反響ーエコーー   作:志摩 暁月

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第13話

 

 

「……ヒビキか…」

「はい、お久しぶりです」

「バトル、……か?」

 

レッドがヒビキに近づき声をかけた。ヒビキも慣れた様子で対応している。ここには何回も来ていると言っていたので、この何故か仄かに明るい洞窟にもすぐに理解していたようだった。

肩を竦めて苦く笑うヒビキにレッドは少し首を傾げた。どうやら違うと判断したらしい。それは…いや、しかし確かにヒビキに問うた質問に対しては正しくも間違ってもいた。

 

「バトルはバトルなんですけど……」

 

続いた言葉に考える素振りもみせず今度はしっかり首を傾げた。

 

リクはこの中で1人だけ違うオーラを持つ人物をみて、バクンバクンと心臓がかつてないほど鳴り響いていた。

 

「………」

 

ヒビキとレッド、2人の声が音のない洞窟の中に静かに響く。

 

しかし煩い心音のせいで彼らの会話が脳まで届かない。気温が低いのに体は発汗している。嫌な汗と自分の息を呑む音の存在しか認識出来ない。

 

そしてゆっくりと振り返った彼と目が合った。

 

ドクン、大きな鼓動と共に引き込まれた赤い眼に息の仕方を忘れた。

 

「リク、だったか…?」

「…ぁ……っ…」

 

言葉が出ない。この静かな炎を感じさせる彼に自分は怯えていた。

 

籠もる熱を感じながら眼を閉じる。小さく呼吸を繰り返しあまり変わらなかった熱に悪態をつきながらもゆっくりと頷いた。

 

するとさらに鋭くなる彼の雰囲気。カチャ、と音がし顔を上げれば赤く深い瞳。

 

「バトル」

「………え、」

 

 

構えられたボールに目を丸くしてリクは驚いた。え、え?これどんな展開!?バッとヒビキに顔を向ければ手を振り朗らかに笑った。

 

「あ、さっきね、ボクからレッドさんにお願いした。」

 

ヒビキ…!?

 

バトルバトルバトル、私が戸惑っていたらボールから勝手に飛び出したウインディ

 

驚いた、この子が自分から勝手にボールを出るなんてことは無かった。それだけこのバトルを受けたいんだろう、物怖じせずレッドに威嚇を向けているかぎりやる気が窺えた。

 

この空気、いや圧迫感に嫌な汗が滲む。カタカタとグローブをした手が震えた。

 

「…」

 

彼が出したポケモンは先ほどと変わらず小さな身体をいっぱいに使い戦闘態勢を保っていた

 

目を細めて私を見るレッドさんに怯えが隠せない。

 

「リク!はじめるよ!」

 

ヒビキからの声にまた身体を震えた。

 

先程までレッドと自分2人だけしかいないのだと錯覚していた。そうだ、ヒビキもソウルも私の手持ちだっている。頂点とのバトルなんだ。楽しまなくては。

 

ウインディが戦闘体制になれば空気が変わった。

懐かしい、だけどこの間感じたばかりのピリピリとした空気だった。

 

ヒビキの掛け声を合図にリクは口を開く。まずは先手をとる。

 

「しんそく!」

「でんこうせっか」

 

小さい標的を当てるのは無理があるのか、軽やかに躱すピカチュウ。しかしレッドもやはり攻撃型

 

「ボルテッカー!」

「ウインディ!あなをほる!」

 

 

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残り手持ちがレッドが3匹、リクが2匹とレッドが押している緊迫する雰囲気の中、先程から流れる軽快なメロディに気が行ってしまう。

 

レッドが何度も何度も切っていたがしつこく何度も何度もかかってくるのでレッドがポケギアを握り潰そうとしていた。

 

「いやいやいや!レッドさん、出ていいですから!それ以上は壊れますって!」

「冗談だ」

 

冗談に見ええない…!!

 

バッとヒビキを見れば空笑いしていた。

 

「なんだ…」

『おまえなぁ!切るなよ!用事があってかけてんだぞこっちは!』

 

バトルを中断したため会話の内容が丸分かりで相手に思わず同情してしまった。

 

『だいたいなー、お前いい加減に山から降りてこいよ誰が食い物運んでやってんだと思ってんだ!』

「グリーン…今バトル中なんだが…」

(……!)

『はあ?…ってマジかよオマエそれ早く言えよ。またヒビキか?』

 

気が付いたらレッドに向かって駆け出していた。ヒビキが呼び止めようとしていたが気にしてられない。

 

「電話の相手!グリーンって名前なんですか!?」

 

リクはレッドに掴み掛かっていた。胸元のジャケットを掴み険しい顔を向け切羽詰まった様子で巻くしたてた。

 

「……」

『あ…?』

 

レッドは無表情だったが困惑している様子は見て取れた。わなわなと震えるリクに首をかしげていた。

 

『レッド、お前幼女はダメだろ幼女は』

「…だ!…」

 

誰が幼女だ!とリクが叫ぼうとしたときレッドからのフォローが入った。

「ヒビキと同じくらいだ」

『ふーん?

それで、君俺に何かようあんだろ?』

 

もう瞳いっぱいに涙をためて羞恥に顔を染め子供扱いに耐える姿は自分でも思う、滑稽だろう。

 

目指していた相手

 

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