双子島の影人形   作:小匣めもり

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皆さんこんにちは、めもりです。筆者の脳内辞典がスカスカすぎて熟語検索アプリが欲しいなって思ってます。何かいいのがあれば紹介してください(泣)それではボキャ貧民発の第21話「不足者アライアンス」スタートです!!


第21話 不足者アライアンス

 

有悟「おはよう、高穂君」

 

 

経介「おはよう!」

 

 

 

朝7時前、呼び掛け通りに食堂に入ると担城くんがいつものように挨拶をくれた。

僕は挨拶を返した後すぐ、既にたくさんの生徒が集まっていた食堂の中を小春たちを探して見回した。

 

 

 

桜「あ、きょーちゃんおはよ!こっちこっち!」

 

 

経介「!」

 

 

 

いつもの声がして、そちらの方を向くと桜が手招きをしていた。その隣には小春に加え、西木さんが座っていた。僕は胸を撫で下ろす思いで招かれるまま3人の座っている席へと向かった。

 

 

 

経介「おはよう、みんな大丈夫みたいだね」

 

 

小春「おはよ!きょーすけもその様子だと大丈夫そうだね」

 

 

経介「うん。侵攻が始まる時間には一応起きてたけど、僕の方は問題なかったよ。……ところで、他のみんなは?」

 

 

桜「んー、どうなんだろ。さっき有悟くんがあと少しで全員集まりそうだって言ってたけど……?」

 

 

 

ちょうどそんな話をしていた時だった。

 

 

 

有悟「改めておはよう、皆!」

 

 

 

有悟が食堂全体に聞こえるくらいの声でそう言った。

 

 

 

有悟「まだ7時前だが、皆の協力のお蔭で生徒38人全員の安全が確認できた!」

 

 

 

蓮「お、今日はスムーズだな。取り敢えずは良かったって感じだな」

 

 

碧「……そうだな」

 

 

凉太「……」

 

 

 

 

小春「だってさ。他のみんなも大丈夫みたいだね!」

 

 

経介「うん。でも今日が終わるまで油断はできない」

 

 

小春「そうだね……」

 

 

 

 

有悟「……念のため確認しておくが、今日ここに集まるまでに影人形を目撃したという生徒はいるか?もしいるのなら挙手を頼む」

 

 

 

 

雪紀「私は見てないけど……2人はどうだった?」

 

 

白夜「ううん。私は見てないよ」

 

 

初「私も見てねーなー」

 

 

 

 

美咲「うちらも昨日帰ってからずっと一緒にいたけど、それっぽいのは見なかったよね?」

 

 

唯「うん。見てないはずだよ」

 

 

祥子「はい……」

 

 

 

 

有悟「……うむ。この様子だと誰も目撃していないようだな。協力感謝する」

 

 

 

 

菜華「……」

 

 

恵「どしたの?考え事?」

 

 

菜華「いや、考え事と言うよりちょっと不思議に思うことがあるだけだ」

 

 

恵「何?」

 

 

菜華「影人形はどうして朝の時間に動かないんだと思ってな。コンディションや一人でいる可能性を考えると朝の時間が一番の狙い目な気がするんだが……」

 

 

恵「んー、向こうにも向こう側に立ってみなきゃ分からない事情があるんじゃない?」

 

 

菜華「……そんなものか?」

 

 

恵「さぁ?まぁ、だとしたら僕たちには考えても分かんないね」

 

 

菜華「うーん……。いまいちスッキリしないが、そういうことにしておくか」

 

 

恵「うんうん♪……たまにはそんな感じで流しちゃってもいいと思うよ」

 

 

菜華「ん?何か言ったか?」

 

 

恵「……ううん、何も言ってないよ♪」

 

 

菜華「そうか……?」

 

 

 

 

有悟「では、確認の方も無事に済んだことだ。もうそれぞれ自由に行動してもらって構わないが、一応今は侵攻可能な時刻だ。なので侵攻が不可能になる8時までは皆食堂内にいるように頼む。それと何度も言うようだが、今日が終わるまではなるべく複数人で行動して一人でいる時間を最小限に抑えるようにな。君たちも、姫野さんを頼んだぞ」

 

 

美咲「うん」

 

 

唯「もちろん」

 

 

有悟「……うむ。皆今日を終えても無事であってくれ」

 

 

 

こうして予定されていた確認が終了し、各生徒は食事や会話などをしながらその時を待った。

そしてもうすぐ朝の8時を迎えようとしていた、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、ちょっといいか」

 

 

 

皆時計を気にするあまり静かになっていた食堂の端から、そんな声が聞こえてきた。

 

 

 

祥子「……!」

 

 

美咲「……どうかしたん?凉太くん」

 

 

凉太「その、4日前のことなんだけどよ」

 

 

唯「4日前って……」

 

 

真琴「……」

 

 

 

そのことをよく覚えていた彼女らは、すぐに凉太が何の話をしようとしているのか分かった。

 

 

 

美咲「あぁ、あのことかな。その節はごめんね。ホントにうちがもっと……」

 

 

凉太「やめてくれ」

 

 

美咲「……?」

 

 

凉太「謝らなきゃいけねぇのはオレの方だ」

 

 

美咲「え……?」

 

 

唯「……!」

 

 

 

その言葉に驚いて凉太の顔を見てみると、彼の表情はあの時見せたものとは全くと言っていいほど違っていた。

その会話を聞いていた他の生徒の意識も徐々に時計から凉太の方へと集まって行っていた。

 

 

 

凉太「……あの時よ、オレ焦ってたんだよ。占い師が他に2人もいて、誤って消される前に何としてもオレが占い師だってことを信じてもらわねぇといけないって。だから多少強引でもいいから、いち早く信用を掴むにはどうすればいいかってそればかり考えてたんだ。……だから、みんなが見ていて印象にも残りやすいあの場こそアピールするのに最適だと、よく考えもしないで行動に移ったんだ」

 

 

経介(相沢くん……)

 

 

凉太「……終わってみた結果は最悪だった。不確定な証拠ばっか並べて後悔してる等野らに追い打ちをかけて、四宮との口論になった時も自分のアピールに必死でそれを聞いてる他の奴らの気持ちなんて気にも留めないでよ。挙句には自分が正しいって証明すらも四宮の言葉の前に何も言い返せなくなって……。あの時、オレはあぁまでして必死に得ようとしていた信頼すらも失ったんだと思う」

 

 

真琴「……」

 

 

凉太「それに気付いてからよ、オレはずっとどうすればいいか分からなかったんだ。これからのみんなとの接し方とか、占い師としての自分の正しい在り方とか。謝らなきゃいけねぇことは分かってても、自分が見当たらない以上はどんな謝罪も口先だけの謝罪に他ならなくて、そんな奴には謝る資格すらなくて、ろくに謝りに行くこともできなかった」

 

 

蓮「……」

 

 

凉太「でもよ、オレ昨日の放課後、高穂や木陰が話してるの聞いて分かったんだ。一番大切なのは信頼とか証拠とかがあるって事実じゃなくて、誰かを守りたいって気持ちなんだって。占いはその気持ちがあって初めて意味を成す力なんだってよ。……オレはお前らを守りたい。一人でも多くこの島から出してやりたい。あの時は信用されるってかたちだけを求めるのに必死でそのことを忘れてたけど、あの行動ももといそういった気持ちが極めて歪に変形した結果が生んだものなんだ。でもオレはもう二度とその気持ちを忘れはしねぇし、漸く見つかった歩むべき道を踏み外したりはしねぇと誓う!だから信頼の欠片も満足の行く証拠もないオレだけど、今ここであの時のことをしっかりと謝らせて欲しい。等野も、沖鳥も、四宮も、他のみんなも、本当に済まなかった!!!」

 

 

 

いつしか生徒全員の注目が凉太に集まっていた中、彼はそう伝えるとともに頭を下げたまま動かなくなった。

 

 

 

美咲「……顔上げて凉太くん」

 

 

凉太「……」

 

 

美咲「凉太くんはあのことを追い打ちって言ってるけど、うちあの時凉太くんに言われたこと実はちょっと有難かったなって思ってるんよ」

 

 

凉太「……」

 

 

美咲「ほら、あんな状況やったら中々落ち込んでる人にダメ出しなんてしてくれる人おらんやろ?上手く言えんけど、たとえそれが凉太くん自身のためにやったことやったとしても、うちはあぁやって刺激してもらったお蔭でもっともっと頑張らなきゃって気になれたんよ。まぁ、ちょっと凹んだのも事実やけど……」

 

 

凉太「……それは本当に済まな……」

 

 

美咲「いやいやいや、だから謝らんでいいんやって!あれがなかったらうちは自分への甘さにも気付けやんかったんやし!だからほら、お互いに考え不足やったってことやな。だからこっからまた一緒に頑張ろ!話してくれてありがとう!」

 

 

凉太「……こちらこそ、ありがとう」

 

 

唯「なら考え不足なのは私も一緒だね。励ますことばかりが正解だと思ってたけど、今の話を聞いてそうじゃないってことがよく分かった。それが偶然でもきっかけをくれたのは凉太くんであることに違いないんだから、私もあの時のこと感謝してるよ。ありがとう」

 

 

凉太「……」

 

 

恵「まぁ僕たちは、当事者が大丈夫って言うなら大丈夫なんだけど……真琴ちゃんはどうなのかな♪」

 

 

真琴「……」

 

 

凉太「……済まなかった。この通りだ」

 

 

真琴「……美咲と唯がいいならいいんじゃない。あたしはあんたのこと嫌いだけど」

 

 

恵「……だってさ♪」

 

 

凉太「……みんなありがとう。そして本当に済まなかった。占い先ももう一度考え直してまた一から頑張って行くつもりだ。今日は本当にこんな大変な日にも関わらず話を聞いてくれてありがとう」

 

 

 

凉太は更に深々と頭を下げてそう言った。いつしかその姿を冷ややかな目で見る者はこの場所に誰一人として存在しなくなっていた。

 

 

 

蓮「凉太ぁ―!!」

 

 

凉太「う“っ」

 

 

碧「蓮、ナイス飛び蹴り」

 

 

凉太「……痛ってぇな、いきなり何すんだよ」

 

 

蓮「……よく言ったな」

 

 

凉太「……は?」

 

 

碧「あぁ、よく言ったよ」

 

 

凉太「……心配掛けたな」

 

 

 

 

 

ズコココココココ

 

 

 

真琴「……」

 

 

縁「……真琴ちゃん、それもうないんじゃ……」

 

 

真琴「……」

 

 

縁(うっ、凄い目付き……)

 

 

縁「……もう一本、買いに行こっか?」

 

 

真琴「……もっと美味しいやつ。縁の奢りね」

 

 

縁「うん!そのつもり」

 

 

 

 

有悟「……ム、もうこんな時間か……よし。皆!今日はまだ始まったばかりだ!今一度気を引き締めて全員で侵攻を乗り切ろう!!」

 

 

 

僕たちが気付いた頃には、食堂の時計の針は既に8時過ぎを指していた。

けれど、僕たちが安心できるのも束の間。ゲームは昼の侵攻、夜の侵攻へと加速して行く。

そして、僕は知ることになる。命を脅かさんとする魔の手は確かなかたちを持って、僕らのすぐ近くでひっそりとその時を窺っているのだということを……。

 




まずはここまでのご精読ありがとうございました!話の都合で本来21話に纏めようと思っていた話の前編だけを投稿した形となってしまったのでボリュームとしては結構少なめなのですが、それの方が後編(22話)も楽しめるかなと思ったので分けさせていただく運びとなりました。感情が飛び交うシーンとか思いを打ち明けるシーンは結構体力を食うので筆者としてもここまで書くのがやっと的なソレはあります()次回は特に気合い入れて書かなくてはなのでそーゆーことにしといて下さい。ではまた次話でお会いしましょう。改めてここまでの閲覧ありがとうございました!次話もお楽しみに!
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