魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜 作:わんたんめん
実は前話で蛇遣い座って書いたんですけど、自分の勘違いで思いっきり自分が考えていたものとは全然違う星座を使っていました。
感想でもご指摘はあったのですが、その時点でなぜか気づかず、そのままこの話を書いていた途中で気づくという明らかなまぬけをしてしまいました_:(´ཀ`」 ∠):
ですので、この話を出した直後、前の話も訂正します。
改めて、勘違いをさせて申し訳ないです………_:(´ཀ`」 ∠):
解析したエアリーズからジェイル・スカリエッティのすぐそばにいると思われるドクターJのメッセージを受け取ったヒイロとなのは。
そのメッセージに記されてあった聖王のゆりかごについて知るために、メッセージの中にもあった聖王教会に向かおうとする。
今はその解析結果と聖王教会への訪問を行うための許可を取るために部隊長であるはやての元へ向かう。
「あのドクターJっていうおじいさんが言っていた2番目とか13番目の娘って何のことだろうね?」
「前者はともかく、後者は聖王教会に調べをつければわかることだ。聖王のゆりかごなどというあからさまな単語もあったからな。ところでだが、聖王教会とはどのような組織だ?」
ヒイロがなのはに聖王教会についての概要を尋ねるとなのははその概要を思い出そうとしているのか、考え込むような仕草を浮かべる。
「えっとね…………一言でいうなら次元世界で最大級の規模がある宗教組織、かな。私もあんまりちゃんと聞いたことはないんだけど、禁忌とか制約とかが厳しくないから、結構な信徒さんがいるらしいよ?」
「つまり、あまり全容のわかっていない、危険性のある団体ということか?」
「ち、違うの!!一応、教会とは名を打ってはいるけど、その理念がロストロギアの回収とか、管理局と共通している部分も多いから、協力体制をとっているの。」
ヒイロが聖王教会を危険団体と認識しそうだったことに焦ったのか、慌てた様子で説明を付け加える。
ヒイロはそんななのはの慌てた様子には少しも目に暮れずにその説明だけを聞きながら部隊長室へ向かっていく。
そして部隊長室の扉が見えてくると、ヒイロはノックすらせずにその扉を開け放つ。
「んぉー?ヒイロさんになのはちゃん?エアリーズの解析終わったんか?」
「おおよその解析は済んだ。あれはガジェットにモビルスーツの皮を被せたような模造品だった。性能こそはほとんど本物と遜色はないが、耐久での面はガジェットと相違はない。それとだがーーーー」
「聖王のゆりかごとはなんだ?」
「…………ちょい待ってな。それ、あのエアリーズの解析で出てきたんか?」
「正確に言えば、向こうの内通者からのメッセージの中に含まれてあった。」
ヒイロがその単語を出した瞬間、はやての表情が一瞬固まるが、すぐさま行動に移した。
手元の端末を操作すると、ディスプレイが浮かび上がる。その様子を見ている限りどこかに通信を取ろうとしているようだがーーーー
『はやて?突然連絡なんて、どうかしましたか?』
そのディスプレイから女性の声が流れる。ディスプレイ自体は透けているため、反対側にいるヒイロとなのはからそのはやてが連絡を取っている相手の金色のブロンド髪をした女性の姿が見える。
「ごめんな、カリム。ちょっと早急に話し合わなあかんことになりそうや。」
『早急に…………?一体何がーーー』
「聖王のゆりかごが、スカリエッティの戦力になっとる可能性がある。」
『っ……………わかったわ。すぐにクロノ提督にも掛け合います。はやてもーー』
「私もすぐに向かう。その、ちょっと二人くらい同行させてもええか?説明に必要なんよ。」
『ええ、構わないわ。』
「ありがと、じゃあ教会本部でな。」
はやてがそのブロンド髪の女性に向けて手を振ると通信を終えたのか空中に浮いていたディスプレイが閉じられる。
「…………なのはちゃん、ちょっと付き合ってもらってもええか?」
「…………うん。」
はやての真剣味の表情になのはもそれに影響されたのか、険しい顔つきで頷いた。
そしてはやてはヒイロに視線を移すとーーー
「ヒイロさん、そのうち話さなきゃいけないと言っとったこと、まさか次の日になるとは思わんかった。ごめんな、突然になってしまって…………。」
「…………問題ない。事後報告になるよりは数倍マシだ。」
「ん、わかった。それじゃあ行こうか。聖王教会、その本部へ。」
木々があふれる自然の中にそびえ立つ西洋風の城が一つ。その空気や周囲の人々の様子から荘厳な雰囲気を醸し出しているその城にはやての案内でヒイロとなのはは赴いていた。
「ここが聖王教会とやらの本部か。」
「私も来ること自体は初めてなんだよね……………。」
「なのはちゃん、ヒイロさん、向こうからの迎えが来たでー。」
はやての言葉に見上げていた城のような建物から視線を下げるとシスターの衣装を身に纏った女性が3人に向かって歩いてきていた。
その前髪をブツっと剣で断ち切ったような女性は3人の前に来ると一礼をする。
「騎士はやて、お待たせしました。騎士カリムがお待ちです。」
「ありがとな、シスターシャッハ。」
そのはやてに呼ばれたシャッハのあとをはやてがついていくのに続いてなのはとヒイロもそのあとをついていく。
「そういえば、ヒイロさんは初対面やよな。こちらの方はシスターシャッハ。聖王教会の修練騎士でこれから会うカリムの護衛も兼ねてるんや。」
「シャッハ・ヌエラです。よろしくお願いしますね。」
「…………………………。」
はやての紹介のあとに自身の名前を言うシャッハ。その返答にヒイロは、長ーい沈黙ののちにーーー
「…………………………ヒイロ・ユイだ。」
目線すら彼女に向けず呟くように自分の名前だけを伝える。そのあまりにも無愛想なヒイロの様子にシャッハは少なからず癇に障ったのか、眉をわずかに顰める。
(騎士はやて。この人物、些か失礼なのでは?)
(んー、そうか?ヒイロさんはいつも通りやで?)
(……………いつもこんな感情が消え失せてそうな無表情なんですか?)
思わずシャッハははやてに念話でヒイロについて感じたことを伝えるが、はやてからいつも通りとの返答が返ってきたことに驚いたような声を挙げる。
(…………ところで、この男。以前まで六課にはいない人間でしたよね?)
(そうやな。ちょうどガジェットによるリニアモーターのジャック事件の直後に六課で次元漂流者として参加してくれたんよ。)
(次元漂流者、ですか?にしては魔力があんまり感じられませんが…………)
(そりゃそうやな。ヒイロさんはリンカーコアはないで?魔力を感じへんのは当然やろな。)
(なるほど、であれば彼は研究員かそこら辺の人間ですか。)
はやての言葉からある程度の推察を立て、ヒイロが研究員かそこら辺に人間であるという予想をはやてに念話で送る。
しかし、彼女の予想は的に当たるどころか擦りすらもしていない。
(残念ですけどそれは違いますよ、シスターシャッハ。ヒイロさんは前線メンバーの一員で、しかもかなりお強いですよ?一対一だと多分勝てる人は管理局内にいるかどうか…………実際、私も一回コテンパンにやられていますし…………。)
(はぁ………………はぁっ!?」
最初こそ、なのはの念話のその内容をうまく聞き取れていなかったのか、念話で流せたシャッハだったが、よくよく聞いてみればとんでもない内容だったため、思わずシャッハは心底からびっくりしたような表情を浮かべながら声を張り上げてしまう。
当然その視線は件のヒイロに向けられていた。
「……………………。」
視線を向けられていることに気付いたのか、ヒイロはシャッハにわずかに顔を向けるが、それだけですぐに戻されてしまう。
「し、失礼しました。シスターにも関わらず、急に声を張り上げてしまうなど………。その、高町一等空尉…………さっきの話は…………?」
「ええ、紛れもない事実ですよ?それも昨日起こったことですし………。」
なのはのその様子は苦笑いこそ浮かべてはいたが、それに嘘は微塵も感じられなかった。そのことがシャッハを余計に混乱させてしまうのは無理もない話であった。
しばらく妙に視線をチラチラと向けてくるシャッハに訝しげな表情を禁じ得ないヒイロだったが、その状況も教会本部内のとある一室で終わりを迎える。
「騎士カリム、騎士はやてらをお連れしました。」
シャッハが扉を開け、中にいる人物にはやて達の来訪を伝えると3人と入れ違いになる形で部屋から退室する。
「ごめんな、カリム。突然来ることになってしまって。そして、クロノ君も。」
「まぁ、かなり予定を詰めることになったが、それは置いておくさ。それよりも、久しぶりだな。」
そういうと少年だったころから10年の月日を経て、ユーノと同じように立派な男性へと成長したクロノは懐かしむような目線をヒイロに向ける。
「クロノか。お前が一番変わったな。」
「…………まぁ、変声期の時に思い切り声が変わった上に伸びるべき時に身長が伸びてくれたからな。ところで、海鳴市に任務で赴く機会があったのだろう?エイミィ達はどうしていた?元気にしてたか?」
「気になるなら自分の足で海鳴市に立ち寄れ。仮にもお前が父親であるのならな。」
「俺だって忙しいんだ…………。少しは気を利かせてくれてもいいじゃないか。」
「知らん。お前の事情などに対する関心など少しもないからな。」
「…………なんか、風当たりが酷くないか?」
ヒイロのぞんざいな扱われ方に苦笑いを浮かべるクロノだったが、隣にいたブロンド髪の女性ーー前々から話に上がっているカリム、と思われる女性が一つ咳払いをすると、クロノは気の抜けた表情から一転して、引き締まった表情へと変わる。
「クロノ提督?談笑するのは別に構いませんが、今回はお急ぎの用です。そちらとしてもなるべく手早く済ませた方がいいのでは?」
「んん…………それもそうだな。なのはとヒイロは初対面だったな。こちらの女性は聖王教会教会騎士団の騎士、及び時空管理局理事官のカリム・グラシア。階級で言えば少将の位に就いている。」
クロノの紹介にカリムは二人に向かってぺこりと礼をする。
「高町なのは一等空尉です。」
「ヒイロ・ユイだ。」
そんな彼女になのはは敬礼を、ヒイロは別段何か敬礼などをするわけでもなく、堂々とした立ち振る舞いのまま名前だけを告げる。
「立っているのもお疲れでしょうし、どうぞこちらで用意した椅子に腰掛けてください。」
そうカリムに促されたところではやて達3人は用意された椅子に着席する。
「…………それで、はやて?ジェイル・スカリエッティの陣営に聖王のゆりかごが含まれているかもしれないってどういうこと?」
「そこはヒイロさん、説明ええか?ゆりかご自体に関してはそのあとでカリムらから説明をもらうから。」
「了解した。」
はやてからの催促にヒイロは椅子に腰掛けたまま二人に説明を始める。昨日の出撃に置いて、アフターコロニーのモビルスーツであるはずのエアリーズがガジェットと行動を共にしていたこと。
そのエアリーズを解析している最中、ドクターJからのメッセージの中に聖王のゆりかごという単語が含まれていたこと。
話したことは大きく分けてそれら二つだったが、それでもカリムとクロノが険しい表情を浮かべざるを得なかった。
「こちらからの説明、それに伴うゆりかごの存在を知った経緯については以上だ。そして、件の聖王のゆりかごについてだが、そもそもゆりかごとはなんだ?」
「聖王のゆりかごというのは、古代ベルカの伝説に伝わる戦船と呼ばれるものです。」
「戦船……………?」
「戦艦ということか?」
カリムの言葉になのはが疑問気に首をかしげる仕草を浮かべるが、すぐさまヒイロが言い換えた言葉を挙げる。その認識はおおよそ間違っていないのか、カリムは無言で頷いた。
「そもそも、お二人は聖王のゆりかご、そして私たち聖王教会の『聖王』とは誰のことを指しているのかはご存知で?」
「いや、そのエアリーズの解析の最中、あからさまに聖王教会の名前もそのメッセージの中に入っていたから直接聖王教会の本部の関係者に向かった方が早いと判断した。故にそこまでは調べていない。」
ヒイロの言葉に続くようになのはも頷くことでカリムにそれを示した。
「わかりました。聖王というのは言ってしまえばそのまま、私達聖王教会の人間が崇めている人物です。」
「それは一人の人間のことをか?それとも複数の人間を総称してそう呼んでいるのか?」
「一人の人間のことを指している。伝承によれば、永らく続いていた古代ベルカでの戦乱を終結に導いたそうだ。」
「もしかして、その時に使っていたのが、聖王のゆりかご、なの?」
カリムの説明に対してのヒイロの疑問、それのクロノへの返答の先になのはの質問、最後のなのはの質問にクロノは頷くことで聖王のゆりかごが使われていたことを伝える。
「そのゆりかごに関しての記述は無限書庫などの施設で詳細なことは書かれていないのか?」
「あるにはあるだろうな。だが、無限書庫から見つけ出すのは骨が折れるのはわかっているだろう?主にユーノの。」
「時間がかかるのはわかってはいるが。あるのであれば、探すに越したことはないだろう。」
「同じく。ならユーノに俺経由で頼んでおく。」
「いいだろう。」
この瞬間、この場にいないはずのユーノの気苦労が確定した瞬間である。自身の預かり知らぬところで休暇の返上が確定してしまったユーノの不憫になのはとはやては苦笑いをしてしまう。
「……………すまない、少し聞いてもいいか?」
そんな時ヒイロ達5人とは別の人物の声が部屋の中に響く。ヒイロ達機動六課組にはそれなりに聴き慣れた、カリムとクロノにとってはあまり馴染みのない女性の声。
その正体はもちろん、待機状態のウイングゼロからおずおずと出てきたアインスだった。
「アインスか。」
「ちょ、ちょっと待ってほしい………!?彼女は確かーーー」
何気なくヒイロが彼女の名前を呼ぶが、対するクロノは心底から驚いたような表情を浮かべる。
彼にとってアインス、もとい、初代リィンフォースは闇の書と共に消滅したものだと思っていたからだ。
「クロノ執務官、いや、今は提督とのことだったな。ともかく久しいな。貴方の記憶通り、私は確かに闇の書と運命を共にするはずだったのだが、なんやかんやで救い出されてしまったのだ。今はヒイロのデバイスに居候している身だが、闇の書とのリンクは完全に切れているからそこら辺は安心してくれ。」
「そ、そうか…………しかしはやて、彼女も生きているのならそう連絡しておいてほしいのだが…………。」
「あ、あはは…………すっかり忘れとったわ…………。」
そうはやてに苦言を呈するクロノだが、その表情はどこか和やかなものであった。
その和やかな面持ちのまま、クロノはアインスに向き直る。
「それで、聞きたいことはなんだ?」
「ああ。その古代ベルカの戦乱を治めた聖王とか言う人物のことだが、オリヴィエとかいう名前ではなかったか?それも女性の。」
「し、知っているんか!?」
「…………元はといえば私や守護騎士達も古代ベルカの生まれ。まぁ、ナハトの所為で記録は定かではありませんが、もしかすると、その時代にも活動していたこと自体はあったのもしれません。だから、彼女の名前も朧げながら記憶している、と私は考えます。」
アインスがかなり重要そうなことを話したことにはやては驚いた表情で彼女を見つめるが、アインス自身がその記憶を保有している彼女なりに考えた理由に、ひとまず納得の表情を浮かべる。
「無限書庫を利用する以上、検索魔法を使用するのだろう?記憶が定かではないという不確定要素こそあるが、ユーノの気苦労も少しは緩和されるだろう。」
「…………カリム。彼女の話していることは教会の目線で、相違点などは?」
「…………はっきり言いますと、聖王に関して、こちらで保有している情報には限りがあります。それこそ無限書庫で調査してもらった方が早いでしょう。ですが、聖王の個人名まで検索にかければ、彼女の言う通り、時短になるのは目に見えているでしょう。」
クロノからの確認に、カリムは難しい表情をあげながら、その情報に確証性を持たせることはできないと言うが、それでも調査の時短になるのに変わりはないと言う。
「そうか。なら次の題に入らせてもらう。」
「え、あるんか?」
「むしろこっちが私たちにとって本題なんだよね………。」
「話しの切り口にゆりかごの名前を出したのだが、それを聞いた途端にお前が足早にクロノ達との会談を作ってしまったからな。」
なのはが気まずそうに、ヒイロははやてにわずかに目を細め、ジトっとした目線を向ける。
はやてはそのことに渇いた笑い声を上げると二人に向けてごめんなと一言だけ言って頭を下げた。
「でもな、ヒイロさん達がゆりかご以外に話すことがあったように、私らにも他に話すことがあるんや。」
「それはなんだ?」
「……………機動六課の設立、その本当の理由や。」
「…………そういえば聞いていなかったな。」
「機動六課は確か…………ロストロギア、レリックの捜索が主だった任務でその他にも幅の広い範囲を、それでいて小回りの効く部隊………って言うのが理由、だったよね?」
なのはがはやてから編入当初に聞いていた六課の設立の理由を述べる。
「うん。それもちゃんとした理由の一つや。この前の空港の爆発事件で、管理局の対応がどうしても遅くなってしまうことを憂いたから建てた、そんな感じの部隊や。でも本当の理由はーーカリム。ちょっとよろしくな。」
はやてがカリムにそう頼むと彼女は椅子から立ち上がり、懐から何かを取り出した。彼女が取り出したのは手のひらにギリギリ収まるほどの大きさの古ぼけた紙片の束だった。
しかし、カリムが魔力を込めるとその古ぼけた紙片が光を帯び、カリムの周りを囲むように展開される。その空中を浮いていた内の二つがヒイロとなのはの元へ飛んでいく。
反射的にその紙片を見ると、その紙にはよくわからない文字が浮かび上がっていた。
「…………よ、読めない………。ヒイロさんは?」
「…………次元世界の管理世界どころか管理外世界の出身でもない俺が解読できると思うか?」
わずかな希望を持ってなのははヒイロに視線を向けるも至極当然の言葉で返されたことになのはは苦笑いを浮かべる。
「これは私のレアスキル『
「……………ゼロシステムの長期間版、と言ったところか。」
「え、貴方もお持ちなんですか?未来を見れるレアスキルを?」
「カリム。彼のはまた特殊なものだ。君の持っているレアスキルとは全くの別物と思った方がいい。」
ヒイロがゼロシステムのようなもの、という言葉にカリムが反応するが、即座にクロノからの説明に自身の持つレアスキルとはまた違うものであることを察したカリムは話の軌道を戻した。
「…………もちろん、欠点はあります。ミッドチルダの空に浮かぶ二つの月。その魔力がうまく揃った時にしかこの預言書の作成はできません。そのため、できて一年に一度がいいところです。預言書には世界に起こる事件がランダムに書き出されるのですが、その預言書に使われるのは古代ベルカ語。よって翻訳作業があるのですが、解釈によって意味が変わってしまうのもしばしば…………。ですので、解釈ミスを含めれば的中率や実用性は割とよく当たる占い程度なのですが…………。」
「あ、一応、ちゃんと当たって未然に防げた事例もあるで?だから本局とかはその占いを重要視してる。」
「……………そうか。」
カリムのそのレアスキルの説明に信憑性が無いのであれば、動く理由には些か弱いと思ったのか、微妙に眉を顰めていたがそれに気づいたはやてが即座に当たった前例があるというフォローを行うことでヒイロはひとまず口を噤んだ。
「それで、その預言の内容は…………?」
なのはがカリムの預言書に書かれている内容を尋ねると、カリムは紙片の一つを手に取って預言を読み上げる。
旧い結晶と無限の欲望が交わる地
死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る
毒竜から産み落とされた自我持たぬ星座達は、中つ大地の法の塔を悉く焼き落とす
それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる
北に輝く七つの星が落ちる時、祝福の風を伴い、小人達を侍らせた白い雪はその純白の翼を輝かせる
「これが、預言書に書かれた、今のところ有力な解釈です。」
「ヒイロさん、これ聞いてわかったと思うけど…………。」
「ああ。預言の中に含まれている自我を持たない星座というのはアフターコロニーのモビルスーツという認識でいいだろう。自我がないというのはガジェットとして存在しているため、そう言ったものがなく、完全に機械になっているということだろう。」
「ヒイロの世界のモビルスーツがスカリエッティの戦力として加えられている、か。」
「前日、ガジェットⅡ型の群勢にエアリーズが混ざっていた。さらにそのエアリーズを解析した結果………。」
クロノの悩まし気な表情を浮かべている中、ヒイロは空間にディスプレイを表示させ、エアリーズの内部データに入っていた他のモビルスーツの設計図面を見せる。
「これらはそれぞれトラゴス、トーラス、ビルゴというモビルスーツだ。少なくともこれらの機体と先ほどのエアリーズがスカリエッティの軍勢に編入されていると見ていいだろう。」
「このビルゴとかいう機体…………もっとるビーム砲、なんか?ともかく火力が高そうやな。」
「それもそうだが、こいつの真髄は肩についているパッド状の突起物だ。」
はやてがビルゴの持つビームキャノンに視線がいっている中、ヒイロはビルゴの左肩に画面をクローズアップさせる。
そのビルゴの肩には赤い突起物が四つほど取り付けられてあった。その突起物がいったいどのようなものなのか想像がつかなかったのか、なのは達は揃って疑問気な表情を浮かべる。
「プラネイトディフェンサー。一言で言えば、電磁フィールドを展開する端末なのだが、効果はビーム、実弾両方に作用する。おそらく生半可な攻撃魔法では傷をつけることも難しいだろう。」
「…………数で来られたらかなり厄介やな…………これも一応ヒイロさんの世界では量産機なんやろ?」
「そうだ。数で来られるとガンダムでもかなり手を焼く相手だ。このフィールドを貫通するには………少なくとも魔法ではなのはのディバインバスタークラスの出力は必要だ。」
ヒイロがプラネイトディフェンサーを突破するには最低限、なのはクラスの砲撃魔法の使い手が必要ということに、なのはは息を呑み、クロノやはやて、そしてカリムは揃って目を見開くことで驚きを露わにする。
「…………つまり、手数を強みにしている魔導師にとっては天敵に他ならない、ということか。」
「フェイトのようなスピードで翻弄し、数で勝負するタイプの魔導師は完封されてしまう可能性も否定できない。近接戦闘に持ち込めばフィールド内に無理やり入り込んでの撃破も不可能ではないが、それなりの防御力を必要とされる。手持ちのビームキャノンはかなりの高出力だからな。」
「こんなものが………貴方の世界では平然と扱われていたのですか…………?」
「敵を倒すためにはより質のいい兵器を作る。それが戦争だ。それに倒すのにかなりの労力がいる敵が隊列を組みながら進撃してくる様は敵の闘志をへし折るには効果的だろう。」
クロノが難しい表情を浮かべているところにヒイロはフェイトのような魔導師だと手も足も出せない可能性を示唆する。カリムはビルゴの性能が未だに飲み込めないのか、驚愕の表情のまま、ヒイロの顔を見つめる。
そんなヒイロもさも当然と言うような口ぶりで返してしまったため、それ以上、カリムは何も言えなくなってしまう。
「戦争、か。確かにもはや事件などで済ませられる範囲は超えていそうだ。その推測される被害や規模も。」
「………………………。」
クロノが自身の顔の前で手を組みながら深刻な面持ちで言った言葉になのは達は悲痛な表情を、ヒイロは無表情のままだが、さながら押し黙っているようにも見えた。
「それこそ、海と陸の連携がギクシャクしたままやと、かなり不味いことになるよね…………。」
「そうだな。だが、まだ戦争状態に入ってしまったわけではない。やれることはあるはずだ。ヒイロ、そのモビルスーツのデータを本局に渡してもらえないだろうか?データさえ有れば、仮想空間で再現ができ、局員達の事前演習ができる。」
「……………いいだろう。だが、条件がある。事が終わり次第、モビルスーツに関するデータは全て破棄しろ。のちの火種になりかねんからな。」
「わかった。俺一人では難しいかもしれないが、かの三提督に掛け合ってもらえれば出来るかもしれない。」
「三提督って…………え、クロノ君、もしかしてあの人達も六課の後ろ盾なの?」
「実はそうなんやで、なのはちゃん。六課のバックにはクロノ君達の他に、三提督のおじいちゃん達もいるんや。」
「ええ〜〜〜!?」
「…………聖王教会でも出来る限りの人員は出すことを検討します。もはやミッドチルダだけで済む問題では無くなりそうですので。」
ひとまず、スカリエッティに対してかなりの戦力を用意することでまとまった話し合い。
しかし、まだその話し合いにおいて全てのことが話し終わったわけではない。主に預言の内容に関してだ。
「なし崩し的にヒイロさんのモビルスーツのことを話すことになってしまったけど、ヒイロさんは、預言のことに関して何か引っかかることはある?」
「…………それ以外は確信を持って言うことができん。だが、祝福の風というのは、アインスのことか?」
「どうなのだろうな。仮にそうだったとしてもそのあとの白い雪は確実にウイングゼロではないだろう。むしろ小人という言葉が入っているとなると地球でいう白雪姫のことを指すのではないのか?白い雪、というのも相まって私にはそう思うのだが…………。」
「シラユキヒメ…………?」
「第97管理外世界の地球って言う星の、童話に出てくるお姫様や。ちょうどカリムに見せよ思って持ってきてるんや。」
ヒイロとアインスの会話の中に出てきた白雪姫という単語にカリムとクロノが疑問気に首をかしげる。その二人にはやては以前、海鳴市に任務として赴いた時に買った白雪姫の本を二人に差し出した。
「白………雪…………。なるほど、お話の中にも小人の存在があるので、確かにこちらの方があっているようですね。」
「で…………ヒイロさんはこれに聞き覚えは?」
「ない。だが、その前の北に輝く7つの星とやらは順当に考えれば北斗七星の可能性が高い。内通者からのメッセージにもその単語があったからな。」
「そういえばあのおじいちゃん、そんな感じのことも言っていたね…………。あれ、それじゃあうみへび座は?それもあったよね、確か。」
「……………もしかして毒竜か?」
「だが、うみへび座とは何の関係もないように見えるが?」
はやての言葉にクロノは訝し気な表情で毒竜とうみへび座の接点を尋ねる。
「うみへび座とか、地球の星座にはちゃんとした由来があるんや。その元は大半が神話から持ってきてるのがほとんどなんやけど………。」
「神話の中で出てくる毒竜でパッと思いつくのはギリシャ神話のヒュドラとか、そのあたり?」
「大御所はそこやろうな……………。まぁ、それでこういうのには大抵解釈違いが当然存在するわけで…………。」
はやてはそういうと空間にディスプレイを表示させるとそこにHydrāーーーヒュドラのスペルを表示させる。
「ヒュドラってこういう感じのスペルなんやけど、実は別の読み方すると、ハイドラって読めるんや。うみへび座の由来になっているのはこっち。」
「そうなのか…………。もしかしてそのハイドラの名前を冠したモビルスーツが存在するということなのか?」
クロノはそういうとヒイロに目線を向ける。モビルスーツに関係するのであれば、ヒイロに頼る他、解答を得られることはないからだ。
しかし、ヒイロはその解答を出すことはせずに無言で首を振った。
「…………少なくとも、俺が戦ってきた中にハイドラなどというモビルスーツはいなかった。だが、戦争が終わりに近づいてきた中、詳細は分からんが、小競り合いのような戦闘がとある資源衛星で行われたと聞いている。もしかすると、そこの戦闘で使われたモビルスーツなのかもしれない。」
「そうか…………。」
ヒイロの解答にクロノは少し残念そうにするが、ヒイロがわからない以上、どう頑張ったところで答えが明確に出ることはないため、クロノは追及などは行わないことにした。
「つまるところ、この毒竜、もというみへび座に関しては、真実を明らかにするのは今のところは無理っちゅうことやな。」
「だが、当面の問題は本局と地上本部の連携だな………。このままの体制ではかなり不味いぞ………。」
「ええ…………本部の方にも掛け合い、どうにか危機が迫っていることを認識してほしいのですが………。」
「特にレジアス中将が難しいやろなー……………なんか、スカリエッティと繋がっているらしいし。」
「あぁ…………それは報告で聞いていた。というか、ヒイロに管理局本部をハッキングさせるとか、はっきり言ってアウトだぞ。」
「カリム・グラシア。お前に聞きたいことがある。」
「はい?何でしょうか?」
「スカリエッティの手の者が管理局内部の他にも聖王教会に入り込んでいたらしいのだが、何かそれらしき人物などの情報はないのか?」
あばばばばば(白目)