数ヶ月前、東京
人の足音、車のエンジン音、工事現場の音。その日も様々な音が街中をこだましている。いつもと変わらない日常がそこにはあった。
そんな音たちが飛び交うこの街のどこかから、賑やかな会話が聞こえてくる…
~とある大通り~
3人の女子中学生が会話を弾ませ、ご機嫌な足取りで通りを歩いている。
「やー、ホンッットに緊張したよ……」
「うちもだよー、滅多に行くとこじゃないからね。ガラにもないことしちゃったって感じ…」
「私も~、終始ドキドキしちゃってたし…。まぁでも、無事に手に入れられて良かったよね!」
「うんうん!無事が一番だよ!あー、でもちょっと疲れちゃったなぁ…、なんかやりきった気分だ(笑)」
「もー、気持ちは分かるけど、これからが大事でしょ?**ちゃん!」
「そうだよ!本番は今日じゃなくて明日なんだからさ!」
「分かってるよ~!明日、明日ね……。あいつ一体、どんな顔するんだろ…」
「それは…、明日になってのお楽しみかな~♪」
「うん。そうだね!色んな顔が想像できちゃって、なんだか楽しいなぁ♪」
「あーあ、ホント待ち遠しいや!早く明日が来ないかなぁ…」
「ね!私も明日がすっごく楽しみっ!」
「本番」を明日に控えた彼女たちの気持ちは舞い上がり、3人は家に向かって歩く足を少し早めた。そうすれば明日が早くやって来る気がして…。
でも、それがいけなかったのかも知れない。
明日への期待を胸に足を早めた彼女らが、まさに横断歩道を渡りきろうとしていたその時、あの事件は起こったんだ。
「!!2人とも、危ないっ!!!」
「えっ…?」
ドカドカッ
一瞬の出来事だった。彼女たちのもとに、1台の車が勢いよく突っ込んできた。さっきまで生き生きとしていた3人の体は人形のように宙を舞い、激しく地面に叩きつけられた。突然の出来事に、辺りは騒然としていた。
それから、少し経ってのことだった。
ガチャッ
3人を跳ねた車の運転席のドアが静かに開き、中からその車の運転手と思われる人物が降りてきた。その人物は30代から40代くらいと見て取れる、素朴な服を身に纏った中肉中背の女だった。女は騒ぎなど、気にもとめない様子でゆっくりと3人に近づき、彼女らが倒れている場所の手前で足を止めた。そしてそのまま女は何も言わず、倒れたまま動かない3人を虚ろな目で眺めていた。
奇妙な光景だった。
しかし、その光景は長くは続かなかった。
突然、女はしゃがみ込み、震える声でこう言ったんだ。
「あれもこれも全部、あなたのせいだからね」
あの日から、私たちの時間は止まったままだ。
まずはここまでのご精読ありがとうございました!これから始まる人狼ゲームでは、40人もの生徒が登場しますが、時間をかけてでもいいので、全員覚えて下さると嬉しいです。また、当小説の人狼ゲームは、フィールド全体を使って展開されて行くので、実際にゲームに参加しているかのような臨場感を存分に味わえると思います!また、前書きでも述べたように、かなりオリジナルな設定が多いので、他の人狼系小説とは違った楽しみ方もできる作品となっております。時間とアイデアをたくさん使って制作した物語ですので、最後までゆっくりして行って下さいね!