『アイマスSSに偽装された好きな曲を紹介する転生者の話』   作:黒崎セシル

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ディスペアーが出たので初投稿です



『まるで月光の伝説のように』 

第五話 『まるで月光の伝説のように』

 

 

 

 

打ち込み終わった楽曲を手に事務所へと向かう中、車内にはラジオの音声が流れていた。

 「三曲ともずいぶんと毛色が違いますけど、すごくいい曲ですよね」

 「はい、出来栄えは自分の中でもとてもよくできているとも思いますし、それぞれの楽曲にすごく思い入れがあります」

 「二か月前の春香ちゃんたちのシングル以降かなりトバしてますねぇ、765さん!もう新曲あがってたりして?」

 「伊達さんのことだから、たぶんそうだと思います、今頃車の中か事務所でこの放送も聞いているんじゃないかと」

 撃てば響くような千早(ちゃんと名前呼び)のトークが軽快に番組を彩る。

 はい!聞いてます!

 ドーモ、ダテ=サンデス!

 「それは例の作詞作曲を手掛ける伊達さん?」

 「はい、仕事の早い方で、それでいて豊富な音感がある人なので、すぐ新しい曲をいただけるんです」

 「外注じゃなくてもジャンル豊富なのはあたらしい強みですね」

 「おかげさまで私も音楽の幅が広がりそうです」

 「おお~!歌姫の名に恥じない頼れるお言葉をいただいたところで、聞いていただきましょう、楽曲は現在四週連続ヒットチャート一位を獲得中の765プロダクションD PROJECT コード:D‐MODELで、『YOU』」

 あぁ^~、せっかく流れ始めた曲聞こうとしたらもう事務所付近かいw

 仕方なしに車を駐車スペースに停め、事務所へと歩き出す俺。ほどなくして、事務所の扉を開ける。

 「おはようございました」

あえての過去形。

これを言うときは可能な限り真顔であることを意識するのだ。

 「おはようございます、伊達さんっ」

 あさイチ(なお10時)で小鳥お姉ちゃんの笑顔いただきましたァ~!

 最高やで。

 「もう三浦さん来てます?」

 自分用のデスクにあるPCを起動しながら訊ねると

 「今竜宮小町のイベントのことで律子さんと皆で会議室ですね」

 と返ってきた。

 だとすればそう待たずともよさそうだ。

 今回の曲は我らがおねーさんである三浦あずさ氏のために引っ張ってきた楽曲だ。

 このほど、三浦はドラマ主演が決まり、メインヒロインとして撮影がスタートすることになっている。

 そのドラマ用に、楽曲を用意できないかという要請があり、事前に脚本に目を通させていただき、ドラマの世界観にドンピシャな楽曲を持ってきたわけである。

 ストーリーはこうだ。

 

 三浦あずさ扮するメインヒロインは大学に通う21歳、ずっと昔からいくつかの同じ不思議な夢を見続けていた。

 あらすじは次の通り、一つは中世ヨーロッパでの前世。

 貴族の娘で、とある領主の子息との大恋愛の夢。

 一つは古代の日本。

 集落一の器量良しの乙女だったが、飢饉を防ぐために、生贄の巫女として邪神にささげられるも、勇み者の旅人に命を救われ、恋に落ちる前世。

 ある時は遥かな昔、異国の奴隷だったヒロインを買い上げ、奴隷としてではなく、妻として迎えてもらうという愛ある夢。

 

 すべての夢にはある共通点があった。

 「次に生まれてくる時も互いを見つけきっと愛し合おう」という今わの際の誓い。

 そして現代の日本へ舞台は移る。

 という、所謂転生系ラブロマンスなわけだ。(原作は少女漫画らしい)

ミラクル・ロマンスもびっくりなシナリオやな。

 もちろんこのドラマに対応できる楽曲を俺は前世において好きだったある歌手・兼声優のあの人から借りることにした。

 

 

 

 ――――――――――――――――――

 

 

 

 

 「というわけで、この二曲をOPとED用に持ってきたんだが」

 会議が終わった三浦達に早速曲を聞かせ、反応を見る。

 「イイですね、話の大筋にも歌詞がすごくマッチしてますし、どちらもオオトリに使えそうな曲ですよ」

 りっちゃんこと秋月はそう答え、喜んでくれた。

 Pとしても、番組タイアップ曲は半端なものが出せないことはわかっているはずなので、彼女からOKが出るなら先方も納得のいくことだろう。

 「やっぱり伊達さんはすごいですねぇ~、ぜひ歌わせていただきます」

 三浦さんも両手放しで嬉しそうにしてくれている。

 身振り手振りのたびに……その……胸がね……。

 ホント目の保養になる(断言)

 そのバストは実際豊満だったを地で行くナイスバデーにさすがの伊達さんも目のやり場にこまりまっくすですわ。

 その胸はわしに対する視線誘導が目的かね……?

 そのムネを良しとする!!

 「いいな~、亜美も早く曲もらいたい~っ」

 わざとすねたような表情で双海妹が不満をあらわにする。

 まあそうだよな、水瀬には事前に一曲回ってるし(三話参照)

 「ちゃんと全員に回せるようにプラン考えてるから大丈夫だよ」

 なだめるように頭をなでる俺。

 「う~、ホントかな~……?」

 疑わし気にこちらを見上げる双海妹氏はかわいいなぁ。

 「双海姉妹はユニットで3曲行くつもりだから」

 「ホント!?ダテッチやるじゃん!」

 きらりと光る笑顔で双海氏が抱き着いてくる。

 あの、精神的距離が近すぎやしませんかね……?

 まあ年若い娘さんに抱き着かれるのは全然忌避に値しないためむしろウェルカムっていうか、もっとハグしてもええんやで?

 年齢相応のつつましやかな柔らかさを堪能しているとすかさず水瀬から待ったの声。

 「あんたねえ、少しは恥じらいってモンを持ちなさいよ……伊達さん困ってるじゃない……」

 呆れ顔である。

 こっちとしてはこういうスキンシップも悪くはない。

 むしろ良い。

 だって、可愛い女の子だよ!?

 素直に嬉しいです。

 「えぇ~?そんなこと言って~、いおりんこそ意外とダテッチに甘えたいんじゃないの~?」

 新遊戯俺登りをしながらジト目を向ける双海(あ)に「んなわけあるか~!」と逆切れいおりんマジギレ、いや、俺的には甘えてもらっても一向にかまわんのだけれども。

 少女らしい甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 ただ一つ思うのはひとえに「逮捕されませんように」である。

 「いー加減にしなさい!この後だって予定あるのよ!?」

 見かねた秋月に首根っこをつかまれ、猫状態にwww

 「まあまあ、とにかくこの二曲をレコーディングするということで、聞きこんどいてください、コレ歌詞カードです」

 と、秋月をなだめつつ、俺は歌詞カードを三浦に手渡す。

 「ハイ!頑張りますねっ」

 ああ、三浦様は本当に笑顔の素敵なお方……。

 

 

  ――――――――――――――――――

 

 某日、ドラマ特別先行上映会場

 

 「というわけでですね、長いこと監督やってますけど、こんなハイスピードで決定した主題歌は今までないですよ、伊達君世界観つかむの早すぎて」

 会場で監督さんがからからと笑い、記者たちにもにわかに笑いが起きる。

 「でもホントありがたいよね、話行ってたったの一週間でめちゃめちゃいい曲持ってくるんだもん、それがばっちり思ってた雰囲気で……」

 ほう、と会場が感嘆したのが伝わる。

 「いやあ、出来のいいお話に一気に引き込まれちゃいまして……しかし、俺ここに居ていいんですかね?役者さんたちと同じ壇上ですよ?」

 なぜか壇上にいた俺はうまく話をつなげつつ笑いを誘う。

 「いいのいいの、俺も思ってたよりすごい気さくな方で助かってるから」

 と、隣にいた俳優さんがイケメンスマイルで応対してくれた。

 三浦も緊張することなくにこやかにしている。

 「せっかくなんでオープニングとエンディングは三浦さんに生歌も披露してもらいますから、よろしくお願いしますね」

 監督の言葉に「お任せください」と笑顔でこたえる三浦。

 

 ほどなくしてトークも終わり、曲の披露と相成った。

 「それでは聞いていただきます、二曲続けてになりますがお付き合いくださいね?一曲目はオープニング曲の『ユニゾン』、二曲目がエンディングの『ループ』です、記者の皆さんは宣伝もお願いしますね~」

 MCもこなしつつ小気味良い笑いが起きると、音楽が流れだす。

 

 そう、演出の都合上ここまで引っ張ったわけだが、今回は真綾ちゃんの曲なのだ。

 え?予想してた?うるせーやい。

 だって好きなんだもん。

 都合よく合う仕事来るじゃん?

 そしたらもう、再現するしかないじゃん?

 

 ドラマの主人公の名前からとった『D PROJECT コード:MAYA』

 として今回はこの二曲である。

 さすがの歌唱力で俺としても万々歳だ。

 F91なだけはある(せくはら)

 なんとぉーっ!




ほとんどのプロデューサーはジョブを変えながらお花の面倒を見つつ王子として海域を守護するマスターです。ご、許しは請わぬ、またこんど。


今回起用した楽曲

ユニゾン

アルバム『夕凪LOOP』より
 
作詞 岩里祐穂

作曲 周水

編曲 中西亮輔

歌  坂本真綾


ループ

アニメ『ツバサ・クロニクル』ED(夕凪LOOP収録曲)より

作詞 h's

作曲・編曲 h-wonder

歌  坂本真綾
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