普段なら暗い部屋の中のままぼんやりと過ごしているだけ。
一つの電化製品を点けるだけでこうも違う。明々と光るテレビを前に目が辛く感じながら膝を抱えぼんやりと眺める。
ああ、こんなところを母さんに見られたら怒られるな。
そんなことを思ってもやる気が出ない。照明を点ける気力もない。
テレビから聞こえる音声…アナウンスも耳に入らないただただ映像をぼんやりと眺めるだけ
勝者リク!
どっと湧くような歓声と共に聞こえた勝者を伝える実況。画面を見続けていた少女は顔をしかめて衝動的にリモコンを掴みテレビを荒々しく切る。
「……」
布団を頭から被り膝を抱え耳を抑え目を固く閉ざす。
いやだ。いやだいやだ!
私が、どれだけ頑張ったと思ってるの
認めてよ、なんでそんなにも、否定するの
お祖父ちゃんや見たこともない兄が凄いの?
何が七光りよ
何が八百長、だよ
ふざけるな!
私は私たちは……ただ!
「……ただ、見つけて欲しかっただけなのに」
小さく呟いた言葉は閑散とした冷たく暗い部屋によく響いた
どれだけ望んでも手紙を送ろうとも、1度も会いに来なかった最低な兄に。大嫌いな、大嫌いな兄に。
そのためだけに頑張ってきた自分が、馬鹿馬鹿しくて、惨めで、自身のバトルまで否定され心が、もうボロボロだった。
幻影だけを追い続け走り続けた心は、目標を目前に志半ばで折れてしまった。
「会いたいよ、お兄ちゃん」
なんで見つけてくれないの。
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暗い夜道、珍しく気分転換に星を見に公園へ一人で出向いたリクが唐突に「ねぇ、みんな」と声をかけ彼女の手持ちのボールの中で首を傾げていた。
「会いに、行っちゃおうか?」
心境の変化でもあったのかといち早く察した親友はボムッと音を立てボールを飛び出した。それに倣い他のみんなも。リクは困ったなぁ…と言いたげに頭を軽くかく。
「心境の変化?そうだね、一発殴りに行きたいかな。」
昨日までの長い長い卑屈はどこに置いてきたのだと言いたくなるほどの爽やかさに思わず親友…マイナンは苦笑いした。
「でもね、ホウエンからカントーは凄く遠いんだ」
肩をすくめ淋しそうに笑うリクに皆が首を傾げる。ああ、大きな子達まで。思わず頬が弛んでしまう。
「こことは違う所なんだ。」
「それでも、私と一緒に来てくれる?」
ホウエンのポケモンはカントーでは凄く珍しいだろう。何か言われるかもしれない。それでも、私がみんなを守るから。
マイナンは頬に擦り寄り、ウィンディはお腹に鼻を押しあて、ロゼリアは足にしがみついていて、チルタリスは柔らかい羽で頭を撫でてくれた。
思わず目が潤んでしまう。ありがと…小さく呟いた言葉は全員に聞こえ小さく頷かれ顔が綻んだ。ガタガタっと揺れたボールを見る。綺麗好きな彼は池のない公演の地面が泥だらけなのを見て出るのを諦めたんだろう。一生懸命アピールしてくる。
「あはは、もちろんラプラスもね大好きだよ!」
みんなで行こうか、カントー地方
(ポケナビ持ってるしバックの準備もOK)
(さっそく出発しようか!)