双子島の影人形   作:小匣めもり

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皆さんこんにちは、めもりです。鬼スランプ状態が続き、一週間あけての投稿となってしまいました。ごめんなさい^^;それでもいつもの調子に戻って書けたかなぁと思うので、皆さんもいつも通りゆっくりして行って下さいね。それでは第5話「動き出す人形ゲーム」スタートです!


第5話 動き出す人形ゲーム

翌日 4月2日(火) 8時00分

 

 

 

~教室~

 

 

ガララッ

 

 

蓮「おはよ~っす」

 

 

碧「おはよう、蓮!」

 

 

有悟「おはよう宿井君!」

 

 

銘「おはよ~」

 

 

茜「みんなおはよ~!」

 

 

梢「銘、茜、二人ともおはよ!」

 

 

有悟「おはよう加古川さん!常磐さん!」

 

 

泰斗「……みんな教室に集まって来んの早くねぇか?授業って確か30分からだろ?」

 

 

 

授業開始までまだ結構時間があるにも関わらず、朝の教室には既に生徒全員が集合していた。

 

 

 

舞人「いや、無理もねぇだろ。あんな話聞いた後じゃ、ゆっくり寝てらんねぇよ」

 

 

泰斗「あー、まぁそうか。オレは昨日担城が言ってたことが気になっててな。ちょっと早く来て話を聞こうって思ったんだ」

 

 

美咲「うちも泰斗くんと同じ理由やなぁ。ネットの情報のこととか、ゲームの裏側のこととか、気になるとこがいっぱいあるよねぇ」

 

 

泰斗「あれ?等野もその話聞いたのか?」

 

 

美咲「うん。うちだけじゃないよ。祥子ちゃんとか唯ちゃんも、昨日有悟くんから連絡受けたみたいやし、他のみんなも知ってるんじゃないかなぁ……?」

 

 

経介「担城くん、昨日そのことをみんなに伝えるって言ってたし、もう情報は行き渡ってると思うよ!」

 

 

泰斗「……そうなのか?担城」

 

 

有悟「あぁ、もちろん全員に伝えたよ。情報の共有は大切だからな!!」

 

 

友輝「39人もいるのに一人一人に送ったのか~、オレだったら面倒だから全員には送らねぇかな~」

 

 

有悟「差別はいけないぞ、岡成君!!」

 

 

友輝「そうだけどよ~」

 

 

理央「ねぇねぇ、それならグループLINE作ろうよ!」

 

 

青葉「お、いいじゃん!確かにグループLINEなら情報共有もスムーズにできるもんね!」

 

 

有悟「なるほど。それは名案だな、枷田さん!」

 

 

理央「またまたぁ、褒めても何も出ないよ~?(笑)それに、この前撮ったクラス写真もみんなに送ってあげたいし!」

 

 

有悟「それはいいな!ならば全員が揃っていることだし、早速グループを作ろうじゃないか!」

 

 

理央「お~!!」

 

 

 

こうしてグループLINEが発足し、僕ら生徒全員がそのグループに加入した。

 

 

 

有悟「……よし!これで情報共有も簡単にできるな!」

 

 

理央「集合写真も送っといたから保存しといてね~!」

 

 

理央(後で先生にも送っとこ……)

 

 

経介(集合写真か……)

 

 

 

僕はグループに送られた集合写真を確認した。

 

 

 

経介「……」

 

 

小春「経介、何してるの?」

 

 

経介「わっ!小春かぁ、びっくりした……」

 

 

小春「ごめんごめん、おはよ!経介」

 

 

桜「きょーちゃんおはよ!」

 

 

経介「おはよう、二人とも!ちょっと集合写真を見ててね……」

 

 

小春「そうだったの!その写真、3人ともリボンが映えてていいよねぇ!」

 

 

桜「あ、それ私も思った!」

 

 

経介「ホントだ、何か嬉しいな……!」

 

 

 

3人の目には小春の緑のリボン、桜の青のリボン、経介がいつも左腕に巻いている赤いリボンの3つのリボンが、その写真の中で際立って見えた。

 

 

 

小春「……これからどんなことがあっても、ずっと、友達だからね」

 

 

桜「……うん!」

 

 

経介「……もちろんだよ。それに、僕らにはこのリボンがあるでしょ!」

 

 

小春「……そうだよね!いきなりごめんね……」

 

 

経介「ううん、大丈夫だよ!」

 

 

 

3人がそんな話をしていた時だった。

 

 

 

泰斗「それにしても、昨日担城から聞いた話、あれ一体どうなってんだろうな……?」

 

 

 

泰斗がこの島と学園についての話をし始めたのだ。

 

 

 

凉太「まぁ、色々訳分かんねぇことばっかだよな」

 

 

恵「僕もネットでこの学園について知った記憶があるんだけど、ゲームについての記載どころかページ自体が見つからないって、なんだか怪しいよねぇ」

 

 

菜華「連絡先の件もあるし、完全に島内の情報を外部に流させない気だね」

 

 

穂乃香「ってことは島に住んでる人も先生も、外部との連絡は取れないのかな……?」

 

 

有悟「どうだろうな。人形ゲームの開催範囲が島内な時点でオレたちと関わる可能性のある島民も先生と手を組んでる気がするし、生徒以外の人物は外部との連絡は可能なんじゃないかとオレは思うけどな」

 

 

梢「うーん……、開催者が先生方だと仮定するならその説は濃厚だと思うけど、あの先生の反応からじゃそうとは言い切れないですよね」

 

 

碧「このゲームの主催者が先生だとしても先生じゃなかったとしても、本当にこの島や学園のことを外部に知られたくないなら、ゲームで勝利条件を満たした生徒を島から出すなんてことは絶対にしないと思うけど、それはどういうことなんだろうな」

 

 

秋子「あ~、確かに!」

 

 

和奏「でもその先生の言動があんな調子でいまいち信用できない以上、昨日冷音が言ってたみたいにこのゲームが開催されてるって話自体が嘘か本当か分からないし、もし嘘なんだったら嘘なんだったでゲームで勝利条件を満たした生徒を島から出すって言葉もただの出任せになるしね」

 

 

冷音「……」

 

 

初「んー、結局そこなんだよなー。何かゲームの開催がホントだって言える証拠みたいなのはねぇのかー?」

 

 

 

僕は小越さんのこの発言を聞いて、ある決断をした。

 

 

 

経介(僕が、みんなの力にならなくちゃ……!)

 

 

経介「あの……」

 

 

泰斗「ん?どーした?高穂」

 

 

経介「僕、実は昨日ある人を占って、その占い結果がちゃんと返ってきたんだ…!」

 

 

桜「え!」

 

 

小春「経介占い師だったの?!」

 

 

泰斗「まじか!予想外だなこりゃ」

 

 

有悟「本当か、高穂君!!」

 

 

 

当たり前のことだけど、僕の突然の占い師CO(Coming Out ※自身の役職を明かすこと)に、みんなが驚きを隠せない様子だった。

 

 

 

経介「うん、本当だよ。昨日このゲームの開催が本当かどうかを確認する意味も込めて、20時過ぎに占いをしたんだ。そしたらさっき言ったみたいに占いの結果が返ってきたから、ゲームの開催は恐らく、嘘じゃなくて本当のことなんだと思うよ」

 

 

千優(そんな……)

 

 

 

経介の言葉を聞いた千優は、不安に押し潰されそうな顔をしていた。

 

 

 

桜「千優ちゃん……」

 

 

青葉「大丈夫だよ、千優ちゃん!私も人の血とか見るのは苦手だけど、まだゲームの開催が本当って決まったわけじゃないよ!」

 

 

千優「…栄さん……ありがとう…!」

 

 

青葉「いーえ!」

 

 

恵「……ま、ゲームの開催が嘘か本当かって話は置いといて、経介くんは誰を占ったの?結局大事なのはそこでしょ」

 

 

経介「…そうだね、ごめん。僕が昨日占ったのは……」

 

 

??(…やめて……!!)

 

 

??(…ん?)

 

 

経介「……君だよ、担城くん!」

 

 

有悟「…オレか……!」

 

 

恒也「…なんで有悟にしたんだ?どこか怪しかったのか?」

 

 

経介「いや、怪しかったとかじゃなくて、昨日の担城くんの洞察力と行動力を見て、もし敵だったら怖いなと思って占ったんだ」

 

 

恒也「なるほどな。確かに有悟が敵だったら怖ぇよな……」

 

 

経介「うん。でも安心して、担城くんは白だったから!」

 

 

有悟「…感謝するよ、ありがとう!高穂君!」

 

 

経介「…うん!」

 

 

 

僕は感謝されてとても気分が良かった。でも、冷静さは欠いていなかった。

 

 

 

航「…こんなこと言うのはアレかも知れないけど、まだ高穂が占い師って確定した訳でもないし、担城が100%白だと言える訳でもないからな」

 

 

真琴「……言うじゃん。普段そんなに喋らないくせに」

 

 

経介「それは分かってるよ…!でも、僕は本当に占い師だよ。自信を持って言える!」

 

 

有悟「オレも本当に白だ」

 

 

航「…ま、その可能性は高いんじゃない?」

 

 

雪紀「とりあえずは二人とも白ってことにしとこ!」

 

 

初「そうだなー、今一番信用できるのはお前らだからなー」

 

 

蓮「ならよ、他に自分こそ占い師だって奴はいねぇのか?確かもう一人占い師がいたハズだろ?」

 

 

怜菜「……それはあまり言わない方がいいんじゃない?」

 

 

蓮「え」

 

 

銘「影ノ主が今回殺害権を持っているケースを考えると、占い師が2名名乗り出ちゃった場合、騎士が3人しかいないせいで確実に守り切ることができずに早々に人間陣営が重要な役職を失っちゃう可能性が高いからじゃないかな?」

 

 

怜菜「…うん。そんなところ」

 

 

蓮「あ、なんかすいませんでした」

 

 

白夜「でも他の占い師の結果も知りたいなって私は思います……」

 

 

晴「……僕も、そっち派かなぁ……」

 

 

理央「んー、どっちも正当な意見だよねぇ」

 

 

有悟「ならば、もう授業開始まで時間もないし、こんなのはどうだ?」

 

 

祥子「もうこんな時間…!」

 

 

 

教室の時計の針は、もうすぐ8時30分を指そうとしていた。

 

 

 

舞人「…で、こんなのって?」

 

 

有悟「…もう一人の占い師が既に誰かを占っていて、その人物の占い結果が黒だったなら、今この場で2人目の占い師に出て来てもらおうと思ったんだが、どうかな?」

 

 

柚季「いいんじゃないかな……?」

 

 

太一「オレは賛成だな~」

 

 

美咲「うちも賛成!まぁでも、それだったら既に出て来てると思うけどね…(笑)」

 

 

 

その後も、教室には賛成の声が相次いだ。

 

 

 

有悟「…等野さんの言うことも最もだが、これで決まりで良さそうだな!それじゃあ、そんな占い師がいたら名乗り出てくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、授業が始まるまで、僕らはもう一人の占い師のCOを待った。

 

 

でも、結局誰も名乗り出ることは無かった。

 

 

 

ガララッ

 

 

 

明「よーし、それじゃ、授業を始めるぞ!!」

 

 

生徒「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの時が流れ、午前の授業が終了し、教室の時計の針は12時30分を指していた。

 

 

昼休みの時間だ。僕らの入学後最初の、昼休みの時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんな昼休みは、ただでは終わらなかった。

 

 

みんなが授業を終え、教室から食堂へと向かおうとしていた時、一人の生徒が突然、みんなを呼び止めたのだ。

 

 

 

凉太「……なぁみんな、聞いてくれ!」

 

 

友輝「どーした?凉太」

 

 

 

相沢くんの呼び掛けに、クラスみんなが教室の外へ向かう足を止め、彼の方に注意を向けた。

 

 

そして、クラス全員の注目を浴びる中、彼はこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凉太「オレ、実は占い師なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮「……っまじか!!」

 

 

有悟「……なるほど、相沢君がもう一人の占い師なのか!」

 

 

秋子「なんかめっちゃ頼りになりそう!」

 

 

凉太「…おう、それである人物を占ったんだけど……」

 

 

??「……待て」

 

 

凉太「……?なんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凉太「……冷音」

 

 

冷音「……オレが、占い師だ」

 

 

経介「…えっ」

 

 

小春「……えっ、ちょっ……、どーゆーこと??」

 

 

穂乃香「お兄ちゃんも、占い師なの……?」

 

 

 

教室がざわつき始め、状況が整理できず、混乱に陥る生徒も何人かいた。

 

 

 

凉太「……お前それ、本気で言ってんのか……?」

 

 

冷音「……あ"?当たり前だろ。お前こそ、それ本気で言ってんのかよ」

 

 

経介(……マズイ……)

 

 

菜華「……占い師が3人か……、誰か一人は必ず嘘をついてるな」

 

 

経介(……僕にも、疑いがかかるぞ……)

 

 

茜「……多分、この3人の中に、影人形陣営の人がいるね」

 

 

恵「……とりあえず、2人が誰を占ったのか教えてよ」

 

 

冷音「……オレは昨日、穂乃香を占って白だった。だからさっきは名乗り出なかった」

 

 

恵「……なるほどね。それで、凉太くんの方は?」

 

 

凉太「……オレは朝の時間、高穂が占いの話をし出した時、ある人物が不安そうな表情をしていたのを見たんだ」

 

 

経介(……ある、人物……?)

 

 

凉太「オレは今朝まで特に怪しいと思う人物が見つからず、まだ誰も占ってなかったから、その人物を占おうと思ったんだけど、それに気付いた時は生憎のゲーム時間外だったから占えず、あの場で名乗り出ることができなかったんだ」

 

 

初「……確かに、あの時間に気付いても8時から12時の間はゲーム時間外だから占えねーよなー」

 

 

凉太「あぁ。そこでオレは午前の授業が終わって一段落つける昼休みに、その人物を占うことにしたんだ」

 

 

冷音「……あ"ーうぜぇ、勿体ぶってねぇでさっさと答えろよ!!」

 

 

泰斗「まぁまぁ、落ち着け、冷音。それで、結果はどうだったんだ?」

 

 

凉太「……案の定、黒だったよ」

 

 

泰斗「……まじか!」

 

 

真琴「やば。黒当てるとか凄くね?」

 

 

舞人「ってかホントに判定出んだな。なんか怖ぇ」

 

 

有悟「……それは、誰だったんだ?」

 

 

凉太「その人物とは……お前だよ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凉太「姫野!」

 

 

祥子「……!!」

 




まずはここまでのご精読ありがとうございました!3人の占い師が登場し、いよいよゲームが始まったぞ!って感じですね。果たして本当の占い師は誰と誰なんでしょうか?そして、経介たち生徒は島と学園の謎を解き明かすことはできるのか?それではまた、次話でお会いしましょう!

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