魔法少女リリカルなのは 〜オーロラ姫の凍りついた涙は誰のために〜 作:わんたんめん
なおもう一個の魔法少女モノの方はまぁまぁ進められた(なんで?)
『まさか、このような存在まで戦力にしていたとはな‥‥‥‥‥!!スカリエッティの、いや召喚士であるルーテシア・アルピーノの才能を侮っていたか!!』
視界に広がる巨大な魔法陣から姿を現した白亜の巨竜に驚愕するアインスをよそに冷静にその巨竜を見上げるヒイロ。
「アインス、あの現れた奴はどういう生物だ?」
『…‥私もそこまで理解があるわけではないが、あれは管理局における用語で第一種稀少個体と呼ばれる存在でその一頭以外の同じ種族や同じ個体などが確認されていない生物だ。そしてその力は総じて災害に分類されるほどに強力‥‥‥‥隊舎など跡形もなく消し飛ばされるぞ!!』
「あの図体は見掛け倒しではないということか。」
『それで済んだらどれだけ楽なものか…‥‥』
アインスからの説明を聞いてもさほど動じていないように見えるヒイロの返答に呆れと諦めが入り混じったような声を見せる。
『で、どうするんだ?はっきり言ってあれは守護騎士たちでも正直勝ちの目は薄い。できれば目には目を、召喚獣には召喚獣というわけで別の稀少個体をぶつけるのが最善だとは思うが‥‥‥‥』
「そのような都合のいい存在がいるのか?」
『ごもっともな言葉だ。』
ヒイロの言葉に今度ははっきりとそう答えたアインスは手慣れた手つきで現れた白亜の巨竜の周辺の解析を行う。時間的にわずか数秒、解析が済み、その結果も納得のいくものだったのか、やはりか、と小さいつぶやきがヒイロの耳に入る。
「何か見つけたのか?」
『ああ。あれほど規模の大きい究極召喚などというのをやったんだ。召喚獣の制御のために近くにはいるだろうと踏んでな、この画像を見てくれ。』
そう言いながらアインスはヒイロの目の前に一枚の画像を投影する。その画像は巨竜の左肩部分を拡大させたものであり、そこには光の通らない、まるで闇でも覗いているかのようなうつろな瞳で見つめる薄紫髪の少女、ルーテシア・アルピーノがそこにいた。
『召喚獣は召喚主の精神状態によって性能が大きく左右される。彼女を無力化することができれば、それに連動してあの巨竜を止めることも可能かもしれない。』
ただ、相手は第一種稀少個体だがな、ともしかしたらその例にあの巨竜は入らないかもしれないことを示唆しながら難しい表情を浮かべる。
「なんであれ、あの巨体はまともに相手するのは面倒だ。向こうの手の内が底を知れない以上、お前の挙げたプランが最適解であることに違いはないだろう。」
そう言いながらビームサーベルを構え、その剣先を巨竜に向けるヒイロ。その様子にアインスは諦めたように一つ小さくため息を吐くと、一転して表情を引き締め、同じように巨竜を鋭い目つきで見据える。
「あの男の人、一人で白天王に挑むつもり‥‥‥‥?」
眼前の小さな存在の一つが戦う闘志を見せていることに驚きと共にたった一人で文字通りのジャイアントキリングを成し遂げようとする蛮勇も甚だいいところなところになめられていると思ったのか、わずかながらに眉をひそめ、怒りの表情を見せる。
「邪魔をしないで‥‥‥‥‥!!」
ルーテシアがそう呟くと同時に白天王はその顎から天高くまで響くような咆哮を挙げる。その咆哮は風圧となってヒイロの身体を襲うが、気圧されることなくその静かな目線を崩すことはなかった。
『ゴアアアアァァァァァァァァッ!!!!』
その不遜な態度から出るふてぶてしさを別種の生き物である白天王も感じとったのか、さらにその咆哮を強めながら背中から生えた四対の濃紫の昆虫のような羽根を羽ばたかせ、暴風を瞬間的に作り出す。風の流れがヒイロの目からもきちんと形で見えてしまうほどの密度のこもった暴風は海水を巻き上げながらすさまじい轟音を響かす。
その吹き荒れる暴風をヒイロはウイングゼロの翼を大きく羽ばたかせ、上昇することでその範囲から逃れる。
「ッ…‥‥」
そしてそのままビームサーベルを構えると白天王へ向かって急降下を始める。
「あの人を落としてッ、白天王!!!」
ルーテシアの声に応え、接近してくるヒイロを白天王はその両腕の巨腕で振り払うように横に薙ぐ。この動作一つで場所によっては大災害になりかねないが、ヒイロは危なげなくバレルロールの要領で回避する。
しかし白天王の抵抗で妨害されたことに変わりはないため、ヒイロは白天王の脇をすり抜けると同時にその鱗のようなものが見えない滑らかな肌にビームサーベルの刃をあてる。
ウイングゼロのビームサーベルの出力はある程度は抑えられているとはいえ、MSのウイングゼロに使用されているガンダニゥウム合金を溶断が可能だ。
そんな破格の出力を誇るゼロのビームサーベルを第一種稀少個体に分類されているとはいえ生物である白天王の表皮が防げるはずもなく、ジュっと肉が焼けるような音と共にその白亜に一筋の焼け跡がつけられる。
「白天王ッ!?そんな…‥‥大丈夫!?」
よほどの自信があったのかは定かではないが、自分の召喚獣の中で最強と言ってもいい白天王がわずかとはいえ傷つけられたことに肩に乗っているルーテシアはひどく狼狽した様子で白天王に声掛ける。その様子を視界の端で捉えていたヒイロはわずかに表情を顰める。
「‥‥‥‥‥エピオンであればもう少し有効なダメージになったか。」
『エピオン‥‥‥‥ゼクス・マーキス、いやミリアルド・ピースクラフトが乗っていたあのガンダムか。私は彼についてはお前の記憶から見ただけでそこまで素性を知らないからどちらが彼の本当の名前なのかは存じ上げないが、確かにあの機体の得物であれば、かなり戦闘を有利に運ぶことができたかもな。』
エピオンの使用する武装はたった二つ。ヒートロッドとビームソードの格闘兵装だけだ。そのエピオンを設計したトレーズ・クシュリナーダはその機体をヒイロに手渡した際に決闘用モビルスーツだとか、
しかし、その性能は武装が二つしか用意されていないことを差し引いてもウイングゼロの出力と渡り合うには十分なほどであった上に、ヒートロッドやビームソードの出力を上げることによる近距離戦闘下での範囲攻撃は強烈の一言につきるだろう。
特に今ヒイロが戦っている白天王のような巨大な、それも生き物との戦闘においては状況によってはツインバスターライフル以上に効果的な兵装となっただろう。
要するにウイングゼロのビームサーベルでは傷つけることはできても相手が巨体がゆえにそのダメージは総合的に見ても低いだろう。
『ギュォァァァァァァァァッ!!!!』
その証拠に脇腹を傷つけられたことに怒ったか、はたまた召喚主であるルーテシアを心配させまいというように白天王は大きく翼を羽ばたかせながら咆哮を挙げる。
『あの様子では、このままではこちらがジリ貧か‥‥‥‥‥』
アインスの言う通り攻撃をすることができても、それがダメージになっていなければ意味はない上にこちら側が追い込まれる一方だ。そうなっては本末転倒なため、ヒイロはウイングゼロの翼を羽ばたかせ、再度白天王へ接近する。
「アインス、残り魔力の残量は?」
『…‥‥‥5分はまだ持たせられると思うが…‥‥ヒイロ、前だッ!!』
アインスに魔力の残り具合を聞いていたところに彼女かえあそう檄が飛ぶ。即座にその場を飛び退いたヒイロのそばを紫色の閃光が突き抜けていった。
「ビーム…‥‥いや、魔力砲のようなものか。」
回避したビームを目じりに抑えながら飛んできた方角を見据えるヒイロ。その先にはやはり白天王の姿があり、両手に埋め込まれているような紫色の水晶が向けられていた、おおかたさっきのビームもその水晶体から打ち出されたものであろうことも想像に容易かった。
『まずいな…‥‥‥何かしら一癖はある相手だとは覚悟していたが‥‥‥‥‥』
険しい表情を浮かべながら白天王をにらみつけるアインス。ヒイロの推察通り、先ほどの攻撃があの両手の水晶体から発射されたものだ。そして再び先ほどのビームによる攻撃を行うのか水晶体に怪しげな光が灯り始める。
その徐々に光を強めていく様子をヒイロは警戒こそすれど、一体どのような攻撃が飛んでくるのかまでは判断をつけることができないでいた。
何せ、その攻撃は魔力を使って行われる。リンカーコアを持たないヒイロでは流石に攻撃の詳細を掴むことはできない。
『ヒイロ!!あの攻撃には拡散と誘導の属性がつけられている!!来るぞ!!』
響くアインスの警告。それと全く同タイミングで白天王の両手の光が爆ぜ、無数の光弾となったビームがはじめは放射状に広がりつつもその一つ一つがまるで意志をもったようにヒイロに向かって軌道を修正して飛んでくる。
「ちッ‥‥‥‥!!!」
片目からしてもいつぞやかのなのはと戦ったときを思い出させるほどの弾幕の濃さにヒイロは面倒くささを感じながらとりあえず距離を離すために主翼を羽ばたかせる。幸い、弾幕の玉自体にそれほどまでの速度はないのか、ウイングゼロ本来のスピードで振り切ることは可能だ。しかし玉自体のターゲットからは逃れていないのか、離れても追尾が止まる様子は見られない。
「ッ‥‥‥‥‥」
後々文字通り対応が面倒になる。そう判断したヒイロは即座にバスターライフルを手にすると弾幕が一塊になったタイミングでトリガーを引き、放たれた山吹色の奔流がまとめて誘導弾を薙ぎ払う。
『腹部から高出力の魔力反応‥‥‥‥!!来るぞ!!」
アインスの警告と同時に白天王は腹部の水晶体から極太のビームを放った。
強烈な光に一瞬ヒイロの目がくらむが、怯む様子は見せず、自身に向かってくる奔流を避ける。
目標を見失った砲撃は背後の水面に着弾すると大きな爆発と共に海水を高々と打ち上げる。
戦闘を巻き込まれない距離からその光景を見ていた魔導士はその威力と規模に身の毛がよだつような感覚に襲われるが、ヒイロはウイングゼロのメインスラスターで目もくれずに白天王に肉薄する。
『グルルァァァァァァァァァァッ!!!』
迫るヒイロに白天王は近づけさせまいとするように巨大な両腕で振り払うがヒイロはそれを見切り、最小限の動きで回避すると伸び切った左腕にビームサーベルを突き立てる。
『グォ────』
「‥‥‥‥‥!!」
突き刺したビームサーベルを白天王の左腕の上で引きずるようにウイングゼロのスラスターで加速しながら切り裂く。
そのまま駆け上がるように向かっていく先には召喚士であるルーテシア・アルピーノの姿もあった。
「ッ…‥‥‥!!!!こっちに来ないで…‥‥!!!!」
白天王の腕に傷をつけながら駆けあがるヒイロにルーテシアは表情を恐怖で強張らせながら魔法陣を展開し、そこから羽虫のような召喚虫、インゼクトを召喚しヒイロに差し向ける。
召喚されたインゼクトは風切り音と共にヒイロに突撃するが、ウイングゼロの主翼で弾き飛ばされる。
(なんなのこの人…………!!なんでこんなに強いの…………魔力が全くないのに……………!)
相手取っている人間に魔力の反応はかけらもない。その彼が使っていると思われるデバイスも、どういう原理で魔力もなしにあの推力を出せるのかもわからない。
知っているのは彼が六課に協力者として在籍している程度のものだ。
それでも己の持つ力の全てをもってしても平然と突き進んでくるヒイロにルーテシアは自然と後ずさりをするように半歩を引いてしまう。
「こ、来ないでください!!!」
迫りくるヒイロを拒絶するようにルーテシアは悲鳴のような声を挙げながら自身の周囲に魔力で編んだダガーを展開し、ヒイロに向けて掃射する。
(ここでヤツを止める機会を逃せば、またこのドラゴンの行動に手を焼くことになる…‥‥)
チャンスは逃さない。そう判断したヒイロは向けられたダガーを避けることはせずにそのまま突っ切ろうとする。
幸い当たったとしても急所のようなところが外れているのと、非殺傷設定がある以上、直撃を受けても大したダメージにもならないという上での判断だった。
『待てヒイロ!!そのダガーの魔力、非殺傷設定が施されていない!!!』
「ッ…‥‥!?」
響くアインスの警告にヒイロはこの戦闘で初めて表情を険しいものを浮かべた。
向かってくるダガーは目の前に差し迫っていたが、ヒイロはこれに反応。手にしていたビームサーベルで弾き落とす。
しかし、流石のヒイロでも目の前にまで来た複数のダガーを全部弾き落とすのは厳しく、抜けた一本がヒイロの大腿部に突き刺さった。
「チッ‥‥‥‥!!!」
自身の爪の甘さに舌打ちするヒイロだが、すぐさま後退し、刺さったダガーを瞬時に抜き取る。当然刺さった箇所から血が流れ出るが、着ていた服を破き、それを大腿部に巻き付けることで止血を行う。
『彼女、こちらを殺すつもりでもあるのか?』
「…‥‥‥違うな。ルーテシア・アルピーノにその意志はない。」
ヒイロの視線の先には茫然とした様子で固まるルーテシアの姿があった。どこか一点を凝視したまま固まっているようにも見える彼女の目線は間違いなく自身でつけたヒイロの刺し傷に向けられていた。
「違う‥‥‥‥違うの‥‥‥わたしは‥‥‥‥わたしは‥‥‥‥!!」
「奴は少なくとも俺のような兵士ではない。誰かを傷つけることすらできない、あの少女のような、戦場に巻き込んではならない人間だ。」
「わたしは‥‥‥お母さんを助けたいだけなのに…‥‥‥!!!!!」
ヒイロを傷つけたことに冷静さを失っているルーテシアは自身の目的のようなものを零した。
「‥‥‥‥それが今のお前が戦う理由か。」
ルーテシアが自身の母親を助けるため、と言っているということはかつて行方不明になっていた彼女の母親であるメガーヌ・アルピーノは存命であると踏んでいいだろう。
ただし、身柄そのものはスカリエッティの手元にあり、彼女は母親の治療を条件に協力させられている。
そこまで思案したヒイロはわずかにため息を吐いた。
「‥‥‥‥エリオをキャロに任せると言った手前に。」
そうこぼしたヒイロは静かにビームサーベルを構えなおし、再び臨戦態勢を取った。
『ヒイロ、わかっていると思うが‥‥‥‥』
「こちらでも確認している。奴の精神状態が不安定になったかは鮮明ではないが、様子がおかしい。」
アインスの忠告にヒイロはわかっていると返し、警戒色を強める。
魔力を感知できるアインスの目には情緒不安定になったルーテシアの魔力が、一言でいうのであれば暴走しているような状態になっているのを見抜いた。
「…‥‥‥スカリエッティに何か仕込まれたか?」
ルーテシアの首元。そこには何やらチョーカーのようなアクセサリーがつけられていた。
始めみたころは彼女のバリアジャケットのデザインか何かと思っていたヒイロだが、どうやらそうではなかったようだ。
今となってはそのチョーカーの中心部が怪しく光っている。誰が見てもあれが何らかの形でルーテシアに干渉しているのは火を見るより明らかだ。
「任務了解、目標‥‥‥ルーテシア・アルピーノの保護。アインス、あとどの程度までならば保たせられる。」
『どうやりくりしても一分が限界だ。気をつけろ、彼女の魔力が暴走しだしてから召喚した奴らの様子もおかしい!下手に時間を掛けると何をされるかわかったものではない!』
「了解した。これより救出ミッションを開始する。」
「ごめん、なさい‥‥‥‥わたしは‥‥‥‥わたしは…‥‥あああああああああああああああっ!!!!!!!」
少女の絶叫と共にヒイロの目にも見える形で暴走した魔力があふれ出し、ルーテシアに召喚された生物たちも一瞬苦し気に悶えたあとに狂気に身を堕としたように暴れだす。それはもちろん白天王も例外ではなく、痛々しいとも呼べる雄たけびを上げながら、乗っていたヒイロをその風圧と身じろぎ一つで振り落とす。
姿勢制御用のスラスターで態勢を整えたヒイロが白天王を見上げると、さっきまで青かった空に黒い雲がかかり、一帯の天候を激しい稲妻が降り注ぐ危険地帯に一変させた。
その場で天候を操作するというまさしく神とも呼べる第一稀少個体の諸行に、隊員たちの心に暗雲が立ちこめ始める。
「‥‥‥‥‥」
その中でありながら、ヒイロは変わらない表情で白天王の肩に乗るルーテシアを見つめる。状況は苛烈になったが、ヒイロのやるべきことは変わらない。ルーテシアを止めれば、それに連動して召喚された生物の活動が止まる。
それがわかっているヒイロは再びウイングゼロの主翼を羽ばたかせる。全速が出せる時間は残りわずか、この雷の雨の中を突っ切れるのはこの最初の一回しかできないだろう。
これからも話進められるかなぁ‥‥‥‥(白目)
なんとでもなるはずだ!!
やってみせろよ、わんたんめん!!
(こりずに他作品との)ガンダム(クロスオーバー)だとッ!?