魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜 作:わんたんめん
とはいえsts編はまだまだ序盤中の序盤ですが(白目)
しばらく翠屋でケーキを楽しんだなのは達はフェイトがレンタルしたと思われる車でコテージへの帰路につく。
時刻は既に日が沈みかけ、徐々に薄暗くなっていた。
フェイトの運転でコテージへ戻ったヒイロ達を出迎えたのは、ヒイロにとってどこか見覚えのある嫋やかな雰囲気を出している女性であった。
アリサ・バニングスと同じ白いカチューシャをつけた、黒紫色の艶やかな髪質を持ったその女性の名は、月村 すずか。なのはやアリサの小学校からの友人だ。
「・・・・・月村 すずかか。」
「お久しぶりです、ヒイロさん。10年ぶり、貴方にとってはつい一昨日ぶりのようですが。」
そういいながらすずかはヒイロににこやかな笑顔を向ける。その様子に驚いている様子は微塵も感じられず、むしろおしとやかな雰囲気をヒイロに感じさせる。
「・・・・落ち着いているな。」
「そうですか?これでもかなり驚いてはいるのですけど・・・・。」
ヒイロの言葉にすずかは疑問気に首をかしげる。その立ち振る舞いの一つ一つにどこか貴族じみたものをヒイロはすずかの態度から感じ取るが、今は別に聞くようなことではない、と判断し、思考を打ち止める。
「昼にアリサ・バニングスと会ったが、奴からは騒がしいほどに驚かれたからな。」
「そうなんですか?アリサちゃんらしいなぁ〜・・・ふふっ。」
騒いでいるアリサの様子を脳内で思い浮かべたのか、すずかは口元を隠すように手を当て、その下で笑みを零す。
見た限り、この二人やなのは達との仲の良さは相変わらずのようだ。
そう思っていると、ヒイロが乗ってきた車とは一回りほど小さい車がコテージに現れる。
すずかと一緒にその車を見つめていると、運転席のフロントガラスに高町 美由希が写っているのをヒイロの視界が捉える。
やがてコテージの近くで止まった高町 美由希が運転する車から降りてきたのは、
エイミィ・リミエッターークロノと結婚した現在では、エイミィ・ハラオウンが降りてきた。
そして、そのあとに続くように車から降りてきたのはオレンジ色の整った毛並みが特徴的な獣耳がぴょこんと出ていたまだ幼い少女、面影から色々逆算するにヒイロの記憶が導き出したのはーーー
「・・・・・すずか。あの獣耳が生えた少女はアルフか?」
「はい。そうですよ。魔法というのは結構便利なんですね。あんな風に自由に姿を変えられるなんて。」
少女の姿になったアルフにすずかは優しげな視線を送る。そのすずかの視線に気づいたのか、エイミィとエリオとキャロが話しているのを見つめていたアルフがヒイロの方を振り向くと子供らしく屈託のない笑みを浮かばせながらトテトテと歩いてくる。
(・・・・・・精神まで幼児化していないか?)
そう訝しげな視線を送りながらもヒイロはトテトテと歩いてくるアルフに視線を向ける。
「ヒイロだー!!」
「・・・何か用k「ぴょーん!!!」っ!?」
声をかけようとしたヒイロだったが、ある程度ヒイロとの距離を詰めていたアルフはヒイロに向かって飛びついた。
一瞬、驚いた表情を浮かばせるが、瞬時にアルフの状態を確認する。
ヒイロに飛びつこうとしているアルフは腕を大きく広げながらその小さな手をヒイロに向け続けている。そのままヒイロが手を差し出さなければ、アルフはそのまま重力に従い、地面に顔を打ち付けるだろう。
「ちっ!!」
ヒイロは苦い顔をしながら舌打ちするとアルフの左右の脇を両手で掴んだ。脇を掴まれたアルフはそのまま宙ぶらりんの状態になる。なんとかアルフを無事に止めたヒイロは少し険しい表情をアルフに向けるが当の本人はすごく楽しそうに笑っている。
その様子に怒るに怒れないヒイロはため息をつきながら掴んだアルフを抱っこした。
「さすがヒイロ!!対応力が違うねぇ!!」
「・・・・お前は小さくなったのか。」
ヒイロの腕の中で尻尾をブンブン振っているアルフにヒイロは小さくなっている理由を尋ねる。
彼女いわく、フェイトにあまり魔力的な迷惑をかけないこととエイミィの手伝いをするという板挟みのことを塾考した結果、手伝いのできるギリギリのラインまで体を幼児化させることを選んだらしい。
アルフのその理由に納得を示しているとエイミィがヒイロに近寄る。それに気づいたヒイロはアルフを抱えたままエイミィの方を振り向いた。
「エイミィか。」
「・・・ヒイロ君・・・・。本当に10年前からそっくりそのままきちゃったんだね・・・・。」
エイミィはヒイロの10年前と全く変わらない容姿に驚きに満ちた表情を浮かべる。
「・・・・ああ。どうやらそうらしい。もっとも気にすることでもないがな。」
「・・・・・変わらないねぇ。まぁ、それも君らしいというかなんというか・・・。」
「・・・・お前がクロノと結婚したのは俺でも驚いた。」
「え、ホント?それは純粋に嬉しいなぁ。」
ヒイロが素直にクロノとエイミィが結婚したことに驚きを感じていることを伝えるとエイミィはどこか嬉しそうな表情を浮かべる。
少しエイミィと話していると、二人の耳に何かを焼いているような音が入り込む。
その音が響いてきた方角、コテージの方に視線を向けるとちょうどキッチンから見える窓に映ったはやてが何か鉄板の上で焼いているのが目に付いた。
外で長話するのも頂けないため、ヒイロはエイミィに視線を送るとエイミィもそれがわかっていたのか、無言で頷くと揃ってコテージの中に戻っていく。
コテージのキッチンでは外から垣間見た通り、はやてがその料理の腕を思う存分に奮っている様子が見えた。
コテージに戻ってきたヒイロとエイミィに気がついたのか、フェイトが自身の座っているテーブルに来るように二人に向けて手招きをする。
先に戻ってきたグループは既に席に着き、はやての料理が出来上がるのを待っているようだ。
ヒイロは抱きかかえていたアルフを空いている席に座らせると自身も適当な席に座り、はやてが作る料理を待つことにした。
「みんなーできたでー。」
ヒイロが席についてから程なくして料理を作り終えたのか、はやてが料理が載せられた皿をヒイロ達が囲んでいるテーブルに置く。
料理の種類は焼きそばや焼肉など鉄板をふんだんに使ったような料理が多かったのだが、全てに共通して量がかなり多かった。
その量はヒイロが一瞬、この人数で食い切れるかと疑問に思うところだったが
食事中は自己紹介をしたのちシャマルが料理に手をつけていないかどうかの論争だったり、久しぶりに会う家族との食事なのか、年相応の笑顔を見せながら美由希と会話を楽しむなのはの様子が見えたりと穏やかなムードで時間が過ぎていった。
そして、時刻はおよそ七時、日が沈み、和やかだった食事の雰囲気を引き継ぐように食事が済んだ後のコテージでもしばらく誰かの会話がひっきりなしに続いていた。
「さて、そろそろ風呂の準備でもしよか。」
夕飯の片付けを済ませたはやてからそんな提案が挙げられた。なのはとフェイト、それにリンディ達と言った海鳴市に住んだことのあるグループからは頷くような声や仕草があがる。
(・・・・フロ、風呂か。あのお湯を張った入浴用の設備か。)
ヒイロも曲がりなりにも海鳴市に住んでいたため、ある程度の知識としては知っている。はやてを筆頭にその風呂に関しての話が行われているのをヒイロは離れたところから見守っていた。
「でもここに風呂はないわよ?」
「湖で水浴びをするには、まだ時期が早いし・・・・。」
「だとすれば、あそこしかないのかな?」
仕事が終わったのか、ヒイロ達が夕飯を済ませた後にコテージにやってきたアリサが周囲に風呂といった設備がないことに申し訳無さげな顔を浮かべる。
そのアリサの言葉を引き継ぐようにすずかと美由希が顔を見合わせる。
ヒイロがその二人の様子に疑問を抱いているとーー
「みんな、着替えを用意して。」
「なのはさん?」
なのはがFW組のスバル達の方へ顔を向けるとそんなことを伝える。スバルは突然の着替えを準備するという言葉に首を傾げながらなのはに尋ねる。
「市内のスーパー銭湯に行くんだよ。」
なのはの言葉にFW組の四人はおろか、ヒイロもスーパー銭湯という単語に疑問符を浮かばせる。はっきり言って聞き覚えのない言葉であったからだ。
「そうだな・・・色々な人が利用できる大きな風呂、といったところか。」
「・・・・公衆浴場か。」
「難しく言えば、たしかにそうなるな。」
たまたまヒイロの近くにいたシグナムがスーパー銭湯についての簡単な説明をする。
ヒイロはその説明で納得したのか、シグナムに端的にまとめた単語を述べ、彼女から大体合っているとの評価をもらった。
(・・・・あまり、風呂には慣れていないのだが・・・。)
はっきり言ってヒイロはそのスーパー銭湯には行く気があまりなかった。自身が風呂に体を沈めること自体に慣れていないのもあったし、最悪、濡れたタオルで体を拭くくらいでも十分であるという心中もある。
さらに話の内容的に全員で銭湯に赴くのだろうが、その時にフリードリヒの面倒は誰がみる?
「・・・・俺はこちらに残ってフリードリヒの面倒でも見ておく。」
「え、ヒイロさん、行かないんですか?」
ヒイロの断りの言葉に一番最初に反応したのはエリオだった。ヒイロがエリオの方に視線を向けると、彼はどこか寂しそうな表情を浮かべていた。
(・・・・よくよく考えてみれば、俺が行かなければ、男性はエリオ一人になるのか。)
ヒイロは妙に女性比率が高い機動六課に心のうちで頭を悩ませ、ヴァイスやザフィーラがいないことや目先のことに目が眩んだ上の自身の発言を悔やむことになったヒイロ。
「・・・・あのー、フリードにはちゃんと大人しくしておくように言い聞かせておくので、ダメ、ですか?」
「・・・・・できるのか?」
おずおずとした口調であったが、やや気が引けた様子でヒイロに助け舟を出してくれたキャロにヒイロは一応の確認を取る。
「大丈夫です。今の私とフリードなら。」
「・・・・・はやて、その銭湯とやらにシャワーはあるのか?」
キャロの言葉を聞いたヒイロははやてに視線を移し、シャワーの有無を尋ねる。
シャワーを自身が妥協できるところだと判断した結果だ。
その意図が伝わっているかはともかくとして、ヒイロの質問にはやては少し考え込むとーー
「うーん、大体の銭湯はあると思ってもええよ?」
「・・・・・わかった。俺もお前達に同行する。」
そう言って前言を撤回し、同行する意志を示したヒイロの視界にはどことなく嬉しそうなエリオの表情が写っていた。
銭湯までさほど距離自体はないのか、スーパー銭湯には歩いて向かうことになった。
なのは達は自身の着替えなのか、それぞれ袋やらを持ち歩いていたが、ヒイロはそのようなものは持っていない。
まだミッドチルダに時間跳躍してから3日ほどしか経っていないのだ。無理もないだろう。
その時にはやてがーー
「そろそろヒイロさんの着替えとか買っておかんとなー。いつまでもその格好でいるのは衛生上よろしくないというかなんというか・・・・。」
などと言っていた。確かに服を洗わずにそのまま着続けるのは衛生上よくはないのはヒイロ自身わかりきっていたため、適当に買っておくと彼女に伝えることで済ませた。
しばらく歩き、件のスーパー銭湯と思しき建物が見えてくる。中へ入るとヒイロの視界にとある張り紙が目に入った。
『女性風呂への混浴は11歳以下の男児のみでよろしくお願いします。』
一応、数え年で16だと認識しているヒイロはその張り紙の指示通りに男湯の方の暖簾を潜る。くぐった後にヒイロはエリオが付いてくるかとおもってはいたが、一向にエリオが男湯の暖簾をくぐってこないことに怪訝な顔を浮かべる。
「・・・ヒイロ、頼むから私の存在を忘れないで・・・・。」
「・・・・・・・・。」
ヒイロの首から下げているペンダント、もといウイングゼロからアインスの声が響いてくる。
すっかり彼女のことを失念していたヒイロはエリオの様子を見るついでにはやてにアインスを預けるために一度脱衣所から出ることにした。
「エリオ君も一緒に入らないの?」
「いっ!?」
「いいね、久しぶりに一緒に入ろうよ。」
はやてにアインスを預けようとしたヒイロだったが、どうやら時すでに遅しだった様子で彼女の姿はフロントにはなく、代わりにエリオを女湯のほうに連れ込もうとしているキャロとフェイトの姿があった。
一見すると嫌がる子供を連れ込もうとする事案にも見えなくはない。キャロはまだ同年代だから世間は許してくれると思うが、フェイトは完全にそれに該当しかねない。
「・・・・・何をやっている?」
「あ!!ヒイロさん!!」
思わず声をかけたヒイロにエリオが救世主でも見たかのような希望に満ち溢れた表情を向ける。
どうやらこの状況から脱したいらしい。
「・・・・エリオ・モンディアル。お前は今いくつだ?」
「じゅ、10歳です!!」
エリオの年齢を聞いたヒイロは先ほど見た年齢制限の張り紙を思い返しながらフェイトとキャロの行動になんら違法性がないことを認識する。
しかし、それであとは見過ごしていいかと言われれば、そういうわけでもない。
「・・・・本人の意思を少しは慮ったらどうだ?知らない人間が見るとただの誘拐犯に見えるぞ。」
「ゆ、誘拐犯………。」
ヒイロの言葉にフェイトがショックを受けている間にエリオの服を掴み、引きずるように男湯の脱衣所の方に向かう。
その途中、思い出したかのようにフェイトの方を振り向くと彼女に向けて、何かを投げつける。
「えっ?わわっ!!」
若干項垂れる顔をするフェイトだったが、なんとかヒイロから投げつけられたものをキャッチする。びっくりしている顔をしながらキャッチしたものをみると、そこにはデバイスとしてのウイングゼロがあった。
「はやてに渡しておけ。それだけだ。」
それだけ言い残し、ヒイロはエリオを引きずりながら男湯の脱衣所へと入っていった。
一瞬疑問気な雰囲気を出すフェイトだったが、ウイングゼロからわずかにアインスが顔を覗かせたことに納得した顔を浮かべ、はやてにアインスを渡すために女湯へと向かった。
「あの、ありがとうございます。」
「・・・・嫌なら嫌とお前の意志をはっきりと伝えておけ。いつまでも流されているようでは人間としても成長しないぞ。」
「う・・・が、頑張ります・・・・。」
脱衣所に入ったところでエリオがヒイロに対して助け出してくれたことに感謝の気持ちを伝える。
それに対し、ヒイロは顔すら向けず、先ほどのエリオの問題点を淡々と述べるのだったが。
「鍵がついているロッカーが空いている場所だろう。そこに着替えを入れておけ。」
ヒイロがロッカーを見てそういうとエリオもヒイロが言った通りに鍵のついているロッカーを使い、自身の着替えを入れていく。
ヒイロ自身も手近なロッカーを開けて、自身が来ているジャケットやいつもの濃い緑色のタンクトップを放り込む。
「・・・・?」
(ヒイロさんの体つき、初めて見たけど、凄いな・・・。引き締まっている上に筋肉のつきかたも僕なんかより断然凄い・・・。)
服を脱いでいる最中、ふと感じた視線に顔を向けると、なにやらヒイロの体を見て、ボーッとしているエリオが目に入った。
「・・・・何か俺の体についているか?」
「あ、いや、なんでもありません!?」
「・・・・そうか。」
見ていたことがヒイロにバレたエリオはワタワタした様子で浴場へと向かった。そのエリオを見ながら、備え付けられてあったタオルを腰に巻いて、エリオに続く形でヒイロも浴場に足を踏み入れ用とした時ーー
「エリオ君、ヒイロさん。」
聞き覚えのある声であると同時に現状聞こえてはいけない人物の声が脱衣所の中に響く。
ヒイロが入り口の方へ視線を向けるとそこにはキャロが立っていた。
「・・・・何故こっちにいる?」
「フロントの人に聞いたんですけど、11歳以下なら女の子が男性用の方に行ってもいいそうです。それで来ちゃいました。」
「・・・・そうか。」
「ヒイロさん?どうかしましたーーってキャロっ!?こっちは男性用だよ!?」
キャロが自身の意志で男湯に来たことにとやかく言うことはないヒイロだったが、エリオは年相応に異性がやってきたことに顔を真っ赤にしている。
追い返す訳にもいかないため、エリオは渋々といった様子で、ヒイロは特に気にしていない様子でキャロを連れて浴場へと入る。
エリオとキャロの二人は腰掛ける用の小さい椅子を手にしながら体を洗い、ヒイロは立ったまま浴びるタイプのシャワーを使って軽く自身の体を濯いだ。
時間的に鑑みてもヒイロの方が早く終わるため、シャワーを済ませたヒイロは湯船の方に向かう。
とはいえ、入るわけでもなく、足だけを湯船に浸かるという足湯スタイルにすることにしたが。
「あれ、ヒイロさん、湯船に入らないんですか?」
「・・・・体を液体に浸けると有事の際の行動に支障が出る。俺にはこれで十分だ。」
「あ、あんまりそんなことはないとは思うんですけど・・・・。」
キャロがヒイロに湯船に入らない理由を尋ね、その返ってきた返答にエリオは苦笑いを浮かばせながらキャロと一緒に湯船に浸かった。
「はぁ〜、気持ちいいねー。」
「そ、そうだね・・・。」
キャロがそう言うもエリオはどことなく顔を赤くしながら恥ずかしがっている様子でキャロから視線を外した。
・・・・緊張でもしているのだろうか?もっともヒイロにはあまり関係のないことのため、尋ねるようなことはしなかったが。むしろ、ヒイロは別のことが気になっていた。それはエリオとキャロに前々から聞きたいことだったが、フェイトやなのはの前では少々聞きづらいことであった。
ヒイロはせっかくのタイミングなのだから二人に尋ねることにした。
「・・・・・ちょうどいいな。お前達に聞いておきたいことがある。」
唐突に口を開いたヒイロに二人は疑問気な表情を浮かばせ、首をわずかに傾げる。
「・・・・お前達はなぜ管理局に入った?その理由を聞きたい。」
「理由・・・ですか?」
「お前達二人は何か訳があるのは察してはいる。お前達ほどの年齢の奴が戦場に出てくるなど、余程のことではない限りありえないからな。だが、その上で、お前達がこうして戦場に立つことの理由を聞きたい。」
ヒイロの視線はまっすぐに二人を貫いていた。その真剣な眼差しにエリオとキャロは顔を引き締めながら向き直る。
「僕はフェイトさんに救われたんです。その恩返しがしたいために、僕は管理局に、この機動六課にいるんです。」
「私も同じです。私は有り余る力を持っていたせいで部族を追い出されました。管理局に保護された後でも私には居場所はなかった。そんな時、フェイトさんに助けてもらって、私が居てもいい場所を貰えました。その私を助けてくれたフェイトさんに少しでも恩返しがしたくて、管理局に入りました。」
二人の意志のこもった言葉にヒイロは少しの間、考えるように瞳を閉じた。
(・・・・・強いな。)
たった一言だけであったが、ヒイロはエリオとキャロの意志の強さに正直に言って表には出さないものの驚いていた。
ヒイロが再び瞼をあげ、二人の方を見るとキッとした目でヒイロのことを見つめ続けていた。
「・・・・わかった。それだけの意志があるのなら俺から特にお前達に言うことはない。だが、フェイトが心配してきそうなことはあまりするな。戦い以外にもフェイトの恩返しになりそうなことはあるはずだからな。」
ヒイロの言葉に二人は無言で頷いた。それを見たヒイロは僅かに頰を緩ませた、ように感じた。
「あ、それとヒイロさん、僕達からのお願いを聞いてもらってもいいですか?」
「・・・・なんだ?」
「スバルさん達のこともそうなんですが、フルネームではなくて、普通に名前で呼んでくれませんか?なんだか少し、恥ずかしくて・・・・。」
そう言って表情を綻ばせながら乾いた笑いを浮かべるエリオ。キャロも同意見なのか、にこやかな笑みを浮かべ、お願いするような視線をヒイロに向ける。
「・・・・わかった。」
子供二人のお願いに嫌とは決して首を横に振らないヒイロなのであった。
まだまだ続くよドラマCD編。
いつになったら本編に戻れるのだろうか(白目)