少し開いた道端で2人の少年がいた。街中だったがバトルをしているようだ。ボーと眺めているとハイレベルで思わず凝視した。
「へぇ…すごいね」
呟き視線を逸らさずにいたら火の粉が飛んできた。危ないなぁ…顔を顰めていたらチルタリスが翼を動かし意図も簡単に飛び散った火の粉を消した。
ありがと。首もとを撫でれば嬉しそうに擦り寄ってくる。
そのまま少し離れた位置に降ろしてもらい観戦することにした。
それにしても私と同い年くらいの少年は、周りに注意する事なくバトルを繰り広げていた。
「バクフーン、かえんぐるま!」
「ちっ、ゲンガー…シャドークローだ!」
もしかしたらもう数々のジムを制覇した一流のトレーナーなのか…もしくはまだまだ半人前なのか…それでもポケモンの使い方が上手く見ているこっちも楽しくなってくる。
「楽しそうだね…」
地面についた途端ボールから飛び出したマイナンを抱き締め上げると不満そうに鳴き声を上げた。最近野生のポケモンとしかバトルしてないのがそんなにも不満なのか。いや、まあ不満は蓄まってるだろうけど、そこは我慢して欲しい…
「行けオーダイル!」
ゲンガーが戦闘不能となりそこでバトルに変化が起きた。バクフーンでごり押しに戦っていた子の手が腰に行く。ポケモンの交換か?
「頼んだ、デンリュウ!」
「おまっ!くそっオーダイル、こおりのキバ!」
「かみなりパンチ!」
せっかく相性の良いポケモンに変えたのに、勝負に出る前に替えられてしまったら意味が無い。一枚帽子の子の方が上手だったね。
マイーっと可愛らしい鳴き声が腕の中から聞こえると、青い屋根が目印のフレンドリーショップへと駆け出した。
「あ、そうだった…ショップに買い物に来てたんだった」
少し惜しいが、マイナンをこのまま放っておくわけにもいかず、口惜しいがその場をあとにするためチルタリスをボールに戻しマイナンを追い掛けるため目的の店まで走り始める。
(さーて、毒消しと麻痺治し…回復系もいる、よね。)
(あとは食料!)
いくつか買い込む様に必要物資を購入し建物を出るとあたりも暗くなって流石にこれ以上今日は進めないだろうと肩を落とした。
ヤミカラスやホーホーが夜を知らしめる様に鳴いていた。
さくさくポケモンセンターに泊まることを決めたリクは体を一つ伸ばしてから歩みを進めた。自動ドアをくぐればセンター特有の軽快な音楽が流れだす。
一応怪我はないが、長旅で疲れさせてしまったのだから預けるべきだな…と頭で軽く判断をくだしてジョーイさんに話し掛けた。
「すみませーん、回復と宿泊手続きを…」
「こんばんは。トレーナーカードはお持ちですか?」
「はーい」
語尾を伸ばしポーチを漁るリク、トレーナーカードさえあれば宿泊・回復その他色々がほぼ無償でやってもらえるポケモンセンターは本当に便利だ。
どうやって生計を経てているのか分からないが、重宝している。おかげで野宿を真逃れているのだから
「部屋の鍵をお渡ししますね。回復は終わりしだいご連絡いたします」
にっこりと笑顔で受付をするジョーイさんにこちらも笑って応える。
「ありがとうございます」
回復完了を待つため受付の側にあるソファーにポスッと座り頬を摘む。笑えてるだろうか。自分でも判るくらい表情が堅い……大丈夫…。そういい聞かせながら自嘲を浮かべる。これじゃあなんの為に旅に出たのか解らないじゃないか。
「だ-か-らー、どうしてそう突っ掛かってくるわけ!」
「お前に負けたままでいられるか!」
フッとそんな言い合いが聞こえて顔を上げれば先程の少年たちが言い争っていた。あの子たちはライバルなんだ…いいなぁ。小さく破顔しながらその様子を再び眺めていることにした。
「そういって今日も出会い頭早々勝負吹っかけてきたじゃん」
帽子の少年は本当に苦労しているのか肩を落としながら疲れ切った表情を浮かべていた。
「負けっぱなしは癪なんだよ!」
舌打ちをして顔を背けるもう一人の少年はなるほど、先程のバトルで敗れてしまったのか。しかもそれが続いているのが癪らしい。悔しいのは良いことだな…目を細目見守っていればジョーイさんに呼ばれた。回復がすんだらしい。
「お待たせしました」
笑顔で差し出してくれたボールを一つずつ に装着してお礼を一つ。
「あらあらあの子たちまたやってるのね」
「あれ、ジョーイさんあの2人知ってるんですか?」
先程リクが見ていた場所に視線を送ったジョーイさんは苦笑しながら呟いた。独り言にしては大きなソレに思わず聞き返せば
「ええ、あの子たちここにきてもう1週間経つもの」
「………1週間」
「3日前までは女の子も一緒だったみたいだけど…あの2人を見て苦笑いして次の街へ行ったのよ」
あー…1週間の滞在…かぁ…突っ掛かってる少年は1週間毎日偶然を装い勝負をふっかけているのか…?
そんなまさかね…と思いながらも、なんとなく頬がゆるむのがわかる。凄いなぁ…あそこまで純粋に「どうかした?」思い耽っていたら目の前に金色の双眼。パチパチっと目を瞬かせ思わず凝視してしまう
「えっ…と…」
「キミ、さっきから暗い顔したり笑ったりしてたからさ、」
気になっちゃって。と視線を合わせながら子首を傾げる少年を見て思わず吃ってしまう。
い、言えない…あなた達を見て笑ってました。だなんて…
一つ苦笑を溢しふと視線をそらせばもう一人の少年も先程の喧嘩腰とは少しだけ違う柔らかい表情でリクを見ていた。
(な、なんだかひどく申し訳ない…!!)
(あ、また百面相だー)
(百面相!?)
少年少女たちよ!