双子島の影人形   作:小匣めもり

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皆さんこんにちは、めもりです。本日も相変わらずの深夜投稿となりました(..)前回第8話は、祥子の突然の告白で幕を閉じましたね。本来はこの第9話の最後までが8話だったため、違和感を覚えるかも知れませんが、自分なりに一生懸命工夫したので甘めに見てやってください(笑)それでは第9話「疑念と対立」スタートです!


第9話 疑念と対立

祥子「悲鳴を上げたの、私なんですよね」

 

 

銘「え……」

 

 

 

祥子が発したその一言に、銘はもちろん生徒たちは驚きを隠せない様子であった。

 

 

 

恵「……それ、ホント?」

 

 

祥子「はい、本当です……」

 

 

蓮「姫野が悲鳴を上げたってこと、証明できる奴はいるか?」

 

 

凉太「等野とか沖鳥はどうなんだ?いつも3人一緒にいるイメージなんだが」

 

 

美咲「えっとね、今日はうちと唯ちゃんは一緒やったけど、祥子ちゃんだけ別行動やったよ。だから証明はできやんかな……。凉太くんは先に食堂から出てったから知らんかったよね」

 

 

凉太「そうだったのか。じゃあ悲鳴を上げた時、姫野は一人だったのか?」

 

 

祥子「そうです。今日はもっとこの島のことを知ろうと思って、朝から一人で島内を探索してたんです。その探索の一環で海岸に行ったら、ここで血を流して倒れてる枷田さんを見つけて……」

 

 

銘「……どうして、さっき悲鳴の話が出たときにそれを言わなかったの?」

 

 

祥子「……ごめんなさい。その時は目の前の出来事を整理するのに必死で……。でも、これは本当です。確かに私が悲鳴を上げました」

 

 

舞人「まぁ、わざわざ嘘ついてまでこんなこと言わねぇだろうし、姫野が悲鳴上げたってのは本当なんじゃねぇか?」

 

 

銘「……そう……」

 

 

 

少しでも真相に近付こうと推理した銘の努力は水泡に帰し、謎解きはまた、振り出しに戻った。

 

 

青葉「じゃあ、私たちが聞いた悲鳴は理央ちゃんのじゃなくて祥子ちゃんのだったのね……」

 

 

柚季「そうみたいだね……」

 

 

茜「……待って!今の祥子ちゃんの話からすると、祥子ちゃんが海岸で理央ちゃんを見つけた時には、理央ちゃん以外誰もいなかったんだよね?」

 

 

祥子「そう、ですね……」

 

 

茜「……やっぱり!」

 

 

梢「……何か分かったの?」

 

 

茜「うん。青葉ちゃんたち3人は祥子ちゃんの悲鳴を聞いて海岸へ行った。そして私たちが食堂にいたとき、悲鳴みたいな声は聞こえなかった。さらに残りのみんなは全員、有悟くんのメッセージを見て海岸に集まった。つまりだよ、誰も聞いてないんだよ。理央ちゃんの悲鳴を」

 

 

友輝「おぉ、なるほど……!で、それがどうしたんだ?」

 

 

怜菜「……変ね」

 

 

友輝「へ?」

 

 

怜菜「枷田さんは石で額を殴られて死亡した。だから犯人の姿を見たはずなのよ。ここから校舎まではそう遠くないし、朝はかなり静かだった。枷田さんが食堂を出て行ってから姫野さんに見つかるまで、校舎には生徒が結構出入りしてたはずなのに誰も悲鳴を聞いていないのは変よねって話よ」

 

 

風里(なるほど……)

 

 

菜華「そもそも、怪しい人物に会いに海岸に行ったなら、その人物を警戒しないなんて有り得なくないか?まあ、海岸に行ったのには他の理由があるのかも知れないが」

 

 

恵「ん~、もしかしたらこれ、数人がかりでの犯行かもね。口さえ塞いじゃえば声は出せないし。それとも僕らが考えすぎてるだけで、ただただ恐怖で声が出なかったってことなのかもね~」

 

 

経介(数人がかりか……なるほど……)

 

 

恵「ま、そんな手を使えば食堂にいた人たちにも犯行は可能だよね」

 

 

銘「……そうみたいね」

 

 

 

彼らの推理が再スタートし、全ての生徒に犯行の疑いがかけられる中、一人の生徒が再び、こう主張をし始めた。

 

 

 

有悟「……誰にでも犯行可能と言うのであれば、やはりオレは泡瀬さんが怪しいと思うな」

 

 

響香「だから私はやってないって!!」

 

 

真琴「あたしもさんせー。自分が理央から影人形だって疑われてるって仲間に教えたら、絶対手伝ってくれるもんね。それでみんなで束になってあの子を殺したんじゃないの?(笑)」

 

 

響香「なっ……!誰がそんなこと!!!」

 

 

有悟「あと、凶器を隠そうとしたのが引っ掛かるからな」

 

 

響香「……何度言ったら分かるの?私じゃないって言ってるじゃない!!これは衝動的な殺人なんでしょ?だったら私を疑うのは無理あるんじゃないの?それに怪しいのは祥子ちゃんの方じゃない!!」

 

 

祥子「えっ、私ですか?!」

 

 

柚季「響香ちゃん……」

 

 

響香「そうよ!私が心配になって理央のスマホに電話をかけたとき、あなたが出たよね?普通死んでる人に触れてまで着信に応じようとする?もしかして遺体に偽装工作でもしてたんじゃないの?第一発見者ならそれが可能だもんね!!」

 

 

祥子「私はそんなことしてないです!!」

 

 

響香「それにあなたは黒出しされてるじゃない。普段あんなにビクビクしてるくせに朝は呑気に寝てるし、一人でいるのが一番危険な今日に島探索なんて怪しすぎるし!!それに現場に行けたあなたなら、人形を作り出して悲鳴を上げさせずに理央を殺すこともできたはずだし!!」

 

 

祥子「そんなこと言われても……」

 

 

響香「それに……!!」

 

 

 

響香が続けて口撃しようとした時だった。

 

 

 

柚季「響香ちゃんもうやめて!!怖いよ!そんなの私の知ってる響香ちゃんじゃない!!響香ちゃんが犯人じゃないのは分かってるから……」

 

 

 

その姿を見兼ねた柚季がそう叫んだ。

 

 

 

響香「……」

 

 

茜「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。それと、さっき響香ちゃんが言ってた電話の内容について詳しく教えてくれない?」

 

 

響香「……さっきも話した通り、昨日理央からあんなことを言われたから、いざ一人で帰りを待ってみたら心配で仕方なくて、それで理央に電話をかけたの。そしたらいきなり祥子ちゃんが出て、理央が海岸横の崖の上で血を流して倒れてるって教えてくれたの。これが私が焦って食堂を飛び出した理由。同じ食堂にいたのに気付いてなかったのね」

 

 

茜「そんなことがあったの、全然気付かなかった……」

 

 

経介「僕も……」

 

 

恒也「オレもだ」

 

 

雪紀「私も……」

 

 

冷音「なんだよ、誰も知らねぇじゃねぇか。本当に電話したのか?」

 

 

祥子「あっ、それは本当です。私が保証します……」

 

 

暦「わっ、私も見てはないけど聞いてました……」

 

 

瞳「私たちも祥子ちゃんが電話してるのを見てました。」

 

 

冷音「あ“-もう分かったってのうるせぇな。つまりは事実なんだろ!!」

 

 

青葉「あと、祥子ちゃんが響香ちゃんからの着信に応答したのは、響香ちゃんに事実を伝えなきゃっていう責任感があったからだと思うよ……」

 

 

響香「そう……」

 

 

祥子「一応、そのつもりでした……」

 

 

縁「じゃあやっぱり、怪しいのは泡瀬さんなんですかね……?」

 

 

初「んー、そのことなんだけどよ~、私には響香が食堂を飛び出してったときに見せたあの青ざめた表情が、どうも演技には見えねぇんだよな~」

 

 

泰斗「あー、それオレも同感だ。あれは事件のことを事前に知ってた顔じゃない」

 

 

経介「僕もそう思うよ。泡瀬さんは信じていいと思う」

 

 

響香「……!」

 

 

有悟「それに関してはオレも見ていたが、やはりオレはまだ泡瀬さんを信じられないな」

 

 

穂乃香「私も響香ちゃんはちょっと信用できないかな……、食堂での響香ちゃんがどんな感じだったのかは分からないけど、凶器をこっそり拾おうとしたのはやっぱり怪しいと思うんだよね……」

 

 

冷音「……オレも同意見だ」

 

 

響香「……」

 

 

 

1つ問題が解決したかと思うと、今度は2つの意見が対立を始め、事態は膠着状態に陥った。

 

 

 

菜華「……このままでは埒が明かないな。どうだ。今日の話はこれくらいにして、続きはまた明日にしないか?」

 

 

恵「そうだね、明日になればまた占いができるようになるから、その結果を受けて続きを話し合えばいいと思うよ~♪」

 

 

有悟「あぁ、そうだな」

 

 

 

こうして、僕らの長い海岸での話し合いは幕を閉じた。

 

 

 

明「……やっと話が済んだか。もう解散するなら枷田の遺体は引き取るぞ。一度引き取ったらもう二度と、顔を見ることはできなくなるがそれでも大丈夫か?」

 

 

響香「……もうちょっとだけ、一緒に居させてください」

 

 

明「……分かった」

 

 

 

その後、僕らは泡瀬さん、神薙さん、栄さん、知石さんを残して海岸を離れ、それぞれが別々の思いを持って、別々の場所へと向かって行った。

 

 

そして双子島にまた、夜が訪れた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~22時 双子島学園 寮棟2階 美咲の部屋~

 

 

 

美咲「今日は色々と大変やったね……」

 

 

祥子「そうですね……。本当に泡瀬さんは影人形なんですかね……?」

 

 

美咲「うーん……、うちもまだはっきりとは分からんのやけど、凶器を隠そうとしたのは怪しいなぁって思ったよ。祥子ちゃんはどう思ってるの?」

 

 

祥子「確かに怪しいと言えば怪しいですけど、私は確信に至らない状態で疑いたくはないんですよね。疑われるって、つらいことですから……」

 

 

 

祥子は俯いてそう答えた。

 

 

 

美咲「まぁでも、今回で祥子ちゃんへの疑いは薄れたんじゃないかなぁ?ほら!今回の電話の件で誠意を汲み取ってくれた人も多いやろうし!」

 

 

 

祥子「電話……?あっ!!」

 

 

 

祥子は突然、何かを思い出したように声を上げた。

 

 

 

美咲「どうしたん?」

 

 

祥子「話し合いに必死で理央ちゃんのスマホを返すのを忘れてました……。ちょっと先生のところに届けて来ます」

 

 

美咲「なんだ、そう言うことか……。何事かと思ったよ。行ってらっしゃい!」

 

 

祥子「はい!」

 

 

 

祥子はそう返事をしつつ、理央のスマホが仕舞ってあるポケットの中に手を入れた。

 

 

 

祥子「あれ……?」

 

 

 

しかし、そこに理央のスマホは入っていなかった。

 

 

 

美咲「……もしかして、どこかに落としてきちゃった?」

 

 

祥子「いえ、そんなはずは……」

 

 

 

祥子はそう言いつつ、別のポケットを調べた。

 

しかし、そこにも理央のスマホの姿はなかった。

 

 

 

そして焦った祥子がスマホを探しに自部屋に戻ろうとした、その時だった。

 

 

 

ピロリン

 

 

 

美咲のスマホの通知音が鳴った。どうやらグループLINEに1件のメッセージが送られてきたらしい。

 

 

 

美咲「ん……?」

 

 

 

気になった美咲はすぐにスマホを手に取り、送られてきたメッセージを確認した。

 

 

 

美咲「え!!」

 

 

祥子「わっ!突然どうしたんですか……?」

 

 

美咲「これ見て!これ!!」

 

 

 

祥子は言われるがままに美咲のスマホに送られてきたメッセージを確認した。

 

 

 

祥子「え、これって……!!」

 

 

 

そこには、こんなメッセージが表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理央<どうもみなさんこんばんは。突然ですが、私はこのゲームの霊媒師をやっている者です>

 

 




まずはここまでのご精読ありがとうございました!ひとまず話し合いが完結しましたがいかがだったでしょうか?散りばめられたヒントを頼りに自分なりの考えは持てましたか?皆さんの意見も気になるところです。教えてくれてもいいんですよ(笑)そんな淡い期待を胸に、これからもコツコツ頑張ります^^*それでは皆さん、またの機会に!

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