魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜 作:わんたんめん
はーい!!言い訳を並べまーす!!
いーち、もう片方の作品に傾倒してましたすんません!!!
ふたーつ、この作品の『規制線の向こう側』にぶっ飛んでしまいそうな話が頭の中で錯綜しまくって執筆どころではなくなりました!!
魔力切れに陥り、その場から動けなくなったはやてをヘリに担ぎ込んだヒイロ。
六課隊舎への帰還の道すがら、ドクターJからのメッセージにより存在が明かされ、最優先保護対象としていた聖王のクローンの少女を聖王教会系列の病院に搬送する。
「…………シャマル。」
「ん?何かしら?」
「フォワードの奴らが追っているはずのレリックの追跡はどうなっている?」
少女を送り届けた後のヘリにて、ヒイロはシャマルにフォワード組の状況を尋ねる。本来であれば、部隊長であるはやてに聞くのが通例だと思ったシャマルは首を傾げながらはやての方を見やる。
「どういう訳かは知らんが、はやては先ほどから上の空だ。さっきから同じことを尋ねてはいるが、ろくな返答が返ってこない。」
「あー………………。」
ヒイロの言葉と同時に、席に座ったきり、顔を赤く染め上げ、呆けている様子のはやてが視界に入ったシャマルは遠い目を浮かばせる。
「そうね、ロングアーチを介しての報告では、召喚師の少女、ちょうどキャロと同じくらいの年齢の子ね。その子が従える召喚獣と戦闘になったって上がっているわ。おそらく、ホテルアグスタで召喚獣を出してきたのもその子でしょうね。」
「……………そうか。」
「ヴィータやリィンフォースも途中から参戦してくれて、確保一歩手前までは行ったそうだけど、直前で新手の妨害にあって取り逃したそうね。でもレリックはちゃんと確保したみたいよ。」
「…………必要最低限の目標を達したのであれば、結果に関して特に言うことはない。だが、新手の詳細は上がっているのか?」
「ティアナによれば、物体や地面を透過して移動できる、らしいわね。その能力でそこからの追跡も出来なかったって。」
「地面をすり抜けて移動が可能、か。面倒だな。」
「ええ、そうね…………魔力反応もあるわけではないみたいだから、地上に降りている時に奇襲されたらひとたまりもないわ。」
ヒイロがこぼした言葉はシャマルも同意見だった様子で、同じように面倒、ないしは厄介と思っている口ぶりを見せる。
「ひとまず、隊舎に戻ってから情報のすり合わせをしましょうか。なのはちゃん達の方もあるでしょうし。」
「…………了解した。」
シャマルにそう言われたヒイロはヘリのシートの背もたれに身を預けた。
「そ、それじゃあ、唐突やったけど、今回の戦闘、ないしは調査で起こったことを精査していこか。」
ヘリが隊舎のヘリポートに着陸し、帰還したヒイロ達は既に戻ってきていたティアナ達フォワード組となのは達を集合させ、かろうじて復活したはやての主導で今回の戦闘での判明した情報の整理を始める。
もっともその微妙に残された挙動不審に気付かない守護騎士がいないわけではなかったが、主の面目を守るためにひとまず流すことにした。
「それじゃあ、まずは手短に終わる護衛組の報告からしましょうか。今回保護された少女は途中、スカリエッティの一派と思われる対象からの攻撃を受けたけど、聖王教会系列の病院に無事搬送できたわ。それと…………」
「…………襲撃した奴らが所有していたライフル銃を押収した。既にシャリオ・フィニーノをはじめとしたロングアーチに解析を回している。護衛組からは以上だ。しかし、補足として、他の奴らの説明に口出しはあるだろうがな。」
シャマルが視線を部屋の壁にもたれかかっていたヒイロに向けると、それに気づいた彼は腕を組んだまま変わらない様子で説明を続けた。
「うんうん、護衛組は特に問題はない、と。それじゃあ次は…………ティアナ達に任せたレリックの捜索について聞こうか。」
「わかりました。」
時間が経ってそれなりに調子を取り戻したのか、幾分落ち着いたはやての主導で報告を促すと、その声に返答をしたティアナが一歩前へ出る。
「今回の捜索では地下水道での戦闘が主だったものでした。幸い、まだ実働段階に至っていないのか、はたまたその必要がなかったのかは定かではありませんが、ともかく前回確認されたエアリーズといったヒイロさんの世界のモビルスーツと会敵することはありませんでした。」
そこでティアナは『しかし』と銘打つと、空間ディスプレイを展開し、そこにいくつかの画像を表示させる。そこには虫のような見た目と外骨格を有した二足歩行の生物と電気を放出しているテントウムシのような外見を持った巨大な生物の画像。
それと魔力で編んだ火球を打ち出している体の小さいーーーそれこそツヴァイと似たような妖精のような大きさの存在。
そして何よりヒイロの目を引いたのが、薄い紫色の髪を下ろし、魔力を行使しているのか、キャロのデバイスであるケリュケイオンとよく似た形状のデバイスを掲げているまだ10にも達していないような幼い少女の姿であった。
「この二枚に写っている生物は真ん中に出ている画像の少女の声にいくつか従っているような節が見受けられました。おそらく、この少女は召喚士であると思われます。それもこれほどの強力な召喚獣を使役していることから技量もかなりのものと思ってもいいと思われます。」
この少女についての簡単な推理を述べると続けて別の画像を表示する。それは薄暗く、湿気臭い地下水道の画像から晴れた空が見え、崩れている建物が随所に見える都市区画、おそらく廃棄都市区画での画像が表示される。
「これは………捕縛直前の画像やな?バインドで召喚士の女の子と融合機を縛っとるし…………。」
「融合機、というのはあの炎を出している奴のことか?」
「そうやね。おそらく古代ベルカのなんやろうけど……………。」
「で、出会い頭に唐突にバッテンチビと罵られたのです…………。」
ヒイロの質問にはやてが首を傾げながら答えるとともにツヴァイが頰を膨らませ、罵られたことに対する不服を露わにするが、ヒイロは特にそういうのに反応は示さないため、その不服は空気へと溶け込んでいった。
「ツヴァイと同じ融合機だとすれば、ロード………つまるところその主のような人物が存在するはずやけど、そこんところはどうやったん?」
「今回の戦闘では火球を放っての牽制のような行動しかしてこなかったためわかりませんが、少なくとも画像の召喚士がそうである可能性は低いと思われます。」
「となると、別にいるか、もしくはいない、か。その二択やな。」
はやてのその言葉にティアナも同意見だったのか無言で頷く仕草を見せた。
「それで、ある程度報告には挙げたのですか……………。」
そういうとティアナはディスプレイの端末を操作する。すると、どうやら表示されていた画像は動画だったらしく、召喚士の少女が拘束されていた映像が動き始める。
映像ではフォワード組の援護に出ていたヴィータがグラーフアイゼンの槌を向け、尋問を行なっているような映像が俯瞰的な第三者目線で流れていた。
路面が破損し、いくつかひび割れている部分が垣間見える高架の上で追い詰められ、バインドをかけられほぼ詰みの状態に等しいが、突然、その邪魔は現れた。
異常が起こったのはレリックが入っているケースを抱えていたキャロの足元だった。立っていた道路の路面が液状化したように揺蕩うとその地点から腕が伸び、キャロの抱えていたケースを強奪してしまう。
そして突然の強襲にヴィータやフォワード組の目線が一瞬だけキャロに注がれる。それが分水嶺だった。
ケースを強奪したと思しき人物は今度は拘束していた少女の元に水面が揺れているような波紋を出現させると、液状化した路面からその能力の持ち主と思しき、髪をセミロングにとどめた青髪の女が現れ、キャロからケースを強奪したときと同じように少女を抱えるとそのまま道路に沈み込んでいった。
辛うじて気づいたヴィータが止めに入ったが、時すでに遅し。少女と融合機にまんまと逃げられてしまった。
「この者がランスターの報告に上がっていた新手なのか?」
「そうだよ。コイツのせいでまんまと逃げられちまった。最初こそレリックも持ってかれたって焦ったんだけどよぉ、そこはティアナが機転効かせて最悪のパターンだけは回避してくれていた。ったく、いつのまに用意していたんだか…………。」
シグナムの言葉にヴィータが鼻の下を指でさすり、フォワード組の成長を照れ隠すような言葉と仕草を見せながら誇らしそうにしていた。
「一応、幻惑魔法でレリックの反応を誤魔化して、キャロの帽子の中に隠しておくっていうアナログなやり方でしたけど、なんとか通じる相手でよかったです。」
「………………………。」
そういい軽く笑みを浮かべるティアナ、その表情に何か引っかかるものを覚えたヒイロだったが、この場で追及することではないと判断し、ティアナの横顔を見つめるだけで無言を貫いた。
「よしよし、レリックの確保も無事なんとかなったから必要最小限の目標は達した訳や………………だからな…………。」
「………………………」
「お願いやから気分持ち直してなぁフェイトちゃん……………。」
肩を竦めるはやての目線の先には見るものが見ればわかるくらいに暗い雰囲気を纏ったフェイトの姿があった。部屋のソファの上で器用に足を抱きかかえているその姿の隣には苦笑いを浮かべるなのはの姿もあったが、その顔はどこか引きつっており、完全に取り繕っているのが丸わかりであった。
おそらく彼女の心中もフェイトが纏っている雰囲気と似たようなものだろう。
「だって……………」
そんなとき、不意にフェイトが口を開いた。全員の目線(ヒイロ除く)が彼女に注がれる。
「だって…………せっかくヒイロさんから頼まれたのに、取り逃しちゃったんだもん…………。」
どうやらフェイトとなのははヒイロが任せた狙撃手と観測手の拿捕に失敗したらしい。いつもの二人なら仮に失敗したとしても狼狽ることはないだろうが、ヒイロから頼まれたことを完遂できなかったということが二人の、特にフェイトの心に重くのしかかったようだ。
(だもん、って………………子供かよ…………。)
呆れてものが言えないヴィータだが、決してそれを口にすることはしなかった。口にしたら最後、二人に何をされるかわかったものではなかった。代わりにヴィータは壁に寄りかかって憮然とした様子で不干渉を貫いているヒイロに目線を移す。
(おーい、アインスー。)
(……………用件はなんとなく察せてはいるが………敢えて聴こう。なんだ?)
ヴィータはウイングゼロの中にいるアインスに念話を送ると少々思いやられるような声色のアインスの返答が返ってくる。
(察せてるなら話しが早ぇや。ヒイロに二人の激励させろよ。)
(やはりか……………ハァ………………。)
ヒイロに二人を励まさせるという予想通りの頼みにアインスはおもわずため息をついた。
(……………ヒイロにそれができると思うか?彼の知り合いに彼は無口で無愛想で無鉄砲と言われているんだぞ?)
(ってもコイツにそうさせんのが手取り早いんじゃねぇのか?特にゾッコンなフェイトにはよ。)
(それもそうだが………………ハァ………………)
ヴィータの言葉にアインスは諦めたのか再度ため息をつくとウイングゼロから半透明な体を乗り出す。その表情はあまり気が進まないが、というようなものだったが、とりあえずアインスはヒイロに声をかけることにした。
「なぁ、ヒイロ。」
「なんだ?」
アインスの呼び声にヒイロは閉じていた瞳を開き、目線をアインスに合わせる。
「…………一応、二人に何か言ってあげたらどうだ?二人が落ち込んでいるのはお前からの頼みがうまく達成できなかったことに対するものだ。」
「…………俺が言う必要があるのか?アイツらもそこまで弱くないだろう。」
「そういう問題ではないのだ…………仮にも二人の師匠なら弟子の気を遣ってやることくらい頭の片隅に入れたらどうだ?」
「俺は奴らの師匠ではない。」
「ああもう、どうしてそう頭が硬いのだか……………これではデュオ・マックスウェルが逐一疲れた反応を見せる訳だ……………。」
「……………何故そこでアイツの名が出てくる?」
肩を竦め、項垂れる表情を見せるアインスにヒイロはデュオの名前を出したことに疑問を投げかける。
そのことにアインスは答える代わりにその半透明な体の小さな指をヒイロに差し向ける。
「いいからお前は二人に時間を割け。高町が六課の象徴だとお前が思っているのであれば、今の彼女の様子はほっとけないだろう。」
それだけ言い放つとアインスはウイングゼロの中に引っ込んでいった。アインスの態度にヒイロは少しの間訝し気な顔を見せていたが、一度落ち込んでいるなのはとフェイトに視線を移すと、引っ込む直前にアインスが言っていたなのはは六課の象徴という言葉が引っかかったのか、壁に寄りかかるのをやめると二人に向けて歩を進める。
「あ……………ヒイロ、さん。」
近くまでやってきたヒイロに気付いたフェイトは小動物のような縮こまった目線を向け、彼の顔を見上げる。
その様子にヒイロは特に表情を変えることはしなかったが、わずかに肩を上下させ、竦ませているような素振りを見せる。
「今は報告を行う時間だ。結果がどうであれ、お前はその内容を話さなければならない。そういう様子を見せるのは後でやれ。時間の無駄になる。」
(うわー……………すっげぇぶっきらぼう……………。気にするなの一言もねぇ。)
(多分……………これでもいい方……………。)
ヒイロの相変わらずの言い草に白い目を浮かべ、引き気味の声を念話として送られてきたアインスが遠い目を浮かべながら苦笑いを浮かべる。
「……………うん。」
(あれでいいのか……………)
(いいんだろう。テスタロッサの中では……………。)
沈んだ表情を見せるフェイトがひとまず頷き、説明を始めてくれる雰囲気を作り始めたところでヴィータとアインスの二人は念話で会話しながら頭を悩ませた。
フェイトの説明は割愛させてもらうが、内容としては追跡自体はゼロシステムが出した予測データのおかげで幻惑に惑わされることもなく追い込むことができた。対象を追い込んだなのはとフェイトは敵の無力化をするためにお互いの持つ砲撃魔法を対象に撃ち込むことで拿捕しようとしていた。
しかし、その砲撃が直撃するすんでのところで何者かが狙撃手と観測手共々猛烈なスピードで連れ去っていったらしい。
当然気づいたなのは達も追おうとはしたものの互いの砲撃がぶつかり合った影響で反応が遅れてしまい、ティアナ達と同じように逃してしまったようだった。
「ごめんなさい。せっかくヒイロさんに任されたのに、私達……………。」
説明が終わり次第、しょぼくれた表情を見せながら再度ヒイロに謝罪の言葉を述べるフェイト。周りが何かしら声をかけた方がいいのだろうとは認識しているものの、フェイト自身が話の主導権をヒイロに譲っているため、おいそれと周りが口を出すことができないのが現状であった。
「……………スカリエッティの戦力には未だ明らかにされていない部分がほとんどだ。戦闘機人、人造魔導師、言わずもながモビルスーツも。奴が手をつけていると思われる技術は惜しみなく投入してくるだろう。しかしどれも具体的な詳細までは掴めていない。戦争において、戦力に関するそれらの詳細な情報は戦場の勝ち負けを左右するほど極めて重大なものだ。それが欠けている以上、現状後手に回っていると判断すべきだろう。」
「だが具体数が明確に数字で示すことが未だできない以上、敵の頭数の中に高速で戦闘を可能とする奴がいるということが知れただけでも、情報としては十分だ。それに今回の任務はあくまで保護した少女の護送だ。その内容が完遂された以上、それで任務は完了だ。」
「え…………で、でも…………せっかくのチャンスだったのに………。」
ヒイロの言葉になのはが困惑気味に尋ねる。確かにチャンスではあったし、それを逃したことを気に病むのは仕方のないことだろう。
「…………過ぎたことをいくら考えたところで何かが変わる訳ではない。」
「……………ま、ヒイロの言う通りだとアタシは思うぞ。過ぎたことはいくら考えたってどうしようもないしな。」
(まぁ…………あの二人の中じゃヒイロから任されたことをできなかったって言う方が心的負担がデケェんだろうけどよ…………)
ヒイロの言葉に続いて、二人に慰めの言葉を送るヴィータだったが、彼女自身の心中では苦笑いを禁じ得なかった。
そこから先はヒイロの言葉にようやく調子を取り戻したのか、なのはとフェイトの報告もとんとん描写で進んでいき、時間こそかかったが、報告会の時間は何事もなく過ぎていった。
「……………………。」
報告会から数時間経った時刻。陽が傾き始めたが、まだ空が橙色に染まるほどではないほどの時間帯にヒイロは隊舎の事務室近くである人物を待っていた。
「早く終わらせなさいよー?全くスバルったらーーーーーーーーーー」
「ティアナ。」
「ひゃいッ!?ヒ、ヒイロさん……………!?」
とはいえその人物に予め伝えていたわけではないので、ヒイロが待っていた人物であるティアナは事務室から出た瞬間にヒイロから声をかけられたことに不意をつかれ、僅かに体が飛び上がるような反応を見せる。
「お前に聞きたいことがある。」
「わ、私に、ですか?」
「………………お前の知っている奴に戦闘機人がいるのか?」
「ッ……………!?」
突然のヒイロの質問にティアナは目を見開くと、答えを考えているのか視線を右往左往させる。
「……………いるんだな?」
ティアナのその反応だけで、確信に持っていったヒイロは再度ティアナに質問を浴びせる。するとティアナは見開いていた目を閉じ、気まずそうにヒイロから顔を逸らす。その様子は観念しているかのようにも見えた。
「すみません…………ここで話せることではないので、部屋に来ていただけますか?」
「…………問題ない。」
ヒイロがそう答えるとティアナが歩き始め、その背についていくようにヒイロが歩き始める。
しばらく案内された先のティアナの部屋に着いたヒイロは出入り口付近のかべに背中を寄りかからせる。
「その…………どうして私が戦闘機人のことを知っているって思ったんですか?」
自身の机の椅子に座り、神妙な面持ちを見せるティアナの質問にヒイロは腕を組んだまま答え始める。
「戦闘機人には人とは違う差異が存在する。例に挙げるならば機械での補助、例えば視覚の強化などが挙げられる。つまり戦闘機人と人間が見える風景には数値上の誤差が存在する。人間には見えないものが戦闘機人には見える。」
ヒイロはそこで一度、つまりと付け会話を区切る。
「お前が幻惑魔法を使用するときにはその数値上の誤差を修正する必要が出てくる。しかし、それをお前は今回の任務でやっていた。つまりお前は人間と戦闘機人の間に存在する誤差の具体的な数値を知っていると言うことだ。」
「これは戦闘機人本人などの精通した人物が近くにいなければ知り得ないことだ。」
自身の推理をそう言い切ったヒイロ。対するティアナはヒイロから顔を逸らし、さながら悩んでいるような素振りを見せる。
しばらく部屋に沈黙が走ったが、ティアナは意を決したようにヒイロに向き直った。
「やっぱり、ヒイロさんは凄い人間ですね。なのはさんとかフェイトさんとは全然違う強さを持っている。」
「御託はいらん。さっさと話を進めろ。」
「………………ヒイロさんの言う通り、あたしの周りには戦闘機人の人がいます。それは……………スバルなんです。」
「………………それを知ったのはいつだ?」
スバルが戦闘機人であるという告白。それにヒイロは特に驚いた反応を見せるわけでもなく、ただ淡々と詳細を求める。
「訓練校にいた頃です。その時からずっとパートナーを組んでいたあたしに、ある日それを明かしてくれたんです。」
「………………そうか。」
「で、でもスバルは今回の事件とは何もーーーーーーーーーー」
「それはスバルの普段の生活ぶりからわかっている。アイツは人が良すぎるからな。そう腹芸ができる人間ではない。」
「そう…………ですか。」
スバルにあらぬ疑いがかかることを警戒したのか、ティアナが焦ったような様子でヒイロに詰め寄るが、その気がサラサラないという返答にひとまず安堵した様子を見せる。しかし、その節々にはまだ不安のようなものが見え隠れしているのも事実だった。
「その…………ヒイロさんはスバルが人間とは違うって知って、何か思うことはありますか?」
「……………要するに俺がこれからスバルへの態度を変えるかそうではないか、ということか?」
ヒイロがそう要約すると、ティアナは僅かに視線を揺らしながら静かに頷いた。
「変える必要がどこにある。アイツは機動六課所属のスバル・ナカジマ。それ以外には存在しない。人間であろうと戦闘機人であろうとそこに変わりはない。」
「むしろ、その程度で態度を変える人間がいるのであれば、俺はその人間を信用しない。」
それだけ言うとヒイロは聞きたいことは済んだと言わんばかりの様子でティアナの部屋を後にした。
残されたティアナはしばらく呆けたように口が開いていたが、程なくするとその表情から一転、和やかな笑みに変わる。
「……………ヒイロさん。やっぱり貴方は優しい人なんですね…………。」
そう呟いたティアナの言葉は勿論、ヒイロに届くことはなかった。
もうちょい投稿頻度上げたいなぁ…………(´・ω・`)