リライターと乳部・タイラー   作:シバヤ

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15話

 

さて放課後

俺は三司さんと一緒に、学院の敷地内を歩くことに

これってさ、軽いデートって考えてもいい?考えちゃってもいいよね!?

 

「ここら辺で見たの?」

「えっ!?あっ、うん。野良助ね。そうだよ。おーい、野良助ー」

「お昼にご飯をもらった子、出ておいでー」

 

よっし、俺の頭ん中で思ってたことはバレてないな

暁とのからかいのおかけでとっさに判断する力がいつの間にか身についていたようだ

それにしても野良助出てこないなー

 

「反応がない……これってやっぱり私がそばにいるからなのかなぁ」

「それは無いはず。嫌われることはしてないだろ?」

「勿論、あんな愛らしい存在にひどいことしない。というか……そもそも、何かできるような距離に近づけた事すらないから」

「じゃあ大丈夫だって」

 

心配しすぎよなー

でも好きなのから遠ざけられたら辛いのはわかるから三司さんの気持ちもわかる

と思ってたら、茂みからガサガサって音がして猫が現れた

 

「にゃぁ〜ご」

「おっ!早速現れたな、野良助」

「うにゃ〜」

 

とてとてとこちらに近づき、身体をスリスリと擦り付けるのはまさに野良助だ

 

「にっしっしっ、可愛いなーお前は」

「ぅにゃ〜」

 

顎の当たりをくすぐってやる

特に警戒されてるって様子もないから逃げられるってこともないだろ

 

「ほら、三司さん。こんなに無警戒なんだよ?やっぱ別のね──ヒェッ!?」

 

振り向いたらなんか別の存在がいた!

三司さん……なんだけど興奮しすぎてか怖すぎる……

 

「フーッ……フーッ……」

 

コラやばいし、警戒させないように近づくんじゃなく言葉で表すとジリジリとにじり寄ってくる感じだ

 

「ネコ……もふもふ……フーッ……フーッ……」

「にゃ、にゃぁぁ……」

 

野良助が怯えて俺の足に隠れる

いや、こら猫じゃなくても怯えるわ

だって俺もビビってるもん

 

「今日コソ、ネコ、触レル」

 

もはや人ではないような息をしてジリジリと迫ってくる

この圧力に耐えれる猫がいたら相当なもんだ

 

「逃ガサナイ……今日コソ、絶対……コーホー……コーホー……」

「にゃぅ……にゃぅ…… 」

「コーホーッ……コーホーッ……」

「ニ゛ャャーッ」

「ああっ!?待ってっ!」

 

会って少ししか経ってないけど、野良助のあんな鳴き声を聞いたのは初めてだ

今は逃げろ……生き延びるのだ……

 

「なんで、なんで私からは逃げてしまうの……」

「ありゃ逃げる」

「なんでぇぇぇっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの迫り方は猫じゃなくても逃げるぞ?下手すりゃ人も逃げる」

「うっ……そんな嫌な言い方しないでよ。大げさなんだから」

 

自分が野良猫を怖がらせていることにまだ納得いってないらしい

そんなこんなで部屋に連れてこられてしまった

……ここが三司さんの部屋

あっ、やばい。女の子の部屋にいるから緊張してきた

おっと、あれはゲーム機ではないですか。携帯ゲーム機じゃなく据え置き型も置いてあるとは

 

「あんまり部屋の中をジロジロ観察しないで欲しいんだけど」

「あっ、ごめん。据え置き型もあったからどんなやつやってるのかなってつい」

「RPGとか長く遊べてストーリーのあるものが多いわね。その方が飽きずに楽しめるから」

「でもそれ以外もあるよな?」

「そういう大作の数が少なくて。色々と新しいジャンルを試してる感じかな」

「ちなみに、ゲームするときって部屋にこもりっぱなし?」

 

ちなみに俺はこもるタイプ

RPGなら黙々とストーリー進めるし、FPSならオンラインでマッチングなんかしてる

他にもバ◯オみたいなホラーもやるぞ

 

「そうね。取り繕うのも疲れるし、何よりもラフな格好でダラダラ過ごすのが楽だもの。部屋でぐらい楽な格好でいたいの。空君はもう知ってるんだから、もういいかなって思ったんだけど?」

「それは個人の自由だしいいんだけど……」

「なによ」

「見事なペタン──」

「あ゛?」

「じゃなくって、いつもみたいに盛らなくていいの?」

「あ゛!?それ言い直した意味ある!?」

「悪かった!そういうことじゃなくって、格好が格好だからノーブラなのかなって思っちゃって」

 

だっていつもパッドつけてるんだもん

ブラも盛ってる時にしかつけてないかもしれないじゃん

女の子の事情はわからないが

 

「……はぁ……男の子を部屋に呼ぶのにノーブラなわけないでしょう。それじゃあまるで誘ってるみたいじゃない。ちゃんと身に着けてるわよ。スポーツブラだけど」

「スポーツブラってその名前の通り、運動する時に着けるもんじゃないの?」

「本来はね。でもワイヤーブラって圧迫されたり、肌が痛くなったりするから。それに比べてスポブラは柔らかくてストレッチ性もあるから着け心地もよくて、楽に過ごしたいときには丁度いいの。最近は機能性だけじゃなくデザインにもこだわったのが増えてるから可愛いデザインもすごく多いのよ。今私が身に着けてるのだって衝動買いをしちゃうぐらい可愛くて、見てみる?」

「是非見させてもらいます」

「ほら、これ。なんて見せるわけないでしょ、いくらスポブラとはいえ。なに本気で覗こうとしてるのよ、このエロ助」

「エエエエロ助ちゃうわ!それに男の子なら『見てみる?』なんて言われたら見ようとしちゃうの!純情なんです!」

 

今ので反応しない男がいたらそりゃそいつは男が好きなやつだ

それか彼女がいて惚気てるリア充野郎のどっちかに決まってる

 

「純情じゃなくて下心でしょ。いやらしいー」

「下心もちゃう!」

「まあ、それは置いておいて、猫の話。大げさな言い方はせずに、ちゃんと教えて」

「さっきから正直に言ってるけどめっちゃ怖かった」

「それ……本気で言ってる?」

「本気と書いてマジと読むくらい本気」

「なぁんでぇ!?怖がらせないようにゆっくり動いてたでしょ!?」

「ゆっくりというよりにじり寄る様だったな」

 

にじり寄って相手に近づき密かに殺るという……

 

「威嚇しないようにしてるのにっ」

「威嚇はしてないけど威圧はしてたな」

 

こう、威圧して動けないところを殺るという……

 

「そんなはずは……可愛い猫を愛でる目をしてるわよね?」

「愛でると言うより取って食う捕食者の目だった」

「そんな」

「興奮しすぎてるというか、気合いが入りすぎてるというか、とにかくそんな感じ。それに『コーホー』なんて呼吸してた時はフ◯ースの力がないと倒せないと思ったよ」

「そんな変な呼吸してないっ!」

「してました。さっきから嘘は言ってないからしてた。だから野良助も怖がるんだ」

「……またまた〜」

「…………」

 

三司さんは笑って誤魔化そうとするが、そうはいかない

俺はもちろん首を横に振ったよ

 

「マジで?」

「大マジで」

「じゃあ、私から猫が逃げるのって……」

「怖がられてるからだな。怖がられてちゃ餌でも無理かもな」

 

猫とかの動物って本能とかすごいからな

きっと恐怖にも敏感だったんだろう

 

「それって嫌われてるよりダメなんじゃないのっ!?」

「いや、むしろ嫌われてるより対処はできる。だって怖がらせないように気合いを入れないだけでいいからな」

「そう言われても……今までだって別に、気合いを入れてるつもりはないのに」

「あれだけ興奮しといてか?」

「そ、それはまあ……確かに、ほんの少しハッスルしてたかもしれない」

 

あれでほんの少しねぇ……

じゃあ盛大にハッスルしてしまったらどうなるんだ?

 

「でも、あんなに愛らしい存在を目の前にすると、多少なりとも心が躍るでしょ?」

「まあ、それはわかるけど。俺だって動物好きだから撫でたりしたし」

「そうでしょ?私は本当に怖がらせるつもりはなくて、自然とテンションが高くなっちゃっただけで……」

 

確かに、動画を見ただけで凄いことにになってたんだ

本物を見たらテンション上がっちゃうだろうな

 

「そもそも怖がらせないようにって、どうすればいいの?」

「そうだなー」

 

俺の場合は、向こうの方が俺の気持ちを察してくれて寄って来たからな

そのあと家族みたいに過ごしていたし

それから俺が笑えるようになんかいろいろしてくれたからその逆のことをしないってなると……

 

「嫌がることをしないことは当たり前だし、相手の、猫の気持ちを考えたらどうかな」

「相手の……猫の気持ち……猫の気持ち……にゃ、にゃにゃ〜ん」

「……──はぅぁ!?」

「なっ!?なんで驚いてるわけぇ!私がこうして真面目に猫の気持ちを考えようとしてるのに!」

「い、いや、ただいきなりだったから驚いちゃっただけだから」

「……それならいいんだけど」

 

猫の気持ちを知るために猫の真似をするとは

だけどその……破壊力が高くって思わず声が出ちゃったというか

 

「でも形からかぁ。確かにそういう方法もありかも」

「そ、そうでしょう?」

「猫のことをちゃんと考えてるのがわかる」

「それで猫って、こんなポーズよね?にゃ〜」

「…………」

「……〜〜〜っ、そこで黙らないでよっ、恥ずかしくなってくるじゃないっ!」

「でもどんな反応すればいいかわからなくて」

「さっき、あの野良猫にしてたみたいにしてくれればいいから。そうすれば何を怖がるのかわかるような気がするから。でも無反応ってことは……なりきりが足りないってことよね」

「そういうことじゃないんだけど」

 

本当にどう反応すればいいかわからないだけ

それに……猫の真似をする三司さんが可愛くって

猫を被った姿もそりゃ可愛いかったけど、素の性格は冷たいかと思ってたが、なんかこう好感度持てるな

 

「……なによ?」

「いや、何でも」

「……まあいいわ。それより、猫になりきるためにはどうすればいいと思う?」

「なりきるかぁ……そうだなぁ……真似だけじゃなく形から入ってみるとか?猫耳とか」

「……猫耳ぃ?」

「あー、でも付けるのは嫌かな」

「いいアイディアかもっ!」

「へっ?」

 

おっと、そこ乗ってくるか

ちょっと意外だったぞ

 

「なによ、その反応。言い出したのは空君でしょ?」

「それはそうだけどさ」

「それで、猫耳って持ってる?」

「さすがに持ってないよ。持ってたら気もち悪いだろ?」

「……確かに」

 

三司さんは深く頷く

俺も動物が好きと言ってもそれはねぇ

買うとしても夢の王国のカチューシャぐらいだ

 

「私も猫耳なんて持ってないし……どうしよう……誰か持ってる人、知らない?」

「1人だけ心当たりがあるからちょっと聞いてくる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?猫耳?そりゃ一応……持ってるけど」

「やっぱ持ってきてたか」

 

七海のコスプレで何あるか聞いた時、猫耳があったのを思い出したんだ

 

「それちょっと貸してくれないか?」

「えぇ!?空君がっ、猫耳を!?貸すのはいいんだけど……ついに女装するの?」

「俺はつけないぞ。それに自ら女装はしないしあの時のことは忘れてないからね?」

「あの時は一時のテンションに身を任せちゃってたからつい……」

 

昔ある時、俺は七海に女装されかけたことがあった

原因は俺がコスプレに興味を少し持っただけなんだけど……

あの時の七海のテンションは凄かった。暁も助けに来てくれないほどだった

 

「それで、貸してくれるんだよね?」

「うん、ちょっと待ってて。すぐに持ってくるから」

「ありがとう、七海」

「それからコスプレするんだったら言ってね」

「カッコいい男キャラもんだったら考えておくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「借りてきたよ」

「うわっ、本当に持ってる子がいたんだ?ちなみに訊くけど……実は本当の持ち主は、空君じゃないでしょうね?実は女装趣味がある……とか?」

「そんな趣味は持ってねぇ!これは七海から借りてきたんだ」

「七海さん?彼女、どうして猫耳なんて持ってるの?」

「んー……他言はしないって約束できる?」

「他言はしない。約束できる」

 

三司さんなら約束は絶対に守ってくれるだろう

それに俺のことじゃなくて七海のことなら尚更だな

 

「あの子、いわゆるオタクな一面があってな。コスプレをしてイベントに参加することもあったんだ。その猫耳は衣装道具ってわけ」

「そうなの。よかった、安心した」

「それじゃ約束は守ってもらうからな?」

「わかってるって」

「じゃあこれ」

「うん。ありがとう」

 

猫耳を手渡し、三司さんはそれを装着する

 

「にゃぁ〜〜〜」

「可愛い」

「……あ、ありがとう……でもそうじゃなくて猫っぽくなったかの感想を訊きたいの」

「あっ、そっちか。うん、さっきよりも猫っぽいよ」

 

正直言うと可愛いとしか思いつかなかったなんて言えない

 

「そう、なら良かった。じゃあ、早速さっきの、続けてみるわね」

「うん」

 

と言ってもにゃ〜と鳴いてるだけじゃ気持ちなんてわからないからな

三司さんも構ってと言ったし、猫を構うようにしてみるか

 

「よーしよしよし」

「あっ、ふっ、やぁんっ!く、くすぐったい……んひゃんっ」

「…………」

「はぅっ、はっ、はっ、はぁぁぁ……んんっ」

 

何故だ、顎や首の辺りを指先でくすぐってるだけなのに……

なんかいやらしいことしてるみたいに感じてきた。だって俺の指でこんな可愛い子が悶えてるんだもん

あっ、止められねぇわ

 

「ちょっ、あっ、あんっ……んんっ、やっ、あぁんっ」

「…………」

「はっ、ぁぁっ、あっ、んんっ!す、ストップストップ」

「…………」

「ちょっ、ちょっと待ってってば、もうダメ、やだ、やだぁっ……一回ストップ……じゃないと、あっ、あっ、んんーーぁあっ!」

 

すみません、やりすぎました

ということでこのあとちょっと休憩を入れた

でもなんか……エロかった

 

「はぁ……はぁ……ストップって言ってるのに」

「ごめん、なんか歯止めが効かなくて。顎や首に触れられるの嫌だった?」

「嫌悪感があったとかじゃなくて、単純にくすぐったくて……ちょっと身体が変な感じになってきたから」

 

正直三司さんがストップって言ってくれなかったら大変なことになってたかもしれない

やりすぎて

 

「でもおかげで、少しわかったかも。構いすぎると、ひっかいたり噛みついたりする気持ちが。確かに、あんまりしつこくされると困るわね」

「力になれたなら良かった」

「でもこれって、触れ合ってからのことでしょ?私の場合、その前の段階で恐怖を与えてるってことだけど……具体的に、気合いを入れ過ぎてる私って、どんな感じなの?」

「そうだな……見てもらった方が早いか。実際に試しにやってみるよ」

 

百聞は一見にしかず

見てもらえばどんなのかわかってもらえるだろう

 

「お願いしてもいい?」

「いいけど、怒ったりしないでよ?あと出来れば引かないで欲しい」

「わかってる。そんなことしないから」

「それなら……コホン……フーッ……フーッ……ネコミミ、女ノ子、可愛イ」

「ひっっ!?」

「可愛イ……逃ガサナイ……コーホー……コーホー……」

「ひぃぃ、変質者ッ!?」

「それはひどいなー」

 

実際やってみたが、こんなんだったんだ

俺は再現しただけで変質者じゃない

 

「ご、ごめんなさい。つい、生理的嫌悪感が……でも、さすがにそれは盛りすぎ。私はそこまで気持ち悪くないわよ」

「と、思うじゃん?」

「……そうなの?嫌がらせとかじゃなく?」

「だから野良助は恐怖を感じたんだ。わかってもらえた?」

「…………」

 

まっ、これで自分がどれだけ恐怖させてたかわかってもらえたようだ

となると、直すべきところは

 

「あとは落ち着いていけるかだ。恐怖を感じさせなければ大丈夫だと思う」

「うん。じゃあ猫の気持ちはわかったから、今度は撫でる側の練習をさせてくれない?」

「撫でる側って……えっ?まさかの?」

「そう。はい、こーれ」

「……マジで?」

「もちろんマジ。今度は空君が猫になってもらって、撫でる練習」

 

マジですか。この展開は予想外じゃ

 

「でもどうしよう……全然可愛くない。猫を目の前にした時みたいに、心が踊らない」

「そらそうさな!」

「これじゃ練習にならない……?」

「そこまで言われると傷つくぞ?」

「ウソウソ、冗談。落ち着いて練習するんだから、それぐらい可愛くない方がちょうどいい」

「それはそれで、嬉しくないが……仕方ない、最後まで付き合ってあげるよ」

 

乗りかかった船みたいなもんだし、せっかく協力してるんだ

最後まで力を尽くさないとなんか後味が悪い

 

「じゃあ早速、ちちち。ほら、空君」

 

仕方ない、気持ちを切り替えて──

 

「うにゃ〜」

「あれ、意外と上手いわね。可愛くない鳴き声だけど」

「にゃー!!」

「ゴメンって。もう文句言わないから」

「にゃ」

 

全く、こっちは付き合ってあげてるってのに

しかも男なんだぞ?昔ならそりゃ可愛かったかもしれんが、この歳になって猫の真似なんてしても可愛いわけがない

 

「よーし、おいでおいで。にゃ〜、にゃ〜」

「にゃ~ぉ」

「よーし、よしよし」

 

野良助の時と違い、威圧は感じない

そして俺がしたのと同様に、顎から首の辺りをくすぐってくる

 

「これが、念願の猫もふ」

「にゃふっ……にゃ、にゃ……んっ……」

「ああ、これで相手が本当に可愛らしい猫だったなら」

「うにゃー!」

 

さっきから気持ちを切り替えてるから猫の言葉しか出ない

というかヤバっ、くすぐったい……というよりもなんか、悶えるっていうか……!

 

「うにゃんっ!」

「本物の猫も、こんな感じでいいのかしら?」

「ひゃ、んっ……ふぅ……んっ」

「……ねぇ、さっきから変な声を漏らしてない?もしかして、私の指で興奮してる?」

「してにゃふぅっ!?」

「『してにゃふぅっ』だって、ふふっ。空君って可愛い声で鳴くのね」

 

これは非常にまずい!

彼女がなんかドSな目になってしまってるが、俺もあんな風になってしまってたのか……

 

「にゃっ、にゃふっ、うにゃんっ、にゃぁぁ〜〜」

「全然可愛くないくせに、鳴き声だけは可愛いんだから」

「にゃぁぁ……にゃぅん」

「ほーれほーれ、んふふ」

「ぅにゃ……にゃぁ、にゃぁーーー!!」

「ひゃぁ!?び、ビックリした……急になに?」

「な、撫ですぎ……しつこいよ……」

 

あのままやられてたらどうなってたかわからないなら止めさせたなんて言えねぇ……

 

「へぇ……?その割には、とっても気持ちよさそうな声を漏らしてた気がするんだけどなぁ〜」

「そっ、そんなことはないぞ」

「……ふーん?」

「ってか、それなら三司さんだって同じじゃんか。あんな気持ちよさそうな声を上げてたくせに」

「きっ、気持ちよさそうとかっ、そんな変な声は出してっ……ない……」

 

お互い、否定しきれない部分があるよな……

というか、終わって冷静になったから思い出せるが、今までの行動を客観的に見ると……

俺が!猫の真似なんてして『にゃ〜』とか変な声出すなんて!

すっごく恥ずかしいことをしてしまっただろこれ!?

 

「こ、これはここまでにしよう」

「そ……そうね」

 

お互い目をそらしながら、頷きあった

うわー、俺としたことが、顔が赤くなってるのがわかる……

 

「と、とにかく!気持ちよさそうな声を出しててもしつこくしてると怒ることもあるってこと!」

「わっ、わかった!調子に乗って撫で過ぎないように気を付ける……うん」

「それがいいよ。あとはさっきみたいに落ち着いて寄ってくるのを待てば大丈夫なはず。本物の猫じゃ勝手が違うだろうけど、野良助なら大丈夫だと思うよ」

「うん。練習に付き合ってくれて感謝してる。本当にありがとね」

「ああ。素直に受け止めておく」

 

なんか、今日1日三司さんと一緒にいたけど、意外な一面が見れて面白ったな

その後、三司さんの部屋を出て、自分の部屋の前まで移動したが……すっげー恥ずかしいことしてんな俺

 

「あれ、空?こんなところで何してるのさ」

「なんか一人で悶えてたけど、何かあったのか?」

「あ、いや、悪い。なんか思いっきり叫びそうになりそうだったから」

「──って、空!?その姿は一体!?」

「その姿……?」

「頭のもんだけど、お前何つけてるんだよ」

「頭?とんでもない物?……あっ」

 

だーっ、しまったぁー!

逃げたい一心で猫耳つけたまま三司さんの部屋を出てしまったんだー!

 

「……俺を……見たな!」

「まずい、逃げるぞ恭平」

「へっ?ちょっと待ってよ暁!」

「汝らの命をここで絶つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ……」

「どうしたの?なんだか重苦しいため息だけど……何か悩み事?」

「ああいや、気にしないでくれ」

 

放課後のあの出来事の傷が未だに癒えてないないだけだからな

七海には知られたくないし

ちなみにあの後、暁と恭平には神の怒りを食らわせて黙らせた

 

「ホントに?今から任務なんだよ?集中できないなら、わたしと暁君だけで行ってくるけど」

「ダメ、それは出来ない」

 

俺は暁をジロリと見る

何も言わないと目線から伝わる

 

「俺の方は大丈夫だから。それよりセキュリティの方は?」

「そっちは問題ないよ。今日されたのは、やっぱり外からの侵入に備える部分だよ」

「それなら、心配はなさそうだなよし。行くか」

「ああ。……もしも七海に言ったらどうなるかわかってるよな?」

「大丈夫、心配するな。今のお前に逆らえるやつなんていたら命知らずだ」

「それならいい」

 

セキュリティに関しては七海が言った通り問題なく、いつも通りすぐに学院に入ることができ、研究室のセンサーにカードキーをかざし、入室

 

「そんじゃ外の方は俺が見るから2人とも任せっぞ」

「ああ」

「うん。AIMSのセキュリティも変わってないみたいだし、すぐに調べれられそう」

 

前みたいなことは起きないと思うが、念のために警備員以外にも気になることがないか外を見てみる

……あんまり変わったことはないかな

三司さんだって取材はないだろうから部屋にいると思うし、警備員が何人か増えただけだ

侵略者もいなさそうだし、こりゃ少しの徒労で終わりかな

 

「それが……わからない。調べられないんだよ」

「どうした、何かわからないことがあったのか?」

「外はどうだ?」

「問題なし、それで今の話は鎌倉寿人と飛鳥井栞那についてなんだよな」

「……行方不明になってる」

「行方不明?それは、2人ともか?」

「2人とも。行方不明」

 

行方不明……だって?

調べて欲しいと言われたアストラル使いが2人揃って……?

頭に嫌な考えがいくつも思いついてしまった

暁と七海が俺の前からいなくなってしまった考えを

俺の、悪く嫌な癖だな……





ようやっと七海√に入ることが出来ました…
これがラスト√なので七海√が終わったらまた続き書きます!

ちなみに千恋*万花は全員終わってるのでそちらの方はこのまま書き続けていきますのでよかったらそちらの方も読んでくれたら嬉しいです!

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