魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜   作:わんたんめん

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警告、警告

今回の話にて作者の筆がおかしくなったせいでヒイロがとんでもないことしてます。
でもアインスに唆されただけだからね!!
何気にリリーナ様にもしてないことしでかしてる。




第49話 夜の帳に包まれた隊舎にてーー

「…………誰かに見られていたな………。」

「魔力反応のようなものは見れたが………一瞬だった上に微量しかなかったからだれのものかは判別はできなかった。すまない。」

「………向こうから来ないのであれば問題はないだろう。気にするな。」

 

ヒイロは二階の窓から誰かの視線を感じたが、ヒイロが視線を向けた時にはその見ていたと思われる人物の姿は既に消えていた。

アインスに労いの言葉を投げかけながら、ヒイロはティアナとスバルが待っている森のわずかに開けた場所に向かう。

草むらをかき分けていくと、既にスバルとティアナが自身のデバイスを展開しながら待っていた。

 

「ひとまず、形は成してきたらしいな。」

「はい。とはいえ、やるにあたってちょっと不安もありますけど………。」

「……それは、戦術面でのものか?」

 

ティアナのどこか不安そうにしている表情にヒイロはコンビネーション面でどこか難しい壁に直面しているのかと感じ、ティアナに尋ねる。

しかし、ティアナはフルフルと首を横に振り、戦法面で不安を覚えているわけではないことを伝える。

 

「あたし自身、というよりスバルの方にあるんですけど………。」

「ティア、それは私自身が大丈夫って言ったじゃん。」

「それでも、なのはさんの教導に反しているのは事実でしょ。」

 

あっけらかんとした笑顔を浮かべているスバルにその不安気な表情を浮かべたまま、ティアナはスバルと視線を合わせる。

 

「………そのクロスシフトはスバルがなのはの教導にないこと、要は基礎に則っていない戦法を取るというのだな?」

「………そんな感じです。実は明日、なのはさんと模擬戦をやるんです。FWをエリオとキャロ、スバルとあたしの二チームに分けて、それぞれなのはさんと2対1の模擬戦。」

 

ティアナの言葉を聞いて、ヒイロはひとまず考え込むような仕草を見せるが、すぐに思案を切り上げてしまう。

決してティアナの不安気な表情を見過ごしたわけではない。

 

「………まずはお前達の考えたクロスシフト。それを見せろ。そこからでも考えるのは遅くないだろう。」

「………わかりました。」

 

ヒイロの言葉にひとまず頷く態度を見せたティアナはクロスミラージュになにか命じると、デバイスからオレンジ色の魔力光で構成されたスフィアが現れる。

そのスフィアを出した張本人であるティアナにそのスフィアのことについて尋ねてみると、いくらかの自律行動のできる標的としてのスフィアのようだ。

 

そのスフィアはティアナの手から離れてフヨフヨと飛んでいくとある一定の高さで動きを固定する。

 

「それじゃあ、行くわよスバル!!クロスシフトC!!」

「おうっ!!」

 

まず、スバルがウイングロードで足場を形成し、宙に浮いているスフィアの周囲を縦横無尽に走り回る。ティアナもヒイロのそばから離れ、森の中を疾走する。

おそらく自分が撃ちやすいポジションに移動するためだろう。

ヒイロが少しの間、ティアナに視線を向けるもすぐさま上空でウイングロードを出し続けながらスフィアを追うスバルに視線を移す。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

気迫のこもった声を上げながら、スバルは右腕のリボルバーナックルを大きく振りかぶりスフィアに突撃を仕掛ける。

当然、スフィアも反撃とばかりに魔力レーザーを撃ってくるも、それをスバルは突撃するスピードを一切落とさず、左手にベルカ式の魔法陣を障壁として展開し、飛んでくるレーザーを防ぐ。

 

「やや荒削りだが、本命がティアナの攻撃なのであれば、惹きつけとしては及第点か。」

 

スバルの荒っぽい突撃だが、それが惹きつけを主としておいているのであれば、むしろ多少無理をした方が相手の視線を奪うことはできるだろう。

ヒイロはスバルの行動にそんな評価をしながら二人のクロスシフトを見続ける。

 

「む、ヒイロ。ティアナの魔力反応だ。使っている魔力量自体は少ないが術式としては砲撃魔法の類だ。」

 

アインスからそのような通信が入り、ヒイロが視線を移すと木陰からスフィアに向けて、クロスミラージュを向けていた。

そのクロスミラージュからは徐々に魔力の塊が膨張していき、今か今かとその砲撃の機会をうかがっていた。

 

「…………何か妙だな。あのティアナ。」

「ん………?そうか?わたしには特に………いやーー」

 

ヒイロの違和感に疑問を呈するアインスだったが、その表情は感嘆といった唸るようなものに変わった。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

ティアナの砲撃魔法に気を取られたのかスフィアが足を止めた瞬間をスバルが見逃さず、リボルバーナックルを打ち付ける。

その攻撃にスフィアは咄嗟に防御フィールドを展開することで防ぐ。

 

「ウイングゼロのセンサーがティアナを捉えている。今わたしとヒイロの視界に写っているティアナだが、あれはーー」

 

アインスが砲撃魔法を撃とうとしているティアナに視線を向けていると、突然、そのティアナが消失した。まるで元々そこにいたティアナが幻だったかのようにーー

 

「彼女の幻惑魔法だ。素晴らしいクオリティだ。ウイングゼロのセンサーでなければ私でも分からなかった。」

「ならば、本物のティアナはーーー」

 

ヒイロが視界をスバルに戻したまさにその瞬間、これまでスバルが展開していたウイングロード、その青い道を自身の足で駆け上っているティアナの姿が現れた。

 

「幻惑魔法に姿を隠す魔法、か。これらを駆使しつつ、仲間との連携を組み立てれば、第一線でも十二分にやっていけるだろう。」

「………俺は魔法に関しては全くの素人だから判断はつけられんが、お前が言うのであればそうなのだろうな。」

 

足か自分自身の体に重力に囚われないように浮遊用の魔法でもかけているのか、いわゆる宙吊りの状態になっても墜落する様子が見えないティアナはスフィアの頭上を取ると、右手に握ったクロスミラージュの銃口からブレードを形成する。

 

「これで………!!」

 

そう意気込みながらウイングロードから足を離すとそのクロスミラージュから出したブレードを自由落下の加速度をひっくるめた攻撃をスバルの攻撃を防いでいる最中で身動きが取れないスフィアにぶつける。

二方向からの攻撃にスフィアは敢え無くそのバリアを破られ、その身を粉々に粉砕される。

 

「できたぁーー!!できたよティアー!!!」

 

クロスシフトが完成したことの喜びからなのか、スバルがウイングロードの上に降りたティアナに飛びついた。

 

「ちょっとスバル!!離れなさいよ!!成功って言っても明日の相手はなのはさんなのよ!!」

 

ティアナは鬱陶しさからかスバルに離れるように声を張り上げるもその表情からスバルの行動を悪く思っているようには見えなかった上に振り払おうとする様子すら見えないことから本気で嫌がっているわけではないのだろう。

スバル本人もそれが分かっているのか、緩んだ表情を見せたまま、ウイングロードを地面に向けて伸ばし、地表に降り立った。

 

「とりあえず、一通り流しでやってみました。どうですか?」

「お前から前もって概要自体は聞いたため、あのクロスシフトの動き、それ自体には特に疑問は感じなかった。このクロスシフトの要である司令官ポジションのティアナによる近接攻撃も着眼点は悪くない。」

「おお、思ったよりも高評価………。」

 

ヒイロがクロスシフト自体に高評価を出したことにスバルは意外といった反応を見せながらヒイロの言葉に耳を傾ける。

 

「だが、あの最後の近接攻撃に関してだが、必然的に懸念材料が生まれる。ティアナ、お前はあの攻撃を避けられるなり、シチュエーションはどのようなものでも構わんが仮にあの攻撃を外した場合、その後どのように行動すべきだ?」

「そう、ですね………やっぱり一度引いて立て直す、とかそのあたりかと………。」

「その時間があればいいがな。最後のあの攻撃、仮にバックステップでも踏まれ、後ろに後退されれば、ちょうどお前たちは一直線上に固まることになる。そこを砲撃魔法でまとめて仕留められる可能性が高い。ましてや明日の相手が砲撃魔法に長けているなのはであれば言うまでもないだろう。」

「………この戦法がハイリスクなのはわかっています。本来前に出ない私があんな感じに前に出張って近接攻撃を仕掛けるんですから。」

「ああ。だが、俺はお前のその発想に至ったことを認めてはいる。」

「え………?」

 

ヒイロの言葉が一瞬理解できなかったのか、ティアナは呆けたような表情を浮かべる。

 

「人は戦っているのであれば、必ず自身の間合いではない距離感で戦わなければならない時がくる。それが戦場というものだからな。」

 

「だから自身の得意分野を伸ばすだけに留まらず、不本意な距離で敢えて戦い、経験を積み、成長しようとするその姿勢や努力、そして向上心。それらを俺は認めているつもりではいる。」

 

「それと個人的な考えだが、お前の真骨頂は幻惑魔法、そして姿を隠せる魔法を用いた周囲との連携にあると思っている。そこさえ抑えておけば例え魔力が少なかろうが、お前にはそれを覆せるだけの()()()()()。」

 

そこまでヒイロが言ったところで呆然としていたティアナにある異変が起こる。

不意にその瞳からホロリと涙がこぼれたのだ。

突然の出来事にスバルは思わず彼女の肩に手をかけ、ヒイロは訝しげな視線を送りながらもどこか困惑しているような様子を見せながらティアナを見つめる。

 

「え、ティアっ!?どうかしたの、大丈夫!?どこか痛めたっ!?」

 

スバルがその不安気な表情を声として形にしたように困惑気味に、さらに矢継ぎ早に言葉を投げかける。そのスバルの言葉にティアナは口元を手で覆い、嗚咽をこぼしながらも首をフルフルと横に振ることで別段、どこか怪我をしたわけではないことを伝える。

 

「あた、し……今まで……そんなこと……言ってくれる人……いなくて……!!ずっと……ずっと才能が、ないって……っ思ってっ、いた………!!」

 

「だけど………今、ヒイロさんに……才能はある、とかっ……言われて……泣いちゃって………ごめん、なさい……!!」

 

ティアナは嗚咽をこぼしながらも今まで自身が認められてこなかったことへの感情を吐露する。

ヒイロはそのティアナの独白を静かに聞いていた。それこそ彼女が泣き止むまで待つのも計算に入れていたが………

 

「ヒイロ、少しいいか?」

「………なんだ?可能であれば手短に済ませろ。」

「彼女、相当溜め込んでいるのはわかっているだろう。ここでひとえに全部吐き出させたほうが後のためかもしれない。」

「そうか。だが………一体何をすればいい?対処法がよくわからないのだが。」

 

ウイングゼロから出てきたアインスがヒイロの肩に乗りながら、ティアナの抱えているものを全部吐き出させるようにヒイロに促させようとする。

しかし、ヒイロはその仕方がよくわからないと疑問気な表情を浮かべる。

珍しく人にどうすればいいのか尋ねるというヒイロの姿にアインスは微笑ましい表情をしながら彼に耳打ちをする。

 

「………それは本当に効果のあることなのか?」

「さぁ………私は元々プログラムの身だからな。だが、可能性としては大いにありだと思うぞ。」

 

そういうアインスの言葉にヒイロは僅かにため息を吐くと、未だ泣き止む気配のないティアナのそばまで歩き始める。

 

「あ、最後にだが、ちゃんと優しげにやるんだぞ。いつものごとく無表情で無感情な声で言われても効果が全くないからな。」

「少し黙っていろ。」

「ヒイロさん………?」

 

なかなか場に似つかわしくない会話にスバルは僅かに困惑気なものを孕んだ視線をヒイロに送る。

 

「……………………………ティアナ。」

「っ………何……ですっ……かぁ………。」

 

ヒイロに名前を呼ばれたティアナは涙で上ずった声、さらに鼻をすすりながらもヒイロに言葉を返す。

 

「………………………。」

 

長い沈黙の後、意を決したような表情をしたヒイロは真正面に向き合っているティアナの背中に腕を回すと、優しく自身が立っている方向に抱き寄せた。

 

「ふぇ………!?」

「!?!???!??」

 

突然のヒイロの行動にスバルは空気が抜けたような声とともに開いた口が塞がらないというようにあんぐりと口を開け、ティアナは目を白黒させながらも、大した反応すら取れずに、そのままヒイロの肩に顔を乗せてしまう。

 

その時、ヒイロが立っている場所の後ろの草むらの方で何かガササッと物音がしたのは風が吹いたせいだと思いたい。

 

「………………今まで、よく頑張ったな。」

 

アインスの言う通りにヒイロ自身からの視点では出来る限り声を柔らかめに、ティアナにこれまでの彼女の辛かったであろう人生を労うような言葉を投げかける。

その言葉は両親を幼い頃に亡くし、唯一肉親だった兄すら居なくなって、たった一人で戦ってきたティアナにとっては何よりの言葉であった。

そこから先、ティアナは堰を切ったように大粒の涙を零し、大声で泣き叫んだ。

 

 

「あの、ありがとうございました………。その、結構大胆なことするんですね………。」

 

しばらくすると泣き止んだのか、ティアナが顔を真っ赤にしながら無言でヒイロから離れる。

代わりにスバルがティアナほどでもないが頰を赤く染めながらヒイロにお礼を言った。

 

「………アインスの言っていた俺にはよくわからないことを実行に移しただけだ。」

 

それだけ言うとスバルは一礼だけして、ティアナを連れて戻っていった。

 

「…………本当にお前の言う効果があったのか?」

「多分………大丈夫、なはず。」

 

曖昧な返事をするアインスに思わず鋭い視線を向けるヒイロだったが、既に過ぎたことだったのもあって追及などをすることはなかった。

ついでに言うと、ヒイロには一つ、確認しておかなければならないことがあったからだ。

ヒイロはスバル達を見送ると二人と同じように隊舎に足を進めることはなく、ふと視界に映った草むらに迷うことなく一直線に足を進ませる。

 

「…………お前は何をやっているんだ、フェイト。」

 

草むらの奥を見るために視線を下に向けるとその影で隠れるようにしゃがみ込んでいるフェイトの姿を見つける。

 

「えっと………その、夜にヒイロさんがなんだか外へ出て行っているのを見て、追ってきました。」

「…………つまり外へ出た時の視線もお前か。」

 

ヒイロが呆れた口調でそう言うとフェイトは静かに頷いた。しかし、その表情は周囲が暗い上にフェイトの顔に影がかかってしまい、その表情を伺うことはできなかった。

疑問が解決したヒイロはそのままフェイトを置いて隊舎に戻ろうとするが、なにやらズボンを引っ張られる感覚を覚える。

何事、といっても力のかかっている方向から誰がズボンを引っ張っているのかはわかりきっていた。

 

「何か用か?」

 

ヒイロは再度フェイトの方に視線を向ける。そのヒイロの視界にはフェイトがヒイロのジーンズの端を摘んで引き止めているのが映っていた。

 

「ティアナのこと、抱いていたよね。」

「…………有り体に言えばそうなるな。アインスに唆されたというのもあったが。」

「……………いいなぁ………。私にもやってくれないかなぁ………。」

 

ブツブツと言葉を紡ぎ、自身の願望をそれとなりに伝えるフェイトだったが、はっきりいってヒイロは面倒だと思うだけであった。

 

「………なのはにでもやってもらえ。」

「ヒイロさんがいいです。」

 

なのはの方にその欲望をぶちまけろというヒイロであったが、フェイトに即座に自身がいいと言われてしまい、言葉を僅かに詰まらせる。

 

「明日もお前に執務官としての仕事があるのではないのか?さっさと自室に戻って寝たらどうだ。」

「それもそうですけど、今のこれと執務官としての仕事は別問題として置いておきます。」

 

果たしてそれでいいのだろうか、とヒイロは思ったが、指摘したところで何かが進展するわけではないのは目に見えていたため、口には出さないようにしていた。

 

「…………。」

 

ひとまずフェイトが不貞腐れている(?)現状を心底から面倒だと感じているヒイロは彼女の腕を掴んで無理やり立たせる。

無理やり立たせられたフェイトは僅かにバランスを崩すもすぐさま立て直し、ヒイロに向き直る。

無理やり立ち上がらせたことにより、今まで影がかかってよく見えなかったフェイトの表情が明らかになった。

 

その表情はヒイロの予測通り、口を窄めることで尖らせ、不貞腐れてはいるような表情であったが、同時に顔を僅かに紅潮させてもいた。

 

「むぅー…………。」

 

おまけにこの明らかに不貞腐れていますと言っているような声を上げる始末であった。

 

「…………お前のせいでかなり面倒なことになった。」

「…………まさか、テスタロッサが付いてきているとは思わなかった。」

 

ヒイロの言葉にアインスは少しだけ申し訳なさげにそういうのだった。

そのアインスの発言にヒイロは呆れたように肩をすくめるとフェイトの手を掴んで引きずるように隊舎へと連れて行く。

 

「ヒ、ヒイロさん!?」

「…………勘違いするな。明日の任務で寝不足が原因で目も当てられないようなことをして欲しくないだけだ。」

 

驚いたような表情を浮かべるフェイトだったが、ヒイロに手を握られていることをなんとなく嬉しく感じたのか、表情を綻ばせながら、隊舎に引きずられていくのだった。

 

 

 

 




堕ちたな(確信)

フェイトとはやての両方を堕とした挙句にティアナまで堕としたと聞いて、私は確かにこう言ったと思います。

なんてことだ、もう助からないゾ♡
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