話し合いで模擬店は俺の提案の喫茶店になった
けどそっからの準備が予想以上に忙しくてめんどくさいなんてものじゃなかった!
申請の際、アストラルをどのように使うのか教師達に披露
椅子とかテーブル作るだけだから安全だしな、承認貰ったしプールの使用許可も貰えた
で次に調理方法を記載しなきゃなんないからメニューを早急に決めることに
材料を決めたら調達先、予算、使用機材、etc……
だぁぁ!めんどくせぇぇ!
「当日はもう暁に全部任せた。俺は味見係やってるよ」
「馬鹿な事言ってるな」
「冗談だっつーの、ったく……あっ、三司さん」
「はい。なんですか?」
「結局ライブもやるんだって?」
「ライブ?三司さんはそんなのもやるのか?」
あー、そういや細かいことは暁に言ってなかったっけ
まあ今伝えれたから結果オーライってことで
「去年もやったらしいんだよ。それで代わりに俺たちと模擬店ってことにしたかったが」
「頼まれてしまって」
「模擬店じゃあ一押し足りなかったか?」
「いえ、発表祭の訪問者にアストラルを身近に感じてもらえるいい企画だって言われましたから」
「ならなんで?」
「先生ではなく、執行部からの要請があったんです。発表祭のアンケートで、学生が期待していることに上がって。それで……肩書きだけとはいえ会長ですから。これぐらいは」
うーむ、俺たちは初参加だからどれくらいとはわからないが、みんなこのイベントを相当楽しみにしてるってことなんだろうな
だけど三司さんにもしもの事があったらイベントが台無しになるどころじゃない
やっぱり、このまま囮になんて俺にはできん
何か考えつけばいいんだけど
「一応、できました。これが、喫茶店で出すメニュー、焼きそばにお好み焼きです」
「クレープにパンケーキも出来てるよー」
「いいねぇ。盛り付けにもこだわっててプロっぽい」
「食べ歩きじゃなく、席に座っての提供なので、そこら辺も多少こだわった方がいいかと思って」
「俺もそういうこと考えて頑張ってみましたよ」
試作品にも関わらずちょっと本気を出しちまった
パンケーキにミッ○ーの絵を書いたんだ
流行りのパンケーキアートってやつだな
「あはは……空君のは頑張りすぎじゃないかな?」
「そうっすか?」
「ねえ空君。これってイラスト描いた後に別の生地乗っけてたりするんだよね?」
「そうだよ。部分の焼き色を調整すればこんな風にちゃんとしたキャラ絵になんだぞ」
「教えてくれる時は普通ので大丈夫だからね」
「そうか?七海がそう言うならそうするけと」
こっちの方が繁盛するとは思うが
でも多少の手間があるしな、それも結構めんどくさいのもあるし
「見た目は普通のを作るとして、次は味を確認してみてくれ」
「匂いからして美味しそうだけどね。それじゃあ空君が作ったクレープをいただきます」
「じゃあ私はパンケーキいただきまーす!」
「なら僕は、やきそばとお好み焼きの味見を」
「……ぅぅ……家族以外の人に食べてもらうって、予想以上に緊張する……っ」
「心配性だなぁ。七海の料理は美味いから心配ないって」
この子はもうちょっと自分に自信持ってもいいとお兄ちゃんは思うな
あまり卑屈にしすぎてもダメになっちまうし
「美味しい!フワフワで、バターの風味もあって……本当に美味しいです!」
「ん〜、クレープも美味しいよ。もちもち、しっとり。これは十分お金を払う価値はあると思うよ」
「うん。いいよ、美味しいよ。このお好み焼き、周りはサクサクなのに中はふっくらで。ベタッともしてなくて……焼きそばも、まろやかな感じでいいと思う!七海ちゃん、思ってた以上に料理上手だね」
「なっ?言っただろ心配することはないって」
ちなみに俺のも褒めてもらえて内心嬉しいね
それに女子2人から好印象ってことは女子ウケに良さそうだしよかったよかった
「うん。でもこんなに褒められるなんて思ってなかったから……なんと言っていいのか……え、えへ」
「この味を維持できるなら、それだけで評判になりそうなもんだよ」
「そうそう。もし忙しくなってもこのクオリティを維持できそう?」
「俺は七海に、七海は俺にそれぞれ教え合うし三司さんにもレシピ教えて後でわからない所を教えてみたりするから何とかなると思うっすよ」
3人でこれぐらいのクオリティ出せるなら多少忙しくてもカバーし合えるだろう
俺は三司さんを意識しつつ作らなきゃならんが、それはそれだ
「接客をするなんて初めて……もし、粗相をしてしまったら……それを想像すると……くぅぅ、胃がぁ」
「二条院さん変な方向に考えすぎだぞ」
「何かあっても、お姉さんがちゃんとフォローするから。って言っても……接客業の経験なんてないんだけどね」
「調理班がお試しをしたみたいに、我々給仕班も練習をしておいた方がいいのかも?」
「ふむ……シミュレーションしておくのは、確かに重要だね」
向こうは向こうで練習か
あとは暁に任せておきゃ何とかなるだろ
「じゃあ俺たちは調理の方に戻ろっか」
「うん」
「そうですね」
「ちなみに三司さん、あのレシピでわからない所とかあった?」
「いえ、特別難しい工程はなかったので私でも大丈夫だと思います」
「そっか。なら今から実際に作ってみようか」
頭で理解してても作るとなると意外に難しいってものはあるある
なので1回実践して見りゃ感覚は掴めるし、悪い点ももしかしたら見つかるかもしれないからな
「七海、俺は当日三司さんを意識してなきゃいけないから1番頑張ってもらうことになるけど」
「それはわかってるから大丈夫だよ。空君は万が一のことに備えておいて」
「ああ。優秀な妹で助かる」
この子のおかげで何度救われたことか、一応暁にもだけど
いい兄妹を持てて本当によかったぜ
「よし、調理開始と行こうか。焼きそばなんかは誰でも作れるもんだからな、今日はお菓子メインでやっていこっか」
「お願いします」
「材料はさっきの続きだからあるからOKっと、それじゃレシピ確認しながらでいいから始めてくれ。それと最初だから分量は守るようにな」
「はい、わかりました」
とこんなんで三司さんの調理が始まった
俺から見てもわかるように手際がいい
もしかしたら何か料理とか作れるとか?
何だかんだで間違ってる部分とかなかったし、これなら当日も心配なさそう
そうして出来たてのパンケーキとクレープを食す時
「そんじゃ早速、いただきまーす」
「いただきます」
うぬ、ちゃんとフワフワの食感で味も薄すぎず甘過ぎずでちょうどいいな
クレープの生地もベタベタ感がなく食べずらいなんてことは無い
「どう、ですか?」
「美味しい、文句無しの出来だよ」
「とっても美味しいです」
「そうですか。それなら良かったです」
調理班の方はこれで問題ないな
あとは別の問題をどうにかしねーと……
解散して、自室でベッドの上で考えてたけど何も思いつかない
今回は護衛という慣れてない任務
しかも相手だって何も分かりゃしない鬼畜すぎる状況だ
その事がわかって父さんも応援をくれるはずだけど、それでも100%安全なわけない
「どうにかして三司さんを守りきらないと」
俺はあの日に君を護ると言った
あの時は勢いでカッコつけて言っちまったけど今じゃもうそんな気は無い
今では三司さんは俺にとって大切な人の1人だ
もちろん二条院さんや式部先輩、恭平に千咲ちゃんもだけど
だから、みんなの笑顔を曇らせずにしたい
そしてみんな楽しく発表祭を終えたい
「俺が三司さんになれればこっちが標的になれるんだけどなぁ」
顔の輪郭は変えれるけど三司さんって認識まではできないし……
ん?認識……?
「あるじゃねぇか!一つだけ可能性が!」
急いでスマホを取り出し、暁に電話をかける
『どうしたんだ、こんな時間に』
「起きててよかった!お前に頼みたいことがあるんだ」
『頼みたいこと?』
「ああ。今すぐ菅英人の部屋に侵入してあいつの協力を得て欲しい」
『どうしてだ?』
「あいつの能力を思い出してみろ!あの能力があれば三司さんを囮にせずに済むかもしれん!」
『……そうか、そういうことか!』
「効果範囲とか詳しいことはわからないから本人に聞いてきてほしい。頼まれてくれるな?」
『ああ。任せておけ』
発表祭の前日の夜、暁の部屋で父さんに報告と確認をしている
「こちらは予定通りです。発表祭では喫茶店を行います」
『わかった。こちらも問題ない。搬入される機材や材料については、事前に確認を行っている。業者に不振な点は見当たらなかった。勿論、しっかり遡って調査しているからな。喫茶店の詳細についてはどうだ?もし変更があれば些細なことでも、念の為に教えてくれ』
「特にはない。厨房には俺もいるし、一般客から離れた位置に配置してある椅子やテーブルなんかは当日製造だし、配置も予め決めてある」
あの能力で当日製造するってことで、何かしらの装置を付けられたのを使うなんてことは無い
式部先輩には本当に感謝しないと
「ただお客がどうなるかですが……さすがにこれは当日にならないとわかりません」
『わかった。こちらも予定通りだ。明日はそちらに応援を送る』
「例の件は……?」
『全部話はついている。作戦も立案済みで、承認も得ている』
「よかった。よろしくお願いします」
『ああ。そっちも、よろしく頼むぞ』
「はい」
「任せておけって」
『それから空、自分の能力の使い時は自分で決めろ』
「……ああ、ありがとう」
それで通信が終わる
最後の一言は俺を信頼してるって証だ
「ついに明日……」
「明日さえ乗り切れば終わるんだ。やってやろうぜ」
「……ああ!」
「よっしゃ、その意気だ。落ち着いてない場合じゃないかんな!んじゃ、俺は部屋に戻るからなー、おやすみー」
大丈夫、俺には力がある
万全な体勢で挑むために今は身体をゆっくり休ませないと
貧血になって能力が使えないなんてなったら最低のバッドエンドだな
いーや、俺は負け知らずのリライターだ
最高に楽しいハッピーエンドにしてやんよ