿が消えてていた。不思議に思いつつも最後の扉の前に立つと、これまでと同じように楓はノブに手を掛け……。
「楓くん。私は、この場所を聞いているって言ったよね」
「うん? ああ、そう言っていたねぇ……ということは、この部屋のことも?」
「うん、知ってる。大丈夫、別に危ない部屋じゃないよ」
「なら、安心だねぇ」
「うん、危なくない。ただ……」
― この現実味のある夢が、覚めてしまうだけだから ―
「えっ?」
神奈の言葉に安心しつつ、楓はノブを回して扉を開ける。その一瞬前に、“?”となっていたのが“覚醒”に変わっていたような気がして。神奈が……いや、楓達の側にいる彼女ではなく、彼女と同じ声(全員同じ声だが)がお城の中に響くようにそう呟き……開いた扉の中から、樹海化の時のような極彩色の光が色とりどりの花弁と共に溢れだして。
― バイバイ、違う世界の皆。もしかしたら…… ―
誰もが目を開けられず、声も出せず。唯一の例外として先の声だけがお城の中に……否、6人の頭の中に響く。そして次第に意識も消え、何も感じなくなって……。
― また、ここで違う誰かと会えるかもね ―
最後に、黄色い髪の少年と、その少年の首に手を回して抱き着いている桜色の着物の少女。そして彼等の周りに存在する黄、緑、紫、青、赤の少女の姿をした影の姿を見た気がした。
「……ん……ふ……~っ」
朝、いつもの時間に目が覚めた。何やら夢を見ていた気がするが、生憎と思い出せない。ただ、楽しい夢だったような、ヘンテコな夢だったような気がした。
起きた後は日課となっているトレーニングを終え、姉さんに呼ばれて樹を起こしてから3人で食事をして、そのまま一緒に家を出て学校に向かって。途中でのこちゃんと合流して、学校では友奈と美森ちゃん、夏凜ちゃん、銀ちゃん、雪花ちゃんとも合流して勉強して。
放課後には高校から姉さんがやってきて9人で勇者部の活動をして、それが終われば恒例の“かめや”でうどんを食べて、たまに雪花ちゃんの要望でラーメンを食べに行ったりして。
そしてこの日は何となく……本当に何となく、あの人に電話をしたくなったので先にメールで連絡をする。少ししてOKと来たので直ぐに電話をすると、3回程のコールの後にその人が出た。
『もしもし、楓君ですか?』
「ええ、楓です。友華さん」
電話の相手は友華さん。彼女は高嶋家の当主だから忙しいのだが、養子だったからか結構自分に甘い所がある。電話を掛けていいかと聞いても無理だったことは殆んどないくらいだ……無論、自分も時と場所は選んでいるんだけどねぇ。
話すことと言えば、学校での出来事や自分が過ごす日常、勇者部の皆の事などの他愛のない話。それだけだが友華さんは楽しそうにしてくれているし、自分も楽しんでいる。そして話すことしばらく、そろそろ切ろうかと言うところで……少し、悪戯心が出た。
「それじゃあ、そろそろ切りますねぇ」
『ええ、楽しかったわ、楓君。それではまたね』
「はい、また電話しますねぇ……義母さん」
『っ!? か、楓君! 今のもう1か』
完全に言い切られる前に電話を切る。何度か掛かってきたが、敢えて無視する。
慣れない事をするものじゃない……我ながらそう思う。2年越しに初めて義母さんと呼んだ事が恥ずかしくなり、顔が赤くなっている事を自覚しながら帰路を行く自分の頭の中では……友奈に似た、姉さん曰く年齢詐欺の義母の顔が浮かんでいた。
今回の補則
高嶋:奉仕タイプ。対象に嫌われる事を酷く恐れる為、嫌われない為ならそれこそ何でもやるタイプ。
赤嶺:完結タイプ。世界には対象と自分だけさえ居ればいいと本気で思っている為、それ以外の物事には殆んど無関心なタイプ。
友奈:依存タイプ。対象が居なければ自己を保てなくなる為、常に側に居ないと自殺かねないタイプ。
神奈:監禁タイプ。対象を兎に角自分の手元から手離したくない為、あらゆる物事から遠ざけて自分だけが知っている場所に隔離するタイプ。
天奈:排除タイプ。赤嶺と似ているが、こちらは対象と自分以外が存在していること自体が許せない為、その全てを物理的に消し去ろうとするタイプ。
という訳で、友奈顔全員集合&友奈達が楓へ微ヤンデレという内容でした。実のところ、こちらの話はノープランノープロットです。よく書けたな私……。
本作で話中に天奈と呼んだのは初めてですかね。今回の話は、早い話が“夢空間内にif話の友奈と楓を突っ込んだ”というものです。番外編として書いてるモノから書いてない可能性の友奈まで。楓と天奈は本編に近いですが。
さて、記念番外編がこれでいいのかという葛藤はありますが、書ききったので満足。楽しんでいただけたなら幸いです。次回は普通に本編の予定です。
それから、突然ではありますが一旦リクエストの方を終わらせて頂きます。貯まっているリクエストを粗方消化したら、また再開する……かも?
ところで、お気に入り最多記念番外編を書いてるのにとっくに最多抜かされてるんですよねぇ……三日天下とはこの事か(哀
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