「ということで、ちょっとキツめの忠告は済ませました」
暁が父さんに報告中。俺は暁の部屋にお邪魔し、それを見ているだけ
ちなみに今日はみんなで出かけることになっている
前話してた水着を買いに行くんだ
「父さんなんだって?」
「捜査で必要になった場合に、AIMSから情報を引き出し、後は普通に学生生活を過ごせって。ただし誰かさんから始まった護衛任務を継続な」
「へーい」
「おっと。早く行かないと遅れる。行くぞ」
「もうそんな時間?さっさと行こうぜ」
見た感じ今日行くメンバーは揃ってるな
こう、友達と一緒に買い物行くのは久しぶりだからめっちゃ楽しみだぜ!
「みんな揃ったかな?」
『はい』
メンバーは男子は俺、暁、恭平
女子は七海、三司さん、二条院さん、千咲ちゃん
イェーイ!女子比の方が多いじゃんか!
えっ?こんなこと前の所じゃなかったぜ?
というかあまり友だちと遊びに行かなかったけどな!ハッハッハッ!
千咲ちゃんは何人かと初対面だったらしく軽く挨拶していた
それもどうやら終わったようだ
「それじゃあ早速、出発しようか」
「詳しい場所を聞いてなかったが、ここら辺か?」
「いんや、駅前。ライトレールに乗って行くよ」
「ライトレール便利だなー」
「〜♪」
「なんだか随分とご機嫌ですね」
「そう?ってかこういう風に友だちと遊びに行くからかも。前の所じゃ友だちとあまり遊びに行かなくて」
「そうだったんですか?空君なら友だちも多そうですし、休みの日はよく遊びに出かけるかと」
「確かに自分でもそういう性格だと思ってるんだけどね、なんか1歩引いちゃってさ。だから普段話したりはしてたんだけどそこまでつるまないっていうか」
昔の人間不信が影響してるのか人の関係にあまり深く入らないようにしちまってる
だから誰かとどっか行くってことも無く、暁や七海といつもいた方が多かった
それに任務があったからな
「それよりも三司さん、今日の行動で改めて言っておきたい。ショッピングモールだから人目もあるし、この時間帯だから滅多なことはないと思うけど、念のために個人行動は避けて欲しいんだ」
「わかってます。それぐらいは心得てますよ。あの、私からも一つ確認したいことがあるんですが、いいですか?」
「どったの?って言いたいけどちょうど来ちゃったか。後でいいかな?」
「はい。構いませんよ」
「ここが鷲逗サイドモールさ!」
「思ったよりでかいんだな」
「おおっ!いろんな店があるな!」
郊外のスーパーとかそういうの想像してたけど、思ったよりちゃんとしてるっぽいぞ?
こう大きいショッピングモールってなんか色々ありそうでテンション上がっちまうぜ!
「他の大きな都市から結構離れてる鷲逗市でもそれほど不便を感じないのは、ここのおかげだからね。意外と有名なブランドも入ってたりするんだよ」
「ほー」
「どうする?まず、どこから行く?」
「そうだな」
「まず男物の水着を買いに行かない?どうせ暁も空もそこまで悩まないでしょ?」
「そうだな。派手過ぎなければ、特に拘るつもりはない」
「俺もそうだなー。とりあえず着ててもマシなやつだったら問題ないし」
ちなみにこれは水着であるからで、普段着はそれなりにカッコイイ服を選んでたりするんだぞ?
「先に済ませた方が、女性陣もゆっくり選べていいんじゃない?」
「俺はそれで構わない」
「ちゃっちゃと選んじゃおうぜー」
「では、そうさせてもらおうか」
「じゃあこっちだね」
さてと、さっきの話の続きをしますか
「それで、さっきの続きなんだけど?」
「そうですね。空君の肩書きについてです。暁君も同様ってことは妹の七海さんも同様なんですか?」
「んー、ここら辺は言ってもいっか。そだよ。だからもしもの時には俺や暁じゃなくて七海を頼ってくれてもいいから。事情は知ってるし。でもあの子はサポート専門だから、あくまで連絡するぐらいだと考えて欲しいね」
「わかりました」
「じゃあ、俺からももう一ついい?」
「なんですか?」
「水着ってサイズが重要だけど大丈夫なの?パッドのままで試着とか?」
「よくもまあ余計な気遣いばかりを口に出来ますね。その口縫い合わせちゃいますよ?」
やべ、笑顔の裏に本気を感じる
なんかガチでやってきそうだから怖いんだけど
「一応、ね?心配したんだけど……」
「そんなことまで心配してもらわなくても大丈夫です。自分のパッドぐらい自分で護ります。いや、そもそもパッドパッド言わないで欲しいんですけど」
「スミマセン」
「2人ともどうしたんだ?早く来ないとはぐれてしまうぞ」
「あっ、ごめんなさい。すぐに行きます」
「ほとんど悩んでなかったけど、ホントにそれでいいの?」
「いいよ。サイズもピッタリで、悪目立ちもしない。十分だ」
「俺もこれでいーよー」
俺が選んだのはサーフパンツにラッシュパーカーとまさに今時のメンズって感じのだ
それにダボダボじゃないからこのサーフパンツでも泳ぐ分には問題ナッシング!
「先輩方って悩む必要がなさそうですよね。身長もあるし、スタイルもいいし、何でも着こなせちゃう気がします」
「本当に羨ましいよ、服に悩む必要がなくて」
「確かに身長は俺の方が高いが……恭平だって大抵のものは着こなせるんじゃないか?」
「どっちかっていうと身長は俺の方が近いわけだし、似たもんは合うと思うぞ?」
「なにか、こだわりがあるのか?」
「こだわりってほどのことでもないんだけど。何故か僕って、女の子に見られることもあるんだよね」
『でしょうねぇ』
「くっ……そこで納得されちゃうのか」
「もしかしてコンプレックスなのか?」
「僕は男なんだよ?女の子に間違われて嬉しいはずないじゃないか。まったく……失礼しちゃうよっ」
ならまずはその女の子っぽい起こり方から直そう……といっても直る気がしないので言うのはやめておこう
「自分の顔が嫌いってわけじゃないよ。でも、女顔であることを笑われるのはやっぱり嫌だよ」
「ああ。それはわか──」
「わかりますっ。周防君のその気持ち、すっごくわかりますっ。好き勝手に言って、笑って、憐れんで……そういうの、カチンと来ますよねっ」
「え?あ、う、うん……そ、そう、だね」
暁を遮ってまで恭平に共感を示す三司さん
勢いがあったのか、恭平は軽く引いてた
「三司先輩みたいな人でも、そういうのあるんですか?」
「え?あっ、それは……あの……」
「あまり深く尋ねない方がいい。三司さんは、取材やネットの露出も多いからな。ワタシたちにはわからない苦労も多いはずだ」
まあおっぱいのことやパッドを隠すことだからな
普通わからないだろう
「それよりも、今度は女性陣の水着だ。ココからは僕は案内できないから、任せたいんだけど……」
「あ、じゃあ私、行きたいお店がありまーす!」
「ならここは、千咲君に任せよう」
「ありがとうございます〜。こっちですよ」
「……」
暁が三司さんのことなんか言いたげに見てる
どうせさっきのことだろ。わっかりやすいなー
「……うっ、うるさいな」
「何も言ってないんだが?」
「その目!目が口以上に語ってるっ」
「わかりやすすぎってよく言ってるだろ?」
「そうだったな。にしても……意外と騒ぎにならなものだな」
「なにがです?」
「ああ、三司さんのこと?」
確かにそれは俺も思ったな
動画にもあげられるほど出し、アストラル使いでは誰よりも有名だろうしな
「有名人だから人の多いところに来たら、サインをねだられたりするのかなと思って」
「有名と言っても、ごく一部の人からです。テレビに出るような芸能人みたいに、大騒ぎになることなんてありませんよ」
「そういうものか」
「時たま、気付く人もいますけどね。それでも、この前みたいな熱狂的な人は滅多に──」
「おや?もしかして、三司さん?」
「バレテーラ……ってあれ、式部先輩」
「こんにちは。ってあれ、暁君と空君も一緒なの?」
「あ、式部先輩。こんにちは」
「ビクッ!?なっ、七海ちゃんまで!?」
あの脅えよう……
疑いをかけられた時七海は一体何をやらかしたんだ?
「……そんなに怯えないで下さい。アレはホントに誤解ですから」
「う、うん。理解はしているんだけどね……思わず身体が反応しちゃって。ゴメンゴメン。それより妹含めてダブルデート?なんとマニアックな……」
「暁の趣味凄いでしょ?」
「違いますよ」
「式部先輩じゃないか」
「おや?二条院さんに、周防君と壬生さんまで」
「どうもです」
「こんにちは」
そういやみんな同じ寮だから顔見知りなんだろうな
それに式部先輩は別の意味で有名人だし
それにしてももうちょいくるの遅ければ暁をいじることができたのにチクセウ!
「それで、みんな一緒に何をしてるんだい?って……買い物に決まってるか。お揃いの物でも買いに来たのかな?」
「あっ!ここで会ったのも何かの縁ですし、よければ式部先輩も一緒にどうですか?」
「???」
今女性陣が水着を選んでる
俺たち男性陣+式部先輩はと言うとちょっと離れている
別に俺たちのって訳じゃないからな
それにしても女の子の水着っていろいろ種類があるからな。こうみんなとワイワイ話しながら迷いあうから時間がかかるのも納得がいく
男用ももうちょいカッコイイのがあればいいんだけどな
だいたい似たもんで少しが柄が違ったりで要は着る人間がイケメンかどうかで決まってしまうのが世の中
俺も不細工な方じゃないってことはわかるんだがイケメンってわけでもないからなー
「あやせ先輩ぐらい胸があると試着で確認した方がいいと思いますけど?」
「そうですね。でも確認するまでもなく大丈夫です」
「でも──」
「大丈夫ですからどうぞお構いなく。おほほほ」
「はっ、はい……なんか、すみませんでした」
笑顔の裏にある威圧で黙らせたぞ!?
三司さん怖いって……
でもパッドでサイズ変えれるって偽乳おっぱいって凄いんだな
おっぱいセンサーの反応の邪魔も出来たわけだし
「…………」
なんて思ってたら睨まれたんだけど……あれ?俺顔に出てた?
それか三司さんの能力ってこういうことに反応するタイプなんじゃないか?
「へー。そっか、水着をね」
「先輩もどうですか、一緒に。ここで会ったのも何かの縁ですから」
「アタシが?ハハッ……ご冗談をピチピチギャルたちの前で、肌を晒すなんて考えただけでも……ぅぅぅ……」
「先輩の水着姿ならみんなに負けないと思うっすよ?」
「優しい言葉をありがとう。その心遣いは、ありがたく頂戴するね」
ふむぅ、そうなってしまったか
俺としては素直な本音なんだがな
だって式部先輩のスタイルはめちゃくちゃいい。服の上からでもわかってしまう
そんな人が水着姿になってみろ。大抵の男は釘付けだ
俺も例外じゃないと思う!
「そんなに嫌なんですか?」
「そりゃそうさ!肌を一緒に晒すなんて殺されるも同然だよ、処刑だよ!処刑!それに水着は持ってるしね。今回は遠慮しておくよ。こうして見てるだけで十分」
「そうですか。ちなみに先輩、は何を買いに来たんですか?」
「ん?特に目的があって寄ったわけじゃないんだよね」
「そうなんですか?」
「別件で外に出たついでにね。ああ、別件の方はもう済ませてるから気にしないで。ウィンドウショッピングでお店を冷やかして、ブラブラしようと思って寄っただけ」
なんでだろう……
式部先輩が言うとまさに大人がやる暇つぶしにしか聞こえん……
これが大人の魅力ってやつか!?
「やはり女の人は、買わない物でも色々見るのが好きなんですか?」
「んー……その質問はいただけないね。恋人にそんなこと言ったら、不機嫌になっちゃうよ?」
「女の子の買い物が長いのは話に聞いてましたけど、まさかここまでとは……暇すぎる」
「これぐらいで文句を言ってちゃあ、彼女が出来た時に苦労するよ?」
「僕は決断力のある子が理想ですね。ゴメン、暁、空。ちょっとここを離れてもいい?お腹空いちゃったから、何か食べに行きたいんだ」
「構わないぞ」
「当分動きそうにないしなー」
「早めに戻ってくるつもりだけど、もし決まったら連絡を頼むよ」
「わかった」
「了解なりー」
「じゃあ、ちょっと行ってくるね。はぁ……お腹空いたぁ……」
あいつの身体の構造は本当にどうなってるんだ?
何故そんなにすぐに腹が減るのか気になるな……
「2人は行かなくていいの?」
「お腹は空いてませんから」
「あんまり食べ過ぎもよくないっすからねー」
といってもここを離れるわけにもいかない
三司さんの護衛もあるし
多分それは暁も同じ考えだろうな
こっからはモール内のほとんどを把握できるけど今んところはなんの問題もない
「じゃなくてアッチ」
「え?」
「あっち?」
式部先輩が指差してた方は店の中
つまり女の子たちが水着を探してる店だ
……えっ!?
「せっかく一緒に来てるんだから、試着の感想ぐらいは言っておいた方がポイント高いと、お姉さんは思うんだけど」
「女性物の服やら水着やらが並んでる中に、入るのは恥ずかしいです」
「そっ、そうですよ。それに俺はよく余計なこと言っちゃいますしね」
「あはは!なにそれ、そんなに?」
「二人でよく七海を怒らせちゃいます」
「恥ずかしながらその通りで」
あと最近は三司さんんにも何度か殺される目線を送られたことがあります
この軽すぎる性格があかんのか?
「でもね、多少怒らせたとしても、コミュニケーションを取ることこそが重要なのさ。苦手意識を持つよりも、まずはぶつかってみること。恋人が出来た時の練習だと思って」
「恋人が出来たことを悩むより、まず彼女を作ることが問題ですよ」
「お前無愛想だもんなー」
「これでも直してる方なんだぞ」
「そういう苦手意識を持つのが一番良くない。ほーら、いつまでもここにいないで、2人は水着の感想を言いに行くこと。何か言って欲しいと思ってるよ」
「そういうものなんですかねぇ?」
「そういうものさ。見られたくないけど見て欲しい。恥ずかしいけど感想ぐらいは言って欲しい。乙女心は複雑怪奇。これ、お姉さんからのアドバイスね」
「「…………」」
周囲に怪しい気配はなく、能力を使ってまで探索に出す必要もなさそうだし……ここは式部先輩のアドバイスに従うのも良さそうかな
「そんな疑り深い目をしなくてもいいでしょ!アタシにだって乙女の時代はあったんだよぅ!」
「そんな失礼なこと言ってないし、思ってもないです」
「俺ん中では先輩はまだまだ乙女だと思いますけどねぇ」
「んー……そう言ってくれる気持ちは嬉しいよ?でもさすがに乙女はねぇ、あまりに痛々し過ぎる……なにより自分の心が痛い。気持ちだけありがたくいただいておきます。それより、早く行かないと感想を言うタイミング逃しちゃうよ」
「じゃあアドバイスに従って、ちょっと行ってきます」
「うむ、よろしい。いってらっしゃ〜い」
さてと、水着の試着をしてるのは確か七海と二条院さんだったよな
よし、ここは──
「俺は二条院さんの方に行くわ。お前は七海をいっぱい褒めてやりなさい」
「別にいいけど、どうしてだ?」
「そりゃ二条院さんの方に三司さんもいるだろ?護衛作っちまったのも俺だからな」
それに本音言うと暁がシスコンでもあるからな
妹の水着姿見て発情するんだろう、ケッケッケッ
「……お前他に良からぬこと考えてるだろ」
「はて?なんの事かな?それより早く行かないとタイミング失っちまうからな!」
「あっ、おい!……逃げやがったか」
「様子はどう?」
「丁度、試着をしてるところです」
「それで、水着はどんなのにしたんだ?」
「セパレートタイプで、なるべく落ち着いたものを。今までは何の飾っ気もなワンピースタイプばっかりだったそうですから」
「なるほどね。でもそういうのからってのもハードル高くない?」
「言いたいことはわかりますけど、ちょうどいい中間っていうのも見つからなくて」
「水着だしそんなもんか。でも今と雰囲気変えるってならそれぐらいチャレンジした方がいいかもな」
人間チャレンジ精神や行動力が大切だもんな
俺もチャレンジはたくさんしてきたぞ。どうイタズラすればバレないかとか、怒られた時どう切り抜けるかとか……
まさに悪ガキの発想だな!
「そういや長いと思うんだけど、そんな時間かかるもん?」
「いえ、中に入ってそれなりに経っているんですが……二条院さん、どうです?まだ終わらない?もしかしてサイズが合ってませんか?」
「いや、そうじゃないんだ。サイズに問題はない。だが……やはりこれは大胆すぎる。ワタシには似合ってないと思うんだが」
「せっかくなので確認させて下さい。着替え終えてるなら、カーテンを開けてもいいですよね?」
「あ、ああ……着替え終えてはいるが……たとえ同性でも、この姿を見られるのは」
「では、開けますね」
「ままままままま待ってくれ!まだ心の準備が──」
整ってないとでも言う前に三司さんはカーテンを開けてしまう
ま、こうでもしないときっといつまでも中にいちゃうからな
「ああっ!?そんなご無体な!」
「そこまで恥ずかしがらなくても……とても可愛いですよ、二条院さん」
「そっ、そうだろうか……腕や足をこんなに晒すことにもなれていないが……やはりこの、腹部を晒すのに慣れなくて、恥ずかしい……恥ずかし過ぎる」
「そういうのは慣れじゃないですか?それぐらいの露出度は普通。今は1人かもしれませんが、他にも同じような水着の学生が周りにいれば、気にならないと思う」
「そういうものだろうか……?」
「それになにより、似合ってます」
「俺もそう思うな。いつもと雰囲気がちがく見えて、とても似合ってて可愛いと思うよ」
水着姿も可愛いと思う
これなら恥ずかしくないとは俺は思うな
「…………そ、空くん!?な、なぜここにいるんだ!?」
「せっかく一緒に来たんだし、何か感想でも言った方がいいんじゃないかって思って……迷惑だったかな?」
「いや、迷惑なんてことはない。元々、助言を求めたのはワタシなんだから。だが……こんなはしたない姿を、男の子に見られるなんて……っ……見ないでぇ」
「…………」
顔を赤くし、両手で隠してしまった
いつもの凛とした雰囲気ではなく、か弱い女の子みたいに、初々しい反応を示してきた
……これがギャップ萌えってやつかー!フゥー!
おっと、声に出さないように気をつけなければ
「それにしても本当によく似合ってるぜ」
「そういう空世辞は言わなくていいからぁ」
「世辞なんかじゃないって。二条院さんは、足も肌も綺麗で魅力的、スタイルもとってもいい!それになにより、そのへそ!」
「へ、へそっ!?」
「キュートだと思うぜっ!」
「っ!?なんてことを言うんだぁ!マニアックな変態だぞ!」
「そんなバカな!?」
「ワタシっ、知ってるぞ!男の子が、女の子を褒める時は下心が……あるんだろう?特に身体の一部を褒めるのは、そこを性的な対象として見ているからだって……だから……その……ワタシのへそで何をするつもりだぁ!?このムッツリ助平め!」
「何もしねぇよ!」
というかそんな話初めて聞いたわ!
そんなことしたら七海なんて褒めまくってるから大変なことになっちまう!
「ほっ……本当に?変なこと、しない?」
「するわけないって。というか何を想像したんだ?」
「何をって……ッッ……いや、別に、何でもない」
顔を真っ赤にしたまんま何でもないって言うのは説得力がないって言うんだぜ
「言っておこう。俺はへそフェチでもなんでもない。変態でもムッツリでもシスコンでもない。それにムッツリの名は二条院さんがふさわしいと俺は思う」
「ちちち違うっ、ワタシはそんないやらしい子じゃない!」
「二条院さんがムッツリかどうかはさておいて」
「サラッと流さないでくれ!?」
「ひとまず落ち着いてください、二条院さん。ここはお店の中ですから」
「はぅっ……す、すまない……」
「でも、おへそを褒めるなんて……勘違いされても仕方ないと私も思いますね」
「ダメなん?」
「ダメというわけでは……でも可愛いとしても、素直に褒めればいいというワケではないですから。褒められても、言われた方は困りますよ、普通。それに凄く恥ずかしい」
「うんうん!そうだっ、その通りだ!」
「そういうもんかねぇ……ゴメン」
ふむ、褒めるというのは難しいもんだな
いつも俺は褒めたりする時は嘘つかないタイプだからなー
「確かに、可愛いかどうかで言えば、私だって二条院さんのおへそは可愛いと思いますけど」
「み、三司さんまで!?2人して辱めるなんて……もうやだこの水着。やっぱりワタシはいつもの水着でいいっ」
「ちょ待てよ!変な事言ったのは謝る!けど辱めたり冗談で言ってるつもりはないんだ!その水着は二条院さんにとっても似合ってる。買わないなんて損だぜ」
「さっきの発言、私も謝罪します。ごめんなさい。でもその水着がとっても似合っているのは、本当ですよ。からかってない」
「……。ほ……本当か?」
「嘘はつかない。本当だぜ」
「……おへそを出してても、興奮したりもしないか?」
「いやだから俺はへそフェチじゃないからね?」
これで変な印象ついたらマジぃな
次人を褒める時はもっと慎重な言葉を選ばなきゃ
「この水着……露出度が高いと思うんだが、その、あの……扇情的じゃないだろうか?」
「ビキニってそういうもんだろ?大丈夫だって」
「そ、そうか……」
「本当に可愛いですよ、その水着姿」
「せっかく試着までしたんだし、その水着を選んでもいいんじゃないか?」
「……それは、その……本当に似合っているんだな?変ではないんだな?」
「本当ですってば」
「何度も言うけど似合ってるぜ。可愛いと思うよ」
「じゃ……じゃあ、これにする」
「今日はありがとう。買い物に付き合ってくれて」
「ありがとうございます」
「とっても楽しい1日だったぜ」
暁と七海、2人もいるけど家族以外の人と過ごして楽しいと思ったのは本当に久々だ
とっても充実して、満足出来た1日だったと俺は思ってる
「それじゃあ、そろそろ帰ろっか」
「門限ギリギリで、バタバタ慌てるより、余裕をもって帰りたいですしね。みんな、もう大丈夫?なにか忘れてる用事とかない?」
「大丈夫でーす」
「では行きましょうか」
アクシデントらしいもんはなかったな
やっぱり人混みで襲撃するつもりはないか
これなら何事も無く、無事に寮まで帰れそうだな
「はぁ〜、お腹空いたぁ〜……今日の晩御飯はなんだろなぁ〜♪」
「お前、さっきも食べたんだろ?」
「アレはおやつ。この空腹は夕食」
「げっ、マジかよ」
「育ちざかりの男の子なら、これぐらい普通だと思うんだけど」
「いやいや、ありえんっしょ。現に俺はそんな食べないし」
燃費悪いし、でも運動部でもないのに太ってるわけじゃない
なんか変な謎が出来てしまった