反響ーエコーー   作:志摩 暁月

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第10話

 

 

「それで?私をここに連れてきた理由はなんですか」

「やだなぁ友達を自分の家に誘ったらおかしい?」

「ソウルは別として昨日知り合ったばかりの私を連れてくるのはおかしいと思う」

 

座りながらリクとヒビキの言い合いというか口論というか…とりあえず聞いていれば自分の名前が出てきた。いや、むしろオレはこの町に来るのがまずイヤだから。言ってやりたかったが口を挟める雰囲気ではなかった。

 

ヒビキもそう思っているのか苦笑いだ。顔が引きつっている。

 

「まぁ、ホントのコトを言えば会ってほしい人がいるんだよね」

 

ヒビキが溜め息をつきリクを見据えた。会ってほしい人?リクが首を傾げながら確認するように復唱した。

 

「そ。その人は最強と謳われて、この世界の原点にして頂点。」

「………原点にして頂点」

 

リクの眼の色が変わった。ポケモントレーナーの眼だった。バトルが大好きな、ただ純粋な強くて深い目をしていた。

 

ソウルとヒビキは息を呑み、続きを促すリクを見つめた。

 

「リクの目的の途中で良いんだ。リクも戦ってみるといいよ」

「場所はね、シロガネ山。」

「………っえ…やま?」

「そう、シロガネ山の頂上」

 

一般論として人がいる場所としては相応しくないソコに、リクが息を呑む。ヒビキはそれすらも分かっていて、武者修行しているらしいよと付け足し今までどおり笑みを崩さない。

 

昨晩あらかじめ勝敗関わらずリクにそのことを伝えると聞かされていた俺でさえ正気か?と問う以前にヒビキを反射で怒鳴りつけた。

 

「名前、は?その人の名前」

「レッド」

 

レッド、さん…と呟くリクにヒビキは自分で言っておきながらも少しヒヤヒヤしていた。せっかく恐怖心を乗り越えてなんとかバトルできるようになったのに、向かえば今度はポケモンそのものを恐怖するんじゃないか、と。シロガネ山とはそんな場所だ。そしてレッドさんも。ジッとリクの様子を観察しながら返事を待つ。

 

「……行く…」

 

小さな小さなと音がした。否リクの声だ。なんて言ったのか。空気の音だけの様に思えて、肝心の答えが聞き取れずもう一度聞き返す。

 

「リク?」

「…シロガネ山に行くよ。その人に会ってみたい。」

 

シロガネ山の頂上の最強のその人に、その人に会えれば何かが変わる気がした。これ以上悪いことなど早々に起きないともう一歩だけ変化を期待したリクは旅の通過点にシロガネ山へ寄ることに決めた。

 

「リク、正気か…?」

 

ソウルは少女に向かって沙汰を問う。彼女はそこがどんな場所か知っているのだろうか。そもそもが資格を持たないものすら入れない飛び出してくるポケモンすら高レベルなそんな山なんだ。

 

そう伝えればリクは困った様に笑い、それでもと言葉を続けた。

 

「行くよ、私じゃ不法侵入になるかもだけど…」

 

「………ん?」

「………え…?」

「それだけ強いんならリーグと同じ条件だよね…?そもそも私ジョウトのバッチもカントーのバッチも持ってないよ」

 

ヒビキに勝利した時点でリクの実力から忘れていたが、彼女はホウエン地方からの来客であったことをうっかり失念していた。

 

(……入るの手伝うから)

 

不法侵入は止めて!!

 

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