魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜   作:わんたんめん

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クロスレイズをプレイしていたので遅れました(正直)

でも許して………代わりにヒイロさんレベル50になってるから………ユルシテ

というか今作のヒイロさん特殊ゼリフ多すぎひん………?

鉄血の機体にはおろか、ギャラルホルン関連の人間に対してもそれっぽいものあったんやけど………


第58話 死ぬほど痛い呼び間違い

「聖王教会にスカリエッティの者が入り込んでいた、ですか…………。」

 

ヒイロの言葉にそれなりにショックを受けたのか、彼の言葉を唸るように反芻するカリム。

 

「ああ。奴は既に聖王教会での役目は終えたのか、今はいないようだが。」

「そう……ですか………。しかし、それらしい報告は…………。」

 

しばらくカリムは考え込むような仕草を浮かべていたが、程なくすると思い当たる節があったのか、目を見開いた。

 

「…………聖王教会のメンツにも関わってくるため、あまり公言はできないのですが………はやて、聖骸布がある講堂、知ってるわよね?」

「ん?うん、知っとるで。案内してもらったことがあるからな。」

 

突然、声をかけられたはやては疑問気に思いながらもカリムの質問に頷いた。

 

「良かった。実はあれ、偽物なの。」

「へぇ〜そうなんかー………………え。」

 

何気なく吐かれた事実にはやてはその真実を吐いたカリムの様子に流された後に素っ頓狂な表情を浮かべる。

その様子をカリムがにこやかな顔で眺めていることを見たはやては、話の深刻さを少しでも和ませるために利用されたことを察し、彼女にキッとした目線を向ける。

 

「偽物………つまり盗まれた前歴がある、ということだな?」

「はい。聖骸布担当の司祭が持ち出してしまったらしいのです。その当時の担当司祭は信心深い御方であったのですが、噂では修道女との関係があったようで………。」

「それはいつ頃の話だ?」

「10年は前だったかと。」

 

そんなはやての様子を歯牙にも掛けず、ヒイロはカリムとの話を進めていく。はやては行き場の失った感情をため息を吐くことでなんとか吐き出した。

 

「10年も前じゃ………その修道女の人がスカリエッティのスパイって確証は出せないよね…………。」

「スカリエッティのスパイが盗んだかどうかより、なぜ聖骸布を盗んだかを考えた方がいいだろう。」

 

時間が経ちすぎていることにより、スパイがいたかどうかの判別がつかないことになのはは残念そうな声を上げるが、ヒイロの聖骸布を盗んだ理由を考えた方がいいという言葉に、考えを切り替える。

 

「聖骸布、と銘打っている以上、その布には聖王の血液などが付着していたのか?」

「ええ、そう考えてもらっていいでしょう。」

「……………奴の目的がわかった。」

「うん………私もわかった。」

「スカリエッティは聖王をクローン技術で作り出すつもりなんやな。」

 

カリムへのたった一つの質問と前もってスカリエッティに関しての情報を仕入れていたヒイロたちはその目的がクローン技術による聖王の復活であると目星をつける。

 

「しかし………聖王を復活させてどうするんだ?ゆりかごは向こうの手の内にあるのなら、純粋に戦力強化か?」

「『13番目の娘は聖王のゆりかごの鍵』」

「それは…………?」

「内通者からのメッセージに含まれてあった文章だ。ここで『13番目の娘』というのがスカリエッティが作り出した聖王のクローンのことを指しているのならば、ゆりかごには生体認証が存在し、聖王の系譜の人物がいなければ動かせないということだろう。」

 

クロノの疑問に、ヒイロはドクターJからのメッセージに入っていた最後の文章を口にしながら、ゆりかごの起動に必要な生体部品であろうという予測を伝える。

 

「スカリエッティはクローン技術に精通している。ならば、聖骸布に付着していた聖王のDNAを培養し、オリヴィエという聖王のクローンを作り上げても、なんらおかしいところはない。」

「…………スカリエッティの奴、どこまで一般市民の人々を巻き込むつもりだ………中にはなんの罪のない子供だっているだろうに………!!」

「………そういう意味では一番の被害者は聖王のクローンである13番目の娘だろうな。ソイツはただゆりかごに乗らされただけにも関わらず、大量殺戮者のレッテルを貼られる可能性がある。ただ生まれてきただけ、原因はその身に流れるその血のせいで、な。もっともソイツが望んでスカリエッティに与するのであれば、話は別だがな。」

 

苦虫を噛み潰したようなクロノにヒイロは表情こそ無表情であったが、声色にどこか思うものがあるかのような口調で一番の被害者を述べる。

そして隣にいたなのはは望んでスカリエッティに与するという言葉に悲痛なものの表情を浮かべる。

 

「でも、進んで人を殺すなんて………。」

「手法などいくらでもある。その一つとしてはマインドコントロールでも掛けて仕向ければいいだけの話だ。」

「仮に実際やってきたら胸糞悪いじゃ済まへんな。」

 

ヒイロの言葉になのはは悩まし気な顔を浮かべ、はやては険しい表情を浮かべる。

そんな最中、ヒイロはクロノに視線を向ける。

 

「クロノ、スカリエッティのアジトの目星はついているのか?」

 

ヒイロがそう尋ねると、クロノは難しい表情を浮かべながら首を横に振った。その様子からあまりいい情報を得られていないのは、この場にいる全員が察していた。

 

「残念ながら、全くだ。一応、ロッサ………ヴェロッサ・アコーズ査察官が調査をしてくれてはいるのだが、ガジェットばかりという代わり映えのしない相手だから

成果はよろしくないのが正直なところだ。何か、話しのできる奴が出てくればそれとなりに進むのだが…………。」

「……………例の『13番目の娘』か。」

「もしくは戦闘機人でも構わない。スカリエッティがその計画に参加しているのならば、戦力として出してくる可能性が高いからな。」

「なら、当面は確実に厄介な敵になってくるモビルスーツに対する対応やな。特にこの乙女座(ビルゴ)やな。身持ちが硬いことが乙女の魅力じゃないとこ、見せてやろうやないの。」

 

はやてはディスプレイに表示されたビルゴの姿を指差しながら宣戦布告のようなことを述べる。

その様子になのはは苦笑い、カリムは愛想笑いを浮かべ、ヒイロはまるで興味がないように憮然と腕を組み、沈黙を保つ。

そんな中、クロノは何かを思い出したかのような表情を見せると、はやてにその目線を向ける。

 

「そういえば、乙女で思い出したんだが、ロッサが君にホテルアグスタで会った時、乙女のような表情を浮かべていたと言っていた。何かあったのか?」

 

ふと尋ねられたクロノの言葉。それを飲み込むのに時間が掛かったのか、はやては少々固まると、次の瞬間、顔を火山の噴火のごとく真っ赤に染め上げるとテーブルに突っ伏した。

 

「は、はやて…………?どうしたの………?」

「い………いや、その違うんよ…………その、不意を突かれたというか、なんというか………。」

 

突然のはやての豹変にカリムがたどたどしい口調ではやてに声をかけるも肝心の彼女は戯言をぶつぶつと言うだけでまるで答えになっていなかった。

その様子に見かねたクロノはなのはに視線を向けるも、微妙な顔を浮かべるだけでその口を開こうとはしなかった。

ただーーーーそのなのはの目線は無言、無表情、無関心の『無』の三拍子が揃ったヒイロに向けられていた。

 

(…………なのは、ヒイロが関わっていることは分かったが、念話で詳細を伝えてもらうことでもダメか?)

(ダメなの。これ以上はいくらクロノ君でも教えられない。もし、やたら無闇に知ろうとするなら、エイミィさんに訴えてやるの。クロノ君は純情な乙女心にヅケヅケと入り込もうとする気心の知らない人だって。)

(うっ……………わかった。素直に引き下がるよ………。)

 

詳細を聞き出そうとなのはに念話を繋げるが自身の妻の名前が出されたクロノは彼女には頭が上がらないのか、素直に引き下がる意志を示した。そのことに満足したのか、なのははにこやかな笑みを浮かべた。

 

 

その辺りで今回の会合は終わりを迎え、ヒイロたちは六課隊舎の帰路に着くことになった。

 

「あ、ヒイロさん。それに二人ともおかえり。聖王教会に出向いていたんだってね?」

 

六課の隊舎に戻るとたまたま入り口近くにいたのか、フェイトの姿があり、彼女から出迎えの挨拶が送られる。

 

「フェイトちゃん、仕事から帰ってきたところ?」

「え?うん、そうだけど………。」

「なら、ちょうどええな。ちょっとついて来てもらえるか?話したいことがあるんよ。」

 

なのはとはやての言葉にフェイトは疑問気に首を傾げながらも二人のあとをついていく。無論、ヒイロも話すことが話す内容のため、彼女らに連れ添う。

 

「それで………話したいことって何?」

 

部隊長室まで連れ添われたフェイトがそう尋ねたのを皮切りに主にはやてとなのはが彼女に聖王教会で語られたことを伝え始める。

 

機動六課設立の真の理由

 

それに伴うカリム・グラシアのレアスキルによる預言の内容

 

スカリエッティに関する戦力として存在するゆりかご、そしてモビルスーツ

 

話が終わるころにはフェイトも険しい表情を禁じ得なくなっていた。

 

「それが………はやてが六課を建てた理由なんだね。」

「うん。まぁ、後半は前日のエアリーズから、ヒイロさんが見つけたことなんやけどね。」

「…………これからの出撃………過酷、なんていう言葉で済まさなくなりそうだね………。もしかしたら、今度こそーーー」

 

 

アフターコロニーの、魔導師ですら相手にすることが難しいほどの性能を持つモビルスーツがスカリエッティの戦列に加わることと、ゆりかごという正体やどれほどの力を有しているのか測ることすらできない古代兵器の存在になのはの表情に影が差し込み、その瞳も僅かに曇る。

 

「…………二度も言わせるな。」

「ふえ?」

 

そんな彼女にヒイロが呆れた口ぶりで声をかける。なのはは突然ヒイロに声をかけられたことに間の抜けた声を上げながらヒイロに目線を移すと、ジッとなのはの瞳を見つめている彼の姿があった。

 

「戦いに不安を感じるのはいくらか譲るが、お前の周りにはフェイトたちを始めとした奴らがいる。お前一人が抱え込んでどうにかなる話ではない。」

「………………そう、だね。」

「…………それだけだ。」

 

なのはの表情に明るいものが戻ったことを確認したヒイロは踵を返して、その場から離れていった。

 

「…………大丈夫。今度はなのはのこと、絶対に無理させたりしないから。」

「フェイトちゃん…………。」

 

背後から聞こえた仲間(フェイト)の声になのはが振り向くと大きく頷きながらも優し気な目を向けている姿があった。

その彼女の後ろからピースサインをして、さながら口に出さずともフェイトと同じ気持ちであることをなのはに伝えているようなはやての姿があった。

 

「誰かを守りたい。それはここにいるみんなが思っとる。だから、今度は私たちがなのはちゃんを守らせてや。」

「二人とも……………うん。お願いね。」

 

その二人の言葉になのはは19歳、年頃の女性らしい嬉しそうな笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

それから日を跨いだ次の日、ヒイロは昼下がりの時間まで食堂で時間を持て余していた。一応、それなりに情報を漁ってはいるものの、あくまでそれは公共機関からのものであり、めぼしい情報を得ることは難しい。

 

「ヒイロさん。」

「隣、いいですか?」

 

そんな最中、自身にかけられる声がヒイロの耳に入る。声のした方向に目線を向けてみると、そこには料理ののったトレイを手にしているエリオとキャロの二人の姿があった。

 

「…………別に構わん。」

 

二人の姿を確認したヒイロはすぐさま目線を逸らすが、承諾の言葉自体は得たため、二人はヒイロがいるテーブルの椅子に腰掛けた。

 

「………スバルとティアナはどうした?」

 

いつも共にいる二人の姿がみえないことを不思議に思ったのか、ヒイロはエリオたちにその行方を尋ねた。その質問に二人は苦笑いを浮かべる。

 

「スバルさんたちは微調整してから戻ってくるみたいです。僕達も付き合いたかったんですけど、なのはさんに止められて………。」

「…………妥当な判断だ。お前たちはまだ身体が出来上がっていないからな。なのはなら、そういうだろう。」

「ですので、一足先に、と言った感じです。」

 

キャロの言葉にヒイロはそうか、と一言だけ返すと再び食堂に置かれているテレビに視線を戻した。しばらく二人の咀嚼音だけが聞こえる空間だったがーーーー

 

「……………レジアス・ゲイズ……?」

 

ヒイロが不意にレジアスの名前を出したことが気になったのか、エリオとキャロは一旦食べるのをやめてヒイロの視線を追う。

それは自然と彼が見ていたテレビに行き着くが、その画面には特徴的な筋骨隆々の身体を管理局の記章の入った青い制服の上から見せつけているレジアスの姿があった。

 

その画面の中のレジアスは自身のミッドチルダ首都の防衛思想に関しての表明を行なっていた。

その表明をいくらか掻い摘んで言えば、地上本部の局員達も修練などを重ねることで対処してきた。しかし、人員が足りない故に兵器の運用も辞さないという内容であった。

 

「兵器の運用…………。もしかして、モビルスーツのことじゃ………。」

「可能性もあるだろう。スカリエッティと繋がっているのであればな。それに戦力の増強だけに目線を向ければそれなりに有用なのは否めない。無論、ガジェットのように自動化された兵器には欠点もあるがな。」

「そうなんですか?」

 

エリオの不安気な言葉にさも当たり前のように返したヒイロの言葉が疑問に思ったのか、キャロが尋ねる。

 

「経験則、あのような自動化された兵器はターゲットの選定や行動パターンの設定を行うために必ず制御元が存在する。そこを抑えるか、もしくは電子的な介入でプログラムを操作してしまえば、無力化、ないしは暴走させ、同士討ちさせることが可能だ。」

「……そんなやり方があるんですね………。」

「…………お前達も戦場に出るのであれば、相手の観察を怠るな。できることも増えるはずだからな。」

 

ヒイロの言葉に二人は頷くと、止まっていた食事の手を再び進め始めた。ヒイロは彼ら二人の食事をマジマジと見つめる趣味は一切ないため、テレビの方向へ視線を向けていたが、座っている彼の膝の上には、いつのまにかキャロの召喚竜のフリードリヒが乗っかっており、その羽を休めるように寝ついていた。

最初こそ、自身の膝の上を勝手に占領するフリードリヒに鬱陶しい思いを抱くヒイロだったが、その離れようとしないフリードリヒに対し、軽く肩を竦める仕草をする。

 

「あ、ヒイロさん。ごめんなさい、フリードリヒが…………。」

「気にするな。お前はどちらかと言えばその残している食材を優先的に片付けるべきだ。」

 

そのヒイロの仕草でフリードリヒの行方を察したのか、キャロが申し訳なさそうな表情を浮かべる。

そんなキャロに対してヒイロはフリードリヒを膝に乗せたまま気にしない姿勢を貫きながら、彼女のトレーに鎮座しているオレンジ色の野菜ーーー見たところ、にんじんを残していることを指摘する。

 

「あう……………。」

「食べられるものは食べられる時に食べておけ。中には食べたくても食べられない奴もごまんといる。」

 

ヒイロの言葉に思うものがあったのか、キャロは少しの間沈んだ表情を浮かべるが、やがて意を決した顔をすると、勢いよくフォークでにんじんを刺すと、勢いそのままにんじんを口の中に入れ込んだ。

しばらく口の中をモゴモゴさせて悪戦苦闘するキャロだったが、やがて先ほどにんじんを口に運んだ時のような勢いでにんじんを飲み込んだ。

 

「た、食べました………。」

「そうか。」

 

にんじんを食べたことをキャロはヒイロに報告するが、彼から返ってきたのはたった三文字の、労いのようなものが一切なさそうな極めて淡白なものであった。

さながらさも当然と言っているようなヒイロの様子にエリオと、ウイングゼロからひょっこり顔を覗かせたアインスは苦笑いのようなものを揃って浮かべる。

 

「………………。」

 

そんな四人のやりとりをたまたま食堂の入り口から眺めていた人物が一人。

午前中の教導のまとめが終わり、昼食をとりにきたなのはだ。

 

(…………キャロってにんじん苦手だったんだ…………。で、ヒイロさんが諭して食べさせた。なんだかヒイロさん、お兄さんみたい。)

 

実は彼女、午後の予定に関して、ヒイロに用があったため彼の元を訪れたのだが、食堂に入ったところでキャロがにんじんを食べるまでのやりとりを見かけ、それが終わるまで待っていたのだ。

 

(お兄さん、かー…………そういえばお兄ちゃんともここのところ全然顔を合わせていない………この前海鳴市を訪れた時も海外に飛んでいていなかったし………。)

 

お兄さんという単語で自身の兄である恭也のことを思い出し、物思いにふける。9歳の時に管理局に入るためにミッドチルダに移住してから早10年。その間も恭也をはじめとした地球の家族と会えないわけではなかったが、なのはの管理局における地位の向上と時間の流れは残酷なことに、家族に顔を出せる機会を失っていった。

 

(…………そういえば、ヒイロさんにいちばーん始めに助けられた時、意識が朦朧としていたとはいえ、間違ってお兄ちゃんって呼んじゃったなぁ………。)

 

昔のことを思い出したのか、懐かしむように笑みを浮かべるなのは。意識が朦朧としていたとはいえ、ヒイロと恭也、何故か声色が似ている二人の声は家族であるはずのなのはでさえ勘違いさせるには十分なほどのようであった。

 

(ヒイロさんとお兄ちゃんを間違えたことをアリサちゃんに知られた時は、まぁ、しこたま怒られたなぁ…………。)

 

なのはが過去の出来事に対して感慨深い感情を抱いていると、ちょうどエリオとキャロが食事を終わりかけている様子が目に入った。

 

(あ、そろそろいいかな。)

 

そう思いながらなのははヒイロのいるテーブルに歩みを進め始める。後はそのままヒイロに声をかけるだけでよかったのだがーーーー

 

「お兄ちゃーん。ちょっと頼みたいことがあるんだけどーーー」

「お兄…………」「ちゃん…………?」

 

先ほどまで自身の兄の話題が彼女の中で引き摺ったのか、何故かヒイロのことをお兄ちゃん呼びしながら話しかける。

そのことをエリオとキャロが首を傾げながら指摘されるも、その理由を理解するまでになのはの脳内は少しの時間を必要としてしまう。

 

「………………あれ?」

 

ようやく違和感を覚えたのか、疑問符を浮かべるなのは。

 

「…………もしかして、ヒイロのことか?」

 

ウイングゼロからひょっこり顔を覗かせているアインスがなのはが本当に呼びたかった人物に視線を向ける。

 

「………俺はお前の兄になった覚えはない。それ以前にお前には高町恭也がいる。」

 

ヒイロは間違えられたことに特段何も思っていなかったためか、ただただ事実を突きつける。やはりというかなんというか、なのははそう簡単に割り切ることはできないようで、疑問符を浮かべていた表情から、顔を紅潮させていくと恥ずかしい気持ちを隠すようにその場に膝を抱えてしゃがみ込んだ。

 

「それで、俺に何の用だ?」

「ごめんなさい。しばらく時間を頂けないでしょうか。」

 

そういうなのはにヒイロは彼女から視線を外し、またテレビの方に視線を戻した。

 

「悪目立ちする。そこで蹲っていないでテーブルに座るなら座れ。」

「ううっ…………また間違えた…………。」

 

視線をなのはから外したヒイロだが、声の矛先だけはそのまま彼女に向けて、そういうと、項垂れた表情のまま椅子に座るとそのままテーブルに突っ伏した。

 

「お前達も食事を取り終わったのなら、さっさと片付けて休息を取っておけ。胃に内容物が入っている状態で過度な行動を行うと吐くぞ。」

「あ、はい………。」

「わ、わかりました。」

 

ヒイロからそう言われたエリオとキャロは言われた通りにトレイを戻しに向かうと、そのまま食堂から離れていった。

 

「……………それほどまでに俺と高町恭也は似ているのか?」

「似てるもん!!嘘じゃないもん!!」

 

呆れた口調でそう尋ねるとなのはは突っ伏していたテーブルから勢いよく頭を上げると、涙目でむくれた顔をヒイロに見せつけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今作でやりたかったこと1

19歳なのはにお兄ちゃんってよばせるー(なお、言われた相手は16歳という年下)

…………そういえば今回の話、テーブルに突っ伏した人多いな………なんで?
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