魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜   作:わんたんめん

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本作が昨日か一昨日の日間ランキングが5位まで行っててびっくりしたわんたんめんです。
まずはありがとうございます!!

皆さんの期待に応えられるかどうかはわかりませんが、頑張ります!!


第12話 募る疑惑 力への渇望

ヒイロの目の前に現れた仮面の男。その瞳は伺えないがヒイロに敵意を向けていることだけは察することができた。

 

「・・・お前は何者だ?」

「・・・・貴様は知りすぎた。故にここで眠ってもらうぞ。」

 

ヒイロが仮面の男に質問をぶつけるが、その男は答えることはなく一方的にヒイロに向けて言葉を投げかけた。

次の瞬間、仮面の男が一瞬で距離を詰めてきた。目の前に広がるのは既に腕を振りかぶっている男の姿。常人ではおろか並みの格闘家でも対処はできない。まさに奇襲であった。

だが、それはヒイロがただの一般人であればの話である。

ヒイロは突然の状況にも冷静に対応し、自身の腕をクロスさせることで襲撃者の攻撃を受け止めた。

 

「・・・これを止めるか。」

「・・・・・・?」

 

意外性を含んだ仮面の男の声にヒイロは疑問気な表情を浮かべる。そう思いながらもヒイロはそのまま力任せに襲撃者の拳を弾き飛ばし、一度距離を取る。

 

「邪魔をするな。」

「貴様はやはり危険だ!!ここで仕留めさせてもらう!!」

 

そういいながら腕を構えたと同時に仮面の男は再度ヒイロに急接近し、今度は右足で回し蹴りを仕掛ける。鋭いその蹴りはまともに喰らえばただでは済まないだろう。

 

(・・・何かコイツの攻撃から違和感を感じる・・・。一体なんだ?)

 

僅かにやり辛いと感じながらもヒイロはこれすらも軽く斜めに体を反らすことで避け、さらにカウンターのパンチをガラ空きとなったボディに打ち込もうとする。

 

「そう易々と攻撃を受けるわけにはいかんな!」

 

ヒイロの視界の端に僅かに映り込んだのは仮面の男の手の甲であった。回し蹴りの勢いをそのまま使って、ヒイロに裏拳を仕掛けていたのだ。

ヒイロはそれに軽く舌打ちをしながらカウンターを叩き込むのをやめ、そのまま仮面の男と入れ違いのような形で避けることにした。

 

「ふっ!!」

 

ヒイロは入れ違いになった瞬間、仮面の男に背を向けたままバックステップで拳を構えながら一気に距離を詰める。そして、そのまま上半身の回転を加えながら仮面の男に殴りかかる。

 

「何っ!?」

 

振り向いた時には既にヒイロが目の前にいるという逆パターンを仕掛けられた仮面の男は咄嗟に手のひらから魔法陣を展開し、それをバリアとする。

しかし、ヒイロの腕力は常人どころか人としてどうかのレベルまであったためヒイロの拳が当たった瞬間、仮面の男の張ったバリアは粉砕される。

 

「はぁっ!!」

 

乾坤一擲、ヒイロは軸足を地面に軽くヒビが入るほど思い切り踏み込みながら右足で追撃を行う。

 

「うぐっ!?」

 

バリアを破壊されたことに気を取られた仮面の男は防御する間も無く、胸部に蹴りをクリーンヒットさせられ、吹っ飛んだ。

しばらくバウンドしたのち、ようやく仮面の男は止まった。しかし、呼吸もままならない様子で肩で息をしていた。さらにバウンドした衝撃で所々、服が破けていた。

 

「・・・・肋骨は数本持っていったはずだが、加減はした。死にはしないはずだ。お前の正体を話してもらうぞ。」

 

ヒイロがそういって仮面の男に近づいた瞬間、男は何かを構えた。それはカードのようなものであった。ヒイロの視界にそれが映り込んだ瞬間、彼の体に縛り付けられるような感覚を覚える。

 

「っ・・・バインド・・!!」

 

それは四重ほどの青白い色をしたバインドであった。バインドはヒイロの腕を縛り付け、動きを制限させられる。

その仮面の男はその隙にカードから生み出された光で転移魔法のようなもので撤退していった。

 

「ちっ・・・逃げたか。」

 

ヒイロはバインドを平然と力で破壊しながら苦い顔をする。

追跡するのは不可能、そう断じたヒイロは何事もなかったかのように帰路に着いた。

 

(・・・・あの男の攻撃、妙に間合いが近かったな。)

 

ヒイロは先ほどの違和感の正体にあたりをつけていた。仮面の男の攻撃は男の身の丈の割には間合いがヒイロの予想と比べてかなり近かったのだ。

 

(・・・・奴は魔法陣を展開していた。おそらくは魔導士であることは明白だ。ならば・・・。)

 

ヒイロの目には鋭くなっていた。その視線は先ほどの仮面の男に向けられていた。

 

再度帰路につき、夜の海鳴市を歩くと、仮拠点であるアパートが見えてくる。

ヒイロは普通に部屋へ向かっていき、玄関のドアを開いて何食わぬ顔で入る。

 

「あら〜ヒイロ君。おかえりなさい。」

 

一番最初に迎えてくれたのはリンディだった。表情も笑顔だし、声色にも嬉しそうなものになっている。ただ、どうにも目が笑っていないように感じるという一点を除けば。

 

「貴方、一体今までどこをほっつき歩いていたのかしら?お姉さんに教えてくれる?」

 

軽く視線を奥に送ると青い顔をしているフェイトとクロノの姿が見えた。エイミィはヒイロに合掌を向けて、どうしようもないと言うような諦めの表情を浮かべていた。

 

「・・・・海鳴市を回っていただけだ。」

 

「なのはちゃん、すごく心配してたわよ?連絡もつかないわ行方はわからないわですっごく悲しそうな目をしていたわよ?」

 

特にこれといった反応を見せないヒイロにリンディが怒りのオーラを身にまといながら、ヒイロに近づいていく。

クロノとフェイトは慌てふためき、エイミィはヒイロに呆れたような視線を向け、乾いたため息を吐く。

 

「・・・・って、貴方その傷、どうしたの?」

 

リンディはその怒りのオーラを突然解くと、指をさしてヒイロに尋ねた。

リンディが指をさしていたのはヒイロの腕のあたりでそこには擦り傷のようなものができており、出血もしていた。仮面の男の攻撃を防御した時に付けられた傷なのだろう。

 

「・・・・正体不明の男に襲撃を受けた。返り討ちにしてやったが、これはその時できた防御創だ。」

 

ヒイロはそういいながらリンディや後ろで聞いていたフェイトたちに仮面の男のことを話し始めた。無論、はやて達のことは触れられないように細心の注意を払いながら説明を行った。

 

「・・・なるほどね。その男はどうしてヒイロ君を襲ってきたのかしら?」

「理由は不明だ。守護騎士の仲間であるという可能性もあるが、現段階で奴らの正体を掴むのは難しい。だがリンディ、少し聴きたい。魔導士の扱う魔法には自身の姿を変えるものもあるのか?」

「ええ。あるにはあるわよ?」

 

リンディの返答を聞いたヒイロは険しい確信めいた表情を浮かべる。

 

「・・・その男と格闘戦になった際、俺は奴の間合いの取り方に違和感を覚えた。背丈の割には間合いが近すぎる。おそらく奴はその魔法を使って、本来の姿を見せていない。」

「・・・ヒイロはその男の特徴を掴めたのか?」

「・・・擬態した姿の身長自体は180だったが、間合いの取り方から逆算するに奴の身長は150後半から160前半だ。だが、あまり期待はするな。これは俺の推測や主観でしかない以上、確証はない。」

 

傷を負った箇所を包帯で巻きながら、クロノの質問に答える。ヒイロの手際はこなれたものであっという間に応急処置が完了し、リンディ達に向き直った。

 

「・・・・わかったわ。とにかく貴方が無事でよかったわ。」

「格闘戦はできるようだったが、あの程度にやられるほど俺は弱くない。が、奴の目的を知らない以上、注意はしておけ。それと、クロノ。」

 

ヒイロに突然名前を呼ばれたクロノは疑問の表情を露わにする。

 

「なんだい?」

「闇の書に関する正確な情報が欲しい。具体的に言えば、完成させた時に起こる事象等だ。管理局本部のどこかに過去の捜査資料が置かれている区画はないのか?」

「あるにはあるけど、君は管理局員でない以上、立ち入るのは難しい。僕もちょうど欲しかったところだし、そういうのが得意なユーノに任せるつもりだ。彼にも僕の知り合いをつけるつもりだからそんなに時間はかからないと思うけど、それからでも構わないかい?」

 

クロノの言葉にヒイロは少々考え込む様子を見せる。闇の書がはやてのリンカーコアを浸食する度合いについて考えていたが、それを考えたところでどうしようもなさもあった。

 

「・・・・了解した。」

 

ヒイロはクロノの提案を頷くことで承諾した。その時にどこか不安気な表情を浮かべているフェイトに目がついた。少し見つめているとフェイトと目が合い、驚いた様子で慌てて視線を逸らした。少しばかり一体何を気にしているのかと思ったがーー

 

「・・・・特訓なら問題ない。お前が思い詰める必要はない。」

 

察しがついたヒイロはフェイトに向けてそう伝える。ヒイロの予想が当たったのかフェイトを嬉しそうな表情を浮かべ、はにかんだ。

 

「近くに広い丘を確認した。時刻は、朝の10時からでいいな?」

 

ヒイロがそういうとフェイトは今度は気まずそうな表情をし、何故かリンディは何かを思い出したような仕草をした。ヒイロが疑問気に思っているとリンディから説明が入る。

 

「そういえばヒイロ君、その時にはもういなかったわね。実はフェイトちゃん、なのはちゃんと同じ学校に通うことになってるの。その特訓はできれば学校が終わってからにしてくれないかしら?」

「そうか。問題ない。なら、特訓は近場の広場の丘でやることと動きやすい服装で来いとなのはに伝えておけ。連絡の手間が省ける。」

「うん。わかった。」

 

フェイトが頷いたところで話し合いはお開きとなり、時間が流れていく。

そして、フェイトが明日の学校のために寝付いた時刻。ヒイロはベランダに出て風に当たっていた。

 

(・・・・あの仮面の男、いや何か魔法で身を隠している以上、性別が本当に男かどうかも判別はできんな。)

 

ヒイロは今日相対した仮面の人物についての考察を浮かべていた。

技量自体はヒイロ自身ではなんとかなったがそれ以外の人物では対処は難しいと考えられる。それだけの技量を奴は持っていた。

仮面の人物について色々考えていると、ヒイロの側にクロノが現れた。

 

「・・・・話にあった仮面の男のことかい?」

「・・・・・そうだな。奴が敵対する以上、対策を考える必要がある。」

「そう・・・だね。ところで、さっき話した情報収集のことなんだけど、ユーノにつけるつもりの知り合いって言うのはグレアム提督の使い魔達なんだ。」

「・・・ギル・グレアムのか?」

 

確認するような口調で尋ねるとクロノは頷いた。警戒している人物の使い魔と聞いて、苦言を呈しそうになるヒイロだったが、それを抑えながらクロノに続きを促す。

 

「・・・グレアム提督に対して警告を告げていた君のことだ。一応伝えておいた方がいいと思ってね。」

「・・・・そうか。ソイツらの名前は?」

「リーゼアリアとリーゼロッテだ。二人はそれぞれ、僕の魔法、それと近接格闘の師匠なんだ。」

 

ヒイロはそこで引っかかる感覚を覚えた。ギル・グレアムが闇の書に対して私怨のような、責任のようなものを抱いているのは確かだ。それにヒイロは今回、はやて達、闇の書の主要人物を知ってしまった。ヒイロ自身、はやての家に上り込む前から薄々襲撃者の気配を感じ取っていた。そこにクロノの格闘戦の師匠というリーゼロッテという使い魔。複数のピースがヒイロの頭の中で組み合わさり、一つの確信へと構築されていく。

 

「・・・まさかとは思うが。」

「・・・うん。僕自身、あんまりそう思いたくはない。だけど、君の警告がどうしても僕の中で色濃く残って、あの人に対して懐疑心を捨てきれないんだ。」

 

そういったクロノの表情はどこか苦しそうなものであった。無理もないだろう。グレアムはクロノにとっては恩人以外の何物でもない。そんな彼を疑うことはクロノにとって裏切るようなものである。

 

「・・・・心が痛むのであれば、俺がやる。これからの行動の邪魔になるだけだからな。」

 

ヒイロはそう言ってクロノを突き放すような口調で話すが、クロノは首を横に振った。

 

「・・・気を使ってくれてありがとう。だけど、僕は管理局の執務官だ。時には非情に徹しなければならないこともある。今回はそういう経験だと、割り切るよ。」

「・・・・お前がそういうのであれば、俺は必要以上に干渉しない。だが、これだけは言っておく。自身の感情に従って行動しろ。」

「え・・・・?」

 

あまり意味がよく分からなかったという表情を浮かべるクロノにヒイロは続けて言い放つ。

 

「感情で行動することに異論はない。俺はそう学んで、戦い抜いてきた。」

 

それだけクロノに告げるとヒイロは部屋へ戻っていった。クロノはヒイロの言葉の意味を考えながら、12月の冷たい風に当たっていた。

 

「感情・・・自分の本心か。僕の思うようにやれ、そういうんだね、君は。」

 

 

 

次の日、時刻は午後を廻り、おおよそ4時過ぎ。ヒイロはなのは達の特訓のために仮拠点から比較的近い広場に赴いていた。彼の手にはそれなりに膨れた袋が握られていた。

適当なベンチに腰掛け、待っているとこちらに向かって走ってくる小さな人影が二つ見えた。

 

「来たか。」

 

そういいながら徐に立ち上がり、二つの人影、なのはとフェイトを出迎える。

 

「ヒイロさん、よろしくお願いします!!」

「ああ。」

「あ、あの!!」

 

フェイトからの挨拶に軽く返しながら手に持つ袋から用具を取り出そうとすると、なのはから声がかかった。

 

「き、昨日は私のお兄ちゃんのせいで気を悪くさせてしまってごめんなさい!」

 

そう言ってなのははヒイロに頭を下げた。ヒイロとしては別段気にした覚えはなかったが、なのはの中ではだいぶ思いつめていたようだ。

 

「気にするな。むしろお前の兄の反応は至極当然だ。家族の周りに突然知らない人物が現れて警戒しない方がおかしいからな。お前が気に病む必要はない。」

 

それだけ言ってヒイロは袋からシートと棒二本と木刀を取り出した。

 

「あの、それは・・・?」

 

フェイトがヒイロが取り出したもの見つめながら質問する。

ヒイロは用意したシートを二人分敷きながら説明を始める。

 

「筋力トレーニングを行うためのシートだ。服が汚れるからな。棒はお前たちの近接戦闘スタイルに合わせるためだ。長さはお前たちのデバイスと変わらん筈だ。最後に木刀だが、これは俺が扱うためだ。」

「ヒイロさんが・・・?」

「一通りこなした後は俺を相手にした模擬戦をやるつもりだ。もっともお前たちがそこまでメニューをこなせればの話だが。」

 

ヒイロの言葉に二人を驚きの表情を見せながらお互いの顔を見合わせる。アイコンタクト、もしくは念話で何か話し合ったのか、再びヒイロの方に向き直った時にはやる気に満ち溢れた表情となっていた。

 

「・・・いいだろう。だが、先も言ったが、まずはある程度のメニューをクリアしてからだ。」

『はいっ!!』

「まずは腕立て伏せだ。空中に飛んでいる状態では足腰を使うことは不可能だ。問われるのは自分の腕の筋力だけだ。これはなのは、お前が砲撃魔法を扱う際に照準のブレを抑えやすくなる。始めは50ほどでいい。」

 

ヒイロが指示を飛ばすが肝心のなのはたちは意外性を含んだ表情を浮かべていた。その様子はさながら拍子抜けと言ったところだ。

 

「どうかしたか?」

「えっと、その。もっとやらないのかな、って思って・・・。」

 

ヒイロがそう尋ねるとなのはが少しばかり気が引けたような口調で話した。

その瞬間、ヒイロの目が鋭く、冷たい視線に変わった。その様子はまさに怒っている様子だ。予想外の反応になのはとフェイトは思わず表情を強張らせる。

 

「基本的にオーバーワークを認めるつもりはない。自身の身の丈にあっていない訓練を積んだところで、待っているのは自分の体に爆弾を抱えるだけだ。特になのは、お前はただでさえ負荷のかかりやすい砲撃魔法を扱っている以上、オーバーワークは絶対にするな。わかったな。」

「は、はい・・・。」

 

上ずった声をあげながらも返事を返したなのはを見たヒイロは今度はフェイトに視線を向ける。

フェイトは思わず体を少しばかりビクつかせる。

 

「フェイトもわかったな?わかったならさっさとやれ。明朝からだったらペースはお前たちの好きにして構わんが、平日である以上時間のロスは許されないからな。」

 

険しい表情で頷くフェイトを見たヒイロはその怒りをひとまず引っ込める。

なのはたちはヒイロの言う通りに従い、ヒイロが敷いたシートの上で腕立て伏せをやり始めた。

 

 

 




>>無印A.sのフェイトとなのはの特訓シーンを見た感想

うんうん、普通だな。

>>2ndA.sのフェイトとなのはの特訓シーンを見た感想

・・・君たち本当に小学生?特にフェイトちゃん、君なのはの身長飛びこしてたよね。
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