最後のポケモンに勝利し、労いの言葉をかけながらミックスオレを与えていたリクに声をかけ、バトルステージへと促した。
「…!お姉ちゃん!」
たたた!とナナミの姿を見止めた途端笑いながら駆け寄った。態度違くないかこのチビ…口元がひきつりこめかみがピクリと反応した。
「リク、頑張ってね」
「……うん」
照れて笑いながら年相応にはにかむ少女にお、と声がもれた
審判に呼ばれ二人コートにたった。
挑戦者 コトキタウンのリク!
「………やっと辿り着いた」
スピーカーから広がった少女の名に隠れポツリ、と溢れた言葉は拾えなかったがリクが思いきり握っている手に、何かあるのか?と眉を潜める。
リクの実力なら緊張はまずないはずだ。バトルを楽しむ、と実力者でも初心者でも第一に考える。だけど今の目の前の少女にそれはない。
チルタリスVSウインディ
フルバトルでの試合に一匹目に選んだポケモンはタイプも相性も全く異なる同士だ。
「しんそくだ」
「飛んで!」
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お互いの手持ちが何体か戦闘不能になったとき、一つのボールを思わず握りしめた。
「……ムカつくことに」
再びポツリと溢した音は聞き取られた。
「グリーン、さんは強いんだよね」
「…は?…いきなり何を…」
「こんなに頑張って、頑張って追い付こうと食らいついて努力しても」
貴方は七光り、なんて言われずに周りから認められていつの間にかジムリーダーになってて、羨ましくて会いたくて、……褒めてもらいたくて
「カイリキー!!ばくれつパンチ!」
ボムッ!と音を立て、ボールの中から腕に込められていた渾身の一撃を、グリーンの足元にも落とした。大きな爆発音が建物全体に響き渡り審判が慌てて止めさせようとした。お姉ちゃんが視線だけでそれを止めさせ、心の中で感謝した。崩れた足元にも唖然とこちらを凝視しているグリーンに言い放った。
「だけど、どんなに頑張っても認めてもらえなくて、………――――私は貴方が大嫌い。」
いきなりのことで思わず固まってしまった。オレはこの少女に出逢ったことがあっただろうか。初対面のオレに向かってリクは"悔しい""オレは強い"そういった。その言葉の真意を考えていたら、少女が攻撃してきた。手加減をしていたのだろう、カイリキーは床を叩き壊した。トレーナーに攻撃するのはジムではマナー違反だ。脳をかすめた言葉は場にあまりにもそぐわない、そんな台詞だった。
少女は顔を歪めて俯いた。
姉さんの知り合いだから姉さんが口出しをしてくると考えていたが彼女は気にした様子もなく笑って審判と話をしていた。
何を話したのか公平であるはずの審判は何故か驚いていた。
"認めてもらいたかった"
先程耳から伝わってきた言葉は本心だと感じ取った。誰に何を認めてもらいたかったんだ?言っている内容に脳が追いつかないオレに追い討ちをかけるかのように細められた冷めたい視線で口が開かれた。
"私、貴方が大嫌い"
唖然。初対面で大嫌い。
そんなこと始めてだった。
…ん?
いや、前もあった気がする
それもつい先刻
"アンタなんてだいっきらいだ!"
………レッドが山でバトルをしていたという少女。それが、リクなのか。オレの名で反応した、確かに多少幼くみえるがヒビキと同い年に見えなくもない。むしろ手持ちのレベルからいったら年上でも構わないが……少女の容姿がそれをよしとしない。
目の前にシロガネ山にいたと思われる少女……。レッドと共に降りてきた少女。
「オレに言いたいことあるんだよな」
「バトル、終わってからにしようぜ?バトルは楽しく!だろ?」
こんなに楽しいバトル滅多にないからな!と土ぼこりを落としながらこの勝負負けられない、と再びボールを構える。笑って言えばグッと詰まった様子で一度リクは目を閉じた。
(ねぇなんで……、なんで怒らないの?)