「
「ほー。それはまた大胆なこった」
「税関でいくら調べても薬物は発見できず。間違いなくアストラル能力が使われてる」
「素直に考えると、隠蔽する能力だろうな」
「バックについている組織は無し。どこにも所属せず、依頼があればどことでも取り引きしてる。ただ相手は大口の卸しだけ。自分で捌くことはしてないみたい。暴力団との取り引き場所に、一度は警察が踏み込んだんだけど……相手の能力で逃げられてる」
「となると、隠せる物には自分も含まれるな。了解した」
こういうときは俺の出番だな
俺のアストラル能力で作った獣は、職業犬の鼻を誤魔化すことが出来るものすら臭いを嗅ぐことが出来る
それに俺がリライト能力で書き換えた特別製なのか、五感に関わる能力は受け付けない
探知系のアストラル能力ならこんなの見抜くのも不可能じゃないだろう
けれどアストラル能力の中には証拠のねつ造を行える力があるからな
だから警察を始めとする国家機関では、職務にアストラルを使用することが認められない
そこで!俺たちのようなエージェントがいるわけだ!
「警察が踏み込んでくるのに合わせて目標を無力化。その後は警察に任せて即座に撤収。アストラル能力で証拠を隠蔽されないように。だって」
「アストラルじゃ俺の目と鼻は誤魔化せないぜ」
「お前の能力の動物、だろ」
「細かいことはいいんだよ。レヴィ8、これより任務を始める!」
「レヴィ6。これより任務を開始する」
「気を付けてね。暁君、空君」
「了解」
「モチのロン!」
俺と暁は、夜の闇に紛れるようにその場を飛び出した
「レヴィ6、積荷は見えるか?」
「ああ、確認出来る。まだ隠蔽されてないようだな」
「よし、なら俺が誘導するから一気に無力化してくれ」
警察が踏み込んだタイミングで目標を無効化しないといけない
そうなると暁は透明化してるからまだしも獣型だとその場にいるからバレる可能性が高い
となると目線に入らないようにしなきゃいけないから空を飛べる鳥型が適任だ
「上空から適当に突っついて気を引きつけるんだ。お前は警察の動きを見てこい。頼んだ」
直ぐに羽ばたき、対象に向かって飛び出す
オーロラで作った動物は音を立てずに動くことが出来る
羽とかないからそのためだな
よし、対象はオーロラバードに気づいてない
ああ、オーロラバードってのは種類名みたいなもんだ。オーロラで出来てる鳥だからな
もし血そのままだったらブラッドバードだったけど、そっちの方がかっこいい気がする……
「なんだこの鳥は!あっち行け!」
よし、意識を引き付けてるな
「あとは頼む」
「了解。すぐに終わらせる」
相手は隠蔽能力持ちであるだけで、戦闘能力は全く持ってないようですぐに終わった
それと同時に警察を見ていたもう1匹がこちらに戻ってきた
どうやら動いたようだな
「無力化に成功。帰還するぞ」
「了解。ちょうど警察も動き出したようだ」
すぐさまにオーロラバードとのリンクを切る
すぐに消滅した
リンクが繋がってれば有効範囲内なら俺の意識で自在に操ることができ、リンクを切ればその場で消すことができる
そのため痕跡は一切残すことは無いため、こういう隠密行動にとても向いてる
もちろん俺自身も顔の輪郭を変えることが出来るから仮に見つかっても正体がバレることはないんだ
「レヴィ6、任務より帰還しました」
「レヴィ8、ただいま帰りましたよ〜っと」
「レヴィ9、同じく帰還しました」
「おう、ご苦労さん……レヴィ8、2人みたいにちゃんと言えないのか?」
「これが俺の性分でしてね」
「はぁ、全く」
ボサボサ頭の男
この人は俺たちの上司であり、この“組織”の責任者でもある
『情報局特別班』通称──
アストラル能力を用いた犯罪に対応するためだけに国が設立した、非公開の諜報機関
まさに、闇夜に紛れる特殊エージェントってやつだな
昼は学生、夜は諜報員として働いてるってことだ
「これ、今回の報告書です」
「怪我は?今回は取り引き相手の暴力団もいたんだろう?」
「あんなやつら、俺のブラッドハウンドにかかればイチコロです」
「そいつは結構」
ブラッドハウンドは殲滅目的に使う猟犬型のことだ
余程のアストラル使いじゃなきゃ消されることは無いし、やろうと思えば噛み殺すことも出来る。さすがにやらんけど
こっちはオーロラって名前につけないのはハウンドにオーロラは合わんだろ
「ただ、この時期、長袖はくっそ暑いので半袖を作ってください」
「よしわかった任せておけ。俺が定年退職するまでには何とかしてやる」
俺たち特班の制服には効果で特殊な生地が使われてる
その生地というのは、アストラル研究の末に開発された技術が組み込まれている
光学迷彩の様に透明化することが出来るのもその生地、メモリー繊維の性質のおかげだ
ちなみに七海は少し改造をしていて、とても可愛らしい服になっている
七海がそれを着ると破壊力抜群で、お兄ちゃんたちに対して特攻になってるんだぜ
「で、どうだった?ここに書かれていないことで報告すべきことはあるか?」
「特には、滞りなく任務は完遂しました。改めて報告すべきことはありません」
「ふむ……細かい部分はあとで目を通すが、報告書にも問題はなさそうだ。改めてご苦労だったな。レヴィ6、レヴィ8、レヴィ9。悪かったな、今回は。急な任務を挿し込んじまって」
「別に?もう慣れちまったからこっちは平気だぜ?」
こんなこと一回や二回じゃないからな
もう何度目になるから本当に慣れちまっている
「なんだ、反抗期か?昔と随分変わってしまって……父さん悲しいぞ」
「人間不信は治ってこうなったので昔から変わったのはあなたのおかげなんですよ〜」
特別局特別班室長──在原隆之介
上司であり、俺を拾ってくれて、暁や七海を引き取ってくれた養父でもある
人を信用出来なくなった時代で、初めて信じることができた人だ
愛情を注いで大切に育ててくれたけど、たまに親バカになることもある
七海には甘いけど
ちなみに俺たちはみんな特班に入れられるために引き取れたりしたわけじゃなく、自らの意思で特班で働いている
「報告も終わったので、他に何も無ければ帰っていいですか?」
「いや、待った。次の任務を伝えておきたい」
「次ぃ?今からかぁ?」
「まさか。いくらなんでも、そんなことはさせるわけないだろう。次の任務は水際作戦じゃないんだ。夏休みが明けてからの任務になる」
「珍しい」
「その分ちょっと厄介でな。長期に亘るハードな任務になる可能性もある」
「そんな厄介事なのか?それなら俺がリライト能力で──」
「空」
「……わかってるよ。軽率には使わないって」
父さんはこの能力をあまり使わせないようにする
代償が正確に何かわからないから危険ってこともあるから
だからこの力は本当にどうしてもって時にしか使わないって約束してる
「それで、一体なんの任務ですか?」
「……偽札だ」
「偽札!?かなり大きな事件じゃないか」
「でも……そんなニュースは見てないよ?偽札が見つかったら、報道されないはずないと思うけど」
「それなんだが……ちょっと面倒なことになっていてな」
この前、暁が捕まえたバイクの窃盗犯
そいつらの財布から偽札が見つかったらしい
でも見た目が普通の紙に一万円と書かれてるだけで、子どもでも本物には見えないものらしい
けど犯人たちはその紙切れを本物と言い張る
つまりアストラル能力で本物だと思い込ませてるか何かってことだ
「犯人は必ず見つけださなくてはならない。上からも強く言われている」
「それを俺たちに?」
「詳しい説明をする前に、まず見て欲しい映像がある。話はそれからだ」
偽札の事件に関係する資料映像か……
どんなものかと思って見せられたものは──
『皆さんは
……俺と同い歳ぐらい可愛らしい女の子が出てきた。
なんかどっかで見たことあるけど、街の説明?
『そんな研究都市の中にあるのが、ここ
ほう、橘花学院とな
アストラルに関する教育と研究ねぇ……
その後はそこに通ってる学生がどんな生活を送っているか、どんな施設があるか説明されて行く
寮、研究所、屋内プール、なかなかの設備だな
「偽札と思ったら学院紹介の映像……ん?ちょっと待て、もしかして」
「そう、そのもしかしてだ」
「どういうことだ?何か関係が?」
「このニブチン兄め、ここに潜入するってことだ」
なんでわからないのかな〜
だからシスコンってことも自覚しないんだよな〜
俺もシスコン?ちゃうちゃう
「空の言う通りだ。任務に当たるのはお前と空、七海の3人。なお、例によって君もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」
「そういうのはいい。というか兄妹に危機が迫ったら書き換えて何としても救っちゃうし、それで続きは?」
「そう言うなよ。一度は言ってみたかったんだ、このセリフ。ほら、俺の立場ならなおさら!」
「わかる。わたしも、そういう台詞があるよ。『ココは俺に任せて先に行け』とか『倒してしまっても構わんのだろう?』とか」
「あ、俺もあるぜ!『やり直すんだ。そして次はうまくやる』とか『俺たちはまだ生きることを諦めちゃいないんだ!』とか」
「七海のは死亡フラグだし、空は誰と戦ってるんだ」
カッコイイのに……
七海は分かってるのになぜ同性の暁はわからないんだ?
「流石空と七海ちゃんだ。ロマンをわかってる」
「ほれみろ暁!わかってないのはおまえだけだぜ!」
「うるせぇ。それより何でいきなりそんな話に?」
一言で流された
空さん悲しいよ……
「件の偽札を入手したのが鷲逗研究都市らしい。あの2人、研究都市の方でも窃盗を重ねていたんだ。で、その犯行のついでに、カツアゲまでしていたんだと」
「そのカツアゲで偽札を手に入れたってか?」
「それが市場で使用されて見つかったのなら本格的に動くんだが……カツアゲだからなぁ」
紙に一万円と書いてあれば子どもでも気付く
そんなんじゃ通貨偽造とは言えんだろう
だけど表沙汰になればアストラル使いが偽札作ったなんて過剰反応されるかもしれん
特にアストラル使いを非常に嫌ってる人たちとかはな……
「それで潜入の理由は3つ。1つめはお前たちが元々学生の身分を持ってるから」
「教師として潜入するのじゃダメなの?」
「橘花学院の教員採用のハードルは高くてな。ほとんどの教員がアストラルに関する研究にも携わるらしい。それに夏に教員が移動するのも不自然だろ?それなら学生の方が、まだ自然だ」
「じゃあ、2つめは?」
「それなんだが……暁……」
「はい?」
「お前、留年するかもしれないんだってな?」
「バレテーラ」
暁は黙り込み、目をそらすが、そりゃそうだ
「目をそらすな、こっちを見ろ。ちゃんと知ってるぞ!調べたんだ、丁寧に調べ上げたんだ!出席日数ギリギリ、定期試験の点数だって教科によっては赤点!今日だって補習を受けていただろう!いつも口を酸っぱくして言ってるだろ。何者かに調査されても怪しまれない程度の経歴は作っておく必要があると。卒業くらいはちゃんとしておけ」
「わかっているが、仕事もある。どうしても勉強が後回しになるのも仕方ないだろ」
「空は平均はいってるぞ。それに七海はちゃんと優秀な成績を収めてるじゃないか。しかも仕事だけじゃなく、毎日家事までしてくれてるんだぞ?」
七海は凄いよな
家事は全部やってくれてるのに成績は優秀
運動はあまりって感じたけど逆にそこは可愛らしく感じるからいいと思う
「で?なんだって?七海の前で、もう一度言ってみてくれないか?」
「毎日家事をしてくれてありがとうございます、七海さん」
「いえいえ、どういたしまして」
「俺も家事手伝ってるんだけど?」
「何言ってんだよ。そんな所見たことないぞ」
「本当だよ?空君それなりに手伝ってくれるし、疲れた時用の糖分補給って言ってお菓子を作ったりしてくれるんだよ?」
「え?父さんも知らなかったんだけど」
つっら!手伝いだから目立ってなかったけどつっら!
俺の働きぶりがわかるのは七海だけか……
「本来なら学業に専念して欲しい。が、コンビニの学生バイトみたいに簡単にほいほい辞められる仕事でなはい。そこで今回の仕事についてもらう。全寮制の橘花学院に潜入して、怪しまれないように学生として馴染め。言ってること、わかるな?」
「学生らしく振る舞い、ちゃんと勉学に励め……と?」
「健闘を祈る。しっかり学べよ、青年」
「転入か……はぁぁ……」
俺も転入ってことか
今のヤツらとはそれなりには仲が良かったけどそこまで深い関係じゃないからな
なんか寂しー学生生活送ってる?
「すまないな。友達と離れることになるだろうし、悪いとは思っている。だが……これも仕事だ」
「え?あ、うん。それは平気。友達と離れるのは寂しいけど……仕方ないよ。こういう仕事に就いたんだもん。そういうこともあるかもしれないって、覚悟してたから」
「そうか。七海ちゃんはいい子だな、父さんは嬉しいぞ。空は誰とも話せるし、暁は友達いないからそこら辺は気にしなくていいだろ」
「ん、あたぼーよ!」
「放っとけ」
俺はそれなりに誰とでも話せるからな、こんな性格だし
けどあまり踏み込むってことはないのが欠点だ
「でも知らない人だらけの空間に行くのが怖い……ッ。みんなの前に立って自己紹介とかしたくない……ッ」
「七海は結構人見知りだもんな〜」
「想像しただけでも……うぐっ……吐きそう……ォェッ」
「えずくの早いなー」
「お兄ちゃん、何か対策ない?」
「そうだな、俺はこの性格だからってのもあるからな。あっ、人を野菜だとでも思って挨拶すれば?」
なんかどっかで聞いたんだか見たことがある
野菜だと思って何かをやれば失敗しないんだっけ?
「それで成功すればいいんだけど……お兄ちゃんが羨ましいよ」
「落ち着け。まだ先の話だ。それに最初に言ったように、一番の目的は偽札の調査だ」
「それなんだが、カツアゲをした対象の特定は?」
「覚えていないらしい。そこら辺も思い出せないようにさせられた可能性がある」
「能力は……催眠かな?」
「まだわからん。もう少し調査してみるつもりだ」
アストラル能力なんて魔法のように様々なものがあるからな
それにアストラル使いもそれなりにいる
街全体ってなると容疑者だらけになっちまうせ
「そこで、最後の3つめだ」
「1つめは学生資格、2つめは暁のためってことでいいや。それで3つめは……?」
「橘花学院には
まだ映像ですがタイトルのもう片方、乳部・タイラーことあやせが初登場しました!
多分タイトルでわかると思いますがあやせ√を通ります
七海ちゃんも好きなんだけどね、あやせも好きなんすよ
とりあえず寮に入る日までは早めに書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします