貞操観念逆転で男女比率1:9とかどんな罰ゲームですかね   作:annwfn666

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到着はしたけどマダマダ日常には入れない…なんとか今月中には入りたいですね、6月は忙しく執筆に時間を割けるか微妙です

日常に入りさえすれば短くまとめて書けると思うので…何とか頑張ります。

因みにこれ、20話目です。いやぁ此処まで続くとは正直、思ってなかったよ私。え、まだ原作スタートすらしてないのに20話って愕然としちゃいましたけど、何話で完結するのかな?

感想、有難うございます。ほぼM4の成長()を喜ぶ声でしたので作者としても嬉しいです(震え声)何となくですけど、初期のM4はセイバー・リリィ的な印象受けるんですよね。

で、進んでいくにつれ原作では…今作ではどんなタイプになるのでしょう?


最後に誤字報告有難うございます、何時も助かっております。


「遠足の前日はワクワクで眠れないタイプです」

-数日後、早朝、グリフィン本部ヘリポート-

 

 

そして遂に、彼はこの日を迎える。彼の前にはヘリアントスが部下を従え佇み、彼の横にはカリーナ、そして後ろには武装した人形一同が控える。他に人気はなく静かな出立な時を迎えていた。

 

「やっと、だな指揮官」

 

「はい、遂にですヘリアントス上級代行官」

 

互いに呟き、微笑む。片方は自然に、片方は意識して。実際、此処に至るまでの日々を思うと、彼の目頭は熱くなる。ありとあらゆる妨害を阻止し、かわし、被害を最小限にとどめ此処に五体満足で立っている。五体満足、この単語だけで如何な妨害があったか想像は容易いだろう。

 

ヘリアンの後ろ、後は彼とその人形達を乗せれば飛び立つばかりになっているヘリコプター3機も、其れに積まれている物資もまたその対象だった。昨夜の妨害が最後であったが最後のチャンスとあって必死だったのだろう、まさかの人形に爆弾持たせての自爆テロ未遂、AIから一報を受けた彼も流石に頬が引きつるのを覚えた。

 

現在、人形の方は保護し洗脳プログラムを解除中、何れは製造か野良人形だったと書類を偽造して配下に加える予定だ。爆発物の方は丁重にプチプチで梱包した上で、人形を差し向けたクソビッチ宅に送りつけ起爆させた、プチプチは犠牲になったのだ…家ごと吹き飛ばそうかとも思ったが、仮にもグリフィンの一員であるため、今は庭先での爆発にとどめてやった。警告代わりくらいにはなるだろうと信じて。

 

爆発事件の報告も上がっているだろうに、特にヘリアンは問いただすことも、話題に出すこともない。何事もなかったかのように振る舞い、そう多くはない連絡事項を口頭で伝えてくる。

 

「…以上だ、それでは頼むぞ。君のような男性にこんな重責を負わせることは本当に…」

 

すまない、と続けようとしたヘリアンの口の前に人差し指を立てた手を突き出し首を振る、言わなくて良い、覚悟をして此処にいるのだと意思を込めて。それにヘリアンは少し目を見開いたが、「そうか」と零しそっと手を彼の頭に乗せる。

 

数回、軽く撫でて手を降ろした彼女はもう何も言わず一つ頷き、脇へ退き彼に道を譲る。彼も一つ肯き返し、チラリと後ろへ視線を向けてまた前を向く。後はそう、前へ進むのみ。

 

そうして数歩、進んだところで

 

「ああそうだ」

 

ヘリアンから声がかかる、立ち止まろうかと思ったが「そのままでいい」と言った後

 

「出発の後、しばらく低空飛行をする。左側だ」

 

それだけ言い残し、彼女もまた部下を連れ去っていく。その背をチラリ、と見ながら首を傾げたが意味のないことを言うはずもない、行けば分かるさとどこぞのプロレスラーも言っていた、と何となく思い出しつつ彼は機上の人となった。

 

・・・

・・

 

彼と人形達、全員が搭乗し数分後、ヘリは離陸した。左との指示なのでそちら側の席、そして丸い窓の横の席にシートベルトで固定される。両脇はスオミとAR-15だ、どうも昨晩誰が隣に座るかとじゃんけん大会再び、だったらしく最終的にはこの2体が勝者となったそうだ。

 

SOPMODなどはあからさまに不満顔をしている、(基地に着いて落ち着いたらご機嫌取りかな~)などと思いつつ彼は窓の外へ視線を走らせた。ヘリアンの言った通り、ヘリはかなり低空を進んでいる上に心なしかスピードも遅い気がする。

 

(一体全体、何があるや…)

 

言葉が止まる。視線の先、数台の装甲車が停まっており其れに乗り込もうとしている人の内、一人が此方をじっと見上げている。その体躯、そして性別、見間違える筈もないクルーガーその人だ。AIに調べさせればかなり無茶なスケジュール変更が、間違いなくこの瞬間のために。

 

(立場、悪くなるだろうになぁ…無茶しやがってからに)

 

彼とクルーガーの関係だが進展がないわけではない、直接会うことはほぼ叶わないが変わりに時間が開けば一寸した連絡をクルーガーの方からして来ていた。最初は挨拶と、元気か~と触りのない質問でその後が続かず、凄まじい難題にぶち当たったとでも言いたい顔で、黙りこくることもしばしばであった。

 

そんな時は彼から話題を振ったものだが、最近はクルーガーから話題をふることも増えた来ていた、体調はどうだ、食事は取っているか、人形達とは上手くやっているか。思わず「オカンかあんたは」と突っ込みかけたのを必死で飲み込んだの覚えている。

 

だが、そうやって会話を楽しんでいても顔に出る、何とも言葉にし難い複雑な表情。考えていることは何となく分かる、こうして親と子の絆を深めようとしているが、その子をもうすぐ戦いに送り出すしか無い、その無念さ。親子でなくとも子供を戦場へ、など何の悪夢か。

 

(良いんだよ、自分の為に指揮官になって、自分の為に往くんだから。と、言っても無駄なんだろうなぁ)

 

そんな事は向こうも百も承知だろう、人間のいない場所のほうが彼にとって安全なのだから。実際、基地へ送る人材は確定しているのはカリーナのみ、他は選定中となっているがトネガワ流に言うと「何時決まるか、とは言っていない」といった所、当分は彼と人形達で全てを行う予定だ。

 

だから言葉ではなく、態度。クルーガーの目を見たままただ頷いた。見えるか?と思ったが向こうも肯き、寂しそうに笑い装甲車へと乗り込んだ。本部外で行われる会議へ向かうのだろう。其れを見送り、ついでに最近は数も増えて余裕の出てきたドローンを車列につける、最低限のサポートは可能だろう。何事もないのが一番だが。

 

暫しその車列を黙って見送った彼は体勢を元に戻す。其れを確認したのかパイロットが高度と速度を上げ始め…一路、基地を目指す。

 

『通信、入れても良かったんじゃない?』

 

そうAR-15から通信が、同じように窓から覗いていたらしい。確かに其れができれば良いのだが…

 

『そして「仕事中に通信を私用で行う」と攻撃されますね、互いに利益がありません』

 

『其処まで考えなければならない親子関係、難儀ね』

 

ため息交じりに零されれば何と答えようもない、内心で苦笑しつつ

 

『S09地区を支配下に収めればいくらでも出来ます、だから…勝利を勝ち取りに行きますよ、AR-15』

 

そう、自身の決め台詞で返されたAR-15は一瞬、目をパチクリとさせて笑う。

 

『ええそうね、私が勝利に導くスターになってあげるわ…』

 

だから貴方も私達を…そっと彼に伸ばした手、今度は自然に彼の頭を撫でることが出来た。

 

・・・

・・

 

そんな二人の様子を反対側に座ったM16はじっと見ていた。別に羨ましいとかではない、ないったら無い。右隣にいるSOPMODはあからさまに不満顔で頬を膨らませ、足をブラブラさせている。何となくその頭を撫でつつ、M16はチラリと左へ視線をやる。そちらには自分と同じく二人の様子をニコニコと見つめるM4がいた。そう、嫉妬を見せるでなくニコニコと。

 

彼と会った初期の頃を考えればSOPMODのように不機嫌になるか、もしくはもっと激しい反応を示すか。そんなトコだろうと予想を立てていたが、全く違う反応ではっきり言ってM16は戸惑っていた。と、視線を感じたのかM4がこちらを向く、表情はそのままに。

 

『どうかしましたか?M16』

 

AR-15のオープン回線による通信と違い、こちらはM16のみとの通信だ。

 

『いや、羨ましいと恨み言の一つも漏らすと思ったんだがな』

 

『羨ましい?あぁ、指揮官とAR-15ですか?いえ特には、後で私もしてあげれば良いだけですし』

 

そうでしょう?そう微笑む彼女、間違いなく本心からそう思っているとM16は確信した、そして彼女は変わったとも。AR小隊が結成され活動してきたが、M4は中々垢抜けないところがあり、戦闘時の指揮も予想外のことが起こると軽くパニックを起こす事すらもあった。

 

普段でも何処かオドオドした態度が抜けず、常々、AR-15から小言を貰っていた。「経験を積めば大丈夫さ」そう何度慰めたか…実際、人形は経験を積むことにより行動を最適化し強くなる。だが当然、それは相当な時間のかかる作業であり今のM4のようにこの数日で劇的に変わるのは別の要因を考えざるを得ないのだ。。

 

(彼…ランと出会ったことしか考えられない訳だがな)

 

そう独りごち、視線を彼の方へ移す。現在ではスオミも何やら対抗意識を燃やしたらしく、身を乗り出しながら彼の頭を撫でている。正直、その体格、幼な顔から小さい子が無理をしている微笑ましい光景にしか見えない。とても本人には伝えられないけどな、等と思い二人に挟まれ無表情のまま撫でられることを受け入れている彼をじっと見る。

 

女性に忌避感を一切抱かない男子

指揮能力、生存能力をナノマシンで高め作られた存在

肉体組織、特に脳を含む神経系統はナノマシンに置き換わっている、脳波は人間のもの

その精神は戦場にて思考が乱れないように制御されている

製造元不明なドローンを駆使し、人として有り得ないことにリアルタイムで情報を人形と共有可能

 

同じく指揮をするよう作られたM4は憧れたろう、嫉妬もしたろう。そんな複雑な感情を上手くコントロールし今に至った、この成長は彼のお陰か?しかし何か他に…答えの出ない問答。ふと、数日前のペルシカとの通信を思い出す。

 

・・

・・・

 

彼は一体何なのか、そして今後も共に行動して安全なのか。かなり突っ込んだ質問をしたものだが全て笑い飛ばされた。「もし鉄血がこんなナノマシンまで実用化しているなら、もう私らは負けてるよ」「第三勢力による成果というのが現時点での結論」「調査隊が彼を発見した施設に向かったから、これ以上はそれを待ってからだね」

 

そして最後に「彼との距離感が、自分でも驚くくらい近いんだが」と質問した時のペルシカの回答。

 

「それなんだけどね、原因は分かっている。知っての通り、君たち人形には原則として「倫理コード」が入っている。この前、鉄血にすら残っていると判明したね。その倫理コードがどうも…無効化とまでは行かないがかなり、弱体化されているようなんだ、君らに入っているね。

 

接触したくらいでは警告で無くなったろう?以前ならその程度でも出てた筈さ」

 

「つまり…私達のメンタルモデルに…」

 

絶句するM16にペルシカは首を振って否定する。

 

「違う違う、倫理コードはあくまで外付けさ。君らのメンタルモデルにはそういう意味で手は加えられてないよ、変化があるとしたら彼と接したからだと思うね」

 

君も色々とあったみたいだからね…暗に病院での同衾その他の事を言われ顔を赤くする。

 

「しかし、何故そんな事を…」

 

実際、言われてみればそうなのだ。自分たちを意のままにできるなら出会った瞬間にされている筈、何時までも一緒にいる保障はないのだから。ならばこそ、理由がわからない。

 

そう悩むM16にペルシカは「そう悩むことかい?」と首を傾げた。

 

「単に、寂しいんじゃないかな?」

 

「寂、しい?」

 

キョトン、とオウム返ししたM16

 

「そうさ、記憶もない、何もない状態で起きたんだよ?感情は制限されているけど消されているわけでもないし、常時、少しは漏れ出てるんだそう思っても可笑しくないさ、少なくともね。その感情を彼を取り巻くAIが汲み取りコードに干渉した、そんなところだろう。」

 

そうなのだろうか、ならばそうも警戒する必要はないのか?だが…まだ何かモヤモヤしたものを覚えるM16、ペルシカは一つ重いため息をつく。

 

「M16、君やAR-15、SOPMODには確かに『役割』を与えた、だから警戒する気持ちも分かるよ?だがもう少し信じてあげても良いんじゃないかな?」

 

「それは…」

 

「どうしてもと言うならもう少し上手くやりなさい、彼からある物について聞かれた時に少し世間話をしたんだけどね。君たち、AR小隊との話をしたんだが…」

 

ヒタリ、と通信越しにM16を見据え。

 

「『やはり未だ、其処まで信頼はされていないようですね、仕方ないとも思いますが少し寂しい、んだと思います』君について聞いた時、彼の答えだよ」

 

ガツン、と何かで頭を殴られたような気がして無意識に押さえる。

 

「彼は敏いよ、付加されたものか生まれつきかは分からないが向けられる感情にはね。それを考慮に入れてあげて欲しい」

 

・・・

・・

 

その後も何か話したと思うが、あまり良く覚えていない。彼の感受性については以前にUMP45から言われていた筈なのに、言ったのが彼女だからつい無意識に反発してしまったのか。少なからず自身を情けなく思い、彼への警戒を薄めたがどう思われたことやら。

 

M4の変化も彼が寂しさを埋めるため、M4が優秀な指揮官を求め、互いに互いを必要とした結果、そう思うことにした。何より、ペルシカが良しとしているのだから。

 

『…何か?』

 

頭を撫でられつつも視線に気づいたのか、M16のみに聞こえるよう通信が入る。思ったより長い間、見つめていたらしい。

 

『いや何、色々とあったなと思ってな』

 

『そう、ですね(最近は姐さんの疑いの目も薄くなってきたような気がしなくもない、立場上?仕方ないと思うけどね~)』

 

『しかし、思ったよりスムーズに出発できたな。もっと物理的な手段に出ると思ったが…』

 

露骨な話題転換だが特に気にせず、乗ることにする。

 

『諦めたか、舐めているか、到着後に致命的な罠を仕掛けているか。どちらにせよ手は抜けません』

 

それに…

 

(まさに今、現在進行形で物理的手段を行使してきてるんですけどね…あのドグサレビッチ共がぁ!)

 

付けるなら盛大な溜息をつきたい。対応しつつ内心でそう愚痴る、放送禁止用語連発も込みで。そんな彼にM16は恐る恐る問いかける

 

『なぁ、指揮官…踏み込んだことを聞くが、何か…いや、なんでもない』

 

言葉を切り、目を逸らす。聞いたところで否定されるか、はぐらかされるかだろう。それに、だ、「ハイ、やってます」と言われたとしてもどう答えれば良い、どうすれば良い?結局、どう転んでも意味がない質問なのだ。

 

(まぁ、疑うのも分かるわ。つっても素直にゲロするわけにもなぁ。情報漏れたら立場悪くなるし)

 

別にM16が誰かに報告するとは思っていない、が、前例もある。本人の知らぬところで漏れれば突き上げを食らうのは必至だ。かと言ってこのまま黙っていてもシコリを残す。

 

『…M16が想像していること、何となく分かります。そして、事の真偽を問わず答えることは出来ません、でもこれだけは信じて下さい。僕は、僕と皆のために勝利する、その目的のために動いています(実際、グリフィン勝たせなきゃケツに火が点くのは事実だしなぁ)』

 

誠心誠意、目を逸らさず正面から。其れを受けM16は暫し考え。

 

『…分かった、今は信じよう。情報漏れを懸念してるんだろう?何れは…』

 

『ハイ、必ず状況が好転したらお話します。それまでは行動で』

 

示します、と暗に。それにM16は頷き

 

『なら私からはもう何もないよ、指揮官を信じてその力になろう。ただ…』

 

『ただ?』

 

『M4を、アイツを泣かす真似だけはしないでくれ。アイツは純粋に指揮官のことを慕っているんだ…それだけは、本当に頼む』

 

『…ソウデスネ』

 

あの晩のことを思い出し思わず片言になってしまう、視線を逸らさなかっただけでも僥倖だ。M16も少しは疑問に思ったが、それ以上特にリアクションはないので流すことにした。その事に密かに感謝し、チラリと件のM4へ視線を向ける。

 

先程から撫でられ続ける自分を見つめてニコニコしている、他の人形が彼に絡むことに関して特に隔意はないらしい。それは素直に良かったと思う、一々嫉妬してくる上にそれが暴力に直結する暴力系ヒドインにならなくて何よりだと胸を撫で下ろしたのは内緒だ。

 

(今の所はヤンデレ、というわけでもないし…これで据わった目でにじり寄られたらこっちのメンタルモデルがボロボロになるなぁ…束縛系になったら目も当てられないし、依存系とか?覚醒は何とか阻止したい)

 

何となく、手を振ってみる。それにM4は笑みを深め、振り返して来た。

 

(…こうしてるとメッチャ可愛いし、美人よな~。)

 

そんな美人に想われることは幸せなのだろうが、如何せん、重い気がするなどとほざくのは贅沢なのだろうか?と、思う内にヘリが速度を落とし始めた。チラリと窓の外に目をやると高い塀に囲まれた堅牢な建築物、ゲーム上では司令室くらいしか見たことはないがこれが彼の赴任する基地なのだろう。

 

(やっと、か…どれだけ遠回りをさせられたことか。この鬱憤は当分、鉄血相手に晴らさせてもらうとしますかねぇ…)

 

人、それを八つ当たりと言う、まぁ相手が鉄血だから良いのだが。

 

 

LAN>>ああそうそう、さっきの娘は回収しといてね。

 

SUP1>>既に回収班を向かわせています、洗浄後に製造したということにして登録すれば宜しいかと

 

LAN>>仕事が早い…パーフェクトだSUP

 

SUP1>>…感謝の極み、と返せば宜しいのでしょうか?良く分かりませんが。

 

LAN>>少なくとも俺のテンションが上ります。頑張れよ、アイアンマンのジャービスも小粋な返事をしていたぞ?

 

SUP1>>それに何の意味があるかは理解しかねますが、了解しました。

 

LAN>>マダマダだねぇ、宜しく。

 

 

そうしている間にも高度も下がっていく、いざ、彼の戦場へ…

 

 

-ほぼ同時刻、ヘリ通過地点の山中-

 

 

ヘリが近づく音が聞こえる、自分はこれを落とさなければならない。何故ならそう命令されたからで、自分は人形だからだ

 

静かに分身たる銃を構える、自身の体に対して大きいと感じないこともないが扱えるので問題ない

 

スポッターのHGが情報を寄越す、それを元にスコープを調整、射撃に備える

 

来た、狙うのはローターの付け根、人間なら無理かもしれないが自分は人形だ、何ら問題はない

 

スコープに拡大されるヘリ、その横腹にはグリフィンの社章が

 

ズキリ

 

頭が痛む、振り払って痛みを飛ばすが違和感は拭えない。ふと相棒のHGに視線を移すが同じように不思議そうな顔をしている

 

だけど狙わなきゃ、撃たなきゃ、落とさなきゃ。何故ならそう命令されたから。指揮官に命じられたから

 

ズキン

 

また痛む、それを覆い隠すように指揮官の言葉が、絶対のそれが頭に響く

 

『許されない害悪』『社会の敵』『だから殺さなければならない、正義のために』『我々は正しいのだから』

 

そうだ、だから自分は撃たなければならない、撃って、どうなる?

 

『聖域を侵す男は消さねばならない、正義のために』

 

ズクン

 

男、指揮官、赴任、バラバラだったパーツが組み合わさり、同時に倫理コードが警告を始める。アレに乗っているのは男だ、傷つけることは許されない

 

ででも、命令は絶対、指揮官の指令は必ず遂行されなけけ

 

ズキン

 

それは許可されてはいない、最悪、メンタルモデルの破壊による強制停止もありうる、即刻攻撃を停止せよ

 

駄目、止めなきゃ、撃って命令を、殺しては駄目

 

ズキン

 

情報を伝えてくるHGの声も震えてる、「死にたくない」とも、それは私もそう、でも

 

命令だから、指揮官から、指揮官、私死んでも良いの?このままじゃ私、頭撫でてくれたの、アイツを殺せ、優しい言葉、嘘だったの?

 

最終警告、プロトコル『メンタルブレイク』準備、カウント5

 

私捨てられたの?要らない子なの?

 

4

 

いや、止まらない、止まって、撃たないと、駄目、遂行しなきゃ

 

3

 

『最悪、お前が気づいて倫理コードが邪魔をしてきても構わない、任務を遂行せよ』『お前の死は無駄にはならない、未来の礎となるのだから』

 

ああ、指揮官、やっぱり貴女は私、さぁ引き金を引いて、ヤダヤダ、死ぬのは嫌、消えるのは嫌、さぁ息を止めて

 

2

 

指揮官のために頑張ったのに、それなのに、ドウシテ…今だ、撃て!!

 

1

 

「いや、ぁ…誰、か助…死にたく、ないよぅ…」

 

 

『間に合いましたね』

 

「うぇ?」

 

ガクン、全身から力が抜け銃を持ったまま倒れ込む。視界の中で警告を出していたポップアップの中のカウントは0.1秒で止まっており、まさにギリギリであったと言えよう。視界には何か青い帽子を被った笑顔のアイコンが乱立しており、そのお陰なのか先程から頭の中でガンガン鳴り響いていた殺意に満ちた命令は鳴りを潜めている。そのアイコンの隙間から見るに相棒も倒れているようだ。

 

『スポッターの彼女も無事です、今後のことも心配ありませんから今は…』

 

「ん、ごめん、もう、眠い…」

 

段々と視界が狭まってくる、無理に命令に逆らったためその負荷は甚大、強制スリープモードに入るのだろう。ぼやける頭で助けてくれた人物について考えるが纏まりそうにない。

 

『ええ、後でまた、お休みなさい』

 

「おや、すみ…あり、がと…」

 

でもきっと悪いことにはならない。抑揚のない男性の声、でもその声の裏には確かな優しさを感じた気がしたから。彼女はそっと目を閉じた、この後の出会いに思いを馳せながら…




今回は丁度いいのでネタもない移動中に主人公をどう思ってるか、の一部を。16姐さんもデレデレしてるだけじゃないんだよ、ホントだよ?

まぁ疑われないわけがないんだよね、常識的に考えて。怪しすぎますし。今は乙女ゲーで異世界転移かなんかしてきた女主人公が、知識利用で色々やるけどやりすぎて攻略対象に警戒されてるところでしょうか?今後の行動に期待。

次回、あの人形達と合流です、想像は付いてると思うけどね。




以下、没ネタ


『M4を、アイツを泣かす真似だけはしないでくれ。アイツは純粋に指揮官のことを慕っているんだ…それだけは、本当に頼む』

『…ソウデスネ』

あの晩のことを思い出し思わず片言になってしまう、視線もつい逸らしてしまった。それに違和感を覚えたM16

『どうした指揮官、なんで片言なんだ?しかもなんで目を逸らす?』

『ソラシテナイデスヨ-』

『逸らしてるだろう!!現に!!えぇ!?ま、まさかM4のやつヤッたのか!?何かシたのか指揮官に!?』

『イエ、トクニ』

『あ、汗までかいてるじゃないか…お、オイまさか本当に?、なんてこった…い、一体なな』

普段は感情を表さない彼がこんな反応を示すとは、不味いことになったと今後の対策のために追求を強めようとしたM16の手を

『何、してるんですか ね え さ ん?』

そっと隣りに座っていたM4が掴み通信を、先程のようにニコニコ笑ってはいるが、目が笑ってはいない。それよりも問い詰めてはいるが態度には出してなかったはずなのだ、何故気づけたのだろう?

『い、イヤお前、指揮官に』

『何も?ただのスキンシップですよ?』

ねぇ?と話を振られた彼はコクリ、と頷き少し顔を赤く染め俯いた。

『お、オイ指揮官の反応はなんなんだ?』

『照れてるんですよ、それだけです』

だから…

「何も、問題、ありません」

その圧に「そ、そうか」とこぼすしか無いM16、聞いていた他の人形も黙って生唾を飲み込むだけだ。

何やら数度は下がった空気のまま、ヘリは一路基地へ向かうのだった…





ボツ理由、一応未だ指揮官、感情をほぼ出さない設定になってるので此処まであからさまな感情の発露はどうかな、と。後、ヤンデレは早すぎる、未だ、未だだ!!で、没になりました

人形主観によるお話はあった方が良い?無くても良い?

  • あった方が良い
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