魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜 作:わんたんめん
『騎士カリム、騎士はやてがお見えになりました。』
「わかったわ。彼女を私の部屋に通してあげて。それとお茶を二つとお菓子もよろしくね。」
『かしこまりました。』
ディスプレイから聞こえる部下の声に優しげな口調で女性が答える。その女性は羊皮紙に走らせていた羽ペンを元の位置に置き、これから来る来客を出迎える準備をする。
程なくして、その部屋の扉が開き、その先から執事と共に長いローブを頭と体が覆うように羽織った人物が現れる。
そのローブを纏った人物を部屋へ入らせると部下が一礼をして扉を閉める。一見すると顔が見えない人物に警戒をしなければならないような状況だが、部屋の主であるカリムは柔らかな笑みを浮かべながら、そのローブと大きめの白いマフラーのようなものを羽織った人物、八神 はやてを歓迎する。
「久しぶりや、カリム。」
「はやて、いらっしゃい。」
ローブのフードを外し、はやての茶髪が露わになる。闇の書事件から10年の時が流れ、年齢を19まで重ねた彼女はあどけなさが残るような顔立ちながらもしっかりとした女性としての体形へと成長を果たしていた。
彼女が訪れていたのは『聖王教会』と呼ばれる宗教団体、その総本部が置かれているベルカ自治領であった。
その団体はロストロギア、闇の書や願いを歪んだ形で叶える『ジュエルシード』と呼ばれる宝石のような危険物を調査することを使命としているとのこと。
そのため、ある程度、利害が一致している管理局と協力体制をとっている団体でもある。
そして、はやてが対面しているカリム・グラシアと言う女性はその聖王教会において、『騎士』と呼ばれる称号を得ている高貴な身分の人物である。
そんな二人は用意された洋風の椅子に座ると仲睦まじい様子でお菓子と紅茶を手にしながら談笑を始める。
久しくお互いに会っていなかった二人は他愛のないことで笑い合いながらお茶会を楽しむ。
「カリムには世話になってばかりやなー。設立した部隊の後援とか、ホントにありがとな。」
「ふふっ、そうした方が色々と頼みやすいから。」
「なんや、今回は頼みごとの方面か?」
はやてがそういうとカリムは複雑な表情を浮かべながらディスプレイを浮かび上がらせるとその画面を操作し、明るく包み込むような光が差し込んでいた窓をカーテンで締め切る。
光が入ってこなくなり薄暗くなった部屋の中でカリムの表情を見たはやては先ほどまで浮かべていた笑顔を引き締め、険しい表情へと変える。
さらにカリムがディスプレイを操作するとカーテンをスクリーンがわりに6枚ほどの画面を映し出す。そこには箱状と思われる代物の他に楕円形のカプセルや丸みを帯びた戦闘機のような形、そして完全な球体を持った機械が映し出されていた。
「これ、『ガジェット』?新型も含まれてるんか?」
「本部にはまだ正式には伝えていないけど、これまでの
そういいながらカリムは3型が映し出されている映像に等身大の人間を出し、比較させる。その3型は優に人間の身長を超えており、およそ三メートルほどの大きさを持っていた。
「戦闘力は完全に未知数。一応、監査役のクロノ提督にはさわりだけお伝えしてはいるけど・・・・。」
カリムはガジェット3型の映像を引っ込めると別の映像を拡大させる。その映像には箱状の代物が映し出されていた。それを見たはやては驚きの表情を露わにする。
「これが本日の本題。一昨日づけミッドチルダに運び込まれた不審貨物。中身は、言わなくてもわかるわよね?」
「レリックやな・・・・。」
「大方、そう認識するのが当然よね。2型と3型も昨日から出現が確認されているし・・・。」
「ガジェットがレリックを発見するまでの時間は?」
「早くて今日明日中と考えるのが妥当ね。」
「つまりいつアラートが出されてもおかしくないちゅう訳やな・・・。」
カリムの言葉にはやては難しい表情を浮かべる。そんな彼女の様子を見ていたカリムは少しばかり難しそうな表情を露わにする。
「実は、これとは他にもう一つ伝えなきゃいけないことがあるの。」
「これって・・・ガジェットの他にか?」
若干驚いた表情へと変えるはやてにカリムは静かに、それでいて重い表情で頷いた。
「結構重要なことなの。預言のことに関して、文章に新しい行が追加がされたの。」
「・・・ぶ、文章が追加っ!?何かあったんか!?」
カリムははやての驚きの声とともに、その預言の文章を口にする。
旧い結晶と無限の欲望が交わる地
死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る
『毒竜から産み落とされた自我持たぬ星座達』は、中つ大地の法の塔を悉く焼き落とす
それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる
それがカリムの持つレアスキル、『
これが短くて半年、長くて数年先の未来を書き記すものであり、信憑性も高く、この預言の文章に書かれたことはほぼ確実に起こると言っても過言ではないほどのレアスキルであった。
その文章に変化が生じた。つまるところ、これからの未来が変わったと同意義であった。
「これが、最初書いてあった文字を訳したもの。問題の文章はこの後のものなの。」
「そ、それで!?その内容はっ!?」
「文章が追加されたのがつい最近だから正確に訳せているとは思えないけど・・・。それでいいなら。」
北に輝く七つの星が落ちる時、祝福の風を伴い、小人達を侍らせた『白い雪』はその純白の翼を輝かせる
「これが新たに預言の文章に追加されたことよ。」
「・・・・あんま、ピンと来ぉへんなぁ・・・。小人かぁ・・・・。」
「しょうがないわ。預言の文章は言い回しが凄く抽象的だから・・・・。」
カリムが苦笑いを浮かべている中、はやての頭の中で小人と白い雪の文言が錯綜する。どこかで聞いたことがあるようでないような、そんな感じの引っ掛かりを覚えたのが正直なところであった。
(なんやろなぁー・・・・。小人に白い雪・・・・?白・・・・雪・・・・。)
「あ、まさかーーー」
閃いたような表情を浮かべたはやてにカリムが尋ねようとした時ーーー
「騎士カリム!!大変です!!」
扉を勢いよく開けはなつ音と共にカリムの自室にシスター服を着こなした女性が現れる。
「シャッハ、どうかしたの?」
明らかに異常事態が発生したと思われる部屋に飛び込んできた女性、シャッハ・ヌエラの様子に二人は険しい表情を露わにする。
「調査部から連絡です!レリックと思われし不審貨物を積んだリニアレールにガジェットが襲撃を行っています!!」
「っ・・・・はやて!!」
「わかっとる!!一級警戒態勢、発令やっ!!」
カリムがそう呼びかけた時には既に彼女は手元のディスプレイから仲間達の元へ警戒態勢の発令を行なっていた。
程なくして、はやての目の前に仲間達と襲撃を受けているリニアレールの映像がリアルタイムで表示される。
「なのは隊長、フェイト隊長、グリフィス君、こちらはやて。状況が状況なため、手短に説明するからよく聞いとってな。現在、レリックと思われる貨物を積んだリニアレールがガジェットに襲撃を受けとる。リニアレールはガジェットに内部侵入されて制御が乗っ取られとる。車輌内部には少なくとも30体のガジェットの他に飛行型や大型の新型もいる可能性が高い。いきなりハードな任務だけど、なのはちゃん、フェイトちゃん二人とも行ける?」
『大丈夫!』
『いつでも行けるよ!!』
親友の勇ましい声にはやては自然と笑みが零れそうになるが、それを押さえつけつつ任務の内容の説明を続ける。
「スバル、ティアナ、エリオ、キャロ。他のみんなもオッケーか?」
『はいっ!!!』
新たにはやての部隊の所属となったスバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエの新人四人の返事を聞き届けたはやてはその返事を褒めながらさらに指示を飛ばす。グリフィス・ロウランには隊舎での指揮を、そして新たに祝福の風の名前を賜った小さな妖精、『リィンフォース
「それじゃあ、『機動六課』、出動っ!!!」
『了解っ!!!』
はやての出動命令と共にそれぞれが為すべきことを為すために動き出す。
「ハァァァっ!!!」
ヒイロはリニアレールの暗い空間の中で輝きを一層目立たせるビームサーベルを振り下ろす。
その光は目の前の楕円形のカプセルの形をしたガジェットを縦に真っ二つにする。
「先頭車輌の制圧を確認。これで前半車輌にあった反応は全てか?」
『ああ、今ので最後だ。流石だな。動きに無駄がない。』
「あの程度で手間を取っているようではガンダムパイロットは務まらんからな。」
そういいながらヒイロは辺りを見回す。ヒイロの周囲には破壊されたガジェットが煙を上げながらその機能を完全に停止させていた。
「相手のコードを避けた上で掴み取り、力任せに振り回して、他の対象にぶつけたり、浮かんでいた相手には壁を駆け上りながらの回し蹴り。本当にお前の身体能力には驚かされてばかりだ。」
ヒイロの身体能力の高さに舌を巻いているリィンフォースを尻目にヒイロは先頭車輌の席に座るとシステムへの干渉を始める。
「これより列車のシステム復旧作業を開始する。どこまで応用が効くかはわからんが、やれることをやるだけだ。」
「わかった。周囲の警戒は私がやっておく。」
「了解した。」
それきり、リニアレールの先頭車輌ではヒイロが端末に打ち込む音だけが響き渡る。
リィンフォースも周囲の警戒に専念しているため、お互いに喋らない時間が続く。
「・・・・そういえば、お前が何故ウイングゼロの中に入り込んだのか、その経緯を聞いてなかったな。」
「・・・・お前の気が散らないのであれば、今話そうか?」
「問題ない。知っておく必要があるからな。」
「わかった。とはいえ、私自身うまく説明できるかは保証しかねるがな。」
あれは、お前が次元震に巻き込まれた後、闇の書の消滅の儀式を行った時だった。
主はやての未来のため、私はこの身を滅ぼすことを選んだ。そのことに関して悔いのようなものは微塵もなかった。
ただ主の未来のために文字通り自身の未来を閉ざしても後悔はなかった。
だが、その時だった、私の未来を切り開いてくれたのはーーー
「闇の書の消滅を確認!!やるなら今しかねぇぞっ!!!」
「プレシアさん!!彼女と闇の書の大元のリンクはっ!?」
「・・・・消滅しているのも相まって、捜索自体は呆気ないものね。あとは貴方達が確立させなさい。」
視界が包まれている中、二人の少年の声と一人の女の声が聞こえた。
「ふん!!貴様に言われずともやっている!!」
「やはり消滅中であれば、いくらか作業時間が短縮できるだろうと踏んだのは正解だったか。」
「とはいえ、猶予が残されていないのは事実です!!みんなは迅速にリィンフォースさんと闇の書の繋がりを表面に出してください!!」
「ま、待てっ!?お前達、一体何を・・・!?」
思わず困惑する様子を前面に出すしかなかった。なぜなら彼らは消えたはずの夢の世界の人間だったからだ。
ヒイロ・ユイの仲間のガンダムパイロット達。
そして、プレシア・テスタロッサ。この人物たちが活動を続け、なおかつ共同作業を行なっていることに驚きを禁じ得なかった。
「何って決まってんだろ!!アンタを助け出すためだよ!!」
「む、無理だっ!!私と闇の書の繋がりを断つことなど・・・!!」
「幾度とない転生を迎えた魔導書の奥深くにあるであろう貴方とのリンクを切断するどころか、見つけ出すことすら普通は困難でしょうね。」
「だが、消滅する真っ只中であれば、話は別だ。どんな構造物でも穴だらけの状態で捜索すれば視野は広がる上に発見は容易になる。俺たちはそのわずかな可能性の上昇にかけた。」
「結果は見ての通りだ!あとは大人しくしていろ!!そろそろ奴が来るはずだからな!!」
そう声を荒げるような少年の声が聞こえた瞬間、自分の側に何か巨大な物体が舞い降りた。それはヒイロ・ユイとフェイト・テスタロッサが乗ったウイングガンダムを自らの意志で逃したガンダムエピオンであった。
「よぉ、ゼクス!!やっと来やがったな!!」
「全く、エピオンをそのままこの空間に持って来させるなど無茶をさせる。色々と維持が大変なんだぞ。」
「それでも貴方なら来てくれると信じてましたよ!!」
「そう煽てるのはよしてくれ、過度な期待には応えたくなるのが性分なのでな。」
「なるほど・・・・これがモビルスーツという代物なのね。」
声色的にプレシア・テスタロッサがその現れた巨大なもの、モビルスーツに興味があるような声をあげる。
「魔力を一切使わずにこんな代物を作ってしまうなんて・・・。」
「おいおい、プレシアのばあ『は?』
その瞬間、雷が落ちたような轟音が耳をつんざいた。大方、プレシア・テスタロッサが魔法で雷を落としたのだろう。長い茶髪を三つ編みに編んだ少年は表情を真っ青にしながら落とされた落雷に驚いていた。
「ア、アハハ・・・・お姉・・・・さん・・・?」
「あら良かった。今婆さんなんて言葉が聞こえた気がしたから思わず雷落としちゃった♪」
少年の震える声にプレシア・テスタロッサは嬉々としたような口調でそう言った。さながら次はないとでも言っているようなものであった。
「・・・・マジ怖え。」
「デュオ、女性に年齢のことを聞くのはあまり褒められたことではありませんよ。」
「ヘイヘイ・・・以後気をつけますっと・・・・。」
中性的な声を持つ少年に咎められたデュオと呼ばれた少年は反省したように力のない声でそういった。
「・・・・管制人格、いや今はリィンフォースだったか。アンタと闇の書の繋がりを浮き上がらせることは済んだ。」
「・・・私を本気で助け出すつもりか?」
「ま、どっちかと言うと本命は守護騎士の方だったんだが、夜天の書の主の方でなんとかなっちまった訳で、どうしたものかと残ってみていればアンタがいることに気づいてな。急いでプレシアの姉さんのところに駆け寄ったわけさ。」
「・・・私としては無理に残る必要はなかったのだけどね。アリシアも先に消えてしまったもの。」
「それは、本当に申し訳ありません。貴方にとって、アリシア・テスタロッサさんは……。」
「良いのよ。私だって、他人に家族を亡くすことの悲しみ、味わって欲しくないもの。何よりフェイト、あの子と同じくらいの年齢の子には、ね。」
そういったプレシア・テスタロッサの声は優しかった。かつて彼女が嫌悪した自身の娘のクローンであるはずのフェイトを心から娘としてみていなければ出てこないような声であった。
「・・・・話の腰を折るようで申し訳ないのだが、手早くリィンフォースを救い出す作業を進めた方が良いのではないのか?」
「・・・それもそうね。さっさと始めましょうか。」
「んじゃ、後はよろしくな。ゼクス。」
「了解した。とはいえ、本当にできるのか?」
ゼクス・マーキスの疑問気な声にプレシアは何か魔法の詠唱をする。するとエピオンの右手に持つビームソードに仄かに光の膜が張られた。
「次元跳躍魔法のちょっとした応用よ。そのエンチャントがかかった武装で彼女に向けて振り下ろせば、彼女と闇の書のリンクを断ち切った上で次元跳躍させることができる。」
「・・・あまり、魔法に関しての知識はない以上、私がとやかく言うことは出来ないが・・・。」
「・・・・保証はするわ。むしろ今しかできない。次元の境界が緩まっている今しか。」
プレシアは今しかできないことを強調するように同じ言葉を口にした。次元の境界が緩まっている・・・?
そのようなことは、確か・・・・・。いや、一つだけあった!!
「まさかっ!!私をヒイロ・ユイのところへ・・・!!」
「そういうこと。一応、貴方を安心させるためにこれだけは伝えておくわ。彼は確実に生きている。」
「っ・・・!!本当、なのか?」
「ええ、彼をアンカーがわりにしている私が保証するわ。もっともそれはあくまで彼が生きていることだけで、彼がどのような世界にいるのかは皆目見当も付いていないわ。」
それでも、それだけでもいい!!彼が、ヒイロ・ユイが生きていることさえ分かっているのであれば・・・!!
「・・・その様子だと、確認はいらないみたいわね。
「・・・・なるほど、我々が貴方のことを知っているように貴方も我々のことを知っているという訳か。いいだろう!!」
ゼクス・マーキスはそう意気込むと、エピオンのビームソードを天高く掲げる。
「夜天の書の主、八神はやては名前は体を現す。そういった。ならばこのエピオンはまさにうってつけ!!その意味は次世代など、そういったものだが、敢えてこう言わせてもらおう!!」
「リィンフォース、祝福の風の名を持つ者よ!!君の行く道、君自身の『未来』に幸福があらんことを!!」
そして、エピオンのビームソードが私に向けて振り下ろされる。斬られた勢いでかなりの距離を吹っ飛ばされるがそれと同時に自身を縛り付けていたナニかが断ち切られたのをはっきりと認識できた。
「達者でなー!!あの無口で無愛想で無鉄砲な奴によろしくなー!!」
「彼のこと、よろしくお願いします。」
「アイツはよく無茶をする奴だ。せめてあの女に会わせてやるまで死なせないでやってくれ。」
「フン・・・。行け、二度と家族を泣かせるようなことはするな。」
「さらばだ、リィンフォース!!」
「・・・・ありがとう、最期にアリシアとフェイトに会わせてくれて。」
別れの言葉を口にする彼らに私は言葉を返そうとしたが、それよりも早く視界が光に包まれ、意識を持っていかれて行った。
そして、再び目覚めた私はウイングガンダムゼロ、ヒイロのデバイスの中にいた。
「まぁ、そんなところだ。」
「・・・・・余計な世話をする奴らだ。ならば、フェイトとスペースポート内に侵入した時に聞こえた爆発音や兵士が倒れていたのはあいつらの仕業か。」
「そうだな。」
ヒイロは呆れたような口調ながらもその無表情な顔を僅かに綻ばせたような気がした。
その時、リィンフォースが見ていたウイングゼロのレーダーの範囲に入り込んだ物体が現れる。
「ヒイロ、この列車に接近してくる金属反応がある。スピードから換算するに空を飛んでいると思われるが、その物体の中には同時に魔力反応がいくつかある。」
「魔力反応は分からんが空を飛んでいるのであれば、それは輸送ヘリの可能性が高い。だが、こちらはまだ時間がかかる。」
「なら私で監視を続けておく、何かあれば直ぐに伝える。」
「了解した。」
リィンフォースはその接近する輸送ヘリの中に乗っている魔力反応を注視しているとヘリとはまた別の方向から金属反応が現れたことをレーダー上から見つける。
「ヘリとは別方向から別の金属反応だ。質量や反応の大きさ的に車輌内にいた機械の類似タイプの可能性が高い。」
「・・・増援か・・・・。ヘリの方はどうなっている?」
ヒイロからのその問いにリィンフォースは再び視線をウイングゼロのレーダーの方に移した。
そのタイミングでヘリから飛び降りたと思われる一つの反応と凄まじいスピードでレーダーに入り込んできたもう一つの反応がその金属反応の迎撃に向かって行った。
「ヘリから一人、ヘリを追うように新たに現れた反応が金属反応の迎撃に向かった。だが、この魔力反応・・・・。」
「・・・どうかしたのか?」
訝しげな表情を浮かべるリィンフォースにヒイロは視線を向けてはいなかったが言葉の雰囲気的に察し、声をかけた、
「・・・・金属反応の迎撃に向かった魔力反応だが高町なのはとフェイト・テスタロッサのものと酷く似ている。」
「・・・・どういうことだ、ここはなのは達のいる地球なのか?」
「分からない。だが、得られる情報から感じる私の個人的な感想だが、二人の魔力が
リィンフォースのその言葉にヒイロは疑問気な表情を禁じ得なかった。
なのはとフェイトによく似た魔力反応があるのはいいが、制限を設けているようにその魔力の量が少ない。
「・・・・接触してみるか?」
「・・・いや、今はいい。アイツらは戦闘中だ。となると、はやてがいることも考えるべきか?」
「それは、どうだろうな・・・守護騎士達が一人でもいれば主がいるのは確実だが・・・。」
リィンフォースはどこか嬉しそうな、それでいて気まずそうな表情を浮かべながら苦笑いをする。
まさか、消滅すると思った矢先に助け出されたのだ。リィンフォース自身が分からなかったことを当然、はやてが知るはずもないだろう。
「・・・・どのみち俺たちが動いたところで余計に戦局を混乱させるだけだ。今は大人しく列車の停止作業を優先させる。」
「・・・・・それもそうか。む、ヘリからツーマンセルの二人組で前半車輌と後半車輌に魔導師の降下を確認。両方とも7輌目へ向けて進んでいる。」
「7輌目・・・。俺が倒れていた車輌か。その車輌に何かあるのか?」
「ない、と言えば嘘になるな・・・。あそこにはよくわからない高エネルギー結晶体があった。迂闊に刺激すればかなりの規模を巻き込む爆発を産む可能性もある。」
「・・・・・両勢力の目的はその高エネルギー体の確保か?」
「そうかもしれない。推測の域を超えないがな。」
「他には何か確認できるか?」
「・・・・小さいのが一つ、先頭車輌に向かってきているな。すぐ近くに来ている。」
その時、端末を操作していたヒイロの視界がガジェットが割ったフロントガラスの隙間から小さく縮んだ水色がかった銀色の髪を持った妖精のような存在が入ってきたのを捉えた。
「・・・・・あれか。」
「・・・・・あれだな。」
その妖精のような存在は、ヒイロとリィンフォースをその小さな視界に捉えると、しばらく呆気に取られた表情を浮かべていた。
やがてハッとした表情へと変えると口元をアワアワとさせた後ーー
「な、なんで貴方がたがここにいるんですかっ!?」
明らかに自分たちを知っているようなその妖精のような存在の口ぶりにヒイロとリィンフォースは二人揃って疑問気な表情をするしかなかった。
リィンフォースの生存のさせ方滅茶苦茶だと思うけど、許してクレメンス。
とりあえず、ただいま全力全開でstrikers編を視聴中・・・・・
「少し、頭冷やそうか。」
なのはさん、流石に指導とはいえ、あれは素人が見てもやりすぎっすよ・・・。