『アイマスSSに偽装された好きな曲を紹介する転生者の話』 作:黒崎セシル
『アイマスSSに偽装された好きな曲を紹介する転生者の話』
第一話『成し遂げたぜ。』
思えばそれは、非常に不思議な出会いだった。
私の名は高木順二郎。
ある、アイドルプロダクションの社長をしている。
その日は懇意にしてくれている、業界的には同期に当たるテレビ局の役員へと、我765プロのアイドルの番組起用に関する簡単な打ち合わせのため、遅めの昼食もかねての話し合いを行った。
初めに私が語った不思議な出会いは、まさにその帰りの出来事だった。
時はアイドル戦国時代、そんな中、もちろんアイドルとは方向性が異なるロックバンド、シンガーソングライターをはじめ、様々なアーティストが入り乱れて鎬を削る時代。
昭和が終わり、そして平成を迎えた今も、夢のために邁進せんとする若き歌い手たちが、ストリートミュージシャンとしても活動をしていた。
ふと、タクシーを拾いに駅に向かう途中、耳に入るエレキギターの音があった。
どうやらこの駅前にも夢をつかもうとする若き音楽家がいたらしい。
軽快で、どこか懐かしいギターの音に目をやれば、一人の青年と目が合った。
年若い青年の、淡い悲恋のような歌詞にも聞こえるがその青年はその声に、歌に、詩に、「ただ一人、誰かに逢いたい」といったような、ともすれば迂遠な感情をこめていた。
そのまっすぐな瞳が、歌が、どうしようもなく私の心をつかんだ気がしたのだ。
「――」
やがて一曲が終わり、この曲を聴きに集まったであろう確かな数の観客から拍手が送られる。
素直にいい曲だと、心底思ったものだ。
ギター一本で、おのれの歌声で、ここに居た人々はまるでアイドルのドームライブのような熱狂を共有していた。
「あぁ、キミ」
なんとなしに、観客に礼をしつつ後片付けを行う青年に声をかける。
「何でしょう?」
青年が心底驚いた顔で応答してくれた。
それもそうだ、割とロックな曲だったはずのラストの直後に、よもや背広の年配が声をかけるとは思うまい。
「先ほどの最後の曲は何というタイトルだい?」
答えはおそらく決まっているとは思うが、私はそう尋ねた。
「ああ、SUBMARINE STREETです」
はにかみながら青年は答えた。
なるほど、歌詞にも確かに出てきた言葉だった。
だが、この作曲・作詞はおそらく彼のオリジナル。
これほどのセンスを持つ逸材が今まで眠っていたのかと、驚愕する。
その時だった。
これまでのプロダクション運営において、数々のアイドルたちをスカウトする際に私の中で必ず起こる、ある種の「ときめき」とでもいうべきか。
衝撃とでもいうか。
ともかく
「ティン!ときた!」
私はその場で手をたたき、気が付いた時には彼の肩をつかんでいた。
「キミ!是非とも我が765プロダクションでその才能を発揮してみないかね!?」
少なくないギャラリーがざわつくのを感じた。
ありがたくも、今や押しも押されぬトップアイドルとなった我が社のアイドル達。
仮にもそんな会社の社長がこんなところにいるとはおそらく周囲の人々も思わなかったのだろう。
矢庭に周囲の喧騒が大きくなる中、その青年は一言つぶやいた。
「あなたなら、もしかしたら見つけてくれるんじゃないかって、思ってました」
勝手にですけどね。
と続けて彼は照れくさそうに笑った。
「というわけで、赤羽根プロデューサーに続き、二人目の男性社員となるのが彼だ!!」
高木社長の言葉の後に俺は続けて自己紹介をした。
「伊達直人です。みんなのためにサウンドクリエイター兼作詞家として765プロに加わることになりました、どうかよろしく」
まさか大好きな765プロに自分が所属するとは(それが目的で生きてきたともいえる)転生もしてみるもんだ。
ありがとナス神様!アーメンハレルヤ妙法蓮華経アクバル!
やったぜ。
本当に114514番煎じレベルのSSでございます。
ですがこういう形で好きな曲を皆さんに紹介していきたいだけの暴走見切り発車系SSです。
おそらくすごく不定期になりますが、書き溜めたらちょいちょい放出します。
今回起用した楽曲
submarine street(サブマリンストリート)
アニメ『マクロス7』劇中歌より
作詞 K.INOJO
作曲 福田俊哉
歌 FIRE BOMBER(Vo.福山芳樹)