目の腐った青年はシンデレラ城に迷い込む   作:なめ!

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どうも。最近やっともみやでの暗号を解読することができました筆者です。皆さんはフェスどうでしたか?筆者は令和初ガチャでSSRを三枚お出迎え出来ました。すいませんちょっと自慢したかっただけです。因みに紗枝はんとフェス限こっひと小梅ちゃんでした。それに加えて冴島委員長2枚目と忍ちゃん。乙倉ちゃんと奏もお出迎え出来ました!初奏だぁ!カナデェ!


9話

あの後、どこの店に行くかを軽く話し合った俺達3人は、その話し合いで決まった店に向かっていた。

 

「そろそろだな。」

 

「うん。今日はなに食べよっかな……。」

 

「まぁなるべく安いのにしような?一応、そのお釣りが比企谷の小遣いになるんだから。」

 

「できたらなるべくそうしてくれ。お金足りない。お、見えてきたな。」

 

漸く目当ての店が見えてきた。子供からお年寄りまで、幅広い客が出入りする店内は、いつ来ても賑やかだ。自動ドアの上に取り付けられたプラスチックの真っ赤な看板には、黄色く輝くMの文字。

 

そう。現在、日本中の誰もが知っているだろう。日本一有名なファーストフードチェーン店。くしゃみをすると世界が吹き飛ぶ、あの愉快なアイツがいる店。偶に俺達の好きなプリティでキュアキュアなおもちゃが貰える店。そう。マ●クである。

 

数ある飲食店の中からここを選んだ理由は簡単。安いからだ。現在無一文の俺は、今のところ常務から借りた1万円で食いつながなければいけない。少なくともこれで5日は持たせたいところだ。

 

店内に入ると、やはりというか、凄まじく混んでいた。もう千葉なんて比じゃないくらいに。

 

買ってから席が無いなんて事があると面倒なので、とりあえず先に席を確保することにした。3人で座れる席を探していると、運のいいことに直ぐに空いている4人席を見つけた。そこを占拠し、席を確保する。そしてものを盗まれたり勝手に席を取られない様に渋谷に残って貰い、神谷と注文をしに行った。

 

レジ前の列に並んで2分くらいした時、ウィーンと、自動ドアが開く音がした。するとドアの方を向いた神谷が「あ、おーい!かれーん!」と呼びかけていた。どうやら知り合いだったらしい。

 

「え、奈緒?なんでここに……ってえええ⁉︎」

 

そちらを見ると、さながらパンのコロネの様にカールをかけた、どこか見覚えのある顔立ちをしたツインテールの美少女が、スマホを持ったまま俺を見て固まっていた。なんだろう。俺なんかしたかな?あ、俺みたいな不審者と友達が一緒にいたらそりゃ驚くし固まるわ。

 

「え⁉︎あ、ちょ、な、なんでこんなところにハ、ハハチ……」

 

お、慌て始めたな。これはそのまま通報ルートだ。だが大丈夫。俺にはとっておきの秘策があるのだ。見よ!俺の最終奥義‼︎

 

「すいません通報だけはしないでくださいお願いしますぅ‼︎」

 

「ちょっと⁉︎な、なにやってるのハチ君⁉︎なんでいきなり土下座してんの⁉︎え、ええっとこういう時はどうすればばば」

 

「馬鹿‼︎早く頭上げろ比企谷!人目が集まっちゃうんだよ!」

 

「え?あっ……ごめんなさいぃぃ‼︎」

 

「だから土下座をやめろぉぉぉぉおおおお⁉︎」

 

騒ぎを聞きつけた渋谷が俺の頭ひっぱたいて連行するまで、俺の土下座は続いたのだった。

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

「すいませんでした。」

 

「……。」

 

「……はぁ。」

 

「あ、あははは……。」

 

あの後、渋谷に連行された俺は、注文から帰ってきた神谷と、コロネの美少女の前で頭を下げていた。あ、土下座はしてないよ?いやだって、さっき渋谷さんが次やったら……なんでもない。渋谷さんはなんも言ってなかった。なんも言ってなかったからこっち睨むのやめて下さいお願いします。

 

「と、とりあえず。頭上げてよ。驚いただけでアタシ達そんな怒って無いから。ね。2人とも。」

 

「ま、まぁあたしは別に怒って無いけど……。」

 

「怒ってるけど、次から直してくれれば大丈夫だよ。そもそもいきなり土下座する機会なんてそうそう無い筈だしね。ね?」

 

「お、おぅ。すまん。これからは気をつける。ありがとう。」

 

「よし!この話はこれでおしまい!じゃあとりあえず食べよう!食べながらいろいろ話せばいいし!」

 

「うん。」

 

「そうだな!」

 

それから、俺達はそれぞれ買ったハンバーガーをぱくぱくと食べ始めた。俺、神谷、渋谷の3人はワンコインのセットを食べている。俺のお財布事情を案じてくれたのだろう。気を遣わせてしまって申し訳ないがこちらとしてはかなりありがたい。

 

そして北条だけはポテトを食っていた。

 

ポ テ ト だ け を 食 っ て い た

 

そう。ポテトだけである。それも結構こんもりと。どうやらセットに費やす金を全てポテトに回したそうだ。そんなんで栄養大丈夫なんだろうか。マッカンキメてる俺がちょっと心配するレベル。そんなんで太らないんだろうか。塩分過多で高血圧とか意外とシャレにならんぞ。

 

というか、いろいろ話そうとかそんな感じなこと言ってたくせに、当の本人は相槌ばかりで全然喋って無いんだが。あとなぜか微妙に気まずそうな顔で頰を赤らめて俺をチラチラ見てくるのはなんなんですかね。いいですね。実にいい。可愛い。

 

「あ、あのさ。比企谷、八幡君……だよね?」

 

「え?あ、おう。そうだが……。」

 

なんで俺の名前知ってる……まぁ、十中八九さっき神谷に教えてもらったんだろう。それ以外に俺の名前を知る方法なんてないし。やだ八幡レアキャラみたい!需要0どころかマイナスだけど!

 

「じゃ、じゃあさ。アタシ北条加蓮って言うんだけど、覚えて、ない?」

 

……えっと。覚えてないって、どういうことだろう。心当たりが無いんだが。

 

「あー。すまん。身に覚えが無いんだが、どっかであったことあったか?」

 

「え……。あ、あはは、そっかー。覚えて、ないかー……。」

 

俺の返答を聞き、ショックを受けたように目を見開いた北条は、直ぐにどこか引きつった笑顔を貼り付けながら、俯いた。

 

なんだよその反応。なんでそんな傷ついたみたいな……。どこかでこいつと会って……いや、そんな覚えは無い。

 

ダメ元でもう一度、北条を見てみる。独特な形のツインテールをした明るい茶髪と、若干着崩した制服。爪にはミント色って言うんだったか、薄い緑のネイルをしている。さっきまで纏っていた雰囲気は明るめで、正に今時のギャル、といったものだった。他には、薄いメイクの下からでもわかる整った顔立ち……くらいか。ダメだ。全くわからない。

 

未だに思い出せず悩んでいると、ふと、白いカーテンが風にたなびく、真っ白な部屋の光景が頭によぎった。

 

……!今のは、あいつの病室?いやでも、あいつがアイドル?でも確かに、あいつの苗字は北条だったはず……いや、あいつとは雰囲気が全く違った。いやでも、まさか、な……

 

今よぎった予想を確認するなら……

 

「……ちょっと髪を下ろして貰ってもいいか?」

 

「……え?」

 

北条は思わず顔を上げる。目は潤み、充血して少し赤い。惚けた様に発したその声は鼻声で、若干上ずっていた。

 

「あ、いや、すまん。嫌だったなら無理にとは言わん。」

 

「え?……あ!ううん!大丈夫!わかった。下ろすね?」

 

「お、おう。」

 

そう言って、北条は髪ゴムを外し、髪を下ろした。

 

「……マジか。」

 

人の雰囲気とはこうもガラリと変わるものなのか、ポロリと声が出るくらいには驚いた。髪を下ろした北条は、高校1年の春、入院先の病院で会った、どこか儚げな雰囲気を持った少女、北条加蓮その人だった。

 

「お前、北条……なのか。」

 

「……っ!……あはっ!さっき言ったじゃん!全く。ホントに気づくの遅いんだから!女の子を泣かせるなんて、ダメだなぁハチ君は!」

 

一瞬、ポカンと惚けた表情をした北条は、次の瞬間にはぱぁっと、心底嬉しそうな、そしてホッとした様な明るい表情を浮かべた。

 

「あ、あのなぁ。1年以上間が空いてて、しかもそんなに雰囲気変わってたら、そんなの気づかねぇよ。……でもまぁ、すぐに思い出せなくて、すまん。」

 

正直、北条には本当に申し訳ないと思っている。友達だと思ってた人から名前すら覚えられてなかった時の悲しみは尋常じゃないからな。ほんと、なんで俺の名前忘れるんだよ武田君。知り合ってみんなで遊んでから3日しか経ってなかったじゃないか。あの時かくれんぼしてたらみんな見つけられなかったしなぁ。みんな隠れるのうますぎだろ。

 

「ふふっ。いいよ。許してあげる!でも次は無いよ?」

 

やっぱり北条は、根は素直で、とても優しい少女なんだろう。俺に名前を覚えられて無くて、涙目になる程傷ついていたのに、貶すこともせず、許してくれたんだから。

 

「……おう。」

 

それから、少しの間、なにかをこらえる様な仕草をした後、っはぁぁー、と大きく息を吐いた。

 

「でも、本当によかった。ハチ君がアタシを思い出してくれて。本当に……。」

 

「お、おう……?」

 

「これからずっとずっと!よろしくね!」

 

そう、花が咲いた様に笑う北条は、なんていうか、うまく言葉にできないけど、とても可愛くて、心臓の動きが速くなるのを感じた。

 

「おっ、おう!よ、よろしく頼む。」

 

なんだか気恥ずかしくなって、北条から目をそらす。そらした目線の先にはなにかを悟った様にニヤついた渋谷と、なぜか俺たちの方を見てぼーっとしてる神谷がいた。

 

「へぇ……。」

 

「ホウジョウ?ハチクン?……えっ」

 

「……。」

 

「……あはは……。」

 

「お、おい加蓮。まさか昨日言ってた、えっと、その、あの人ってまさか……」

 

「えへへ。……うん。ハチ君のことだよ。」

 

神谷はそれを聞いて、1、2秒固まった後、ゆっくりと肩を震わせながら俯いていった。え、なんだあいつ。なんか怖いんだけど。

 

渋谷は更にニヤつきが増していた。だから怖いよ。なんなんだよ。

 

「ど、どうしたの?」

 

若干引き気味できく北条。気持ちはわかる。

 

「……しもだょ。」

 

「え?」

 

「私もだよ。私も昨日言ってたのは比企谷のことだよ。」

 

その言葉に、この場が完全に沈黙した。渋谷さんは堪え切れなくなられたのか、机をバンバン叩きながら吹き出しておられた。……もうこいつには触れないでおこう。

 

「「……。」」

 

2人は互いに見つめ合って沈黙する。北条がポカンとする一方、神谷は何かを悟った様に互いを見つめ合う。

 

見つめ合って10数秒。とんでもない偶然を呪った神谷はやけになって。そして今やっと今起こった事象を理解した北条は驚きに顔を染めて。

 

「「ええええぇぇぇぇぁぁぁぁああああ⁉︎」」

 

このマ●ク346プロダクション前店店内で二度めの絶叫が響いた。俺だけ店員さんに叱られた。解せぬ。

 




北条加蓮と一ノ瀬志希。そしてトライアドとLiPPSをよろしくお願いします!一票でもいいから!どうか……ッ!

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