貞操観念逆転で男女比率1:9とかどんな罰ゲームですかね   作:annwfn666

1 / 24
初投稿です

地の文多めか?未だAR小隊との出会いまででイチャコラセクハラはもう少しお待ちくだされ


本編
「最近の転生は説明付きで、もっと親切だとばかり」


「んん…?」

 

最初に感じたのは白さだった、開く目、何時もの目覚めよりぼやける視界。首だけ動かして辺りを見渡す、ぼやけるのは彼自身の目が可笑しくなったからではなく、何やら白い靄のようなものが漂っているせいであることに気付く。

 

「火事ぃ!?」

 

慌てて上半身を起こすが焦げ臭さも感じず熱も感じない、むしろ寒いくらいだ。第一、視界が悪くなるほどに煙が充満しているならすでに自分は死ぬか、少なくとも意識不明だろうと思い直し、急に起き上がったせいか、少し立ちくらみめいた感覚を覚えた頭を押さえて軽く振る。靄は時間と共に薄くなっていき、寒さを感じた理由も同時に理解する、どうやら冷気を原因とした靄だったらしい。

 

だが、それは同時に新たな疑問が湧いてくる要因となる。自分は一体どこにいるのかと、言う疑問だ。流石に大型冷蔵庫に寝るほど酔狂でもない、昨日は

 

「うん、仕事が終わって帰宅。普通に飯食って風呂入って艦これで掘り始めたら鯖攻撃食らったらしくて猫多発。発狂しつつドルフロを無心でレベリングして、12時回ったんで饅頭集めてそのまま寝…」

 

落ち着くために覚えていること、昨日の行動を口に出して確認、だが皮肉にも逆にそれが混乱に拍車をかける。

 

「あ、あれ?俺、仕事何してたっけ?ん?住所は?何処に住んでた?彼女…はいなかったなウン!畜生!!で、でも家族…あれ?思い出せねぇ!!」

 

好きだったアニメ、マンガ、ゲーム。趣味的なことに関した記憶はあるが自分のこと、家族構成、仕事、そういった事が一切合切抜け落ちていた。昨日やっていた仕事の内容はおろか、親の顔すら思い出せない。何よりも

 

「ハハ…俺、なんて名前だったっけ?」

 

自身の名前すらも。男だったことだけは朧気に理解したが、年齢も覚えていない。どう思い出そうとしても欠片も浮かんでこない自身を構成する記憶、痛みを覚えるほどに頑張ってみたが徒労に終わりガックリと肩を落とす。深呼吸、少し冷静になった頭が次の、否、トドメの混乱を呼ぶ。

 

「…さっきから喋ってる声、多分だけど俺の声じゃないよな?なんか高いし、ハッキリ言って子どもっぽい…」

 

見下ろす今の自身の体。昨日までの姿すら忘れてしまってはいたが、少なくともこうじゃなかったとだけは痛いほど理解した、せざるを得なかった。

 

「本当に子供になってやがる!」

 

ハッキリとは分からないが小学生ほどは小さくなく、高校生ほどガッシリしていない。中学生くらい、12,3歳の華奢な体。それが今の彼の肉体。それをまじまじと眺め、深い溜め息を一つ

 

「つまり、これが夢じゃない限りは…転移系じゃあない、赤ん坊からスタートでもない記憶を微妙に引き継いだ中途半端転生系notファンタジー世界かぁ…誰得だよオイ…」

 

この男、混乱しているのか冷静なのかよくわからない。

 

・・・

・・

 

それから彼は情報を集めることにした。冷気を感じたことから考えてコールドスリープでもしていたのか?上蓋らしきものはなく、完全に収納されてるであろう寝床から起き上がり、まずは素っ裸なので服をと探したがあいにくと手術患者が着るような貫頭衣のようなものしかなく、かと言って文句を言っても仕方がないのでそれを着用、スリッパ履きでペタペタ鳴らしながらコールドスリープ装置のあった部屋を出て、廊下を歩いていた。因みに誰得情報かわからないがノーパンである、男だが。

 

怖かったのは扉が開かないことだった、扉はスライド開きの金属製自動ドア。横にはタッチパネルにテンキー、カードスロットとゲームでよく見るタイプ、それこそゲームならそこらに転がっている死体からカードキーなりコードのヒントなりを漁るのだろうが運が良いのか悪いのか、死体は一切転がっていなかった。つまりノーヒント、これで開かなかったら転生したと思ったら即座に餓死決定、などという発狂物の展開だったが、恐る恐るタッチパネルに彼が手を触れると至極アッサリと扉は開いた。

 

肩透かしを覚えながらも運が良かったんだと思い直し、扉を出た彼は情報の得られそうな場所を探す。廊下には等間隔に似た金属扉が並び、照明は必要最小限。正直、扉が開いてゾンビでも出てくるんじゃないかと内心ビクビクしながら歩く。試しに適当な扉の横に矢張りあるパネルに手をかざすと扉はシュッと音を立てて開く。中は自分がいた部屋とは違い、何となく何があるか分かる程度の明るさしかなかった。

 

部屋の作り自体は同じようで自分が寝ていたと思われる装置と同型のそれが中央に鎮座しているだけ。違いと言えば自分のときは収納されて存在しなかったカバーが覆っているくらい、見た限りだと透明なそれ、ただ明かりが無ければ空っぽなのか、それとも誰か寝ているのか、判断はできない。とはいえ、明かりを探してきて中を覗き込む勇気は彼にはなかった。

 

廊下、そして部屋にも窓はなく此処が地上なのか地下なのかすら分からない、時間すらも。ただ作り自体は病院に酷似しており廊下の突き当りのナースステーション的な場所に廊下は集中しているらしい。彼がたどり着いた場所をロの形に廊下が囲み、その一辺の中央から廊下が伸びている構造だ。彼が来たのもその一本から。

 

パネルに触れ、開く扉、もはやそれに疑問を持つことなく彼は中へ踏み入る。ほぼ正方形の部屋、テニスコート二枚分くらいだろうか?かなり広い部屋の真ん中にのみに柱が立ち、両開きの扉がついている、その横に小さなボタンが三角に光っていることを考えれば恐らくは移動用のエレベーターなのだろう。他にはサーバーか、スパコンか??大きな筐体が低い唸り声を上げており、その周りに机が配置され、そういった物が幾つか部屋の数カ所にある。彼は取り敢えず入り口から一番近いそれに近づき、机の近くに倒れていたパソコンチェアを立て、その上に力なく座った。

 

一言で言うと、バテていた。自分が眠っていた部屋から此処まで精々が歩いて2,3分程度であったがそれだけで息が上がる。どれほどの間、眠っていたのかはわからないが体力、筋力が大部落ちていることを認識する。荒い呼吸を整えようと深呼吸、同時に机においてあるディスプレイに目を向ける。前には普通のキーボードにマウス、特に自分が持っているあやふやな記憶と差異はない。ただ此処でふと気づく

 

(どうやって情報見れば良いんだよ、てかまず此処なんか研究所かなんかだよね?ログイン・パスワードとか当然あるよね?個人使用のPCにすらあるし。アレ?無理じゃね?)

 

そんな物が分かりようもないし、彼にハッキングスキルなぞある筈もない。つまりは全くの無駄足であることに彼は気づいた。それに万が一入れたとしても情報を探すことができるのか?いわゆる窓のOSを使っているかも怪しい雰囲気を醸し出している筐体にも視線を向けてため息一つ

 

(しゃあない、少し休んで食料探して、エレベーターで上に上がってみるか。三角ボタンが一つ、頂点は上を指しているから此処は多分、地下かな?地下にある施設、怪しさ満載だけど調べようがないから仕方ないね。人が生活してたんだから食うものくらいはあるよね?)

 

大分疲労も取れた、見れば部屋の隅に仕切られた部屋がある、此処で働いていた者たちの休憩所やトイレ、そういったものだろう。もしかしたら非常用の食料も置いてあるかもしれない、他にもこの世界について知る事のできる紙媒体、雑誌でも良いナニカ残っていれば…そう一縷の望みをかけて立ち上がる。そしてその時にふと、無意識に言葉が口からこぼれ出た

 

「はぁ、なんでも良いから情報がほしい…」

 

食料もだが大事なのは情報、実は核戦争で世界が滅んでいて外に出た途端にゲームオーバー、そう言うことすらあり得るのだ。そんな思いがポロッと漏れただけ、なんの意味もないはずの行為。だが

 

ブゥン…

 

「なっ!?」

 

まるでその声に反応したかのようにディスプレイに光が灯り、見たこともないようなロゴが表示される。即座にID,パスワード入力画面らしきものが表示されるが幾つかの小窓が現れ、目まぐるしく文字列が流れていく。

 

「あ~なんかマトリックスで見たな~」

 

呑気に、と言うか呆然とその様子を眺めている内にパス等が入力されたことになり、デスクトップ画面へと進む。と言ってもアイコン一つ表示されておらず、黒一色。お硬い使用者だったのだろうか?

 

「なんかアニメかなんかの壁紙だったら、ヒントになったかもしれないけどな」

 

使用者の趣味はさておき取り敢えず分かったことがある、どうやら彼の音声、もしくは意識のみでPC操作が可能になっているらしい。現に今、画面に表示されているカーソルだが右に左に動いている、マウスには一切触れていない、声にも出していない、ただ「こう動け」と思うだけで動かせるようになっているのだ。

 

「これがチート、か?なんか正直、微妙だけど…」

 

生存にはあまり役立ちそうにない、等と贅沢なことを呟きつつ彼は思考にてPCに命じる「俺に関する情報を表示、取り敢えず古い方から」と。それに反応して画面に踊り始める小窓、彼は「良し」と呟き上げかけた腰を下ろし、画面に向き合う。そして一番上に表示された窓を最大化、早速読み始める。少しでも生存確率を上げるために。

 

 

-彼が目覚める少し前、同施設内地上1階-

 

 

「どうだ、M4」

 

「間違いないM16、信号はこの建物から発信されている」

 

黒い長髪、一部を緑に染めた少女がデスクトップに接続したタブレット状の機材から、視線を外さぬまま後ろに立つ少女に応える。そちらは同じような髪型、染めている色は黄色、そして右目に装着しているアイパッチが特徴的だ。戦術人形でも精鋭部隊、AR小隊の二人である。残りの二人、ピンクの長髪に碧眼のAR-15と、似たような髪の一部を赤く染め特徴的な黒いヘッドパーツを装着したSOPMODはその後ろでカバーリング中だ。

 

最初に気づいたのはM4だった、任務中に行った定期連絡。それに妙なノイズが入っていることに気付く、どうやら何処からか微弱だが全周波数にて救難信号らしきものが発信されており、それがノイズの原因だった。「らしき」とは救難信号にしてはあまりに抽象的すぎたからだ。場所や状況を知らせるわけでなく、ただただ「助けて、お願い、来て」そんな単語を羅列して発信しているだけ。此方からの呼びかけにも返答はなし。最初は鉄血の罠も疑ったが此処は一応グリフィンの勢力下ギリギリの場所、オマケに戦略的にも重要な場所でもないのでほぼ放置状態。そんな所にいつ来るか分からない人形に対して罠を仕掛けるにしてもメリットが少なすぎるだろう。

 

「注意しつつ、発信元の捜索」それが隊長であるM4の下した結論だった。その後、やはり鉄血とは一切会敵することなく発信元と思われる建物に到着、それはこの地域唯一の病院だった。周囲警戒しつつ1階受付の奥にある部屋、其処に放置されていたPCから院内ネット網にアクセス、情報を引き出している最中である。

 

「どうやらこの病院地下に何らかの研究施設があるみたい、大戦時、うぅん、もしかしたら大戦前からかも」

 

「おいおい、そいつは大した骨董品だな。今でも稼働中とは驚きだ、で?研究内容は分かるか?」

 

「其処までは…ただそれに関係ないけど幾つか不可解な点が」

 

情報を抜き終え、ケーブルをPCから外しながら首をかしげるM4

 

「一つは分かるさ、何で可動してるか、だろう?」

 

「ええ、何より電力が…太陽光パネルが屋上に設置されているようだけどこの施設全体を賄えるかは怪しいし、パネルの耐用年数も恐らくとっくに過ぎている筈、それでも動いているのは可笑しい。他に動力源が?エネルギーだけじゃない、メンテナンス無しでこれだけの施設が可動できるはずがない、故障していてしかるべきなのにそれでも可動し続けている」

 

「フン、なかなか不気味な話だ。で?他には?」

 

「さっき情報を抜くためにネットにアクセスしたでしょう?当然、セキュリティ対策されいることも考慮して攻性防壁も用意して潜った、でも…」

 

「でも?」

 

「なかった、一切、セキュリティの類が。簡単なパスワードすらもなかったのよ?「どうぞ見てください」と言わんばかりに」

 

「それは、また…」

 

どれほどの研究をしていたかはわからないが、こうして未だ動力源が可動しているところを見るにそれなりの重要性を持っていたはずだ。なのにセキュリティは皆無、ノーガードとは、全てがチグハグ、流石のM16も顔が引きつるのを覚える。怪しい、怪しすぎる。

 

「で?怪しいことは十二分に理解できたけど、どうするのかしら?そんな所に長居はしたくないから、早いところ決めて欲しいのだけど」

 

視線と銃口は入り口をキープしたままAR-15が割り込む、任務には関係ない事だし余り関わり合いにはなりたくないという意思をヒシヒシと感じる。それを感じつつもM4はチラリとSOPMODの方へ視線を向けるが、その彼女の顔には不満が見て取れる。最近、鉄血ともやりあっていないからストレスが溜まっているのだろう。味方からも引かれるほどの残虐性を鉄血に対して発揮する彼女だ、それが発散されないのは辛いのだろう。

 

確かに任務とは関係ないし、グリフィンかIOPに情報を送り、丸投げしても問題はないだろう。その程度のことなのだが、何故かM4はそれが出来ずにいた、何かこう、勘というものが囁くのが、調べるべきだと。自分は人形なのに、と自虐的な笑みを浮かべつつ調べるのに反対らしい二人を納得させる理由を組み立てる。

 

「私は調べるべきだと思う」

 

そう言うと、ちらっと此方に視線を向けるAR-15にSOPMOD、明らかに不満そうだ。それを敢えて無視しつつ続ける。

 

「確かに任務には関係ない、でも何らかの重要な研究内容を回収できるかもしれないわ。何よりこの電波を止めない限りは鉄血もいずれは気付く、そうなったらあちらも調査くらいはするはずよ。研究内容が大したことがない場合はそれでも良いけど…」

 

「最悪、あちらに持っていかれた挙げ句、何らかの形で此方に悪用される、と」

 

補足するM16に頷き、続ける。

 

「ええ、有用か否かは分からないけど調べないことには分からない。可能なら回収、持ち出せないようなら破壊工作、このくらいはしておくべきと判断します」

 

「よぅし!!そうと決まればさっさと動いて終わらせようぜ!それに此処は病院だ、お偉い院長先生の部屋なんか漁ればなんか残ってるかもしれないぞ?旨い酒とか、な?」

 

カラカラと笑いながら告げるM16に「それ、貴女が呑みたいだけでしょうに」「う~、分かったよも~」と残りの二人も不承不承従い、部屋の外へと向かう。それに続くM16の背中にM4はそっと声を掛ける

 

「フォロー有難うございます…姉さん」

 

「なぁに、隊長を支えるのも仕事のうちさ、励めよM4」

 

顔だけ此方へ向き、ウィンク一つ。前の二人に続く姉の背に視線を向けながらため息。

 

「敵わないなぁ…」

 

少し落ち込みかけた気分を持ち直すため軽く頬を叩く。愛銃を握り直し姉の背を追う、距離的な意味でも、それ以外の意味でも…




鯖攻撃食らって発狂しかけたのは実話です(作者の)

人形主観によるお話はあった方が良い?無くても良い?

  • あった方が良い
  • 無くて良い
  • 本文途中で挟む程度で

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。