ダンジョンにクラフターが来るのは間違っているだろうか?   作:黒豆『リンク』

5 / 6
少し書き方を変えてみました。
読みやすくなったでしょうか?


豊穣の女主人へ行こう

ダンジョン探索を終え、神様にステイタスの更新をしてもらい何故か怒られた後。

 

早朝に出会った店員さんと約束した、彼女が働いてるお店へ夕食を取りに向かっている。

 

(朝、店員さんと会ったのは、この辺りのはずなんだけどなぁ……)

 

 

「おっ!ベル坊!」

 

「あれ?クロムさんじゃないですか。どうしたんですか? こんな所で」

 

「あぁ、ヘイヘイホーした後の帰りだ」

 

 

???

ヘイヘイホーって何だ……?

 

 

「ヘイヘイホー??」

 

「あぁ、俺の事は今度から与作(よさく)と呼んでくれ」

 

 

何をほざいてるんだこの人は……

 

 

「え、えっと… 与作さん?」

 

「すまない、冗談だ」

 

「えぇ…」

 

 

よく分からない人だなぁ……

 

 

「簡単に説明するとだな、木を切ってたんだよ」

 

「木、ですか??」

 

「あぁ、木だ。 まぁ追々(おいおい)説明するよ」

 

 

木?何に使うんだろう…

 

 

「それよりベル坊こそ何やってたんだ?」

 

「えっと、朝ダンジョンに行く前に会った店員さんが居るんですが……」

 

 

少年説明中……

 

 

 

「成程。 つまりベル坊死ねって事だな?」

 

「何でそうなるんですか!?」

 

「相変わらずいいツッコミしやがるぜ、安心しろ。 冗談だ」

 

「ツッコむのも疲れてきましたよっ!!」

 

本当に何なんだこの人は……

 

「んで、その店員さんとやらが働いてる店は何処(どこ)にあるんだ?」

 

「大体この辺りな(はず)なんですが……」

 

 

辺りを見渡すと覚えがあるカフェテラスを見つけた。

 

 

「あっ! 多分あそこだと思います!」

 

「了解、んじゃ俺も食いに行くか。 あ、でもヘスティア様も夜ご飯大丈夫かな?」

 

「神様は今日バイト先の打ち上げがあるそうなので大丈夫だと思います! 何故か怒っちゃったんですが……」

 

「ほう? 後で詳しく聞かせてもらおう」

 

 

クロムさんを連れ、僕達はその店頭(てんとう)で足を止める。

 

 

他の商店と同じ石造り。

 

二階建てでやけに奥行きのある建物は……

 

 

「なぁベル坊……」

 

「はい?」

 

「こいつを見て…どう思う……」

 

「凄く… って言いませんよ!?」

 

「え、ベル坊このネタ知ってんの?」

 

「知りませんけど! 知りませんけど何か嫌な感じがしたんですよ!!!!」

 

「そうか… 阿部さんの力ってスゲェ……」

 

 

 

店員さんの働いている酒場、『豊饒(ほうじょう)の女主人』。

 

何かブツブツ言っているクロムさんはスルーして、すごい名前だなと(かざ)ってある看板を(あお)ぎながら、まず入口から店内をそっと(のぞ)こうと……

 

 

「よっしゃベル坊行くぞー」

 

「えっ!? ちょっ!!」

 

突然クロムさんに腕を(つか)まれ店内へと運ばれる。

 

「いらっしゃいませー! あっ、冒険者さん! 来てくれたんですね!」

 

引っ張られながら行くと、朝出会った店員さんが出迎(でむか)えてくれた。

 

「は、はいっ」

 

「ん? この娘がベル坊の言ってた店員さんか?」

 

「そうです!」

 

「自己紹介がまだでしたね。 私、シル・フローヴァです」

 

「ベル・クラネルです!」

 

「俺は津雲黒夢。 クロムと呼んでくれ」

 

「はい、よろしくお願いしますね! ではご案内します」

 

 

シルさんは入店するのが初めての僕達に気を使ってくれたのか、酒場の(すみ)の、曲がり角の席に案内してくれた。

 

これならほかの人に邪魔されることなく自分のペースで食事ができる。

 

かなり融通(ゆうずう)してくれたのかもしれない。

 

 

 

 

「アンタがシルのお客さんかい? ははっ、冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ!」

 

ほっとけよ。

 

「アンタは……何かひょろい体してるねぇ! ちゃんと飯食いな!!」

 

「昔から俺は小食なんだ。 だが、ここの飯には期待してるぜ? さっきから美味そうな匂いがプンプンしてっからな!」

 

「はっはっはっ! 言うじゃないの! 安心しな、アンタの舌を(うな)らせる飯がここには一杯あるからねぇ! そんで、そっちの白いのは何でもアタシ達に悲鳴を上げさせるほど大食漢(たいしょくかん)なんだそうじゃないか! じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってってくれよぉ!」

 

 

告げられた言葉に度肝(どぎも)を抜かれる。

 

ばっと背後を振り返ると、側に控えていたシルさんはさっと目を横に逸らした。

 

「ほえー、ベルってそんな食うんだな。 俺には到底真似(とうていまね)できそうにないわぁー」

 

HAHAHAHAと笑うクロムさんに眉をピクつかせながらも、後でシルさんに……

 

 

 

僕はため息をつきたくなるのを我慢しながらカウンターに向き直る。

 

メニューを手に取り、料理の内容より値段を先に見て(おも)きを置く。

 

 

「ん? 金の心配かベル坊」

 

「そうですよ……ポーションだって500ヴァリスしますし、装備品の整備にもお金掛かりますし、今使っている短刀だって3600ヴァリスしましたからね? ギルドに借金して……」

 

「成程な。 まぁ今日の飯代は俺が払うからその金は懐に仕舞っとけ」

 

「えっ!? 悪いですよ! しかもお金はどうするんですか!? クロムさんまだダンジョンに行ってないでしょう!?」

 

「さっき木を切ってたって言ったろ?」

 

「はい。 確かに言ってましたね」

 

「木から採れたりんごを、業者に売ったんだよ」

 

「は、はぁ……」

 

「そんで、そのりんごの状態が中々良かったみたいでな。 一つ50ヴァリスで買ってくれたんだ」

 

「はい」

 

「んで俺は7000個位りんごを売った」

 

「はい!?」

 

えっ!? この人何言ってんの!?

 

「それで稼ぎが345,600ヴァリスになった。」

 

「ええええええええええええええええええ」

 

「だから安心して食っていいぞ!」

 

もうこの人はこういう人なんだって諦めよう……

 

「じゃ、じゃあ今日はお言葉に甘えます…」

 

 

クロムさんとその後談笑していると「酒は?」と女将さんに尋ねられたので、少し考えてからご遠慮しますと答えた。

 

しかし女将さんは僕の言葉を無視して醸造酒(じょうぞうしゅ)をどんっとカウンターに叩きつけた。

 

クロムさんは聞きに来た時に「俺飲む!」と答えていたので普通に来た。

 

 

「どうです? 楽しまれてます?」

 

飲みながらご飯を食べているとシルさんから話し掛けられた。

 

「圧倒されてます……」

 

「酒も飯も旨いぜ!」

 

「ふふふっ! 私の今夜のお給金も期待できそうです」

 

「良かったですね…」モグモグ

 

「この店、いろんな人が来て面白いでしょう? 沢山の人が居ると、沢山の発見があって… 私、つい目を輝かせちゃうんです」

 

「お給金的な意味で?」

 

「もうっ! 違いますよクロムさんっ!」

 

「HAHAHA。 軽いジョークだよ、そんで?」

 

「知らない人と触れ合うのが趣味というか… 心が疼くと言うか……」

 

「結構凄い事言うんですね…」モグモグ

 

「おいベル。 シルさんってそういう性癖の人なの?」

 

 

 

 

「にゃあっ! ご予約のお客様! ご来店にゃ!!」

 

クロムさんをスルーし、シルさんの話に耳を傾けていると、猫耳のウエイトレスさんが声を上げる。

 

その直ぐ後、どっと十数人規模の団体が酒場に入店してきた。

 

あらかじめ予約をしていたのか、僕達の位置とちょうど対角線上の、ぽっかりと席の空いた一角に案内される。

 

種族がてんで統一されていない冒険者達で、見るからに全員が全員、生半可じゃない実力を漂わせているような…

 

 

「おい、ベル坊。 あそこに居るのってアイズさんじゃね?」

 

「えっ!? 何処ですか!」

 

「ほら、あそこ」

 

クロムさんの指さした方向を見ると…

 

憧れの相手にまさかこんな形で再会するなんて思いもよらなかった。

 

 

「ベルさん? ベルさーん?」

 

「はっ!」

 

「おっ、戻ってきたか。 おかえりベル坊」

 

「す、すみません……」

 

「大丈夫です、気にしてないですから。 ロキファミリアさんはうちのお得意様なんです。 彼らの主神、ロキ様がここを痛く気に入られたみたいで」

 

「ほへー……」

 

「成程…」

 

 

じゃあ…ここに来れば……

 

ドクドクと強く鼓動(こどう)する心臓の音をBGMに僕はお酒を煽った。




与作は木を切るヘイヘイホー!!!!(ビリー感)

読んで頂きありがとうございます。

りんごって5ヴァリス位で良いんでしょうか?

とりあえず2LC分売ったんですが…



感想を頂きまして50ヴァリスに一旦しておこうと思います。
ありがとうございます。

もし明確な値段や、妥当な値段を見つけましたら、そちらに変更致します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。