『アイマスSSに偽装された好きな曲を紹介する転生者の話』 作:黒崎セシル
「よう菊地、やってるな……?」
俺こと、伊達直人はレッスン場の扉を開くなり、身体を動かしていたまこまこりんに早速声掛けする。
この後船で出港し爆発するところまで行けば満点だが、生憎ここはアイドルのレッスン場だし、俺は元コマンド―でもなかった。
「あ、おはようございます伊達さん!」
きりがよかったのか、真はいったん動作を止め、こちらに返してきた。
「あさイチでこっちに来るなんて珍しいですね?」
滴る汗を拭きながら、真がこちらに投げかけてくる。
それもそうか、普段は基本的に事務所にいるし、羽根Pやりっちゃんのプロデュース業務とは違い社長からは、「ある程度の自由な時間」をもらっている。
もちろんたまたま超多忙状態になった場合は送り迎えや、先方との打ち合わせなども手伝ったりはするが……。
話がそれそうだな。
「あたらしいチームと曲が決まったから教えに来たよ」
カードのように指に挟んだCDをちらつかせながら俺は、まっすぐに彼女を見据えた。
「それって……」
真から大きな期待のまなざしが向けられる。
「今回のチームリーダーはお前だ、菊地」
「よっしゃあああああぁぁぁっ!!!」
超食い気味だなオイ。渾身のガッツポーズまことくんやないか!
某大墳墓の守護者統括でももう少し溜めたぞ?
しかしまあ、喜んでくれてるしそこは、多少はね?
「チーム名はコード:アリスだ」
曲に合わせてすでに決まっていたチーム名を告げると、彼女は不思議そうにかぶりを振った。
「アリス……ですか?」
「ああ、菊地をユニットリーダーに据えて水瀬と高槻をバックに据える」
やよいおりをサブに置くことでユニットと楽曲の持つ世界観をさらに加速させることができるはずだ。
今回の楽曲はそういうものだからだ。
「曲、聞いてみても?」
興奮気味に俺の手にあるディスクを指さすまこりん。
まあまずは聞いてもらうとするか。
「かまわないよ」と返事して、レッスンルームのCDプレーヤーにディスクを入れる。
「タイトルは『ワンダードライブ』」
流れ出した曲はポップでキャッチーなサウンド。
前回の曲に通ずるテクノ調のJPOPである。
夢、或いは自身の決めた道にまっすぐに向かいながらも、さらに世界(自己解釈も含むならば、おそらくは自分も)を変えたいと願う女の子の歌。
追加するなら俺自身はこの曲はそういう女の子を応援する歌なんだとも感じている。
「(アニメは短かったけど、短いなりによくできた作品だったな)」
などと前世の思い出に浸りながら俺はまこりんとともに曲に聞き入る。
元の曲に忠実に作っているので、サウンド自体はおかしくない。
あとは魂の入った生の歌声さえあれば、この曲はこの世界に「甦る」
前にも思ったし、常々考えるのは、せめて自分が前回の人生で好きだった音楽をこの世界にばらまきたい。
といったことだった。
相応に反応がもらえることもわかったし、その曲たちが好きな俺としては兎に角うれしい。
それによって765の子たちと接点が持てるのもなお嬉しい。
――♪……
楽曲が終わり、再生が止まった。
「Do‐Dai?」
ネタ交じりにまこりんに感想を求めれば
「超絶かわいい曲ですね!!!!」
と、視聴の段階から輝いていた彼女の眼は、いっそ中にハートも見えるんじゃないかというほどキラキラとしていた。
「ホントにボクが歌ってもいいんですか、コレ?」
興奮冷めやらぬままにまこりんは訪ねてきた。
あったりまえだろぉ~?(ハイネ・ヴェステンフルス並感)
何ならそのために作ったまである。
「菊地だって一人の『夢見るカワイイ女の子』だろ?だったら歌ってくれると俺は嬉しいかな」
我ながらこっぱずかしい言葉だとは思うが、コレを譲る気はない。
だってそうだルルォン?
765プロの女の子は皆可愛いって、はっきりわかんだね。
「なっ、カワイイなんてそんなぁ、褒めてくれても何もでませんよぉ~?」
と、まこりんは照れながらも、ならばせめて、言葉とともに上気した頬に手を当てながらクネクネしつつ鋭い強パンチ出すのヤメナサレwww
しかし、黄金の鉄の塊でできたナイトにあこがれる俺の防御に隙はなかった!
「ひとまずPVも撮ってしまおう、今回はマジで不思議の国のアリスみたいな衣装にするから……あとウィッグね」
PVの構想もすでにある。
元の楽曲のPV再現も捨てがたいが、この世界に置いては演出・脚本伊達直人でお送りしたいと思う。
決してロングヘアのまこりんが見たいとか、そんな邪な思いは抱いてないからな?本当だぞ!?(嘘です)
なお、今回のPVにおいては、ラスサビにおいて衣装とウィッグが外れて、新たな衣装と、いつものまこりんの髪型に切り替わる演出をしてみたが、
最初のロングまこりんの時点でもだいぶインパクトがあった上での高速切り替えがPV映えして好評だったようだ。
歌詞に合わせる感じでやりたかった演出なんだよな。
サブメンに入れたやよいおりも楽曲の世界観にマッチする見た目でグッドだ。
すごくあけっぴろげに、飾らない言葉で言えば、いおりんはシャルル居るからアリス感がそもそもあるキャラクターだし、やよいは問答無用のロリ枠である。
完璧な采配だと自負しているし、想像以上に反響を呼んだ。
それに何よりも、普段のまこりんとは一味違う、ロングヘアまこりんが見ることができたのですごくよかった。(語彙力かいめつ)
改めてブラックは古今東西最強説が図らずも実証された結末になってしまったか……。
ほら、アレですよ。
クウガも黒の時が最強でしょ?
つまり黒をイメージカラーに持つ菊地真というアイドルは全空一なんですよ。(暴論)
なおPV公開初日に「菊地真 ロング」が検索トレンドになったことは言うまでもないだろう。
今話読了非常感謝、謝謝茄子!
「ワンダードライブ」はとってもかわいい曲なのでみんな動画サイトなんかで見てみてくだちい
今回起用した楽曲
ワンダードライブ
アニメ『アリスと蔵六』オープニングテーマより
作詞 ぽん
作曲・編曲 小島英也
歌 ORESAMA