バトルバトルバトル、私が戸惑っていたらボールから勝手に飛び出したウインディ
驚いた、この子が自分から勝手にボールを出るなんてことは無かった。それだけこのバトルを受けたいんだろう、物怖じせずレッドに威嚇を向けているかぎりやる気が窺えた。
この空気、いや圧迫感に嫌な汗が滲む。カタカタとグローブをした手が震えた。
「…」
彼が出したポケモンは先ほどと変わらず小さな身体をいっぱいに使い戦闘態勢を保っていた。目を細めて私を見るレッドさんに怯えが隠せない。
「リク!はじめるよ!」
ヒビキからの声にまた身体を震えた。先程までレッドと自分2人だけしかいないのだと錯覚していた。そうだ、ヒビキもソウルも私の手持ちもいる。頂点とのバトルなんだ。楽しまなくては。
ウインディを戦闘体制にさせれば空気が変わった。懐かしい、ピリピリとした空気だった。
ヒビキの掛け声を合図にリクは口を開く。まずは先手をとる。
「しんそく!」
「でんこうせっか」
小さい標的を当てるのは無理があるのか、軽やかに躱すピカチュウ。しかしレッドもやはり攻撃型
「ボルテッカー!」
「ウインディ!あなをほる!」
******
残り手持ちがレッドが3匹、リクが2匹とレッドが押している緊迫する雰囲気の中、先程から流れる軽快なメロディに気が行ってしまう。
レッドが何度も何度も切っていたがしつこく何度も何度もかかってくるのでレッドがポケギアを握り潰そうとしていた。
「ちょおおお!レッドさん、出ていいですから!それ以上は壊れますって!」
「冗談だ」
冗談に見ええない…!!
バッとヒビキを見れば空笑いしていた。
「なんだ…」
『おまえなぁ!切るなよ!用事があってかけてんだぞこっちは!』
バトルを中断したため会話の内容が丸分かりで相手に思わず同情してしまった。
『だいたいなー、お前いい加減に山から降りてこいよ誰が食い物運んでやってんだと思ってんだ!』
「グリーン…今バトル中なんだが…」
(……!)
『はあ?…ってマジかよオマエそれ早く言えよ。またヒビキか?』
気が付いたらレッドに向かって駆け出していた。ヒビキが呼び止めようとしていたが気にしてられない。
「電話の相手!グリーンって名前なんですか!?」
リクはレッドに掴み掛かっていた。胸元のジャケットを掴み険しい顔を向け切羽詰まった様子で巻くしたてた。
「……」
『あ…?』
レッドは無表情だったが困惑している様子は見て取れた。わなわなと震えるリクに首をかしげていた。
『レッド、お前幼女はダメだろ幼女は』
「…だ!…」
誰が幼女だ!とリクが叫ぼうとしたときレッドからのフォローが入った。
「ヒビキと同じくらいだ」
『ふーん?
それで、君俺に何かようあんだろ?』
もう瞳いっぱいに涙をためて羞恥に顔を染め子供扱いに耐える姿は自分でも思う、滑稽だろう。
俺に何かようあんだろ?
その言葉にハッと意識を戻した。ギュウっと拳を握りレッドから受け取ったポケギアを睨み付ける。
「あんたなんか大ッ嫌いだ!」
『へ…?』
リク!?ヒビキたちの驚いた声が耳を掠めたが気にせずにボタンを押す、もちろん終話ボタン。
「………レッドさん、ありがとうございました」
ちょっとだけすっきりしました!柔らかく笑むリクに流れで相槌を打つレッドは本当に動じない。
「知り合い、なのか?」
「私の旅の目的は彼ですから」
嫌そうに顔を顰めるリクにレッドは眉を寄せる。グリーンが目的?そう言いたそうだった。リクが反応し「色々あるんです」と苦情を零してこの空気を断ち切ろうとしていた。
「気がそれちゃいましたね、続けます?」
「………いや」
山を降りる
(………へ?)
(マサラに行く)
(……は?)