サガフロンティア アセルス編   作:おめかけ

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幕間 光刃皇帝アルカイザー第二十七話『再会! 年上の女(ひと)!』

 光刃皇帝アルカイザー第二十七話『再会! 年上の(ひと)!』

 

 

 星間船キグナス号の機関士見習い、レッドこと小此木烈人は改造人間ではない。どこにでもいる普通の一般人であった彼はしかしその家族を悪の秘密組織ブラッククロスに奪われ、彼自身もまた四天王シュウザーとの戦いで瀕死の重傷を負う。しかし! まさに息絶えんとしていた彼のもとに現れたアルカールの導きによって正義の味方アルカイザーとして復活したレッドは、世界の平和を守るため今日も戦う!

 

 

■前回までのあらすじ

 

 IRPOのヒューズと知り合ったレッドはキャンベルビルへと向かう。社長であるミス・キャンベルへの疑惑を深めた二人だったが確たる証拠は掴めず後ろ髪をひかれながらもその場を後にする。

 捜査の継続と再会を約束し一端ヒューズと別れたレッドは次なる航海へと出発した。マンハッタンでのブラッククロスの暗躍に不安を覚えながらもレッドはユリアとの他愛のない会話に慰められる。そうだ。俺が守りたい平和はこういうものなんだ……。正義の思いを一層燃やすレッドだったが、なんとキグナス号がカモフック一味によってハイジャックされる。変身しようにも知り合いの多い船内では思うようにできず、機関士見習いとして乗客への状況説明と安全確認を続けるレッドはそこで15年前に行方不明になったアセルスと再会するのであった……。

 

 

レッド「アセルス姉ちゃん?」

アセルス「誰?」

レッド「やっぱそうだ。俺だよ。烈人、小此木烈人」

アセルス「ああ、小此木先生とこの烈人君か! 大きくなったね。全然分かんなかった。でも、目のあたりなんか変わってないかんじ」

レッド「よく遊んでもらったもんな~。姉ちゃん、全然変わってないよな~。紙の色は緑じゃなかったけど……。ちょっと待て、変だぞ。どう見ても高校生ぐらいだ。もう10年以上も前の話だ。……キサマ、一体何者だ!」

アセルス「キサマて……。烈人君、そういう言葉遣いよくないよ」

レッド「あ、その言い方なんか懐かしい……いや騙されないぞ! アセルス姉ちゃんは……えーと、15年前に行方不明になったんだ。仮に生きていたとしても……ババアじゃないか!」

アセルス「誰がババアだ」

白薔薇「待ってください。この方は本当にアセルス様です。複雑な事情があって、十数年以上も年を取らずに眠り続けていたのです」

レッド「そんな眠り姫みたいな話を信じろっていうのかい?(……いや、待てよ。正義の味方が現実にいるわけだし、そのくらいの話なら十分ありうるか……?) ……ごめん。やっぱり信じるわ」

アセルス「え……そんなにあっさり? ありがとう……」

レッド「ていうか……、本当に生きてたのかよ……。アセルス姉ちゃん。おばさんとか、すげえ泣いてたんだぜ……」

アセルス「……うん。なんていうか、いろいろゴメン……」

レッド「いやまぁ、謝るこたないけどさ……」

アセルス「色々あってさ。……うん。なんかもう、本当にいろいろ……。十年以上も寝てたこともそうだし、他にも。何もかもが昔とは変わってしまって……」

レッド「昔とは……か。まぁ、そうだな……」

アセルス「でも、烈人君は立派になったね。機関士になったんでしょう。もう社会人じゃない」

レッド「まだ見習いだけどな」

アセルス「でもキグナス号の乗組員はすごいよ。Aクラスの星間船に乗るには資格だってたくさんいるでしょう? 頑張ったんだね……。偉い! 小此木先生も鼻高々だろうなぁ……」

レッド「……いや、親父は知らないよ。死んだんだよ。一年前に。……事故で。おふくろと藍子もさ……」

アセルス「え……。あ……」

レッド「まぁ、そういうわけでさ。俺の方も、昔とは色々変わっちまってるんだな、これが……」

アセルス「ごめんね……」

レッド「いいって! 俺は姉ちゃんが生きてるってわかって嬉しいんだよ。親父たちが生きてた頃とはもう、何もかもが変わっちまったけど、アセルス姉ちゃんだけは全然変わってなかった。俺はそれが嬉しいんだ」

アセルス「変わってない? 私が?」

レッド「ああ。十五年前のまんまだよ」

アセルス「烈人君……。君はちょっと会わない間に女を喜ばせるのが上手くなったね……。頭撫でたげようか」

レッド「いや、もうそんな年でもないからいいよ……」

 

 にこやかに談笑する二人だったが、その内にレッドは重要なことに気づく。

 

レッド「はっ! そうだった! よく考えたらこんなこと話してる場合じゃねぇ!」

アセルス「どうしたの。そんな血相を変えて」

レッド「実はこの船、いまハイジャックされてるんだ!」

アセルス「えっ」

白薔薇「まあ」

レッド「コックピットは占拠されちまったけどこっちも抵抗してる。客室までは奴らも入ってこれない。安全は保障するよ。ただ乗客たちの間で混乱が発生するとこっちとしても困るからさ。悪いんだけど、しばらく部屋の中でじっとしててもらっていいかな?」

アセルス「もしかして、ハイジャック犯は妖魔?」

レッド「いや、カモフックだけど」

アセルス「そっか……。私もハイジャック犯と戦うよ」

レッド「はぁ!? 何言ってんだよ! 危ないからいいよ!

アセルス「色々変わった、って言ったでしょう。私だって戦える」

 

 そう言ってアセルスは腰に提げた剣をレッドに見せる。

 

レッド「駄目だ! 仮に戦えたとしても俺はアセルス姉ちゃんに戦ってほしくない! よくわかんねーけどせっかく生きてたんだろ、だったら危ないことすんなって! アセルス姉ちゃんはなんかこうもっと平和で穏やかなところで温泉にでも入ってぬくぬくしてろよ! じゃあ、俺は他の客室も見て回るから、マジで部屋の中でじっとしててくれよな!」

 

 アセルスを残してレッドは部屋を出る。ぱたりと扉を閉め、(しかし、相変わらず美人だなぁ……)としみじみ思い、ぶるりと頭を振ってイカンイカン今はハイジャックのことを考えねば、と気を取り直す。

 レッドは隙を見つけてなんとかアルカイザーへと変身し、単身操縦室へと乗り込む。戦いを優位に進めるレッドだったが、姿の見えない彼を心配し探していたユリアが敵に捕まってしまう。

 

手下1「動くなアルカイザー! 動けばこの女の命はないぞ!」

アルカイザー「くっ」

ユリア「ご、ごめんなさいヒーローさん」

手下2「ゆっくりとその銃を置け!」

アルカイザー「卑怯な! その女性を離せ!」

手下1「うるせぇ! 卑怯が怖くて悪党ができるかよ! ボス! 頼んます!」

カモフック「カモカモカモ……。いよいよ俺様の力の見せどころカモね~。身動きの取れないお前には悪いが、好き放題やらせてもらうカモ~」

アルカイザー「ぐあっ」

 人質をとられ、なすすべもなくいたぶられるアルカイザー。危うし!

 

 

 

 一方その頃──。

 

 

白薔薇「年下の男の子の意地……ですか。嬉しいですね」

アセルス「うん。なんだか照れくさいけど……。ああいうことを言われると人間っていいものだなと思えてくる……。でも」

 

 どこか暗い表情を浮かべるアセルス。紅が心配そうに顔を覗きこむ。

 

紅「アセルス様?」

アセルス「でも、世界は優しい人間ばかりじゃない。ラムダ基地みたいなところでは腐ったような人間もいる。……烈人君のことが心配だな。やっぱり様子を見てくるよ」

白薔薇「ここにいろと言われたのでは?」

アセルス「烈人君は私の体のことを知らないもの。……大丈夫。どうせ私は死なないよ。烈人君が傷つくぐらいなら私が傷ついた方がいいし、それに守られてばかりいるのは性に合わないしね」

白薔薇「でしたら私もご一緒します」

紅「私も」

アセルス「うん。ありがとう!」

 

 烈人の後を追うことにした一行。間もなくレッドの後ろ姿を目にするが、声をかけようとしたその時、とんでもないものを見てしまう。

 

レッド「よし、ここなら誰もいないな……変身!」

 

 突如として閃光に包まれるレッドの姿。あまりの眩しさにアセルスたちが目を瞑った次の瞬間、正義のヒーローアルカイザーが現れる!

 説明しよう! 見習い機関士レッドが叫んだ瞬間、腰に装着したカイザーベルトがその意思に反応して周囲のカルカン粒子を吸収。反マクロダウナー効果によって力場転換を起こした粒子はたちまちのうちに戴冠結晶と化し、小此木烈人の全身を覆うよろい強化スーツとなるのだ! この間僅か0.03秒!

 変身──すなわちクラウン・アップした小此木烈人は正義の戦士、アルカイザーとなり、その拳は岩をも砕く!

 

アルカイザー「とうっ!」

 

 颯爽と駆けていくアルカイザー。茫然とするアセルス。

 

アセルス「あれ……烈人、くん……?」

白薔薇「どうやらそのようですね……」

紅「面妖な……」

 

 驚きを隠せない一行が足を止めていると、突然謎の男が現れ行く手を阻む。

 

謎の男「見てしまったか」

アセルス「あなたは?」

謎の男「私の名はアルカール。アルカイザーの正体を知ってしまった君たちを放っておくことはできない。悪いが記憶を消させてもらおう」

紅「記憶を?」

アルカール「そうだ。ヒーローは正体を知られてはならない。悲しいがアルカイザーの記憶も消さざるを得ない」

アセルス「訳がわからないな。記憶を消すとか消さないとかいきなり。やっぱりあのヒーローは烈人君なの? 彼の家族が死んだっていうのも関係しているの?」

アルカール「それを話すことはできない。危害を加えるつもりはない、大人しく私に従ってくれないだうか」

アセルス「あなたの言うことには何一つとして頷けないな。記憶を消すだなんて軽々しく言わないで。人の記憶は大切なものだ。その記憶を失って随分長い間苦しんでいるひともいる。今日一日生き抜いたその記憶が私たちを動かしているんじゃないか。記憶を奪う権利があなたにはあるの?」

アルカール「それでも正義の秘密は守られねばならん。恨みはないが……」

白薔薇「あなたは変わりませんね、怜次さん」

アルカール「どうして私の名を……。ま、まさか、あなたは!」

 

 白薔薇を見て驚愕するアルカール。

 

アルカール「さゆりさん……? さゆりさんなのか?」

白薔薇「誰のことでしょう。私の名は白薔薇というのです」

アルカール「白薔薇……。ホワイトローズ……。生きていたんですね、さゆりさん……」

白薔薇「何のことかしら」

アルカール「とぼけるのはやめてくれ! 俺はずっとあなたのことを……!」

白薔薇「あなたのことを? 自分が殺したあなたのことをずっと思い続けて来たとでも言うつもりなのですか?」

アルカール「そ、それは……」

白薔薇「今回も同じなのですね。あなたは正義のために私たちを殺そうとする」

アルカール「違う! 私はただ、記憶を消そうと」

白薔薇「人の人格は記憶が形作るものではありませんか? その記憶を消すと言うのは、人格を削ぎ落とすのと何ら変わらないのでは?」

アルカール「しかし……!」

 

とても優しい声でアルカールに言う白薔薇。

 

白薔薇「お願いです。怜次さん。どうか今回だけは私たちを──私たちとあの少年のことを見逃しては下さいませんか?」

アルカール「……ッ。わかりました……今回だけ、今回だけなら……」

白薔薇「ありがとうございます、怜次さん。あなたはいつでも優しい人」

アルカール「……さゆりさん、あなたは……」

白薔薇「さあ、アセルス様。先を急ぎましょう」

アセルス「う、うん……」

 

 立ち尽くすアルカールをその場に残し変身したレッド──アルカイザーを追っていくアセルス達。ようやく操縦室へと辿り着いた時、そこで目にした光景は──。

 

 

 倒れ伏す変身ヒーロー。勝ち誇るカモフック。

アセルス「烈人君!」

白薔薇「静かに、アセルス様。敵に気付かれます」

アセルス「あの人質をなんとかしないと……仕方がない、こうなったら……。紅、あなたの血を少し分けてもらっていいかな……?」

紅「は、はい! 喜んで!」

 妖魔の剣をその場に置き、丸腰で近づいていくアセルス。

手下1「なんだテメェは?」

アセルス「あ、あの……私、私、……私は無関係なんです! お願いです! 私だけでも助けてください!」

アルカイザー(ア、アセルス姉ちゃん……どうして来たんだ……くっ)

 怯える乗客の振りをしつつ隙を窺い、ユリアを捕らえている手下1に掴みかかるアセルス。しかしハイジャック犯たちに頭を撃たれてしまい、力なく倒れ込む。

手下2「なんだ、こいつ……。馬鹿な女だぜ!」

アルカイザー「キ……キサマらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

手下1「いや、待て! この女……紫の血……?」

カモフック「人間じゃないカモ? どういうことなんだカモ?」

 瞬間、今まさに撃たれて死んだ筈のアセルスはすっくと立ち上がり、アルカイザーへとそっと笑う。

アセルス「ねぇ、ヒーローさん。実はね……私もできるんだ。変身」

 呟いたその時、アセルスの髪の色は蒼く染まりその右手には妖魔の剣が現れる。妖魔化! 妖魔と化したアセルスは瞬く間に手下1からユリアを解放しアルカイザーを助け起こす。

アセルス「大丈夫?」

アルカイザー「あ、ああ……すまない……。(どういうことなんだ……? 血が、紫だと……?)」

手下2「ち、ちくしょう! やりやがったな! カモフック先生! いよいよ頼んます!」

カモフック「カ~モカモカモ。何がなんだかよくわからないが、女一人と傷ついたヒーローに何ができるカモ。返り討ちにしてくれるカモ!」

アルカイザー「ブライトナックル!」

カモフック「ぐふっ」

手下2「せ、先生! ヒエー退散だー」

アルカイザー「逃げたか……」

アセルス「もう、この船は大丈夫かな?」

アルカイザー「どうやらそのようだ。……危ないところを救われたな、お嬢さん。礼を言わせてくれ。だが……助けてもらってこんなことを言う資格はないのかもしれないが、あなたのような女性には戦場に出てきてほしくないな」

アセルス「(気まずい……。正体が烈人君ってわかってるだけに、この会話は気まずい……)あ、う、うん……。そうですね……」

アルカイザー「では、さらばだ。とうっ!」

 掛け声とともにどこかへと消えていくアルカイザー。しばらくしてレッドが慌てた様子で駆けつけてくる。

レッド「アセルス姉ちゃん……どうしてここに? それにこの状況は? アセルス姉ちゃんがやったのかい?」

アセルス「いや……なんていうの? 正義ノヒーローサンガ倒シテクレタンダヨ」

レッド「ヒーロー……。アルカイザーのことかい?」

アセルス「ああ、そういう名前なの、あれ」

レッド「ていうか、客室にいてくれって言ったじゃないか!」

アセルス「それは重ねがさね本当にごめんね……」

レッド「全くよう……。後の始末は船の乗組員でやることから、アセルス姉ちゃんたちは客室に戻って平和を満喫していてくれよ! 後で美味しいお菓子とかも持って行くからさ!」

アセルス「うん。ありがとう……」

 何か問うたげに帰っていくアセルス。その背中を見つめてレッドはぎりりと拳を握りしめる。

レッド(俺は一体何をやっているんだ……! 正義の味方になってみんなを守るんじゃなかったのか? また、守れなかった。俺はまた。アセルス姉ちゃんの体に何が起こっているのかはわからないが、普通なら姉ちゃんは死んでいた。俺の目の前で殺されたんだ! くそっ! 強くなってやる! 俺は……! 俺は俺の守りたいものを守るだけの力が欲しい!)

 

 

■次回予告

 

 不甲斐ない自分への怒りに更なる力を求めるレッド。しかしそんな彼の乗る船は超巨大生物タンザーに飲み込まれてしまう!

 脱出のためタンザーの体内を捜索する一行だったが、ささいなことからレッドはアセルスへの疑惑を深めていく。

 紫の血、異形の力。あなたは本当のアセルスなのか? ブラッククロスの改造人間ではないのか?

 失った過去に繋がれた二人が不信に引き裂かれようとしたその時、二人の前に邪悪なタンザーの心臓部が現れる!

 次回『絆! 驚愕のW変身!』見てくれよな!

 

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