双子島の影人形   作:小匣めもり

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皆さんこんにちは!めもりです。またのんびりと期間を開けての投稿となりました!今回はなんと!主人公たち3人にスポットライトが当たります(笑)周りのキャラが濃いですが、これからどんどん主人公味を帯びて行くので、楽しみにしていて下さいね!それでは第11話「告げられた想い」スタートです!


第11話 告げられた想い

~同日、4月11日 昼~

 

 

 

彩「はい、そこまで~!」

 

 

友輝「ちょっ、まっ……」

 

 

秋子「あとちょっと!ちょっとだけだから!!」

 

 

彩「ダメです~(笑)また次回も確認テストをする予定なので準備しておいてくださいね~!それじゃ、今日の授業はここまでです!お疲れさま!」

 

 

有悟「お疲れ様です!ありがとうございました!!」

 

 

秋子「うっ、生きた心地が……」

 

 

穂乃香「秋子ちゃん、大丈夫?」

 

 

秋子「う~、全然ダメだよぉ……、穂乃香は大丈夫なの……?」

 

 

穂乃香「私は……まぁまぁかな……(笑)」

 

 

秋子「うちはもう無理すぎて鬱だよ……」

 

 

穂乃香「あ!そんなときはねぇ、気分が晴れるおまじないをするといいんだよ!」

 

 

秋子「おまじない?教えて教えて!」

 

 

穂乃香「えっとね、私が考えたやつなんだけど……!」

 

 

秋子「うんうん!」

 

 

 

冷音「……」

 

 

 

穂乃香「右手を広げて空に虹を描くようにして「グッバイレイニー!」って言うの!ジメジメした気分にさよなら!ってね」

 

 

秋子「えーっと、こう……かな……?」

 

 

 

秋子は穂乃香に言われた通り、右手を広げ、空に虹を描くようにして言った

 

 

 

秋子「グッバイレイニー!」

 

 

穂乃香「……どう?」

 

 

秋子「……うん、うん!「グッバイレイニー!」、なんかこれ好きだな、うち。ありがと!元気出た!」

 

 

穂乃香「ホントに?ちょっと恥ずかしかったけど、元気になってくれたなら良かった!!」

 

 

秋子「うん、ありがと!」

 

 

穂乃香「いーえ!」

 

 

太一「秋子―、飯行こうぜー」

 

 

秋子「あ、はーい!じゃ、またね!」

 

 

穂乃香「うん!いってらっしゃい!」

 

 

 

冷音「……」

 

 

初「……何ニヤけてんだ?気持ち悪ぃぞ」

 

 

冷音「あ?ニヤけてねーよチビ」

 

 

初「は?今私に向かってチビって言ったかシスコンやろ~!!」

 

 

冷音「あ“?誰がシスコン野郎だお子様ランチが!!」

 

 

初「はぁ?なんだその悪口は~!!」

 

 

暦(和む……)ズズズ……(茶

 

 

怜菜(あなたも相当よ桶川さん……)

 

 

 

 

 

~昼休み 南西の海岸~

 

 

 

小春「はぁ……、テスト疲れた~」

 

 

経介「とりあえずお疲れ様だね」

 

 

桜「お疲れ様~」

 

 

 

僕ら3人は小春の提案で南西の海岸に来ていた。

 

 

 

小春「まぁ、とりあえず午前はお疲れ様ということで、ご飯にしよっか!」

 

 

経介「うん。それはもちろん良いんだけど……、突然どうしたの?3人で海岸に行かないかなんて言い出して」

 

 

桜「それ、私も気になる」

 

 

小春「あ、うん。まずはそのことからだよね、ごめんね」

 

 

 

小春はそう言うと、静かに波立つ海の方を見ながらゆっくりと話をし始めた

 

 

 

小春「……今日の朝、食堂で柚季ちゃんが言ったこと、覚えてるかな……?」

 

 

経介「神薙さん?あ、それ、もしかして……」

 

 

桜「昔お兄ちゃんを亡くして~……って話かな……?」

 

 

小春「……うん。そうだよ」

 

 

経介「あー……やっぱりか……」

 

 

 

経介がこんな曖昧な反応をするのには、ある一つの理由があった。

 

 

 

小春「二人が知ってる通り、私も昔、お兄ちゃんを失ったから、今朝の柚季ちゃんの気持ちが痛いほど分かった……」

 

 

そう、小春も昔、柚季のように兄を失ったことを知っていたからである。

 

 

 

小春「それでね、私、当たり前のことだけど、ちゃんと2人に伝えなきゃって思ったの」

 

 

桜「うん。聞かせて」

 

 

経介「どうぞ!」

 

 

小春「あのね、私にとって2人はお兄ちゃんと同じくらい大切な人なの。だから、この先どんなことがあっても2人にだけは生きていて欲しいの」

 

 

桜「……!!」

 

 

経介「小春……」

 

 

小春「ほら。この海岸だって、最初に来た時はただただ綺麗で居心地の良い場所だったけど、昨日あそこの崖の上でクラスメイトを一人失ったことで、とても居心地が良いとは言えない場所に変わったよね。それと同じように、今2人が居て幸せだって感じる時間も、どっちか片方でもいなくなっちゃったら、間違いなく失われる。今日2人をここに連れてきたのはこのことを伝えるため。そして、わがままかも知れないけど、これが私の想いなの。でも、勘違いはしないで!他のみんながどうなっても良いって意味じゃない。私はみんなにも生きて欲しいもん。でも、それ以上に2人には、生きていて欲しいっていう気持ちが強くあるってことなの!!」

 

 

 

小春の心からの言葉であった。

 

 

 

経介「……うん、ありがとう!約束するよ!僕だってこんな訳の分からないゲームで訳も分からないまま死にたくない。そしてそれが小春の幸せになるんだったら、僕だって本望だよ」

 

 

小春「……嬉しい!ありがとう!」

 

 

経介「うん!でも、いなくなって困るのは小春だって同じだよ。もちろん桜だって。2人とも僕の大切な友達!絶対最後まで生き残って、みんなで一緒にこの島を出ようね!!」

 

 

小春「うん……、そうだよね、ありがとう!一緒にがんばろ!」

 

 

桜「……私も2人がいなくなるのはとても悲しい。私が死ぬことで2人が悲しむなら、私だって頑張らなくちゃって思える。それに私には学校の先生になるっていう夢がある。だからみんなで頑張って生き延びて、この島を出ようって……」

 

 

経介「……?」

 

 

 

経介が少し違和感を覚えると桜は少しうなだれ、話の続きを喋り始めた。

 

 

 

桜「……思えなきゃいけないのはわかってるんだよね」

 

 

小春「……桜ちゃん?」

 

 

経介「……どうしたの?」

 

 

桜「……どうしたんだろうね。いや、どうしたのかは分かるよ。でもどうすればいいのかが分かんないの。私は、ゲームなんてやりたくない。私はただ、みんなと……」

 

 

 

桜は酷く落ち込んでいるようだった。

 

 

 

小春「……確かに、おかしいよね、こんなゲーム。私たちには普通で楽しい学校生活を送る権利があるはずなのに」

 

 

桜「……」

 

 

小春「……私、密かに碧くんの言った通りになること、期待してるんだ。それで警察の人が来てゲームが終わって、また別の場所でこのメンバーと一緒に過ごせたらいいなって」

 

 

経介「……でも、それだと反対派の有悟くんが言ってたみたいに、みんな先生に殺されるかも知れないんだよ……?」

 

 

小春「それは……、その通りかも知れないけど、もし上手く行ったらこれ以上誰も死なずに済むんだよ?みんなそれぞれ大切な人は違って、脱出に求める最低条件だって違う。そんなみんなが同じゲームを進めて行けば、きっと最後には不幸が待ってる。……違うの。私はみんなで笑っていたい。……ダメかなぁ、夢を見ちゃ……」

 

 

 

そう言う小春の目は、涙で滲んでいた。

 

 

 

経介「小春……」

 

 

桜「……私も、小春ちゃんと一緒だよ。みんなで笑ってこの島を出たい」

 

 

経介「桜も……」

 

 

小春「だからさ、経介。もしかしたら、もしかしたら訪れてくれるかもしれないその時まで、占い師としてみんなを守ってあげてね……」

 

 

経介「……!」

 

 

 

僕は正直、この小春の言葉に戸惑った。朱谷くんが言っていた通り、不確かなものを信じ抜いて希望としてしまっては、それが閉ざされたその瞬間、絶望してしまう。正直、僕だって碧くんの言う通りになれるのなら、幸せだ。でも、もしそれが叶わない希望だということが分かったら、今の状態の小春は、桜はどうなってしまうのだろう。考えるだけで恐ろしい。でも、僕がこう考えるのはすべて、小春と桜を大切に思っているからだ。今、僕がこの小春の言葉に小春たちの希望を振り払うような言葉をぶつけたらどうなるのか、答えは簡単だ。それこそ危険な行為で、何より彼女らのためにならない。大切な人に向ける言葉ではないと言えるだろう。なら僕はどうするべきなのか。僕はそんな考えを巡らせに巡らせた結果、言った。

 

 

 

経介「……僕は、みんなのために頑張るよ」

 

 

 

想いをぶつけてきてくれた小春には、あまりに無難で曖昧な返答であるのは分かっていた。でもこれが僕の出した答えだ。何も間違っていない。それに僕は小春のこの言葉を聞いて、自分の背負っている役の重さに改めて気付かされたんだ。そして、占い師としてみんなのために、小春や桜のために頑張らなきゃって思ったんだ。

 

 

 

 

小春「……頼りにしてるよ、経介」

 

 

 

小春はそう言って、僕に笑顔を向けた。はにかんだ時に閉じた目から、留まっていた涙がスーッと頬を伝って流れて行くのが見えた。

 

 

 

 

 

その後、僕らは食事を済ませ、次の授業のある教室へと戻った。

 

 

授業が始まる直前、僕は占い師の力を使い、ある人物を占った。そして時は過ぎ、僕らは話し合いが予定されている放課後を迎えた……。

 

 

 

 

 

~放課後 16時30分 教室~

 

 

 

有悟「まずはみんな、授業お疲れ様」

 

 

泰斗「お疲れ~っす」

 

 

有悟「そして予定していた話し合いの時間だ。相沢君、木陰君、高穂君、占いは済んだかい?」

 

 

凉太「おう、バッチリだぜ!」

 

 

冷音「……あぁ」

 

 

経介「うん、大丈夫だよ……!」

 

 

有悟「よし、それでは占いの開示を行うぞ!前に決めた通りだと、木陰君と高穂君は姫野さんを占うのだったな」

 

 

祥子「……」

 

 

冷音「……そうだな、ちゃんと占ってきてやったぞ」

 

 

経介「……僕も姫野さんを占ったよ」

 

 

有悟「うむ、2人ともありがとう。それでは、結果の開示を一斉に行おう!今からオレが合図を出す、それに合わせて2人は一斉に姫野さんが白であったか黒であったかを教えてくれ。それではいくぞ、せーのっ!!」

 

 

 

有悟によって占い結果開示の合図が出された。

 

 

同時に、2人はそれぞれの占い結果を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冷音「白だ」

経介「黒です」

 

 

 

 

 

祥子「……!!!」

 

 

有悟「……なるほど、木陰君が白で高穂君が黒か」

 

 

経介「……うん、合ってるかは分からないけど、僕は黒だったよ」

 

 

 

そう、僕は昼、姫野さんを占って、黒という結果が帰って来たのだ。

 

 

 

小春「……」

 

 

菜華「なるほど……な」

 

 

冷音「おい待て、オレは間違いなく占い師だぞ。お前らもしかして……グルか?」

 

 

凉太「これでオレは冷音が怪しくなったな。偽占い師はお前か?」

 

 

穂乃香「待って!お兄ちゃんを疑わないで!!」

 

 

恵「まぁまぁ、それは置いといて。これで2人から黒って判定を受けた訳だけど、祥子ちゃんは影人形なのかな~?(笑)」

 

 

祥子「……私は……!!!」

 

 

銘「それよりまずは凉太くんの占い結果から聞かない?何か他にヒントがつかめるかも知れないし!」

 

 

冷音「そうだぞ。そう言うお前は誰を占ったんだよ」

 

 

凉太「ん?オレか?オレは等野を占った」

 

 

美咲「……え、うち!?」

 

 

凉太「あぁ、まぁ白だったけどな」

 

 

冷音「等野だと……?何で泡瀬じゃねぇんだ、普通は泡瀬に行くだろ。お前こそ怪しいんじゃねぇか?」

 

 

響香「……まぁ、普通は私だよね」

 

 

 

凉太の意外な占い先に、一同は驚きを隠せない様子だった。

 

 

 

凉太「なんだよ、そんなに意外か?泡瀬を占わなかった理由なら簡単だぜ。今回の事件、どうせやったのは泡瀬か姫野のどっちかなんだ。その片方を全員が占ってるんだから、別に泡瀬を見る必要はねぇだろって話だよ。それにオレは最初から姫野が怪しいって思ってるんだ。尚更見る必要がねぇだろ?」

 

 

有悟「うーむ、できれば泡瀬さんを占って欲しかったが、言っていることは間違いではないな」

 

 

菜華「そうだな。等野さんを占ったのは、疑わしいと思っている姫野さんと仲が良いのと、何度か疑われた姫野さんのフォローに入ったからといったところか?」

 

 

凉太「……おう、その通り過ぎてビックリだ」

 

 

美咲「うちはただ祥子ちゃんが可哀想で……」

 

 

凉太「ま、占い結果的にはそうみたいだな」

 

 

冷音「……フン、オレは泡瀬の方が怪しいと思うがな」

 

 

凉太「偽物の占い師にそんなこと言われても困っちまうなぁ……」

 

 

冷音「だからオレは……!!」

 

 

友輝「まぁ落ち着けって2人とも~」

 

 

経介(偽物の占い師か……)

 

 

航「……で、話を戻すと結局姫野が2人に黒出しされてる訳だけど、どうするんだ?」

 

 

 

凉太と冷音の様子を見て、これ以上の進展はないと踏んだ航が話を戻した。

 

 

 

恵「いや~、もうぶっちゃけ祥子ちゃん黒で良いんじゃない?」

 

 

祥子「え、いや……!」

 

 

凉太「オレもそう思うぞ」

 

 

真琴「やったー、これで人形1体消せんじゃん」

 

 

祥子「……っ待って下さい!!!」

 

 

 

祥子は自分に掛けられる疑いの声を遮って、こう言った。

 

 

 

祥子「……COします!!」

 

 

経介「……!!」

 

 

恵「え!なんだろ?気になるなぁ~♪」

 

 

祥子「私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祥子「騎士です!!!」

 

 

 

 

 

(1日目)

 

相沢凉太→姫野祥子(黒)

木陰冷音→木陰穂乃香(白)

高穂経介→担城有悟(白)

 

 

(2日目)

 

相沢凉太→等野美咲(白)

木陰冷音→姫野祥子(白)

高穂経介→姫野祥子(黒)

 

 




はい、まずはここまでのご精読ありがとうございました!ついに騎士のCOが出ましたね!果たして彼女の言っていることは本当なのでしょうか?真の占い師はどちらなのでしょうか?彼らの色々な考えや意見を元に、ぜひ推理をお楽しみ下さい!それではまだ、第12話でお会いしましょう!

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