貞操観念逆転で男女比率1:9とかどんな罰ゲームですかね   作:annwfn666

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この話、前回投稿から「どの部分の話入れるかな」「風呂、誰を被害sy…誰に入れてもらうかな」と考えて

投稿日の夕方頃から書き始めたら出来ました、意味が分からない。

後、少々変更として主人公の原作知識に「低体温症」も含めることにします、書き始めた頃は低体温症始まっていなかったから入れてなかったのです。

それに伴い最初の話を少し変更しています、また、未だ此処がおかしくない?と思う所がありましたら一報ください。

後、指揮官諸氏に置かれましてはバレンタインにUMP45から受け取りましたか?あの物資の数値意味があるんですね、知った瞬間に昇天するかと思いました。矢張りデレ姉は間違ってなかったんやなって。


「やっぱ貞操観念逆転してると色々違うわ」

「よろしかったのですか?」

 

全ての話し合いが終わり、正式に彼が指揮官となった後。取り敢えず今日は隣で待っている2部隊と休むように、とトンプソンと共に退室させ、少し経った後にヘリアンがそうクルーガーに尋ねる。別に彼を疑っているわけではない、確かに出自に疑問点はあるが目的は今の自分達に、ひいては人類に害になる存在ではあるとは考えにくい。M4らが送ってきたデータも突貫ではあるが調べた結果は矛盾点もなく、施設自体を調査する必要もあるだろうが何らかの罠、である可能性は限りなく低いと解析班は言っている。そう、問題は彼の方ではなく…

 

「言わんとしていることは分かる、だが、現状のままでは不味いのだ。何か巻き返すモノが必要だったのだよ、このまま鉄血を相手に戦っていくためにはな…」

 

「上層部はそれほどに?」

 

「ああ、早々に鉄血との境界線を押し上げ、人類の生活圏を広めるべきだと主張を崩さない、粘り強く慎重になるべきだと説明したが「臆病風に吹かれたか、此れだから男は…」とさ、実際は富裕層から懐に色々と入れて貰ったんだろうがな、人類云々は二の次さ」

 

「そんな!以前の物量で押してくるだけの鉄血とは違うのですよ?ハイエンドモデルの下で戦術的な動きを取ることが確認されています!それもより正確に緻密になってきている。今、焦れば必ずしっぺ返しが来るはずなのに…それが分からないとは!」

 

悔しげに怒鳴るヘリアンにクルーガーは頭を振る。

 

「正規軍が出張ってこない、その程度でしか無いと思っているのだろう。軍も余裕がないだけなのだが…そのくらいは分かっていると思った私の甘さだ、いや、分かってくれている幹部もいないわけではない、寧ろ数で言えば多いだろう。が如何せん、その少数の者の声が大きくなり過ぎたな、バックに付いているものを考えればまぁ、分からなくもないのだが」

 

「『排斥派』ですか…」

 

ポツリと漏らしたつぶやきに頷く。

 

「思想チェックは厳密にした筈なんだがな…今の地位について染まったのか、はたまたチェック担当の者が…気付いた時は後の祭りだ。おまけに物資担当でそれなりにコネとルートも持っている、容易に切り捨てる訳にはいかない」

 

それも相手の思惑通りなのだろうとクルーガーは続ける。『排斥派』、「世の全ては女性によって動かされるべき」との信条の下、男性の社会進出を頑なに妨害する集団だ。極端な者では「精液提供のみ行う装置として扱うべき」とまで主張している。そんな心情を持った者がグリフィンの上層部で席を占めていたのに気付いたのは数ヶ月前だ。上記の理由でクビにすることも出来ない、大いに混乱するのは目に見えているからだ。今は何とかクルーガーと現状を正しく判断できる幹部が多数派なので何とか抑えていられるがジワジワとその差が縮まりつつある。

 

「そんな現状に降って湧いたように現れた少年だ、正直、別の意思の介在を感じたよ、本当に偶然なのか、とな?だが今はそんな事を言っていられない。S03区で起きた事件、覚えているか?」

 

「はい、一部の人形が指揮官の横暴に耐えかね反乱を起こし、指揮官は殺害され、反乱を起こした人形も鎮圧部隊によって破壊されたと…何か裏があるのですか?」

 

「あそこの指揮官が人形を手荒く使っていたのは事実だ、だが反乱を起こすほどではない。解析班の調査により鉄血側のウィルスに感染した結果、と判明した。反乱云々はカバーストーリーだよ」

 

「なっ!?」

 

「恐ろしいことに鎮圧部隊の人形にもその兆候が見られた…一定期間、範囲内にいた場合其処から連鎖的に感染し、コントロールを鉄血側に奪う。初期段階でも此方の情報が筒抜けになるようだ、そのせいであの地区の境界線が少し下がった訳だが」

 

残念ながらその人形も経過観察後、処分せざるをえなかったこと、『傘』とそのウィルスのことを奴らは呼んでいるらしいこと。「機密だぞ?」とクルーガーはヘリアンに呟く。

 

「力押しだけでなく戦術面、おまけに絡め手まで使い始めた…IOP,16labが全力で解析しているようだがワクチンはおろか、感染したウィルスの発見すら困難と言っている。今まで以上に慎重にならねばならん時期だ。全面的侵攻などもっての外だ、だからこそ…」

 

「彼、ラン君を一番の激戦区に当て前線を押し上げ富裕層にアピール、男も戦えることを示し『排斥派』の発言力を削ぐ、ですか…」

 

「不満か?」

 

「いえ、しかし…」

 

「自分を父と呼べと言ったその傍から、義理とは言え息子を戦地へ送る…碌な死に様ではなかろうな…」

 

そう寂しげに笑うクルーガーに掛ける言葉が見つからないヘリアン。

 

「許しは請わん、恨んでくれて構わん、が…その心すら今は持てない息子か…」

 

辛いな…屈強な男はそう呟いた。

 

・・・

・・

 

(ちょっと罪悪感が湧いてきて辛い、良いのよパパ?好きにやらせてもらうから)

 

そんなクルーガーらの会話もバッチリ聞いている彼、そりゃ企業のトップが情だけで動くわけ無いやんと盗聴してみたら案の定、とはいえこの程度なら正常な企業活動の範疇だろう、特に彼としては含むものはない。だが『排斥派』とは恐れ入った、滅びるか否かの崖っぷちにおいて未だこんなイデオロギー掲げているとは…いや、此れこそが人間というやつか。

 

(いやはや、貞操観念逆転やらでどうなるか~なんてネット小説も幾つか読んだがこの世界はことさら酷いわ、現実は小説より奇なり?なんか違うか…ん?)

 

そう思いながら廊下を歩いていくと小隊らが待っているはずの部屋の前に職員が一人立っていた。此方に気づき、笑顔で近づいてくる。

 

「こんばんは、ラン君」

 

そう挨拶し、笑みを深める女性、取り敢えず彼は首を傾げつつ返事を。

 

「こんばんは、お姉さんはどなたですか?(あ~、アンタか)」

 

「ええ、話が長引くからAR小隊と404小隊には臨時宿舎に行ってもらったの。だから私が案内をさせて貰おうと思って待ってたのよ」

 

あくまで笑顔、何処までも、だが気付いていないのか彼を見る目は血走ってるわ鼻息も荒くなってるわ、で怪しいなんてものじゃない。大体、ある事に気づいてないほど彼にのみ注意を払っている時点でお察しである。

 

「そうか、だがそれには及ばないぜ。場所ならアタシも知ってるからこのまま連れて行くとしよう」

 

「と、トンプソン!?貴女いたの!?」

 

いたも何も、彼の右斜め後ろにずっと控えていたのだが…それすら気付かないほど興奮していたらしい、彼は(俺ってなんて罪な男!)等と巫山戯たことを考えていたが。トンプソンがスッとそのまま彼と職員の間に立つ。それである程度の冷静さを取り戻したのか職員はトンプソンに居丈高に出る。

 

「そ、そう?でも私が案内するように言われているの、貴女は戻っていなさいトンプソン、()()()

 

そう言えば全て解決するとばかりに『命令』をことさらに強調する職員、それに対しトンプソンはクイッと肩をすくめ彼を振り返る

 

「とのことだが?どうするね?『()()』」

 

「ボ!?」

 

「(ボってなんやねん、どうなっても良いありったけを出すの?This way...なん?)そうですね、こんな遅くまで待って頂いた上に其処まで案内してもらうのも悪いと思います。宿舎のこと、教えて頂き有難うございました、其処へはトンプソンと向かいます」

 

それだけ告げて頭を下げ、固まっている職員の横をトンプソンと共にすり抜ける。そのまま念のために後方へ注意を払っておくと物凄い目付きで此方を睨んだ後、舌打ちして足音荒く立ち去っていった。その足音が聞こえなくなった頃にトンプソンが誰に聞かせるでもなく口を開く。

 

「基本、人形は命令遵守。例外がなければ『命令』と言われれば人間に逆らえないのさ、だが…」

 

「指揮官のもとに正式に所属することになった人形は違う、と。ああ成る程、だからトンプソンが僕を『ボス』と呼んだときに驚いていたんですね、あの人は」

 

「流石だボス、察しが良いな」

 

晴れやかに笑うトンプソンにうなずき返しながら廊下を進む。「しかし」、とふと思ったように口を開く彼女。

 

「あんな怪しい職員の言い分なぞよく丸呑みしたな、AR小隊と404小隊は。それとも書類ででもその旨伝えられたか?」

 

噂を聞く限りではそんなミスをするとは思えないんだがなぁ…と呟くが彼は首を振り、答える。

 

「いえ、気付いていて敢えて油断させたんだと思いますよ」

 

ほら、と指差す先、左に曲がる廊下の角、其処から二体の人影が出てくる。彼に何かあった際、すぐに反応できる距離にいたのはM16とUMP45だ。(へぇ?君ら低体温症では雪山の空気よりも関係ヒェッヒェッな感じだったけど、仲良い…訳ないよな、なんか摺り合せでもしてたんだろうねぇ)等と前世で最後に参加したイベ中のストーリー回想を脳内放映中の彼に近づく二人、近いようで微妙な距離感がある。

 

「やぁ、ラン。話は無事終わったか?あの職員から「臨時宿舎へ移動せよ」なんて「命令」付きで言われたがね、何、ちょっとUMP45と話があったから此処に残って話してたのさ、「すぐに向かえ」とは言われなかったからな」

 

飄々と話しかけるM16、成る程、「やります(今すぐやるとは言ってない)」的なよくあるロジックで命令から逃れたのだろう、あの職員も詰めが甘い。察しはついているとは思うが、彼が到着した際に何やら通信してるのに気付いた職員である。適当な所まで連れて行ってそのまま拉致、そして…という計画だったのだろうが余りに杜撰すぎる。(ま、もうお仕舞いだろけどね、彼女)そう小さく呟き、彼はその職員が去っていった廊下の影に視線をチラリと移し、すぐに外す。もう彼の中では既に彼女は終わったモノだからだ。

 

「で、そっちはトンプソンか。まぁ噂は色々と…さっきの話を聞く感じでは、そういう事でいいのか?」

 

「お察しの通りだぜ、ま、ボスの男気に惚れたってやつさ」

 

朗らかに笑いながら答えるトンプソンに二人の頬がピクリと反応する。

 

「(いや、姐御の言ってるのは恋愛とかの好きじゃないからね?君ら反応しすぎよぉ…)自己紹介は後にして、兎に角宿舎へ行きましょう。皆待っているでしょうし」

 

言うや彼は彼女らの反応を見ず歩き出す、建物の地図なら既に脳内インスト済み。その後ろにまぁ後でな、と言った空気を漂わせた三人が続いた。

 

・・・

・・

 

「今戻りました、ただいま?」

 

取り敢えず疑問系な彼に残りの小隊員がそれぞれ返事を返す。2小隊には宿舎が別々に与えられていたが彼が戻るまでは、と一つの宿舎内で待っていたらしい。とはいえ限界だったのだろう、HK416が「それじゃあ」とだけ言って立ち去ろうとする。彼女はM16に対する憎悪だけが目立っているが他のAR小隊にも少なからず似た感情を持っているらしい、まぁよく保った方ではなかろうか?そんな彼女に彼は待ったをかける、少しだけ話を聞いていって欲しいと。承服できかねるのか、苛立ちを隠さず答える。

 

「なんの権利があってそういう事を言うのかしら?」

 

「(こりゃぁ、HK416とAR小隊員の同時運用は今の所は無理だな、ゲームとはやっぱちゃうねぇ)ありますよ、「指揮官」としてです。クルーガー父さんが既に登録しているはずですので確認してみてください」

 

限定的ではありますけどね、と添える。そう言われ、はっとした顔で虚空を睨むHK416、通信で確認しているのだろう。すぐに終わったのか「そぅ」と小さく漏らして部屋の隅においてあるダンボールへ座る、AR小隊とは部屋の中心を挟んで真逆にだ、まぁすぐにも飛び出すことはないし壁の方に向けている視線、そして顔色にも不満は取れないので納得はしてくれたのだろう。

 

「取り敢えず端的に伝えます…」

 

そう言い、彼は指揮官になること、そしてその条件を伝えた、一部は隠してだが。同時に、その話し合いの中で指揮下にはいったトンプソンの説明も。それに対する反応は大まかに喜びを持って受け入れられた、AR小隊はM16を除き笑顔を浮かべていたし、404小隊もUMP45以外、同じくだ、HK416も薄っすらとだが口元に笑みを浮かべているしG11も「決まった寝床が出来る!」と寝る気満々だ。UMP9も何時もの笑みよりも少し、深い笑みを浮かべてニコニコだ。だが此処でそのUMP9とM4がそれぞれの姉に疑問を持つ、二人共、彼に対して悪感情など持っていないのだから多少なりとも喜びを表してしかるべきだが、何故か固まっている。

 

「あの、姉さん?どうしたんですか?」「45ねぇ~?どうしたの?」

 

妹にそれぞれ声をかけられ再起動、なんか凄い顔をして彼に詰め寄る。

 

「な、なぁラン?」「い、今…」

 

「「クルーガー父さん、って言った!?」」

 

「(他は気付かなかったがいい反応だ!!)はい、言いましたが何か?」

 

お決まりのポーズを取ろうとし、即座に両耳を手で塞ぐ。直後、脳内ログを漁ったらしい他の彼女らの表情がみるみる変わり

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!?!?!?」

 

その驚愕の叫び(目を最大まで見開いたG11に知ってたトンプソン除く)が辺り一帯に響き渡った。

 

そして数分後。

 

「うるさいよ…」「あの、驚くのは仕方ないとはいえやはり周りの迷惑を考えるべきだと思います」

 

「「「「「「「ごめんなさい」」」」」」」

 

G11、トンプソン以外の全員が正座で頭を下げている、G11のセリフはアレだ、スキル発動時のやつそのまま、視線もきっとストームアイ発動時のそれっぽくてゾクゾクするのぅ!!と彼は心の中で思っていた。謝ったのだから、とまたベッドやダンボールに座ってもらい、養子縁組を結んだ理由を説明しておく。取り敢えずはこんなものだろうか。

 

「細かい計画などは明日以降に話したいと思います、激戦区で鉄血を制し、支配圏を広げることがいきなり義務付けられましたが大したことではありません。ある程度の数、そして経験豊富な皆さんの力があれば成し遂げられます。だから…」

 

宜しくおねがいします、と頭を下げる。それに「はい!」とか「頑張ろ~」と言った声が返ってくる。

 

「ハハ、やる気に満ちているがボス、気持ちは分からんでもないが上に立つ者になったらそう簡単に頭を下げちゃあいけないぜ、特に人前ではな」

 

「彼女の言うとおりよ、安く見られてしまうわ。何があっても超然としておきなさい」

 

トンプソンとUMP45の指摘を受け、そういう面もあるなと彼は頷く。

 

「(偉い人の仕事なんて並んで頭下げて禿頭フラッシュの前に晒すものだと思ってたけど、違うん?)分かりました、多少偉そうにしておけば良いのでしょうか。」

 

等と馬鹿なことをワザと言いつつ、腰に手を当ててふんぞり返って笑いを誘う。良く分からない風を装って首を傾げておいたが色々と張り詰めていた空気は吹き飛んだようだ、二隊のイザコザは今の場だけは薄まった様子。

 

そんな暖かい空気の中

 

「さて、夜も更けてきたな。ボス、肉体的にも強いとはいえ休息は大事だ、一応軽食も用意してあるし、食べて、それから…」

 

新参の彼女が善意から爆弾を落とす。

 

「風呂入って寝ちまいな、施設からこっち自分でも走り回ったろうし背負われたとはいえ埃や硝煙に汚れてるだろう?アタシはあんま好きじゃないが…ボスは別だろ?その辺は綺麗にしないとな」

 

ガタタタッ!!!

 

一斉に人形達が顔を上げ、彼に視線を向ける(一名除く)。その様に彼は(お風呂イベントだ、やったぜ)などと思い、トンプソンはアレ?アタシなんかやっちまった?と首を傾げた。

 

・・・

・・

 

「よ、良し、じゃあまずは服を脱いでね~」

 

「はい、分かりました」

 

スルッ…パサッ…

 

(ご、ゴクリ…やばいよ45姉、耐えられないかもしれない!!)

 

(生唾飲み込む音生々しいっすよ、9さんや)

 

現在、宿舎備え付けのバスルーム脱衣所にいるのは彼とUMP9の二人のみ、服を脱ぐように言われた彼はワザとゆっくり、かつ衣擦れの音が大きく響くように脱ぐ、その効果はバッチリだったようだ。う~ん、この!

 

何故、こうなったのか。時間は少し巻き戻る。若干名、興味を示さない者もいたが殆どの人形が彼と入浴し、背中を流す!というイベントをこなさんと牽制し合う、何せ彼がいた施設ではシャワーしかなく、しかも入浴と言うよりは洗浄というレベルだったらしく(壁のや天井の噴出口から消毒液が吹き出すタイプ)、普通の入浴が出来そうにないと分かっているからだ。だが確認したところ、臨時宿舎ということもあるのか最低限で、一応湯船もあるが2名がギリギリという広さのバスルームと判明。此処で彼と裸の付き合いという興奮から少し覚めた電脳で考える彼女ら。そう、

 

彼 と 二 人 っ き り 、 耐 え ら れ る ?

 

この時点でM4、M16、AR-15そしてUMP45の4名が若干名鼻を押さえつつ棄権、未だ覚悟が足りない。残ったAR小隊のSOPMODが勢いよく手を挙げるが…はた、とその自身の手を見る。銃把を握り、時には鉄血のクズから抜き手で目玉やら何やらを引っこ抜くその手は金属で覆われ鋭い、そんな手で例えタオル越しでも彼の背を傷つけてしまえば?自分には無理だと気付いた途端、SOPMODの目から大粒の涙が溢れ出し、ガン泣きである。慌てて姉総出で慰め+彼のお返しとばかりのナデナデでしゃくり上げる程度にまで回復した。因みに余りの泣きっぷりにあのHK416が「ま、まぁ次があるじゃないの、泣き止みなさいな」と不器用ながらも慰めたのは秘密。

 

「今度ペルシカに腕丸ごとは難しくても、手先だけのアタッチメントを作ってもらいましょう、ね?」

 

そういうM4の膝枕でグスグス、と泣き続けて実質的には棄権、AR小隊全滅である。では残りの404小隊に移ったがG11は「良いよ?洗ってくれる?」とほざいてHK416からどつかれ却下、そのHK416は「他にいなければ入ってあげても良いけど」と消極的ながらもOKだった、と言っても未だ完全に心を許したわけではなく、ちらっとUMP9の方を見、それにUMP9が頷く。実質、消去法であったが彼は満足だった、と言うか誰とでも混浴できれば素敵やん?だったし。でかくなければ胸じゃないだの、チッパイこそ至高だの、そのような低俗な醜い争いと彼は無縁だ、胸は胸であるだけで尊いのだ。あるがままであれば良い、そう、それで良いのだ。良いこと言っているが胸の話である。

 

そして脱衣所に戻る。UMP9としても子供と接した経験はある、内容は置いといてだ。だからなんとかなると思ったのだが…此方に素直で隔意もない美少年は初めてだった、感情は欠け落ちてはいるがそれが逆に問題なのだ。なぜなら

 

「脱ぎました9さん」

 

「そ、そう?じゃあ入っ…タオルを巻いてくれないかな!?マナーだからね!?(羞恥心がゼロだよぉ!!)」

 

思いっきり全裸で何も隠すことなく立つ彼、右手で左手の肘を押さえるポーズを取って、微妙に艶めかしさをアピール。此れにはUMP9も上ずった声を上げながらバスタオルくらいのタオルを渡してくる、どうやら胸の位置から下半身まで覆えという事。そしてそういうUMP9自身はタオルは下半身のみで上は覆うものは何もない、どうやら風呂では男女の隠し方が逆転しているようだ、つまりはUMP9の中々に豊満な胸が、そのピンクの突起が丸出しであり、それを見た彼は無表情な仮面の下、知る限りの言語で有難うを叫んでいた、誰に対してかはよく分からないが兎に角感謝、感謝しか無いとばかりに。

 

そんな姿で顔を真っ赤にしながらタオルを差し出すUMP9、風呂にはいるので何時もツインテールにしている髪はポニーテール、いや上の方で結んでいるからアップテールか?詳しくないからよく分からないがそんな普段と違う姿に、彼は(いぃねボタンは何処だい!?)などと脳内で呟いていた。それは置いといて、取り敢えず素直に巻くふりをする彼、無論、普通に巻くわけないが。

 

「(貞操観念逆になると女性が男性みたいになるか、水着はどうかな?流石に邪魔だから前世の女性用水着になるか?夏のスキンが楽しみですね!!逆に男が胸を隠すということは…止めよう、誰も得しないわ)すいません、よく分からなくて…(巻くも上手く結べないふりしてタオルストーン)」

 

「うぅ、む、結んであげるからじっとしててね?」

 

「はい」

 

「(ち、近い!どうしても胸が近くて見えてぇ!!)こ、此れでいいかな?じゃあ入ろうか…」

 

手を引き、浴室へ。外に通じる扉の方からガタガタ音がしてたが気にしないことにする。既にUMP9の体力は結構削れていた、具体的にはダミーが2体ほど倒れるくらい。その間も彼は存分に自身の能力を駆使しUMP9の姿を●REC、無論、画質は8Kだ。そんな事をされているとは知らず、まずは汚れを落とそうとシャワーの前に座らせ、目を瞑らせてからお湯をかけ、濡らしていく。完全に濡れたところで。

 

「はい、ちょっと目を瞑っててね~。後、洗い方も覚えてね」

 

シャンプーを泡立て、ゴシゴシと洗っていく。この時は指先を立てず、指の腹で頭皮をマッサージするように。流石に前が見えないから少し余裕を取り戻すUMP9、続けてリンス、髪は男の命というやつか。頭を綺麗にしたところでタオルにボディーソープを染み込ませ手泡立て、背中を洗っていく。そっと、ゆで卵の表面のようなツルツルな彼の背中、そっと傷つけないように慎重に洗っていく。

 

(やっぱ男の子の背中、やわっこいけど広いな~、抱きついたら気持ちい…ってダメダメ!)

 

頭を洗っている時と違い、どうしても背中やその他の部分に目が行ってしまい、妄想が電脳内で渦巻く。その関係の処理を終わらせようとするもその端から次の妄想が浮かんでしまい、追いつかない状態に。擦る度にハァハァと息が荒くなり、気がつくとだらしなく口を開け、舌を出して喘いでいる自分に気づいた。

 

(あ…)

 

擦りながら、その口が彼の背に近づいていき…

 

(!?)

 

流石に倫理コードからの警告が入る、寧ろ入るのが遅いくらいだが。慌てて彼の背から離れる、が、急に動いたので彼女の座っていた椅子がガタン、と大きい音を立ててずれた。それを聞いて振り返り、不思議そうに彼がUMP9を見る。当然、後ろを向くということは体をひねるという事であり、そうなると彼の胸のポッチが薄っすらとUMP9の視界に入り…

 

「(も、もう限界ぃ!!)あ、アハハッはごめん!久々に誰かの背中流したから加減分からずに滑っちゃった!!あとは自分でやれるよね?その要領で体を擦ってね?あんまり強く擦ったらダメだよ?」

 

ワンブレスで苦しい言い訳を吐きつつ、タオルを彼に渡し、返事を聞く前に隣のシャワーの前に移動しお湯ではなく水を頭からかぶる。だがどれだけかけても火照った体は熱を発し、真っ赤になった顔は一向に冷めてくれそうにない。

 

(お、可笑しいなぁ、45姉もそうだったけど結構私達、チョロいのかな?でも、あの時…)

 

前線基地で彼とUMP45が話しているのをそっと見ていたが、此れ以上話すことはないとUMP45が話を切り上げ、此方に歩いてこようとしていた時。彼は首を傾げていた、何時もの分からなかったときに取るポーズ、でも微かに、微かにだけど眉をひそめていた。おそらく、いやきっと、彼女も感じていたUMP45の心内を察してくれたんだと思う。その後も何かと話しかけ、ああなってしまったわけだが。あれには流石のUMP9も驚いたものだ、自分にも妹と色々と構ってくれるがまさか人間の、しかも男にああまで心を開くとは。

 

自身の感情には頓着しないが、代わりに周りの感情にはおかしな所で機敏に反応する。そんな彼にUMP45は、姉は救われようとしているのかもしれない。UMP45の奥底にあるのは人間への不信感だ、それに加えて作戦時に触れ合った男子から浴びせられた心無い言葉、命令。それらが彼女を蝕んでいった。たとえ極秘作戦という事で記憶を消されても、こびり付いた不快感は電脳の隅に残り、また彼女を追い込んでいく。「大丈夫よ」心配そうな顔をするUMP9に彼女はそう微笑んだ、全ては居場所、『404小隊』を守るため。でもその顔はどんどん強張って行って…それをどうにも出来ない自分が情けなかった、負担を肩代わりできない自分が。

 

そんな状態にあった姉妹を彼は今、救ってくれようとしているのだろう、彼に自覚もなく、そうしようとしているわけではないだろうがそれでも確かに。ならば…

 

(惹かれても仕方ない、かな?はぁ~我ながらチョロいな~本当、仕方ない、ウン。彼には指揮官として責任とってもらわないとね♪)

 

なんだか楽しくなってきた、体を支配していた熱もいつの間にか治まり、UMP9は水をお湯に戻し、自分もまた戦場を駆けて着いた汚れを落とす作業に勤しむのだった。

 

なお、タオルを受け取り大人しく他の部分を洗っている彼は…

 

(ふむ…倫理コード解除は4割方成功、かな?しかしフリーズさせようとしたら未だ生きている場所が増殖してフリーズさせたコードの肩代わりをするとかなんだコレ、無限増殖バグかな?一気に攻め落とさんとダメなのかなぁ…ま、ボチボチやりますかぁ)

 

何 や っ て ん だ テ メ ェ 

 

・・・

・・

 

そんな後一歩で18禁指定になる所だったイベントを越え、二人は湯船に並んでのんびり浸かっていた。タオルを湯船につけるのはマナー違反、というのは未だ息をしていたらしく二人は何も身に着けていない。しかし、お湯が乳白色なので見えないから一人は慚愧の念に耐えないとか心中ほざいてるし、もう一人はホッとしている。因みに乳白色な理由はこのお湯が循環式で一度浸かったお湯を濾して再度使用しているかららしい、臭いやらを付けて誤魔化してるとも言うが。まぁ汚染も広がっているこの世界でかけ流しなんてあり得ないから仕方ないのだろう。

 

「…ねぇ、指揮官、って呼んでも良いよね」

 

「ええ、書類上はもうそうなっていますから(寧ろ呼んで、しきか~~ん、って!!)」

 

「うん、じゃあ…有難う、指揮官」

 

(はいぃ?)

 

何のことか分からず、首をかしげる彼にUMP9はフッと笑う。

 

「45姉のこと、あの場で声をかけてくれたこと」

 

「(お姉ちゃん呼びしたこと?最初はやっちまったと肝が冷えたわ、訴訟)あぁ、僕もビックリ、かな?しました」

 

「其処じゃないよ、まぁ最終的にはそこに行き着くけどその前、背を向けた45姉に声をかけ続けてくれたこと」

 

「(あぁ~、なんかね、気のせいかちょっとね)寂しい、悲しい?良くは分かりませんでしたが、そんな、気がして…可笑しいですよね、自分の感情はよく分らないくせにそんな事言うのは」

 

「そんなことないよ、指揮官」

 

横にいる彼を見据え、そう言い切るUMP9。

 

「指揮官、人の感情が分かるってことは自分も感情があるってことだよ?さもなければ、人がどう思ってるかなんて分からない」

 

「(まあ実際ね、そう装ってるだけだしねぇ)そう、なんでしょうか?」

 

「うん、きっとそうだよ。指揮官はそれを表に出すのが不器用なだけ、だから」

 

恥ずかしいから見えないところで、そっと湯船の中、彼の左手に自分の右手を重ねる。

 

「一緒に、皆と取り戻していこう?だって私達もう」

 

そう言って満面の笑みを浮かべる。

 

「家族じゃない!!」

 

「(はい!お前も家族だ頂きましたー!!ファミパン不可避!!ところでその家族にはAR小隊は…聞かないほうが良いですね、ええ)家族…なれるんでしょうか?」

 

「きっとね!だから今後とも宜しく、しきか~ん♪」

 

普段の調子を取り戻してきたのか、呼ぶ声も弾んでいる。そんなUMP9を見て彼は

 

(ああ^~やっぱ9はいつでも何処でも戦場でも拷問場所でも明るくないとな~)

 

等と思いつつ、湯船の中で重ねられた手、手の平を上にして驚く9の手と指を絡ませる。少し、恥ずかしそうなふりをして笑いながら。一瞬後、熱暴走を起こしたUMP9が慌てて湯船から飛び出し、水を被る。その様子を見ながら彼は思った。

 

(生えてないんすね)

 

…お前、最低だよ…

 

 

-同時刻、???-

 

 

「ああもう!!クソが!!あそこであのガサツな人形が邪魔さえしなけりゃ上手く行ってたのによぉ!!クソッ!!人形の分際で人間様の邪魔してんじゃねえよ!!」

 

「上手く行けば借金も棒引きの上に、ホストの彼を永久指名できるって言われてたのに…クソがぁ!!」

 

「ま、まぁ良いわ。あのガキがS09地区に移るまでには未だ時間がある、またチャンスを狙っ「愚かしいですね」カハッ!?」

 

「本当に、そんな光明が貴女に訪れると思っているとは…つくづく、度し難い」

 

「あ…が…」

 

「それではさようなら、と…此方α1、掃除完了、ゴミ捨て頼む、オーバー」

 

「しかし彼…潜んでいた私に気付いてましたね?大したものと褒めるべきか、自分の隠形に気づかれて悲しむべきか…迷いますね」

 

「どちらにしても楽しみです、期待していますよ?」

 

「指揮官…」




前回の不穏フラグを一瞬でへし折りつつ回収するスタイル、いえね、誘拐されかけて~って話を書こうとしてたんだけど、多分、そういう話はあまり期待してない気がしてね、紳士諸君が。即座に風呂へ行きました。

ただ、その風呂も貞操観念逆だといろいろ違いますね~、通常ならUMP9のほうが「しきか~ん?」とか言いつつ体くっつけて来たりするはずですが、この世界観だと主人公がそれする側なんですよね~。

水着やら、風呂で体を隠す手段も逆転すればそれも逆になるのか?通常の服だってスカートを男子が着用に?この辺りは難しいですよね。

『排斥派』とか出てきてます、人間の敵はやはり人間なんやなって。この辺りの世界観はAA使って物語を作る(やる夫とか)そういうのなんて言うんでしょうね?まぁそれで男女比率が極端に偏ったらどうなるか、という世界観を書いている作品を見て、それの影響を受けてます。あっちはもっと女性陣が酷いですけどね…インフィニット・ストラトスが可愛く見えるくらい…

ところで…主人公とかその辺りが影薄い、薄くない?次回はペルシカさんの所に行くからそこで輝けるといいね…

後、『傘」に関する云々は完全な妄想です、まぁこんな感じで判明したんじゃないかな~と。後々判明した場合は差し替えるかも?

人形主観によるお話はあった方が良い?無くても良い?

  • あった方が良い
  • 無くて良い
  • 本文途中で挟む程度で

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