リライターと乳部・タイラー   作:シバヤ

14 / 21
14話

 

『空も暁と同じように楽しんでいるようで何よりだ』

「ああ、任務とは言えここに転入できたのが良かったと思ってる」

『そうか。だけど気を抜きすぎるなよ?』

「わーってるって。というかなんで俺と暁別々に通信するんだ?回線まとめて話せばいいじゃないか」

『それでもいいんだが、親としては個々にどう楽しんでるかを聞きたいんだ。いくら兄弟とだからといって言いづらいこともあるはず。だからこうして個人で話してるんだ』

「あー、確かに暁に何もかも聞かれるってのはやだな。特に七海には」

 

七海に何でもかんでも知られちゃって、もし嫌われるようなことがあったら……それこそ俺は生きる意味を失ってしまう!そんなのは嫌だ!

 

『考えてることは予想つく。俺に感謝しろよ?』

「むしろ父さんにはいつも感謝しっぱなしだ。それで?またなんか任務?」

『ああ。“鎌倉寿人”“飛鳥井栞那”この2人の所在、所属、今どこにいるかヒントになりそうな物を調べて欲しい。詳しくは暁に伝えてある』

「わかった。ならこっちの準備が出来次第決行するよ」

『頼んだぞ』

 

通話が切れ、通信終了

さてと、朝食食べて、学院に向かうとしますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暁、恭平、飯の時間だ!行こうぜ!」

「そうだな」

「今日はどこの寮で食べようか」

「そうだな……たまには別のところにも行ってみたいが」

「そっか。じゃあ、どこがいいかな」

「選ぶとしても移動しながらにしようぜ。良い席埋まっちまう」

 

ご飯食べる時も良い場所で食べる

それにより美味しさが倍増するってもんだ

 

「そういや他の寮も味は美味しいんだろ?」

「うん。基本的にはメニューなんかで差があるだけで、味はどこも満足できるはずさ」

「そうか、それなら……」

「あっ、せんぱーいっ」

 

声がする方を振り返って見たら、千咲ちゃんがこちらに手を振っていた

もちろん隣に七海もいる

 

「やっ、2人もこれから昼食?」

「うん」

「真面目に授業を受けてたらお腹空いちゃって、もうペコペコですよ〜」

「七海はいつも、どこで食べているんだ?」

「よく行くのは第四寮だよ。バゲットが凄く美味しいの。外はしっかり、中はもちもち、噛む度に味わいが広がって、香りもよくって……癖になっちゃうぐらい」

 

七海がそこまで絶賛するほどの物なのか……なんか気になってきた

 

「暁君たちはいつもどこで食べてるの?」

「第三寮だな」

「あー、男の人ですもんね。やっぱり量がある方が嬉しいですよね」

「俺というか、空と恭平だがな。こいつら、特盛り頼んでペロリと平らげるから。それぐらいの量じゃないと満足できないんだってさ」

「特盛りをっ!?それはすごい……」

「ちょい待て、俺を恭平と一緒にするな。確かに特盛りは食べられる量だがあれで満腹になるぞ。あの後おやつを食べる化け物と同じにしないでくれ」

「化け物だなんてひどいなぁ。それにみんな驚き過ぎなんだよ」

「驚く“みんな”の中には男もたくさんいるからな?」

 

実際俺も暁も特盛りを初めて見たときには驚きを隠せなかった

いざチャレンジ!ってなって食べて見たら完食できる程ではあったが、腹ん中がキツくて午後の授業で死ぬかと思ったんだよ

でもなんか癖になる量でついつい特盛頼んじゃう

 

「じゃあ、今日も第三寮で食べるの?」

「今日は暁の提案で他のところにしようってことになったんだ」

「どこに行くかはまだ決めてないんだけどね」

「それじゃあ、私たちと一緒に食べます?」

「本当?さっき七海がバゲットのこと言ってたから気になってたんだよね。七海は俺らが一緒でも構わないか?」

「うん。もちろんだよ」

「おーし、じゃあ行くとしますか!」

 

俺たちは第四寮目指して歩き出した

ついでに歩きつつ、新しいカメラ等の事を確認してったが目新しのは見つからなかった

奥とかに設置されたのか?

まっ、今まで通りなら七海がなんとかしてくれるし、暁も大丈夫だろ

 

「にゃぁ〜」

「猫?」

「おっ、野良助だ」

「そんな名前だったのか?」

「ん?いや、僕が勝手に呼んでるだけ。学院内に住み着いてる野良猫だから、野良助」

「へー!お前野良助って言うのか!よーしよーし、可愛い奴だなー!」

 

近づいて撫でたり、くすぐってやる

うん、こいつは人に懐いてるし周りもこいつのこと可愛がってるはずだから幸せそうだ

 

「空先輩って猫が好きなんですか?」

「俺は猫も犬も好きだよ」

「空君は動物とすぐに仲良くなれるもんね」

「へー、そうなんだ。でも動物と遊んでる空先輩の姿っていつもより優しそうですね」

「子どもの頃いろいろあったからね。その時動物が俺の癒しだったんだよ」

 

というのも、俺が捨て去られて拾われるまでの間はいわゆるホームレスっていう奴でな

そんな俺に野良猫や野良犬は近づいて来てくれて、まるで家族のように仲間に入れてくれた

そこで俺は動物たちから生きる術を学び、父さんに拾われるまで生き残ってこられたんだ

だから動物たちは俺の恩師でもあり、魔物を作る元になったベースでもある

 

それにしてもこいつ、三司さんが言ってた猫だよな?

初めて会った俺が触れても何も抵抗せず、寄り添ってくるっていうのに。もしかして三司さんが言ってたのはまた別の猫なんじゃないのか?

 

「そういやこいつの餌って食堂でも貰えるの?」

「うん。もともとは食堂の人たちが餌を与えてたんだ。でも人用に味付けされたものだとマズイし、みんなが好き勝手な物を餌として食べさせるのもよくないってことで市販の餌が導入されるようになったんだ。特に係りがいるわけでもないから、気付いた人が食堂から餌を貰うんだよ」

「そういうことなら戻るときに貰えばいっか。じゃあまたな野良助。俺が先だったら餌を持ってきてやるよ」

「にゃ〜〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、第四寮の食堂に初めて入ったわけだが、やっぱり作りはどこも一緒なのな

だけどメニューがかなり違う

パスタとかアヒージョとかオシャレなカフェっていうメニューが揃ってる

こりゃ女子に人気があるのも納得いくわ

俺は今日食べるのはナポリタンと七海一押しのバゲットだ

早速食べてみる

 

「んっ!うめぇ!」

「これは美味いな」

「確かに美味しいんだけどねぇ〜」

「周防先輩は、何かご不満が?」

「やっぱり量か?」

「恭平からしたら物足りないかもな」

「それもあるけど、味付けかな?僕はガツンとパンチのある味が好きだから。あっ、不満ってわけじゃないよ。美味しいし、普段来づらいから、誘ってくれて嬉しかった」

 

それはわかるかも

女の子が食べそうなのが多いから味付けもそこまで濃いわけじゃないんだよね

ただ俺は美味しい物なら何でも文句言わず食べるからどうってことはない

むしろこう言う味も好きよ

むっ、俺は黙々と食べてる中、隣で七海が暁にセロリを食べさせようとしてる

この子セロリ嫌いまだ直ってなかったのか

 

「セロリが苦くて嫌いだったよな、お前。好き嫌いせず、しっかり食べないとダメだぞ」

「……ぅー……どうしても、あの味も匂いも好きになれないんだもん。でも残すのも申し訳ないから……」

「だからって他の人に食べさせるのはどうなんだ?」

「……お兄ちゃん……」

「……まあ……お兄ちゃんだからな」

「ありがと♪はい、あーん」

 

暁、チョロい。さすがに甘やかしすぎだと思う

好き嫌いぐらいは克服してもらわないとってもう1人のお兄ちゃんは思ってます

それにしてもさすがシスコンで定評のある暁だ

 

「まさか暁がシスコンだったとは。僕は空の方がシスコンだと思ったよ」

「ちょい、どう言う意味だ」

「暁先輩と空先輩の時の七海ちゃんの態度が違って見えたんですよね」

「へー。どんな感じ?」

「空先輩には兄として頼りにしてるって見えますね。でも暁先輩にはさっき見たいに甘えてるように見えました」

「どうだ暁。これがお前がシスコンということを表してる証拠だ」

「納得いかん」

 

俺はこの時、漫画で表すとドヤァってバックに出ていたと思う

俺も過保護にしてるって思うけど、それだけ大切で心の支えとなってくれてるからなんだろうな

 

「ちっ、違うもんっ。暁君だからって、あんな風に甘えてるわけじゃないもんっ。今のだって甘えてたわけじゃなくって、わたしが暁君を手の平の上でコロコロ転がしてただけだもんっ」

「えー、そんな風には見えなかったけどなー。なんか甘え慣れてる感じがしたよー?」

「そんなこと……ないもん……もっ、もぉ!暁君のバカ……すごく恥ずかしいところ。見られちゃったじゃない」

「どう考えても、お前のせいだろ。むしろ巻き込まれてシスコン扱いされた兄の方こそ被害者だ。あと何にも被害を受けてない空にムカつく」

「はっはっはっ!そんなこと言ったって事実は事実さ!」

 

はっ!暁の負け犬の遠吠えは珍しいから聞いててニヤついちまうぜ!

完全に勝利だなこれ!

 

「言っておくけど、暁君だけじゃなく空君もシスコン扱いされても仕方ないからね?たまにわたしも、この人たちキモいなぁーって本気で思ってるからね?」

「なんだとっ!?」

「なんとぉ!?」

 

完全勝利が引き分けにまで格下げしまった……

むしり勝ちから下がった分、俺の敗北じゃねぇか……

 

「でも本当に仲がいい。いつもそんな風に嫌いな物をお兄ちゃんに食べてもらってたのかなぁ〜?」

「そんなことしてないよっ、嫌いな物が食卓に並ぶことなんてないんだから!」

「そりゃそうだ」

「うちでは七海がご飯を作ってくれてたからね自分の嫌いなものは出さないはずだよ」

「そうなの?七海ちゃんが?」

「もっと言うなら、料理だけじゃなく、家事全般してくれていた」

 

あの時は本当に助かってた

俺ももうちょい早く手伝いを始めてあげれてればと思ってるんだけど、正直全部を任せてもらえるってほどじゃなかったしなんかカッコ悪いな、俺

 

「じゃあ、七海ちゃんは料理上手なんだ?」

「特に上手ってほどでもないけど……」

「七海は料理が上手だよ。下手に外食するよりも、美味いものを作ってくれる」

「ああ。もう絶品と言えるものしか作れないと思うな」

「ちょ、ちょっと暁君、空君……っ」

「何か得意料理とかあるの?もしくは2人が一番好きな料理とか」

「七海が作るものならなんだって美味いから全部好きだよ。どれも好きだから一番とか考えたことないなぁ」

「料理は全部美味い。家事全般問題ない。どこに嫁に出しても恥ずかしくないぐらいだ。まあ、今のところ出す予定はないが」

 

何言ってるんだこいつ

恭平はどの料理が好きか聞いてきたのになんで嫁に出す話になってるんだ?

 

「暁君……キモいよ。そういうところがシスコンっぽいって言ってるの。空君みたいに褒めるだけなら言わないのに」

「傷つくわー」

「でも、そこまで褒めてもらえるなんてすごいと思うな」

「だが最初の頃は失敗ばっかりしてたよ。真っ黒に焦げてたり、逆に半生だったり、出汁を取り忘れた味噌汁だったり、ご飯もベチョベチョだったり……まあ、色々あったな」

「へー。そこから頑張って努力したんだね」

「それは……だって失敗してても暁君と空君は食べちゃうんです。暁君なんて一回、半生の物を平らげてお腹を壊しちゃったこともあったので……」

「あー、アレは辛かった」

「そうか?俺は美味しくいただいたぞ」

「お前の胃袋と一緒にするな」

 

こればっかりは暁の言い分もわかる

なにせ俺、捨てられて拾われるまでのホームレスの期間、そこら辺の草とか猫や犬が持ってきたものを食べてたし

そのおかげ?で何を食べてもお腹を壊すことがなくなったんだ

ちなみに美味しく感じたのも、人が、七海が作ってくれたということもあり、いくら失敗してようが昔食べてたものよりも全然美味しく感じられたから本当にそう思っただけだ

あー、こう思い出したら七海の料理食べたくなってきた

といか、周りがそういう話になってた

 

「もし、ご飯作ったら暁君と空君も食べたい?」

「今ちょうど食べたいなーって思ってたんだ」

「あー……そうだな。久々に七海の手料理を食べたいから、その時は声をかけてくれ」

「……そっか……ふふん。仕方ないなー。2人がそんなに言うなら、食べさせてあげないこともないよ?」

「是非お願い」

「楽しみにしてる」

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂を後にし、学院に戻る

でもその前に、食堂のおばちゃんから貰った猫の餌を野良助にあげないとなー

 

「おーい、野良助ー、餌だぞー」

「もうどこかに行っちゃったんじゃないの?」

「そうかも。でもその前に暁、ちょっと奥まで覗いてきてもらえないか?」

「なんで俺が……ああ、わかった」

 

すぐに俺の意図が伝わってよかった

そう、奥に探させると同時に、増えたであろうカメラの確認をさせたんだ

そして俺は苦労しない。一石二鳥?ってやつ?

 

「こっちにはいなかったぞ」

「そっかー。ならどっか移動しちゃってるかー」

「とりあえず学院の方に行って見ませんか?ほかの人たちについて行ったっていう可能性もありますよ」

「んー、千咲ちゃんの言う通りかも。もう戻ってる人もいるだろうし」

 

ということで、学院に向かって移動

悟に確認したら、ちゃんとカメラの位置は把握したらしい

さすが兄弟。意思疎通もバッチリだな

 

「にゃ〜ぉ」

「おっ、千咲ちゃんの言う通りこっちにきてたか〜。ほーれ、餌だぞー」

 

手の平に餌を乗っけて、野良助の前に差し出す

すると餌にむしゃぶりつく

 

「やっぱりこいつ人懐っこいなー。下手なことしない限り逃げ出しそうもないよ」

「人を怖がるそぶりもないし、前は飼われてたのかもね」

 

一気にペロリと餌を平らげる野良助

 

「にゃ〜ぉ!」

 

まるでお礼を言うように一鳴きして、俺たちの元から立ち去っていった

なかなかできるやつのようだな

というかこんな子なのになぜ三司さんは嫌われるのか謎で仕方がない

 

「これで空も覚えられただろうから。これからはすり寄られるかもね」

「本当か?俺はいつでもウェルカムだぜ」

「空は本当に動物好きだな」

「にししっ、まぁな」

 

動物に好かれるのは俺は嬉しい

野良助はその分可愛がってあげないとな

 

その後、恭平はおやつを買いに、七海と千咲ちゃんは自分のクラスに、暁はもうひと回りしてくるといい別れた

俺はそのまんま教室に向かう

 

「〜〜♪」

「空君、どうかしたんですか?何やらご機嫌そうですが」

「ちょっとね、楽しいことがあったんだ」

「そうなのですか。あっ、服にゴミがついてますよ」

「え?どこ?」

「ほら、袖のところに糸くずが。あれ?でも……糸くずにしては、何か変な気が」

「ああ、野良助の毛だね」

「野良助?」

「猫だよ。この学院に住んでる野良猫。だから野良助。。餌あげたときか撫でたときについたのかな」

 

抱き上げようとも考えたけど、そしたら毛玉が制服にくっついちゃうしね

ちゃんと私服で遊ぶときじゃないと

 

「え?え?ちょ、ちょっと待って。意味がわからないんだけど。空君の時には逃げなかったんですか、あの子」

「全然だったよ。逃げるどころか、足にすり寄ってきたし、ありゃ懐かれたかもね。って、うわっ。ズボンにも毛がついちゃってるや。こりゃ抱き上げなくてよかった」

「……なんで……?なんで空君には甘えるんですか?私だって、餌をあげたいのに……モフりたいのにぃ……」

「俺に言われてもねー。近づいても逃げなかったし」

「ぐぬぅ〜〜〜……ッッ」

 

お、おう。すごい睨まれてる……

 

「ズルい、私にはそんなことなかったのに……。なんで?どうして?もしかしてワイロッ」

「餌はあげたけど、あげる前から人懐っこいように媚びてきたよ?よほど嫌なことがない限り、人を嫌うやつじゃないと思うけど」

「でも私の時は、ビクビクして全然近寄ってこないんですよ」

「うーん。その猫ってもしかして野良助じゃないんじゃないかな?それか何か用事があったとか?」

 

恭平はいないって言ってたし、千咲ちゃんは他は見かけてないって言ってたけど、この敷地の広さだ

あと一匹いたって不思議じゃない

 

「毛並みが似てる子とかいるだろ?それでもしかしてみんな気がついてないとか」

「それは……絶対にないとは、言えないけど」

「野良助なら三司さんでも近づけるはず。モフれると思うよ」

「……空君、手伝ってくれませんか?」

「俺?」

「私、1人だけだと出てきてくれないかもしれないでしょう?だから……お願い、一緒に来て♪」

「……フッ」

「ちっ……ダメか」

「やっぱなんかすごいよ、三司さんって」

 

猫かぶったと思ったらすぐに戻ったし

あとあの舌打ち思いっきり聞こえたし

 

「やっぱり責めてるわよね?」

「あーっと、付き合うのはいいけど、そう変に猫かぶるのはやめてほしいな?」

「……じゃあ……放課後、一緒に来てくれる?」

「もちろん。それに三司さんにはいろいろと借りがあるしね」

「うん、ありがとう」

 

最初っからそう言えばいいのに

でもこれで今日の放課後の予定はできた

うん。なんか今から楽しみだ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。