リライターと乳部・タイラー   作:シバヤ

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17話

時が経つのは早く、あっという間に週末

 

「ということで、出し物について考えてきた?」

 

約束の日のため俺たちは意見を言うことに

 

「すみません。考えはしたんですが……なかなかいい案が出なくって」

「僕も同じかな。せっかくだから、アストラルを活かしたオリジナリティのあるものがいいとは思うんだけど、それが難しくて。アストラル能力を使わなくてもいいなら、目立つのを考えはしたんだけど」

「なに?どんな出し物?」

「握手会さ!」

「却下だ」

「言うの早いよ!」

「それじゃ理由な。三司さんの負担がデカすぎるだろ。それに協力することよりも個人での働きが大きすぎる」

 

何よりその中に襲撃した奴らが紛れ込まれたら何をされるかわからない

その場で連れ去られる……ことは多分ないと思うが何かしらの目に見えない機械なんか付けられたら大変なことになっちまう

それに学院側だって黙ってることはないと思うんだよな、そういう商業的やり方

 

「それに本人の意見が1番大事だ。その返答はどうかな?」

「絶対嫌です」

「ひっ……笑顔なのに怖い……」

「よし次に行こう。他になにか思いついた人はいるかい?」

「……時代劇とか」

「おっ、二条院さんらしいな。それは舞台でってことか?」

「舞台でもいいし、ゲリライベントみたいに、路上でしてもいいんだ。殺陣を……一度やってみたいな、って」

「アストラル能力で、演出を派手にしたりすれば目立つかもしれないが……」

 

暁の言う通り、その方法はやり方次第で出来るだろうし、路上でやれば動きが把握出来たりいいことはある

あるんだが……

 

「考えはいいが、却下だな。理由はいくつかある。まずは予算の問題だな。衣装に小物、他にも必要なのが多々出てくるだろう」

 

チケットを売りゃ解決できるだろうが、その分人が集まるか保証はない

それに使う方が多分多い気がする

 

「次に殺陣だな。俺や暁なんかは運動神経いい方だから練習すりゃ当たり前に本物よりは劣りすぎるが多少はマシになるだろうし、知識がある二条院さんも大丈夫だろう。けどそうだな……七海、練習ありだとしてもできる自信はある?」

「うぅ……きっと無理だよ……」

「そうか……」

 

別に全員が全員覚える必要はないけど、どういう劇かでやるかもしれないからな

そして次が1番の問題だな

 

「最後に印象を悪化させるってことがありそうだな」

「印象?」

「ああ。例え劇で見せ物だろうが“アストラルを暴力的な行為に使用”してるって印象を与えてしまうかもしれないんだ。俺の考えすぎかもしれないが、人によってはそう思い込む人がいるかもしれないからな」

「学院に認めて貰えない可能性がありますね」

「そうか……確かにその通りだ。ワタシの意見は取り下げるから、忘れてくれ」

「でも良い意見だったし、どういう出し物にしなきゃいけないか再確認できたのは良かったよ、ありがとう」

 

アストラル能力の使用に危険がなく、個人での働きではなくみんなが働けて、面倒な予算の問題もだいたい解決出来る……か

 

「空は何か意見あるの?ちゃんと考えて却下したりしてるけど」

「もちろんあるさ。喫茶店だな」

 

料理出来る七海と表に出さないように三司さんを裏方の方に回し、さらに厨房は客から離す

それに真面目な二条院さんにコミュ力お化けの千咲ちゃん、あとはいつでも動ける暁辺りが料理運べばちゃんと全員動ける

もちろんこれは暁と話し合って考えた事なんだが……

 

「そ、空?なんか怒ってる?」

「いーや、俺はいつも通りだ気にすんな」

「空がそう言うならいいんだけど」

 

前に話し合ったこと思い出してマジでムカついてるのは事実だ。恭平、すまんな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『すまん。発表祭は中止には出来ない。許可も下りなかった』

 

意見を話し合う日のもう少し前の日、父さんから報告が来た

 

「……それはやはり、中止にするためにはなんらかの痕跡が残るからですか?」

『それもあるが……“上”はむしろ発表祭に積極的だ』

「はーくそっ、やっぱりかよ」

「どういうことなんだ?発表祭の開催に“上”の連中とは関係ないだろ」

「暁、俺たちの組織をもう一度思い返してみろ。こんな組織なんだから設立に関わってる奴らは少なくともアストラルに肯定してる。だからアストラルの技術を使ってる企業と繋がりがある……そうだよな、父さん?」

「ああ、空の言う通りだ」

 

この手の話については頭の回転が早い。だから大凡のことはわかる

 

「でもそんな顔色伺いのために、中止はできないと?」

『……いや、理由はしがらみだけじゃないんだ』

「これ以上なんかあるのか?」

 

他に何かあるのか?

企業……について関わるのは分かったし、みんなが楽しむから……なんてのはねーか

 

「……まさか、三司さんを囮にする……?」

「おいおい、何言ってんだよ。冗談にしては悪いぜ暁」

『…………』

「なんでそこで黙っちまうんだよ、父さん」

『……アストラル使いの行方不明について、手がかりがつかめない。“上”はその事を憂慮している。このまま放置できない』

「それはわかるさ!でも三司さんは一般人だ!彼女を囮になんか出来るわけねぇだろ!」

『勿論理解している。俺も同じ気持ちではあるが……“上”も本気だ』

 

……なんなんだよ、“上”の奴らってのは平気で一般人を囮に使おうってのか?人の命を簡単に危険に晒そうってか?

ふざけてんじゃねえ、ふざけてんじゃねーよ

 

「もし、拒否をしたら?」

『クビが飛ぶ』

「それは比喩表現?」

『“上”の機嫌がよければ比喩ですむ。悪ければ言葉通りの意味になる。そして代わりの誰かが作戦の指示をする。その場合、お前と七海がどうなるかもわからん。もし作戦の邪魔になると判断されれば……』

「そんな奴ら、殺してやる」

「そ、空?」

「三司さんだけじゃなく暁と七海も危険に晒そうとするんだろ?なら関係ねえ、殺してやる」

 

俺の心の支えである家族

それに猫かぶっているけど一緒にいると楽しく思えてきてる三司さん

そんなかけがえのない人たちを少しでも危険にしようとしてるなら誰だろうと関係ねえ

もし相手が相当な数で武器を持ってようが、アストラル能力を使ってこようがそんなのはどうでもいい

何が来ようが俺には効かないし絶対に勝てない

自身を超人に至るまで強化し、それらを受け付けないように書き換えればいいだけだ

 

『少し落ち着け』

「落ち着いてなんかいられるかよ!」

『落ち着けって言ってるだろ。今の命令に従っていれば暁と七海には危害はない。それに彼女を囮にするとしても空、お前が守ればいいだけの話だ』

「……俺が?」

『そうだ。三司あやせに格好良く言ったんだろ?ならそれを実現してみせろ』

「……ああ、言ってやったよ。わかった、俺が全員守ってやる、良い方向に書き換えてやるよ!」

 

そうだ、俺は書き換える者(リライター)

自身だけじゃない、この先の未来だって全て書き換えてやる

 

『それでこそ空だ』

「でも囮である以上、三司さんの姿は相手に見せなければならないんですよね。俺と七海、空の3人だけでできるとこじゃない」

『わかっている。以前にも言った通り、当日は応援を回す。拒否権がない分、本腰を入れることには文句を出さない。なんとかする、そこに関しては信用してくれ』

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喫茶店と言えば定番であり王道だからな。変に凝ってなく、少しの練習でも誰でもできる。そっちの方が急なハプニングが起きても対処出来ると思うしな」

「気をてらわず王道での勝負ってことか……定番のいいところは赤字になりにくいだろう、ってことだね」

「そゆこと。つまり却下の意見になる協力、予算はクリアできるんだ!」

「確かに、でも残りのアストラル能力の演出は?」

「よくぞ聞いてくれた!それはだな……」

「それは……?」

「何も考えてねぇ!だってみんなの能力バラバラすぎて組み合わせが思いつかねぇし!」

 

あともうちょい、もうちょいってとこまで来てるんだけどな〜

ここさえクリア出来れば喫茶店で安全なものを提供できるってのに……!

 

「喫茶店にアストラルか……あっ……そっか。もしかすると」

「式部先輩?」

「ちょーっとお姉さんにアイディアがあるんだけど、いいかな?」

「マジっすか!些細なことでもいい!なんでもお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩につれられ休日の学院、そのままプールに向かってきた

 

「それで……アストラルをどうやって絡ませるんですか?」

「あっ!能力で軽食を作るとかですか?ライブクッキング的な感じで!」

「もしくはアストラル能力で注文の品を運ぶとか?」

 

品運びか……それなら俺の能力で犬とかの魔物でも作れば出来そうだが、式部先輩には教えてないし違うことを考えてるんだろう

1回全員の能力を思い出してみるか

まず俺はオーロラ含む体液操作、暁は脳のコントロール、七海は治癒、三司さんは引力と斥力の操作、二条院さんが水の操作で式部先輩はアストラルによる壁を作ったりできる

暁と七海はこういう場に合わない能力として俺含む4人の能力を合わせるか……

引力と斥力……水……壁……

 

「そっかぁ!わかったぞ!」

「わかったって、何がわかったの空君?」

「そりゃ式部先輩のアイディアってやつさ」

「本当?じゃあ聞かせてもらおうかな」

「了解っす。使用する能力は式部先輩と二条院さんがメインですね。で三司さんと場合によっては俺も関わるんじゃないすか?」

「へぇー、凄いね。正解だよ」

 

っし!勉強では使われないけど面白いこと、任務に関わることになるとホント頭の回転が早いな俺!

いや、面白いことに関しては暁をいじるために考えてたからだと思うけどな

 

「えっと、どういうこと?」

「簡単に言うと、椅子やテーブルを用意して式部先輩の能力でその形を作り、三司さんと俺の力でその形作りで使った椅子を取り出す。そして二条院さんに作った型の中に水を入れてもらう。そうするとそこには水で出来た家具が出来上がるんだ」

「その通り。そうすれば周りからは水の椅子があるように見える。でも透明な壁があって、水に触れることはできないから濡れることはない」

「三司さん、家具とかは能力で動かせれる?」

「家具の範疇なら大抵のものは動かせると思います」

 

よし、条件は揃った!俺の考え通りだなこれは!

ただひとつだけ確認しとかないとな

 

「でもこれって式部先輩に負担かかると思うんすけど」

「そこら辺はダイジョーブ。この学院の研究の1つに、能力の意地をさせるものがあるんだよ。それは後で説明するとして、ちょっと試しに作ってみようか。そのためにわざわざプールまで来たわけだしね」

「そうですね。まず試してみましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで完成!」

「おー……凄い……本当に椅子の形をしてますね」

「でも思ったよりも透明ですね。いや、それが普通だとは思うんですが」

「そんなら本番には色をつけてみるか」

「じゃあ解除するから、離れてー」

 

先輩がそう言うと椅子が崩れて、プールサイドに水が広がっていく

これなら片付けも簡単そうだな

それに式部先輩がさっき説明してくれたんだが、能力を維持するものがあり放っておいても半日ぐらいは能力が維持し続けるらしい

前に二条院さんが警備に関わって水の糸を貼り巡らせていた時に使っていたのもこれらしい

 

「うっし!これで店を決めるための条件はクリアしてるな!てなわけで、出し物は喫茶店で構わないよな?」

 

俺が確認してみると誰も否定的なものは出さない

むしろ表情的に賛同的だな

 

「先輩もいい考え出してくれてありがとうございます。おかげでなんとか出し物も決まりましたよ」

「他には何も思いつかなかったから、ダメって言われたらどうしようって不安だったよ。よかったよかった」

「じゃあ次はメニュー決めだな」

「あ。コーヒーはお姉さんにおっまかせ!美味しいコーヒーを準備するからね」

「紅茶と、ソフトドリンクは準備しないとね」

 

喫茶店だしそう難しいもんじゃなく作りやすいものだから話がさっきよりサクサク進むな

とりあえず喫茶店には決まった

あとは三司さんを厨房に回せるようにすれば……

 

「でも、パンケーキとクレープなら、分量を変えるだけで、材料にそんなに差はないと思いますよ。ねっ、空君」

「ん?ああ、それで合ってるよ」

「もしかして空君って料理できたりするのかな?」

「軽いものとお菓子作りだけならできるっすよ。家事は七海がやってましたんで」

 

本当に誰でも作れるものとかなら俺だって作れるさ

カレーとか、焼きそばとか

 

「だったら、調理を担当してもらえないだろうか?七海君、空君」

「アタシもいいと思う。いくら簡単って言っても、お客さんに食べてもらう物だしね。杜撰な物を提供するのはよくないね。だから、二人さえよければ」

「あ、はい。わたしなんかでよろしければ」

「俺もいいっすよ。お互い作れるジャンル違うし教え合えばちょうどいいかもな」

 

俺はデザートやお菓子など、七海は大抵のものは作れるからな

 

「でもさすがにもう1人はアシスタントが欲しいかな。念には念をってことで」

「それなら、三司さんは厨房担当で奥にいてもらった方がいいんじゃないか?三司さんが注文を取ったりして、お客の前に立つと、自然と握手会みたいなことになるかもしれない」

「いくらなんでもそれはありえませんよ。アイドル活動をしてるわけでもありませんし。以前買い物に行った時も、騒ぎになったりしなかったじゃないですか」

「でも今回は学院での事だから状況が違うぜ?特に男子なんか群がりそうだ」

「そういうのはちょっと困りますね……」

 

三司さんと言えばこの学院では相当な美少女、それに有名人だ

そんな人が接客なんかやれば男なんかひょいひょい集まっちまう

 

「じゃあ三司さんも厨房担当でいいか?もちろんわからないことは全部教えるからさ」

「わかりました。よろしくお願いしますね」

 

これで三司さんはなるべく俺の近くにいられるようにできたな

ここまで全部俺の考えた分配になって良かったぜ

 

「なんだか楽しくなってきたなー。純粋な喫茶店とは違うけど、結構大規模にできそうだし、これは当日が楽しみだよ」

「焼きそばにお好み焼きっていうと、喫茶店っていうより海の家なんかを想像しちゃいますよね」

「海の家…………ハッ!そうだ!いいこと思いつきました!水を使うんですから、出店場所はこのプールがいいですよね?」

「ん?そうだな。プールが側にある方が助かりはするな」

 

プールで出店か

俺や暁にとっても都合がいいかも

プールの出入り口は1つ。それに窓の位置も高いところだけ

俺が気が付かなかった場所の安全面もそれなりにあるな

千咲ちゃんナイス!

 

「許可が下りれば、いいんじゃないか?」

「だったら、店員はみんな水着というのはどうです?」

『水着!?』

「水着喫茶ですよ!水着喫茶!破壊力のあるフレーズじゃありませんか!?」

「うん。男しては興味を持たざるを得ないね」

「いいじゃないか!俺もいつもよりやる気出てきそうだぜ!」

 

三司さんに七海、二条院さんに式部先輩に千咲ちゃんと美少女勢揃いでも嬉しいってのにさらに水着だって?

はっ!男なら喜ぶしかねぇじゃねえかよ!

楽しい祭りになるか、あぶねえ出来事になるか俺の動き次第だな

最高の思い出になるようにやってやんよ!

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