目の腐った青年はシンデレラ城に迷い込む   作:なめ!

10 / 25
どうも高校入学しました。筆者です。投稿遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。許してつかぁさい。






出オチが来るぞ!気をつけろ‼︎


7話

勢いよく開け放たれた常務室の扉。そちらを見ると大声で俺の名前を叫んで凄い勢いで突進してくる少女が1人。そう。凄い勢いで突進してくる……ってちょっと待って速すぎない⁉︎それ俺受け止められなグフゥゥッッ⁉︎

 

「比企谷ぁ!比企谷ぁぁ‼︎」

 

さっきまでドアに背を向けていて反応ができなかった俺は、その少女から鳩尾への頭突きをもろに食らい、ぶつかった勢いのまま背中から倒れこみ、常務のデスクの角に後頭部をもろにぶつけ、最後に倒れた時に追い打ちの様に床に後頭部を打ち付けた。更にその少女は俺に起きた惨劇に気づいて無いのか、トドメとばかりに鳩尾にぐりぐりと頭をねじ込んできた。そんな攻撃に俺の意識は耐え切れる筈も無く……

 

「何、これ……新手のいじめぇ……?」

 

「比企谷ぁぁぁぁぁあああああ⁉︎」

 

「比企谷君⁉︎」

 

「奈緒ちゃんちょっと待っ……比企谷君⁉︎」

 

「奈緒速いってえぇぇぇぇええええ⁉︎」

 

俺の意識は、プッツンした。

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

「……ん……。」

 

意識が覚醒する。いつのまにか寝てたようだ。あれ、俺いつ寝たんだっけ?

 

とりあえず身体を起こして横を見ると、高垣さんと長髪の少女に怒られ正座をしている神谷の姿があった。なんで神谷達がここに……?

 

「意外に直ぐ起きたな。大丈夫か?比企谷?」

 

「えっと、大丈夫、です?」

 

すると武内さんが俺の目の前に猫と、大きめの日本語の文字が印刷された紙が出された。

 

「比企谷君。この絵は何に見えますか?」

 

「え?猫ですけど?」

 

「では、これは何と読みますか?」

 

「神谷奈緒は太眉。もふもふ。ですね。何ですかこのふざけた文章。誰が考えたんですかこれ。」

 

すると2人はホッとしたように息を吐いた。

 

「思考は正常のようですね。よかったです。」

 

「え?なんで頭の心配を?俺なんかやらかしましたか?」

 

「いや、あんなに強く頭を打ち付けていたら誰でも心配するからな?覚えてないのか?君は神谷にぶつかられて私の執務デスクに頭をガツンとやったんだぞ?まぁ、念の為今度病院に行って検査してきてくれ。」

 

「えっと……。」

 

その瞬間、頭の中にフラッシュバックするあの惨劇。あれ神谷だったのか。道理でなんか毛量が多いと思った。にしても、あいつもう少しゆっくり来れなかったのかよ。もし頭が逝ってたらシャレにならんぞ……。

 

「お、俺よく生きてましたね。」

 

「本当だ。今回ばかりは流石にヒヤヒヤしたぞ。」

 

「神谷さんを止められず、申し訳ありません……。」

 

「あ、いえ、武内さんは悪くないじゃないですか!」

 

「そうだよ。今回プロデューサーはどこも悪くない。あんないきなり来たら誰も反応なんて出来ないよ。」

 

声のした方を振り向くと、さっきの長髪の少女がこちらに歩いて来ていた。向こうでは高垣さんが未だお説教を続けているから、きっとあちらは高垣さんに任せて来たのだろう。

 

「ウチの奈緒がごめんね。大丈夫?どこか痛いところはない?」

 

そう言って心配をしてくれる少女をもう1度しっかりと見てみる。少し黒の混じった落ち着いた色の茶髪に、鋭めの目つき。深い緑の瞳には、真っ直ぐな意思が感じられる。可愛いと言うよりは美しいと言う方がしっくりくる落ち着いた印象で、全体的に大人びて見える。しかし、少し着崩した制服や、まだ少しあどけない顔立ちから、年相応の幼さも感じられる。

 

……って俺年相応の幼さとか随分と偉そうに言ってるけど、あんまこいつと年変わらないだろ。いやホント、何様だよ俺は。……あ。お一人様か。

 

下らない1人コント(笑)は一回置いておいて、こいつは何度か神谷との話に出てきた1人に特徴が一致する。確か名前は……

 

「渋谷凛……だっけ?」

 

そう名前を呼ぶと、少女の目が少し驚いた様に目を見開く。どうやら当たりの様だ。

 

「知っててくれてたんだね……ありがとう。」

 

「いや、神谷との話の中でお前が出てたのを少し覚えてただけだ。」

 

「それでも、知っててくれてたことには変わりないから。ありがと。」

 

「お、おう。」

 

にこりと笑った彼女の笑顔に、不覚にもドキッとしてしまう。

 

「ん?……ふふっ。顔赤いよ。ちょっと照れてる?ドキッとした?」

 

そう言って渋谷は悪戯っぽく笑った。

 

「うっせ。照れてねぇよ。生憎と長年のぼっちやって来たからな。お前見たいな可愛い女子にこんな事される耐性なんて無いんだよ。あと照れてねぇ。」

 

「可愛い女子って、何?口説いてるの?」

 

そう言って渋谷は携帯を取り出す。

 

「え、あ"!い、いや、口説いて無い口説いて無い!頼むから通報だけはしないで下さいお願いします⁉︎」

 

俺は今までで最高のスピードでDOGEZAを敢行した。職場でアイドル口説くとかこれ完全にセクハラどころか事案じゃねーか。雇って貰って1時間もしない内に社内問題で逮捕とかマジでシャレになんねぇ。

 

「ご、ごめんごめん。ちょっとした冗談だよ。通報なんてしないよ。

……でも可愛い女子か。奈緒に妬かれちゃうな。」

 

そう言うと、渋谷は戯けた様にくすりと笑う。

 

「じゃあ、改めて自己紹介。渋谷凛。高校1年生。よろしく。」

 

あれ……?反応が素朴だな。俺のDOGEZAスルー?普通戸惑うか引くかするのに。やっぱり芸能人はこんな事じゃ動じないのか?すげーな芸能人。

 

芸能人の肝の座り具合に驚いていると、何故が渋谷がこちらをじっと見てきた。高垣さんと神谷もそうだけどそれ割とマジでやめてほしい。もうね。やばいの。心臓が。

 

「な、何だ?」

 

「自己紹介。まだ聞いてないなって。」

 

「え、あ、あぁ。そうか。わかった。比企谷八幡。高2……だったがもうやめたからな。取り敢えず、ここで働くことになった。今後ともよろしく頼む。渋谷。」

 

「あ……そっか。楓さんから聞いたよ。なんて言うか、災難だったね。」

 

「あぁ。そうだな。ホントに災難だった。」

 

「うん。でも、私達は八幡を傷つけたりしないから。もう、八幡のあんな顔は、見たくない。」

 

「俺のあんな顔が見たくないって……俺達ってどっかで会ったか?」

 

「あ、奈緒と一緒に八幡を見つけたのが私でね。その時ホントにやつれてて死にそうな顔だったから……。」

 

なるほど。確かにあの時はロクな顔してなかっただろうな。

 

それにしても、いきなり名前呼びってすげーなこいつ。同じアイドルの神谷や高垣さんでさえしてないぞ。

 

「随分と気にかけてくれるんだな。あと八幡って……。」

 

「まぁ、奈緒と加蓮の大切な人だからね。それに、奈緒の話を聞いた限りじゃ、そんな悪い人ではなさそうだし。」

 

「俺はお前が思ってる程いい奴じゃないと思うぞ。」

 

「それを決めるのは私だから。」

 

「……さいですか。」

 

「それと、これから一緒に同じ所で働くんだから、他人行儀だとなんか嫌じゃん。年もそんなに離れて無いしいいかなって思ったんだけど、嫌だったかな?」

 

「別に嫌って訳じゃねぇよ。ただ女子に名前呼ばれるのが慣れてなくて、心臓に悪いだけだ。だから、その、好きにしてくれ。」

 

「うん。わかった。」

 

ここで一旦会話が止まる。そういえば渋谷が話しかけてきてから武内さんと常務の声が聞こえて来ない。不思議に思って周りを見渡すと……

 

「……なんでニヤニヤしてるんですか。常務。」

 

渋谷が言った通り、俺たちから少し離れた所でニヤニヤと笑っている常務がいた。それもなんか微笑ましいものを見る笑い方である。ああいう顔で見られるとなんか居たたまれなくなるよね。

 

「フッ。何でもない。ここは若い集に任せて私は退散するとするよ。」

 

そう言うと、常務は颯爽と部屋を出ていった。

 

因みに武内さんは神谷たちの所でなぜかオロオロしてる。きっとそろそろ説教を終わらようと思ったけど、なんて言って止めればいいのかわかんなくてオロオロしてるんだろう。

 

「それにしても、ホントに目が腐ってるんだね。奈緒から聞いてたんだけど予想以上でびっくりしたよ。確かに死んで3日経った後の魚の目みたい。」

 

「うっせ。ほっとけ。元々だ。」

 

俺の反応が面白かったのか、渋谷はあははと声を出して笑った。

 

「まぁ、とにかくよろしくね。八幡。あと、私のことは凜でいいから。」

 

「お、おう。よろしく頼む。り、り……

……なぁ。やっぱ慣れてきたらでいいか?流石にハードルが高すぎる。ちょっと無理。」

 

こればっかりは仕方がない。いやだって、仕方ないじゃん?コミュ障のぼっちがいきなり名前呼びとか、木の棒で魔王倒すくらい無理ゲーだよ?むしろ俺よくやったと思います。俺結構頑張ったよ。わかる人はわかるよね。こんなに話せた俺すごい。

 

……これを毎日やらんとあかんのか。つらい。

 

「どうしたの?今なんか目が更に腐ったんだけど。」

 

「気にすんな。いつもの事だ。」

 

「そ、そうなんだ……。ま、まぁでも、なるべく早く言ってくれるようになってほしいな。約束だよ。」

 

「あぁ。わかった。改めてこれからよろしく頼む。渋谷。」

 

「うん。よろしく。」

 

そう言うと渋谷はスッと手を差し出して来た。

 

「え?何?」

 

「ほら、手。出して。」

 

「え。俺何されるの?」

 

「いいから。怖くないから。」

 

「その言い方は確実に何かある言い方なんだが。本当に俺何されるの?」

 

そう言いながらおずおずと手を出すと、渋谷は出していた手で俺の手を握る。所謂握手。シェイク・ハンズである。そのまま10秒の間2人揃って沈黙する。

 

「……な、何やってんですか?」

 

「ん。握手。」

 

渋谷はその小さい手で俺の手をにぎにぎしてくる。その手は思ったよりひんやりとしていて、握手とはいえ手を握られている状況にドギマギしてしまう。それを表に出さないように、そっぽを向いて、手を上下に動かして答えると、それで渋谷は満足したのかパッと手を離した。

 

「じゃあそろそろ奈緒達の所行こうか。プロデューサーも困ってるしね。」

 

「おう。」

 

そうして、俺達は未だに説教を止められずオロオロしている武内さんを助けに行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




奈緒の頭が八幡の鳩尾にヒットした経緯は

直前に躓く→姿勢が前かがみに→八幡の鳩尾に→気付かずぐりぐり

と言う感じです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。