Fate/Grand Order 偉大なる龍球の導き 作:ほったいもいづんな
特にイベントで何の関係性もないけど、いいよね!
宇宙震撼! 誇り高き『ブルー』の輝き!
大奥。
それは男性は入ることが禁じられている女人だけの園。 しかしそこに渦巻く女の憎悪や姦淫、蠢く恐ろしき女の悪感情。
だがそれらは一人の女神によって利用されてしまった。
それがこの『大奥』という特異点であり、カーマという女神の恐るべき計画の一部なのである。
それを解決しようとカルデアのマスターとサーヴァント達はついに最奥にてカーマと対決する。
しかし、それそのものが罠なのであった。
「マスター!?」
「いけません……これは……!」
突如としてマスターに襲いかかる謎の圧力。 重力ではなく、肉体そのものが屈服を始めていた。
「クスクス……どぉやらバカ正直にここまで、正当に来てくれたみたいですねぇ。 あぁ、何とも短絡的、しかしそれでも私は愛してあげますよ」
『徳川化』。 それはこの大奥の中で楽な道を選択した男が『徳川と化し堕落する』現象。
それにまんまと落とされてしまったのだ。
「さぁて、あとはそこに這いつくばっている可愛い芋虫みたいなマスターさんを堕として終わり……なので貴方達はもう消えていいですよ?」
「そうはいきませんわ。 マスターをお守りするのが私達の使命であり存在意義」
「何を言っているんですか? もうそいつは『カルデアのマスター』ではなく『徳川将軍』になるんですよ?」
「黙りなさいカーマ! 我々は『カルデアのマスター』だから付き従うのではありません! 『私達のマスター』だから共に戦うのです!」
引く気の無いサーヴァント達。 その抵抗に少しの苛立ちを覚えるカーマであったが、そもそもこれすら彼女にとっては瑣末ごとである。
「やれやれ……物分かりの悪いサーヴァント達を従えて大変ですね貴方は。 だから私に溺れてしまいなさい!」
カーマの真に恐るべき点はこの大奥という迷宮を作り上げた事ではなく、その身にラーマとしても側面を多く表出していることでもない。
カーマの真に恐るべき事実、それは彼女が人類悪である『ビーストIII/L』、Lapseでありシヴァの『宇宙を焼き尽くす程の炎』により『宇宙に等しい存在』であることだ。
これではいかに暗殺が得意だとしても、剣術を極めようとも、百を超える物語を語ろうとも、同じ神の力を纏っていようと……元ビーストだとしても敵うはずがない。
「やれやれ、無駄な足掻きって言葉をこうやって体験させてくれるなんて、なんてカルデアの人達は優しい人達なんでしょうか。 クソほど面倒でウザいですねぇ」
「うぅ……」
「身体が……重い……!」
すでにそこは『宇宙』に等しい空間。 果てのない愛と果てのない悠久、それら全てを支配しているカーマを相手に、戦うという行為すら無意味。
「さぁ、そろそろ貴方も限界でしょう? 強がっても、無理をしても、目を背けても……もう貴方は『
「いけません……! このような……このような身勝手な力に屈してはいけません!」
「マスターお願い! 絶対に貴方は折れないで!」
春日局、マタハリの説得すら今のマスターには魂を燃やす燃料にならない。
頭はモヤがかかり、身体は地に食い込む程重く……何より肉体が『
「いけません……もうこれ以上は……!」
「フフフふふふ! さぁ、私という愛がこの宇宙を、歴史の全てを堕落させる記念すべき日にしましょう!」
マスターの口が、重く閉ざされていたその言の葉を、溺れて漏れる空気のように……
「貴方の言葉で! それを成すのです!」
漏れる──
「──貴様か」
「……は?」
それよりも早く、この空間に響く新たな声。
「『
「あれは……誰……?」
「あの御仁……何故……」
その男は、全身青いスーツに白を基調としたプロテクターを装着し、手足には保護を目的とした手袋にブーツ。
そしてその髪は天に歯向かうが如く逆立っている。
その男は。
「何ですか貴方……」
「貴様だろう、こんな傍迷惑な空間を作りやがったのは。 こっちは『ブロリー』を『フリーザ』の野郎に利用されても困らんようにもっと修行しなければいけないというのに……邪魔をしやがって」
「何で貴方はこの空間にひれ伏さないんですか……」
「どこのどいつだか知らんが、こっちは機嫌が悪いんだ。 さっさとこの空間を消さんと女でも容赦せんぞ!」
「貴方は……本当にこの宇宙で生まれた存在ですか……この宇宙にも等しい私の影響を受けないなんて……!」
カーマという宇宙の支配、生殺与奪の支配すら物怖じせずに不機嫌そうな顔でカーマを睨んでいる。
その男の正体を、マスターだけは知っている。
「まぁいいです。 ムカつきますが、貴方をさっさと消すことにしましょう!」
「ほう? やるつもりか。 いいだろう、俺のトレーニングのウォーミングアップになってくれるならなぁ!」
その男は、カルデアと縁が結ばれた『孫悟空』と同じ……
「チャアアアアアアアアア!!」
「っ!」
黒い髪が金色の光を纏い輝く。 いや、全身が金色の光を纏いオーラとして放出されている。 その姿を、マスターだけでなくカルデアのサーヴァント達は知っている。
「孫……悟空さんと同じ……!?」
「『
閻魔亭でマスターが出会い、そして召喚に応じた地球の、いや全銀河の英雄孫悟空と同じ種族、サイヤ人。
そしてそのサイヤ人でも伝説と呼ばれる存在、『超サイヤ人』にその男がなった。
「……貴方本当に英霊ですか?」
「ごちゃごちゃ言う暇があると思うなよ!」
「っ!」
「ハァァァアアアアアアア!!」
男はカーマに一直線に向かい拳を突き出す。 並みのサーヴァントでは動きを捉える事だけで精一杯であろうその速度から繰り出される拳をカーマは手の持つ武器で防ぐ。
だが防いだからといって男の攻撃が止まるわけではない。
「ハッ!」
「くっ……!」
「手のひらから魔法弾……いやアレは気功弾!」
「悟空殿が扱う、『気』の力!」
受け止められた手とは反対の手から放つ気功弾がカーマに着弾し爆発する。
「猪口才……!」
「ふん! 妙な気を持っているな貴様……だがこの俺には関係ない!」
男は上空に飛び、カーマを見下ろしながら両手を光らせる。
「ダダダダダダ!」
「今度は連続で……面倒な!」
雨のように降り注ぐ気弾。 避け、防ぎ、晒し……だが何発も上から降り注げば防ぎきれぬものもある。
「くぅ! ウザったいですねこの攻撃は!」
「すごい……私達じゃ手も足も出なかったのに……」
「オマケにまだまだ余力ありありって感じね。 これはもしかしたらカーマを倒してくれるかも……!」
「いや、それは話が違ってくる」
連続して放つエネルギー弾、それに防戦一方に『見えるだけ』である。 剣術無双と呼ばれる柳生但馬守宗矩、戦いにおける武の達人の目には分かる。
「あの御仁の攻撃、確かに有効に見えるが……その実はかーまには一切効いていない。 そしてそれを攻撃している当の本人が理解している」
「なっ……!」
「効きもしない攻撃を続けているには訳があるようには見えるが……」
宗矩がいうように、カーマ自身には一切のダメージが入っていない。 カーマが勝手に攻撃に苦戦しているだけである。
本来ならばただ立っているだけで攻撃は効かないも同然。
「……目的は彼の戦闘能力の把握ということですね!」
「左様。 であるならばああやって一つ一つの攻撃に手を出したりはしないだろう」
戦闘能力の把握。 それは現在攻撃を加えている彼も同然理解している。
「……」
だから次の攻撃にでた。
「……攻撃が止んだ?」
「いえ、あの構えは……!?」
カーマを見下ろしながら右手を照準として真っ直ぐに構える。 その手の平には球体状の光が輝く。
「あれって……私の目だと『貯めてる』ように見えるんだけど!?」
「誰の目から見ても同じだと思います! つまり……」
「大技が来る!」
その一撃はまさしく宇宙創造の爆発に匹敵する、破壊の技。
「ビッグ・バン・アタック!」
「っ!」
発射された光の玉はカーマ目掛けて一直線に飛んでいき、着弾と同時に一際大きく爆発を起こす。
範囲は絞られているものの、男がカーマを倒すのに必要とされるエネルギーが注がれていたためその余波は凄まじい。
「なんて爆発なの……大丈夫マスター?」
「咄嗟に庇わせてもらいましたが……思いのほか衝撃がくるだけでしたね」
マタハリとシェヘラザードが咄嗟にマスターを庇うも、一点集中された一撃による余波は大したことはなかった。 爆発地点以外には無駄な破壊は起こらない、それだけ洗練された必殺技というわけだった。
「……これか宇宙創造の爆発? ご冗談を」
しかし、カーマという宇宙には通用しない。
爆発の煙が晴れ、そこに立っているのはダメージどころか埃が付いた程度の事だと言わんばかりに肩を叩いているカーマの姿が。
「ちっ……やはり『
「わざわざ確かめて頂きありがとうございます。 おかげで貴方の力の秘密が理解できました」
ゆっくりと歩をすすめる。 その表情に慈愛と蔑みと愉悦を混ぜながら。
「貴方のその尋常ではない力は『生命エネルギー』による自己強化ですね? それも桁外れのエネルギーをまさに手足のように巧みに操れる……ふふ、これで『サーヴァント』だったらまだ何とかなったかもしれませんね」
「……」
睨み返す男の視線を感じると、より一層愉悦を漏らしながら講釈を垂れる。
「貴方はたまたま偶然、生きている『ただの人間』がここに居るだけ。 概念も解釈もないただの着の身着のままの人間。 そんな人間が、私に勝てるとでも? 貴方も! そこに這いつくばって誰かに守られなければ息をすることすら出来ない脆弱な人間なんですよぉ!」
「……フン」
「強がっても意味ないですよ。 『強さの次元が違う』んです。 まぁそんな生意気でムカつく態度をしてもちゃあんと愛してあげますよ……!」
「っ!」
瞬間、カーマの魔力が跳ね上がる。 そしてカーマの淫靡な魔力が光を放ち、この宇宙を満たす。
「これは一体……くっ!」
「魔力の解放……いやこれは違う……!?」
誰もが目を覆う中、超サイヤ人のこの男だけは伏せることなく構えている。
そして光の輝きが落ち着いてきたと同時にゆっくりと目を開ける。
そこにはマスターの目を疑う光景があった。
「何だこれ……って間抜けな顔で言ってますね。 見たら分かるでしょう? 『私が宇宙』というのなら、『私という存在で満たされている』のが当たり前でしょう!!」
右を見てもカーマ、左を見てもカーマ。 上にも下にも奥にも後ろにも……この宇宙という空間が『
これがビーストの脅威、マーラという魔王の恐怖。
カーマという愛の神の支配なのだ。
「これは……もう本当に後がありませんね……」
キアラは一人この状況を冷静に分析していた。 残された唯一にして最後の一手。 しかしそれをこの状況で可能なのかどうか思案していた。
カーマに善戦していた男が戦っているうちにすべき事であったとややも後悔する。
だが、それでもキアラが二人の戦いを黙って見ていたのは、『
故にこの状況でも未だ不遜な態度を崩さない男を見て、まだ動かない。
「さぁさぁさぁ! どうしますかこの状況! もう溺れてしまいますか? この『
「……くだらん技だな」
「……は?」
腕を組み、男は静かに、重く、カーマに告げる。
「こんな気色悪い技を使うのは『
「……貴方、本当にムカつきますね。 そこまで減らず口なのであれば……宝具で終わりにしてあげますよ!」
カーマの魔力が一際上昇する。そして発動する、恐るべきカーマ/マーラの宝具。
──我は煩悩の化身にして、第六天の王。
「何だこれは……!」
──感応の火は障害ならず、冷たき虚無を満たす済度。
「くっ! あの女の分身が纏わり付いて……!」
──堕ちて揺蕩え、欲の星海。
「──っ!」
──『
無数のカーマに纏わり付かれた男はそのままその身を燃やされ『
そしてそのまま『
「あ、あれがカーマの宝具……! あんなのマスターが食らったら二度と『徳川化』から戻れなくなる……!」
「さぁ、次は貴方の番ですよ、カルデアのマスター!」
次の標的……いや、標的というのは些か表現が間違っている。 『次の作業』に移ると言った方が正しい。 特に感情もなく、得るものもなく、ただ愛をばら撒く。
そして二度とその愛から這い上がれなくなるように、溶かして解かして融かす。
「貴方も『
──くだらん技と言ったはずだ。
突如として立ち昇る『蒼くゆらめく光』。
「……………………は?」
その光はこの宇宙よりも深く蒼い輝きを放つ。 静かにゆらめく蒼い輝き、しかし熱く燃ゆる炎のようにも見える。
その蒼炎の中心にあるシルエット、それは先程カーマの宝具をくらい宇宙に溶けて消えたと思われていた男。
「何ですか貴方……」
纏う光は先程までの眩しく激しい金色のそれとは全く違う。
「何で『神性』を放っているんですか……!?」
蒼炎を全身に纏い、その髪の色までも『蒼』に染まる。
その変化をマスターは知らない、いやカルデアに召喚された孫悟空ですら成る事が出来ない姿。
「貴方一体……何者なんですか!?」
一筋の汗がカーマの頬を伝う。 それは明確な焦りと混乱。
今目の前にいる男の存在が余りにも不明瞭であり……そして確実に自らを脅かす存在だと少しずつ感じ取っているのである。
「……知りたいか? なら教えてやる」
纏う蒼炎が少しずつ剥がれ、男の姿を鮮明にする。 蒼い髪に蒼い瞳。
その身に纏うは……『神の気』。
「俺は『
『神の領域』に達した、誇り高き戦闘民族の王子。
「『ベジータ』様だ!!」
『Z』を超えた『
戦いは『神次元』へと突入する。
後日にまた設定集出しときますね。