さて。ところで皆さんフェスはどうでしたか?筆者は6人のSSRアイドルをお招きできたので大漁です。でも加蓮のフェス限をお迎えした方には全力で祝福と羨望と嫉妬と怨嗟を送ろうと思います。うらやまっ‼︎
「えぇっ⁉︎比企谷さんってアタシと同い年だったの⁉︎ってことは比企谷君ってこと?」
「そう、みたいですね?」
そう言って驚きに目を見開く城ヶ崎さん。俺としてもまさか同い年とは思ってもいなかったので驚きである。
あの後、なんとか事態を収拾して、今に至るわけだが、自己紹介から始まって、とりあえず今は年の話で盛り上がってるところだ。もうちょっと具体的にいうと、俺の歳である。俺が暴露した年齢に聞いた全員が驚いていた。どれくらいかっていうと「う、嘘やろ?アタシより年下……⁉︎」なんて塩見さんが結構なガチトーンで言うくらいには驚かれている。結構歳増で見られることは多いけどそんなに驚くこと?てか俺何歳に見えてたのさ。
目の前にいる5人は、『プロジェクトクローネ』という、美城常務直々に手がけるプロジェクトと並行して計画されている、『Lipps』というオトナな5人組アイドルユニットだ。クローネのリーダーである速水さんをリーダーに据えて、塩見さん、宮本さん、城ヶ崎さん、一ノ瀬さんの5人がメンバー。今言った通りオトナなユニットがコンセプトなので冗談抜きにVi全振りの様な超美人ばかりだ。俺個人の意見だが、ここの事務所のアイドルの中でも群を抜いてると思う。
まぁ高垣さんにはかなわねぇけどな‼︎←重度の楓ファン。1話参照。
そういえば余談だが、あの後事情を説明した際、城ヶ崎さんは顔を青くして3人と一緒に凄い勢いでぺこぺこしてきた。
「あ、なるほど。ハチ君はそのこの世の中の理不尽全部諦めて世間って言う菌に侵されて死んでるみたいな腐った目がキミを無駄に哀愁漂う大人に見せてるのか!シキちゃん発見!」
「ねぇ、あの、何か俺の目に恨みでもあるんですか?なんで盛りに盛って俺の目をいじるの?あとなんか無駄に詩的ですね。なに?新手のいじめ?あいや、今まで何回も腐ってるとかキモいとか言われてるし新手じゃないか。」
何ですか?もしかして心の中でバカ共って言ってたのに気づかれたんですか?じゃあ心の中で謝っておくので許してくださいトラウマがぶり返して泣いてしまいます。
「おうふ……比企谷君の闇深過ぎない?」
「最後のところが悲しすぎてなんだかこっちまで悲しくなってくるわね……。」
「ま、まあまあ。比企谷君にはこれか「あー!フレちゃんも発見発見!やぁっとわかったー!ハチ君って奏ちゃんみたいなんだよ!」
「「は⁉︎」」
宮本さんの謎発言に思わず速水さんと揃えて驚きの声を出す。それは流石に失礼だろ速水さんに。宮本さんほんといみわかんね。因みに、何か言い出そうとしたところでいきなり話を切られた城ヶ崎さんは、半ば声を出した状態で口を開き固まっていた。…………うん。まぁ、どんまい。
「おー!確かに確かに!似てる似てるー!」
「どこがだよ……。」
「それって、まさかと思うけど私の目が腐ってるということかしら……一応、自分では腐ってはいないと思うんだけれど。」
おっと。間接的に俺にダイレクトアタックしないでください。がらすのはぁとに効きます。結構。
「えっ?で、でも、ホントにどこが……ああっ!もしかして2人とも大人っぽいからって、そういうこと⁉︎」
知らずのうちに中々速攻で復活していた城ヶ崎さんが納得した顔で掌をぽん、と打ち付ける。
「そうだよ〜!フレちゃんはそれが言いたかったのです!いや〜さっきからずっと気になってたんだよね!スッキリスッキリ!」
「あぁ。なるほど。そういうことね。」
それを聞いて漸く納得する速水さん。なるほど速水さんは大学生なんだな。ちょっと驚きだが、まぁ確かに。大学生にも普通に見えるな。別に雰囲気がオトナってだけで年は普通に若そうだし。もっと上かと思っていたが違ったみたいだ。OLやってんのかと思ってた。シャツ着てるし。
「ん?速水さんって20代じゃ無いんすね、てっきり社会人かと思ってました。大学生だったんですね。すいません。」
それを言うと、速水さんは結構ガッツリ目に残念な顔をした後、少し諦めたようにはぁ。とため息を吐く。
「私まだ高校生よ。現役高校生2年生。」
コウコウセイ?……えっと?高校生……女子高校生……Joshi Kokosei……JK!?
「い、いやいや、いやいやいや、流石に嘘だろ…………嘘だよな?」
「学生証見せましょうか?」
そういうと速水さんは自分のバッグから青皮の手のひらサイズの手帳を渡してきた。おそらく学生証。貼ってある写真は恐らく速水さんのもので、印刷された日にちで、今年作られた物だとわかる。学年は、高校2年。学校に通っていれば同学年だった……。
「まぁ、いつもの反応やね。」
「もう慣れちゃったわね。」
「……こんな大人っぽい高校生って、本当にいたんだな。」
「あら、それ貴方も大概よ?八幡。」
「⁉︎ゲホッ!ゴホッ!」
「ど、どしたの比企谷君……?」
「だ、大丈夫、です……。」
名前呼び捨て、だと……⁉︎
ど、どういうことだ。どうなっているッ⁉︎い、今、目の前のこの人はなんて言った?ハチマン……80000……八幡⁉︎なんだ……なんだよこの人⁉︎なんでそんなに照れるそぶりもなく初対面の人の名前を呼び捨てにできるんだ!これが……これが陽キャの最高峰であるアイドルのスキルとでも言うのかよ⁉︎よ、陽キャってレベルじゃねーぞ⁉︎
「おーい。何に戦慄しとんのー?八幡くーん?」
「……はっ!あ、いや、ちょっと、いきなり呼び捨てでびっくりして……っ‼︎」
咄嗟のことについ本当のことを言ってしまう。気づいてすぐに口を覆ったが、殆ど、というか全部言ってしまったものは、今更口を塞いでももう遅かった。
「へぇ。初心なのね。」
と、速水さんに可愛いものを見る目で優しくそう言われた。しにたい。でも1つだけ訂正したい。
「いや、それは違う。俺はそもそも名前で呼ばれ慣れてない。元々ぼっちの陰キャだ。家族を含めなきゃ俺を名前で呼んだのは覚えてる中じゃ1人しかいない。それどころか大体の奴らには俺のことヒキタニ君とかヒキガエルとか、ついにはカエルって呼ばれてたからな。比企谷だよ誰だよヒキタニ君って。そんな奴いねぇよ。カエルってなんだよ。もう原型留めてねぇじゃねぇか。一体何回枕を濡らしたか……んんっ。次に普通世間一般の日本社会じゃ普通初対面で名前は呼ばない。先ずは名字にさん付けから、だ。その過程全部すっとばししていきなり名前呼び捨てだ。どういうことかわかるよな?それに加えて俺だぞ?だから俺は悪くない。QED。証明終了。」
「何その超理論……。というか貴方のこと悪いだなんて私一言も言ってないのだけど。」
「それ自分で言ってて悲しくならないの?ていうかながー。」
「ちょっとかわいそうだねー。」
「ちょっとシキちゃん!フレデリカ!そういうこと言わないの!比企谷君傷ついちゃうでしょ!」
ちょっとやめて。みんなやめて。特に城ヶ崎さんやめて。純粋な好意が胸に来る。
「なぁ八幡くん。」
「何ですか?」
「あたしが君の名前呼び捨てにしてるのはスルーなんやな。」
「えっ?」
「だから。あたしが君の名前呼び捨てにしてるのはスルーなんやなって。」
ど、どういうこ(ry
「あー!また固まっちゃった!ハチくーん?だいじょぶー?」
「あちゃー……またやっちゃったかぁ。」
「周子?」
「あははー。ごめんごめん。つい出来心で。」
「はぁ……。」
「でも奏ちゃんもハチ君のこと固まらせてたじゃん。」
「それは……だって、あんな反応するとは思わないじゃない?不可抗力よ。不可抗力。」
「んじゃあたしも十数秒前まで知らなかったし不可抗力ってことでー。」
「いやならないから。周子の場合完全にわざとだったでしょ。」
「やーん!ミカママがいじめるぅー!」
「「ミカママー!」」
「だれがママだーっ!」
「わー!鬼だー!鬼のミカママが来るぞー!」
「前から来るでー!気をつけなー!」
「みんな逃げろー!」
「こらぁ!誰が鬼だぁ!逃げるなーっ!」
目を吊り上げて追いかける城ヶ崎さんから逃げる3人。城ヶ崎さんは相変わらず顔を赤く染めて怒った様子だ。けれど、全員が楽しそうに机の周りを回っている。
「小学生かよ……。」
目の前で行われている楽しげな光景に、ついうっかり言葉が漏れてしまう。
「確かに、小学生ね……ふふっ。」
そしていつのまにか隣にいた速水さんにしっかり聞かれていたらしく、無駄に大人に笑われる。えー。なんでそこで笑うんですかー。正直一体何を考えてるのかわかんないし怖いからやめてほしいんですけど。
「あっ、いや、貴方のことを笑った訳じゃ無いの。」
思ったことが顔に出ていたのか、少しだけ慌ててそれを否定する速水さん。動揺しながら弁明しようとする速水さんはちょっとだけ必死そうで、そんなところに確かに年相応のあどけなさを感じた俺は、そこで漸く彼女の年齢に納得する。
「ただ、彼女達といると、いつも賑やかで、楽しいなって、そう思っただけなの。」
「……そっすか。」
「ええ。そうなのよ。」
そう言って、速水さんは再び4人の方向を見つめる。その彼女の眼は優しくて、まるで居心地のいい居場所を見つけた猫の様だった。
そうして俺たち2人は、楽しそうに戯れる彼女等を穏やかにm「へ〜。そーなんやな〜。」
速水さんの見つめた先–––––俺たちが穏やかに見つめる筈だった4人組は、ニヤニヤニマニマニパニパニヨニヨ。誰一人隠そうとする事なく、全員、その整った口角を上げていた。それを見た瞬間、速水さんの顔から、さーっと血の気が引いていった。
「……ぇ?な、ま、まさか、き、聞いて……」
今の状況を確認しよう。俺ら2人から4人までの距離は3メートルもない。そんな中で目の前で繰り広げられる俺たちの会話を彼女らが聞けないことなんて、あるはずが無いのだ。
だから速水さんが震えてしまうのも無理はない。今きっとみんなが流してくれることを必死で祈ってるんだろう。わかる。俺も飛び火でダメージが来てるから。雰囲気に乗ってちょっとカッコつけなきゃよかった。恥ずかしい。今すぐ布団に潜って呻き喚きたい。
しかし、現実とは非常に非情なもので、それを見た4人の口は、先程よりも楽しそうに……いや、愉しそうに釣り上がる。
「ごめんね奏ちゃん……ぜーんぶ聞いちゃった☆」
その瞬間、顔を真っ赤にして体を丸めた、オトナ美人な屍が出来上がった。