皆さんは今回のフェス、どうでしたか?筆者は30連でフェス限ありすと恒常のふみふみが来てくださいました。これでありふみの絡みが見れますね!やったぁ!あと単発で八神マキノさんのSSRも来てくださいました。単発で出るのは初めてだったのでびっくりしました。嬉しいです。皆さんにも、いい結果が出るようにお祈りしてます。
それと連絡です。筆者は来週テストなのでまた投稿が遅れます。多分1、2週間後です。
「アイドルのプロデュース、ですか……?」
「はい。どうでしょうか。」
武内さんからの、いきなり上方斜め前にぶっ飛んだ様な、そんな申し出に驚いて、困惑して、言葉を失う。
「まぁ、いきなりプロデューサーに、というわけにも行きません。なので、まずはプロデューサー見習いとして、仕事を覚えてもらうことになります。」
「月15万円。毎日6〜8時間程働いてもらい、週5日。土日休み。内容は近場の仕事へのアイドル達の送り迎え、事務処理、スケジュールの管理、あとはアイドルの精神面、身体面でのサポートくらいでしょうか。それと、アイドルのライブで休日も仕事をしてもらう時もありますが、これくらいでしょうか。」
凄い好待遇だ。月15万円なんて、高校中退の俺にとってはとんでもない額なんじゃないだろうか。
「私が考えて、出来る限りの好待遇です。もちろん、私にはその決定権が無いので、この部門の責任者に話を通してからですが、きっと彼女なら、比企谷さんを気にいるでしょう。どうでしょうか。」
346プロという安定した職場。とんでもない好待遇。今置かれている俺の状況を鑑みても、この仕事、受けさせて貰うのが正解だ。というか、高校を途中退学した俺は、ここを逃したらこれ以上の仕事なんて貰えないだろう。会話が苦手で悪人面の俺には、合わない仕事だろうが、そのデメリットを補って余りあるメリットがある。自分の生活を考えるのならば、このチャンスを掴まない手は無いだろう。
でも。
「すみません。お断りさせていただきます。」
武内さん達が驚いて目を見開く。まぁ、そうだろう。職も金も無い、そんな窮地に立たされた状況で、こんなうまい話に食いつかないなんて、普通じゃない。明らかに、おかしいだろう。
「その理由は、なんでしょうか?」
「俺はほら。話せないし目つき悪い。っていうか腐ってますから、アイドル達が怖がっちゃうじゃないですか。それに、俺捻くれてるんで、アイドル達にそんな影響が出たら洒落にならないじゃないですか。俺には、向いてないかなって。」
「いや……違いますね……。」
「こんな好待遇、もう、俺の人生の中じゃ絶対にないでしょう。自分のこと考えれば、俺には向いてなくても、お受けしたいです。この仕事は。」
「でも。」
「俺がもし、アイドル達の道を閉ざしてしまったとしたら、とか考えちゃうと、ですね……。」
「少し、いや、かなり、怖いんです。こんな俺のせいで、彼女達の人生を壊したく、ないんです。」
「その責任を負う覚悟も、何もしていない俺が、入っちゃいけないって、思うんです。」
「俺のせいで、アイドル達に迷惑かけるのは嫌なんです。」
「だから、すみません。この仕事を受けることは、俺には、出来ません。」
深く、頭を下げる。
それは、紛れのない俺の本心だった。話すつもりは、なかったけど、なぜか話さなきゃいけない気がして、つい、話してしまった。
暫しの沈黙の後、武内さんが口を開く。
「……確かに、覚悟が無いのは、いただけません。私達プロデューサーは、その様な覚悟が無い人が、入っていい仕事では、ありません。」
あぁ。解ってる。そもそも俺みたいな奴がプロデューサーになるなんて、あっちゃいけない。だから、断ってくれ。諦めさせてくれ。
「ですが、その覚悟は、みんな最初から持ってるわけじゃ、無いんです。」
「え……」
「その覚悟は、仕事をして、アイドル達を見て、聞いて、感じて、初めて手に入るモノです。最初は、私も持っていなかったし、持っていたら、逆に怖いです。直ぐに呑み込まれてしまう気がします。」
武内さんは、何を……
「それに、それにずっと気づかない方も、偶にいます。」
武内さんは首に手を当てる。
「えっと、つまり、ですので、そう悲観することは、無いと思います。貴方は、十分すぎる程早く、それに気づいている。」
「え?あ、え……」
「ねぇ、比企谷君。」
高垣さんが、俺に呼び掛ける。武内さんの言葉に驚いて、呆然としていた俺は、慌ててそちらを向く。
「比企谷君は、とても優しい人だと、思います。自分が追い詰められているのに、自分のことよりも他の子もことを考えて、優先してるんだから。」
「別に俺は、優しくなんて……」
なんだか顔を合わせられなくて、俯いてしまう、
「優しいじゃないですか。現にさっき私のこと、気遣ってくれたし。まぁ、今そのことは置いといて。」
「私はね、思うんです。比企谷君が、その優しさを、少しでも自分に向けてくれたらなって。」
優しさを、自分に……。
「少しは、自分の為に、道を選んでみませんか?」
「迷惑は、かけていいんです。かけた分は、他のことで返せばいい。」
「それにね。」
「私、比企谷君にプロデューサー、なって欲しいな。」
「え……?」
驚いて、顔を上げる。目の前の高垣さんは、穏やかで、優しい、微笑みを浮かべていた。
「比企谷君には、ここを、新しい貴方の居場所にしてほしいの。ここで貴方には、人に頼ることを覚えてほしい。」
だがその微笑みは、だんだんと悪戯っ子の様な、楽しみな様な、そんな笑みに変わる。
「それに、比企谷君がプロデューサーになったらきっと、もっと面白くなりそう。」
「ハハッ!確かに!ハチがコッチ来たらスゲー面白くなりそうだ!」
「でしょ?」
木村さんと高垣さんがいきなり笑い出す。ちょっと目の前の2人の言ってることがよくわかんない。喋ること無くなって気まずくなるの間違いじゃないの?っていうか……
「は、はち?」
「ん?あぁ。八幡だからハチ。もしかして嫌だったか?」
「……いえ。ヒッキーなんていう不名誉なあだ名よりマシです。」
「ッップ!アハハハ‼︎なんだそれ!スゲーあだ名だなぁ!なぁ!ヒッキー?」
「……プッ。ヒッキー……ププッ。」
「あの、何か、おかしいのでしょうか?」
……あー。何やってんだろ、俺。自分からいじられに行っちゃったよ。ていうか、武内さんわかってないなこれ。意外に天然……なのか……?
さっきまでのシリアスは何処へやら。堪え切れなくなったアイドル2人の笑い声が、しばらく部屋に響いた。
–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––
「っふぅーッ!笑った笑った!腹いてー……。」
「お願いですからヒッキー呼びはやめてくださいね?これで呼ばれたら、俺、泣きますよ?」
「あぁ。わかったよ。ハチ。ところでさ。」
「はい、何ですか?」
「ハチはさっき自分の目が腐ってるだの何だの言ってたけどさ。別にどうってこと無くないか?」
「…………はぁ?」
いきなり何言ってんだこの人。
「確かにぱっと見だとちょっと悪人面してるけど、よく見りゃ顔もいい方だし、その目だって別にそこまで言う程でも無いだろ?」
と、真面目な顔で言われる。
……いや、いやいやいや⁉︎何言っちゃってんのこの人⁉︎言う程でもないって⁉︎俺小学生の頃からずっと言われてきたんですけど!ねぇ、何言っちゃってんのこの人⁉︎
「ん?あー。つまり何が言いたいのかっていうとな?別にそこまで悲観しなくても大丈夫だって事だよ。確かに、ハチの優しさはわかりにくいけど、きっと、アタシ達みたいにそれがわかる人もいると思うんだ。」
「それは……なんていうか、ありがとうございます?」
「何で疑問形なんだよ……。まぁ、いいけど。」
苦笑いをする木村さん。
「ところで、どうするかは決まったか?ハチ?」
「え?」
「んー。まだ決まってないか?だったら少しアドバイスさせてくれ。まぁ、アドバイスっていう程の事じゃ無いけど。」
「え、あ、はい。」
ア、アドバイス?一体何を……?
「ハチ。こういう時はな?考えてみてパッと頭の中に浮かんだ方を選ぶんだ。きっとそれで選んだことは、アンタのやりたいことだ。こういう時こそ、行きたい方へ行かないと。だしな!」
そう言って木村さんはにかっと笑う。
浮かんだ方を選ぶ。か……。
「1つ、いいですか?」
「あぁ。」
「……皆さんは、どうしてそんなに、俺に気を掛けてくれるんですか?高垣さんはともかく、他のお2人は今日が初対面で、初めて知り合ったんですよ?さっきまで話してた内容だって、普通そう簡単に納得できるような話じゃ無いはずです。」
「俺のやり方はいつも、卑屈で最低で、陰湿です。歪んでいて、それは普通悪にしか見えない。それなのに皆さんは、俺のことを受け入れて、励ましてくれた。普通だったら、俺を責めるか、愛想をつかすか、する筈なんです。何でですか?何でそんなに、俺に優しいんですか……?」
暫しの沈黙の後、高垣さんが、口を開いた。
「……それは……ですね。」
ごくりと、唾を飲み込む。
「……わかんないです!」
「……すいませんよく聞こえなかったです。もっかいお願いします。」
「だからわかんないです!」
「…………」
「………」
「……はぁぁ⁉︎」
ちょっと待って。え?嘘でしょ?わかんない?え?は?はぁ⁉︎え、ちょっと待って。何で他の2人も頷いてんの?え?え?っえぇ……?
「……なんかないんすか?」
「無いな。」
「無いですね。」
「えっと、無いです。」
「えぇ……。」
「まぁでもさ。わかんなくたっていいんじゃない?」
「へっ?」
木村さんの言ってることが分からず、驚いて変な声を上げてしまう。
「小難しい理由なんて必要ない。助けたい時に助けたいやつがいた。それでいいじゃん。」
「比企谷君は私のファンなんだから。私が出来る限り元気をあげるのは当然ですよ?私、これでもアイドルですから!」
「私は、元より同情から貴方を誘ったのでは、ありません。貴方にプロデューサーとしての才能を見たから、誘ったんです。」
驚きのあまり、固まってしまう。っていうか、さっきから予想外の答えが多すぎて固まってばっかだな。俺。
「俺を誘ったこと、後悔するかもしれませんよ?」
「後悔するとしたら、それは私の見る目がなかった、という事です。貴方を見て、誘ったのは、私ですから。」
「俺、めんどくさいですよ?」
「大丈夫だ。それ以上にハチが優しいヤツだって、アタシ達は知ってる。アイドルにだってそういうヤツもいるんだ。1人も2人も変わんないよ。」
「……迷惑かけるかもしれないですよ?」
「どんとこい!です!」
……平塚先生とこの人達には、ホントに頭上がんねぇな。
もう一度、考えてみる。自分に出来るかじゃなく、自分がやりたいか、自分に、問いかける。
もしかしたら、もしかしたらここなら、俺は本物を、見つけられるかもしれない。今、頭に浮かんだ。無理かもしれない。迷惑かけるかもしれない。でも、彼女達はこう言ってくれた。だったら、俺の出す答えは……
「よろしくお願い、します……!」
「へへっ!やっと決まったか!」
「全くもう!決めるのが遅いですよ比企谷君!」
「……よかったです。」
三者三様の反応。けど3人の表情には、俺の自惚れかもしれないが、俺の決心への嬉しさが入ってるように思えた。
すると3人は互いに目配せし合い息を合わせると、高垣さんがせーのっと掛け声をあげる。
「「「ようこそ!346プロへ!」」」