浦島君は掻き回したい ~天才たちの恋愛頭脳戦は紙一重~ 作:羊毛ローブ
秀知院学園
この学園は歴史が古く貴族社会の時の名残が残っており所謂お金持ちの学校である。
そんな御貴族様が通っている学校の頂点が普通の人間に務まる訳もない。
四宮かぐや
清楚可憐、才色兼備、品行方正、大和撫子であり四宮財閥の令嬢で頭脳明晰、運動神経抜群というどこの漫画の完璧美人だよおい。という突っ込みが入りそうなのが彼女であり秀知院学園の副会長である。
そんな彼女が副会長という役職なのは理由があるそんな彼女よりも上の存在がいるからに他ならないからである。
白銀御行
秀知院学園は昔からこの国を担う若手を輩出している事もありここに通う人間は政治家の息子や医者の娘、果ては総理大臣の令嬢や天皇陛下の御子息までも通っていた事もある。
そんな人間達の頂点たる生徒会長が普通の人間で良い筈がない。
彼は外部生でありながらこの秀知院学園で勉学一本で成り上がった男である。
一芸ではあるが勉学ではあの四宮かぐやですら勝つ事ができず、更に全国でも3本の指には入る勉学の鬼であるのだ。
更に彼の模範的立ち振舞いが評価されて誰もが認める生徒会長になったのだ。
そんな二人が生徒会室で雑談している。
「そういえば私達が付き合っているという噂が流れているようですよ?」
「ふむ、まぁ皆そういう年頃なのだろう言わせたい奴には言わせておけば良い」
「ふふふ会長の言う通りですね」
(ふ……確かに俺に合う女等四宮位のモノだからな。まぁ四宮がどうしても付き合って欲しいというのであれば付き合ってやらん事もないな)
(四宮財閥の私が何故一般人と付き合うという発想になるのでしょうか?確かに会長ならギリのギリギリ及第点であるのは確かですし?会長が身も故郷も捧げるというのであれば付き合ってあげても良いでしょう)
恋愛とは戦である。
相手に好意があるという事を伝えておかないと自分の事を認知して貰う事すらできないし、他の相手に奪われる事もあるのだ。
だから恋愛は戦なのである。
しかしそんな恋愛を経て結ばれたとしてもその関係には上下関係があると考えている人間がいるそうな。
とにもかくにもそんなこんなで惚れた腫れたの二人の恋愛がここに始まろうと……
「そんなこんなでもう白銀が会長になって半年近く経つねぇ……にしてもこの饅頭美味しいなあと一個しか残ってないのが残念」
していなかった。
その半年の間にこの二人は「付き合ってやっても良い」から「相手にどうやって告白させるか?」にシフトしていったという変化はあった。
「そうだな浦島も風紀委員長が板についたのでないか?」
「そうだねぇ。四宮さんも大分雰囲気が丸くなったよねぇ」
「私は最初からこんな感じだと思っていますが……」
浦島優良
秀知院学園の泣く子も笑う風紀委員長である。
彼も白銀同様に外部からの入学生であるが彼の柔らかい物腰と気策な立ち振舞いで生徒や先生からの信頼も厚い生徒会の二人と肩を並べる事のできる唯一と言ってもいい存在である。
因みに外部からの受験生であり白銀とは古くからの知り合いであり、よく実家からの食材を渡したりしていて仲が良いので一部の婦女子からは白銀とのツーショットをキャーキャーと叫ばれたりする。
「そうですねぇあの頃と比べると雰囲気が優しくなったなぁと私も思います」
「もう……藤原さんも私を辱しめるのは辞めて下さい」
藤原千花
生徒会書記であり音楽という分野では他の追随を許さない圧倒的な才女である。曾祖父は元総理大臣であり叔父は省大臣をしているという政治家の家系であり、語学堪能で5ヶ国を話す事ができる優秀な人材なのだ。
「あ、そういえば昨日恋愛映画のペアチケットが当たったんですけど親の方針で私はこの映画が見る事ができないので誰かにお譲りしようと思っているんです」
「そうなのか?ならその日は珍しく予定もない事だし……四宮俺たち…「何でもこの映画をペアで見ると結ばれるというジンクスがあるとか」んな!?」
藤原千花からの何気ない一言が白銀にとっては痛恨の一撃である。
つまりコレは相手をいかに自分に告白させるかという天才達における恋愛頭脳戦なのである。
「あらあら会長?今ペアで見れば結ばれるという映画にこの私を誘いましたか?」
(まーた何かやってるわ)
浦島はこういったやり取りを最近何度も見ている。比較的に観察眼がある浦島はこの二人が両思いである事は認識していて最初はお節介でも焼いてやろうと思ってた時期もあったが、ここ最近は見ていて面白いから黙っている事が多くなっている。
「ふむ確かに四宮を誘ったが俺はそういったジンクスは気にしないが、四宮は俺とこの映画を見たいのか?」
(ありゃまぁ咄嗟にそんな返しよく思いつくなぁ)
嘘である。
浦島は知っている。実際にそういうジンクスのあるという話を聞いて白銀という男はめちゃくちゃ気にする事を。
どれぐらい気にするかと言えば四宮との相性占いが良い結果にならないという事をマジ凹みする位には気にする事を彼は知っている。
「そうですね、やはりそういったお話はどうしても気にするもので……偶然手に入ったチケットとはいえ、もし誘って頂けるのであればもっと情熱的にお誘いして頂きたいです」
(これはカマトト!?恐ろしい子……)
因みにかぐやの話には嘘がある。
浦島は知っている。映画のチケットをこっそり藤原の家に投函していた四宮の事を愚痴っていた人物からその事を。
「私だって恋をしたい年頃なんですから……」
この状況は余りにかぐやに有利である。
しかしそれを打破する為に白銀も必死にその頭脳で思考を巡らせる。
その様子を嗅ぎとったかぐやもその手を封じる為に二手三手先を考え、お互いの頭脳で論理的にロジックを組み立て今まさに勝者が決まろうと…!
「えーと恋愛映画が苦手ならとっとりトリノスケのペアチケットもありますよ?」
「「んな!?」」
(とっとりトリノスケwwww)
カオス理論
論理的に組み立てたロジックに一つのカオスが混入した事でその論理は破綻してしまった。
もう一度ロジックを完成させる為には冷静にならなければならない。
「何だったら俺がそのチケット貰っても良いよ?丁度誘いたい子もいるし」
その時四宮と白銀に電流走る!
まかさの第三者の加入により更にその場を掻き回されるとは思ってもみないからだ。
更なるカオスが溢れてしまいもう共に錯乱状態一歩手前である。
因みに彼は本気である。
映画のチケットをタダで貰えるならそれはラッキーという考えと、ここで掻き回したら更に面白そうという下衆な考えをしているのだから。
「えぇ!そうなんですか?浦島さん!?そんな恋バナがあるなら何でラブ探偵の私に相談してくれないんですか!?」
「まぁ風紀委員長としては風紀を守る事に重きを置いているし、他の生徒にそんな事を見られるのはあんまり良ろしくないと思ってね……でもチケットが使われない位なら映画でも誘ってみようかなぁって思ってさ」
浦島という男のやり方は実に理に叶っている。なんやかんやで映画へ行く事がおじゃんにならない様に両者への牽制をするのと同時にとっとりトリノスケなる映画を妹と一緒に見たら喜ぶかなぁと思った位である。
そしてこの2つのカオスにより二人の思考は更に加速し急激にエネルギーを消費し正常な思考ができなくなる。
つまりは糖分が足りなくなったのだ。
この生徒会室に残されてる糖分は饅頭ただ一つ!つまりこの饅頭を手にした者が勝者となりえ…
「あーもうすぐ授業始まっちゃいますね饅頭頂きます!後で浦島さんに色々お話聞かせて貰いますからね!」
そう言って藤原は饅頭を食べながら生徒会を退出していった。
「とっとりトリノスケの映画楽しみだなぁ……」
「「そっちかよ(ですか)!?」」
この物語は天才達の恋愛頭脳戦を傍観したいけど何か見てたら茶々を入れたくなってしまう程この二人の事を好意的に思っている浦島優良のお話である。
(さてさて今日は楽しかったよ白銀、明日はもっと楽しくなるよね四宮さん?)
一発ネタなので続かと思ったけど
もうちとだけ続くんじゃ