口が悪くて仲のいいアイドルたち。   作:しましか

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小早川と姫川。

 とある飲食店。

 

 

友紀「ねーねー」

 

紗枝「んー」

 

友紀「幸子ちゃんはー?」

 

紗枝「んー……。あ、遅れるみたいどす。今ライン来はった」

 

友紀「そっかー」

 

紗枝「先つまみとビールだけ頼んどいてもええですよ? ウチに絡まんなら」

 

友紀「やだよ。紗枝ちゃん本気で嫌がるじゃん。酔いが冷めるんだよ」

 

紗枝「当然どす。臭いしウザイし」

 

友紀「ちょっとは年上を敬ってよねー。幸子ちゃんなんてどんな酔い方しても何だかんだ付き合ってくれるのに」

 

紗枝「あの子は特別ええ子やから。ついでにウザ絡みの年上はこれ以上堪忍」

 

友紀「それ周子ちゃんの話?」

 

紗枝「真っ向から付き合うてたら禿げますホンマ」

 

友紀「紗枝ちゃんが禿げたら長所が1個消えるね(笑)」

 

紗枝「あ?」

 

友紀「どうしようなー。ビールはいらないけど、時間つぶしにおつまみだけ頼んどこかな」

 

紗枝「なあ、お酒って美味しいん?」

 

友紀「お酒じゃなくてビール」

 

紗枝「飲まんウチらには一緒どす」

 

友紀「パチンコとスロットぐらい違うよ」

 

紗枝「あーはいはい。じゃあビールっておいしいんですかー」

 

友紀「単品の話なら、まあ美味しくはないよね。球場で飲むビールは最高だけど。やっぱり雰囲気で飲むものかな」

 

紗枝「はあ」

 

友紀「そういう意味でも酔った後付き合ってくれる相手がいてこそなんだよ。いないならあたしはおとなしくお米食べてる」

 

紗枝「そういうもんどすか」

 

友紀「そういうもんどす。紗枝ちゃんも飲む?」

 

紗枝「犯罪沙汰はちょっと」

 

友紀「言うと思った。でも紗枝ちゃん強そうだなー」

 

紗枝「真相は神のみぞ知るところ。それかまた5年後な」

 

友紀「ちぇ」

 

紗枝「友紀はんは5年経っても気軽に会えそうでええわ〜」

 

友紀「お? それは仲のいいお友達宣言かな?」

 

紗枝「5年後も独り身やろなあ思て」

 

友紀「おっとこんなところに熱湯入りの湯のみが」

 

紗枝「おーこわいこわい」

 

友紀「――すいませーん。湯豆腐とまぐろのお刺身くださーい」 

 

紗枝「飲む気満々やん」

 

友紀「まぐろは紗枝ちゃんも食べるでしょ」

 

紗枝「貰うけど」

 

友紀「湯豆腐は最悪火消しときゃ後で付けてもらえるし」

 

紗枝「そういやこの前な、幸子はんに聞いたんよ」

 

友紀「うん」

 

紗枝「絶対やらなあかんなら世界秘湯探検とスカイダイビングどっちがええかて。なんて言うた思います?」

 

友紀「何でそんなこと聞いたんだか。んー。スカイダイビングじゃない? 慣れてそうだし」

 

紗枝「例えやらなくて良くっても用意されたことは全部やり遂げて見せますよ! なんたってボクはカワイイですから!!」

 

紗枝「て」

 

友紀「(笑)」

 

紗枝「あの子とおると飽きんけどカワイイって言葉の意味がたまに分からんくなります」

 

友紀「それ分かる」

 

紗枝「ウチと幸子はんやったらどっちが好き?」

 

友紀「幸子ちゃん」

 

紗枝「即答」

 

友紀「そりゃそうでしょ」

 

紗枝「じゃあ2人っきりとして、一緒におって楽しいのは?」

 

友紀「幸子ちゃん」

 

紗枝「即答」

 

友紀「相手が悪いよ」

 

紗枝「じゃあ気ぃ使わんで済むのは」

 

友紀「紗枝ちゃん」

 

紗枝「やんなぁ。短所が浮き彫り」

 

友紀「うん。カワイイしいい子だし一緒にいて楽しいけど」

 

紗枝・友紀「「めんどくさい」」

 

友紀「(笑)」

 

紗枝「めっちゃ笑うなぁ」

 

友紀「や、考えてる事は一緒なんだなあって思うとなんかね」

 

紗枝「せやなぁ。で、それも踏まえて好きなのは?」

 

友紀「幸子ちゃん」

 

紗枝「正解」

 

友紀「――あ、ありがとうございます、適当に並べといてください」

 

紗枝「…………」

 

友紀「あに」

 

紗枝「や、敬語使えるんやなって」

 

友紀「まぐろあげないよ」

 

紗枝「友紀はん大好き♡」

 

友紀「現金なヤツ。幸子ちゃんまだなの?」

 

紗枝「んー。まだ連絡来てへんとこ見ると長引いてんのかなあ」

 

友紀「ふーん。あ、ちょっと、直接わさびかけないでよ」

 

紗枝「何で。どうせ醤油に付けるんやし同じとちゃうん」

 

友紀「全然違うし。もう。付けたやつ食べていいからストップ」

 

紗枝「細か、うっざ」

 

友紀「紗枝ちゃんは知らないだろうけど、おつまみは結構高いんだから美味しく食べたいし」

 

紗枝「ふーん。うわっ、そんだけで4ケタ行きそう。っていうかビール頼んだら余裕で越えるわ……」

 

友紀「ね?」

 

紗枝「は〜。ウチの財布ならぶん殴ってるトコ」

 

友紀「ケチ。にしてもビール無いと湯豆腐あってもしょうがないか。火消しとこ」

 

紗枝「幸子はんが遅れるんは予想外やったしなぁ。今まで言い出しっぺの時は意地でも遅刻せんかったのに」

 

友紀「しょーがないけどね」

 

紗枝「あ、案外美味しい。Pはんの財布やしウチも何か頼もかな」

 

友紀「太るよ?」

 

紗枝「太らない体質なんです〜」

 

友紀「は?」

 

紗枝「うそうそ。そないな女おってたまるか」

 

友紀「紗枝ちゃんて運動音痴だよね」

 

紗枝「いきなり何よ」

 

友紀「いや、いつぞやのマッスルキャッスルのDVDが見つかったから見返してたんだけどさ」

 

紗枝「ああ……」

 

友紀「風船早割り対決と滑り台クイズ見る限り、杏ちゃんと同じレベルの運動量」

 

紗枝「やから何どすか」

 

友紀「いや? ただの嫌味」

 

紗枝「…………」

 

友紀「いっだ! 今脛蹴った!」

 

紗枝「自業自得」

 

友紀「そういうとこはまだまだ子どもなんだからもー」

 

紗枝「うっさいわ。――あ、ちょい待って。電話」

 

友紀「ん」

 

紗枝「うん、うん、あ、そうなん? んーん。ウチらおつまみ食べて時間つぶしてますさかい、ゆっくりで大丈夫どすー。はーい。ほなおきばりやすー」

 

友紀「幸子ちゃん?」

 

紗枝「ん。もうちょっとで終わるて。終わったらカワイさ振り切って超特急で向かうって」

 

友紀「何それ(笑)」

 

紗枝「さあ。なんやよーわからんけど、相変わらずカワイイ生き物やなあ」

 

友紀「ちなみに、あたしと幸子ちゃんならどっちが」

 

紗枝「幸子はん」

 

友紀「早いよ」

 

紗枝「どうせウチが聞いたこと聞いてくるんやろ」

 

友紀「そりゃそうだけど」

 

紗枝「……ああ。折角やしこの質問、幸子はんに投げてみよか」

 

友紀「お、Sだね〜♡」

 

紗枝「そもそも幸子はんのことやし、ウチらが対面してたらどっち座るか一瞬悩む思うんです」

 

友紀「だろうね。一瞬悩んでそっちかな」

 

紗枝「その心は?」

 

友紀「紗枝ちゃんよくうっざい泣き真似するし」

 

紗枝「お茶目やろ?」

 

友紀「アレであたふたするのなんて幸子ちゃんくらいだよ」

 

紗枝「それが見たて見たぁて……」

 

友紀「知ってる」

 

紗枝「――すいませーん、このふっくらぽてとお願いします〜」

 

友紀「あとビールも追加でー。あ、できればポテトと同時にお願いしますー」

 

紗枝「へー。そないなこと出来るん」

 

友紀「できるよー。勉強になったね?」

 

紗枝「よう言わんわ」

 

友紀「姫川友紀のー、使ったことない言葉大全集〜」

 

紗枝「ぱちぱち」

 

友紀「さぁ今週も始まりました姫川友紀の使った事ない言葉大全集! この番組は、世間一般には広まってるけど実際には使ったことのない言葉を紹介する番組となっております」

 

紗枝「そのまんま」

 

友紀「今回の言葉は〜……? これ! お花を摘んでまいります!」

 

紗枝「しかもいきなり下ネタ」

 

友紀「こんなこと言わないよね普通。20年生きてきてほんとに使う機会なんてなかったよ。紗枝ちゃんは?」

 

紗枝「まあ、つこたことはないなあ」

 

友紀「だよねー。はい今週はここまで! ではまた来週〜!」

 

紗枝「終わんのはっや」

 

友紀「さすがに飲食店で下はまずいかなって」

 

紗枝「一番奥の席ちゃうかったらぶん殴ってます」

 

友紀「良かったね気が利く女で!」

 

紗枝「アホくさ」

 

友紀「そういやこの前美嘉ちゃんを街で見かけたんだけどさ」

 

紗枝「どこの」

 

友紀「東京」

 

紗枝「広いわ」

 

友紀「なーんかきょろきょろしてるからさ、怪しいなーって思ってあとをつけたのね」

 

紗枝「声掛けたらええのに」

 

友紀「あの子も純粋組じゃん。粗野な扱いはできないよ」

 

紗枝「はー。結果だけ教えて」

 

友紀「露骨に興味ないの隠そ? なんのことはない映画館の中入ってってさ。どうせ暇だし……入口で出待ちしてたの」

 

紗枝「は? 2時間?」

 

友紀「うん」

 

紗枝「アホやん」

 

友紀「さすがに何にもなく突っ立ってんのも怪しまれると思ってベンチに腰掛けてはいたけどね。3往復してた掃除のおばちゃんと仲良くなっちゃった」

 

紗枝「……で?」

 

友紀「うん。キーホルダーをうっとりと眺めながら出てきて……女児向けアニメの映画だったってオチなんだけど」

 

紗枝「ふーん。笑いどころは?」

 

友紀「ないよ」

 

紗枝「声掛けたりは?」

 

友紀「してないよ」

 

紗枝「何やったんこの話……」

 

友紀「ただの時間つぶし。」

 

紗枝「――ん、おおきにー」

 

友紀「わーい。ありがとうございますー」

 

紗枝「莉嘉はんならともかく美嘉はんのそういう話あってもなー。元々ネタには困らんし」

 

友紀「そうなんだけどねー。女児向けアニメ見るんだなぁくらいにしか思わないか」

 

紗枝「ハズレってことやね」

 

友紀「ちぇ。ビールは来たけど、幸子ちゃんまだかなー」

 

紗枝「んー……。あ、もう近くまで来てるて。お迎え行こか」

 

友紀「さんせー」

 

紗枝「ちゃんと貴重品諸々持たなアカンよ」

 

友紀「はいはい分かってますよ紗枝先生」

 

紗枝「こんな教え子いらんわ」

 

友紀「うっさい。だーーー! 外さっむ!!!」

 

紗枝「冬の夜は流石冷えるわ……」

 

友紀「だねぇ……――あ、おーい! さーちこちゃーん!」

 

紗枝「うふふ、おばんどすー。待ってたんよー」

 

友紀「何で外にって、幸子ちゃんが来るのに出迎えない理由がある? ほらほら、早く入ろ!」

 

紗枝「なんやこの時期にしてはえろう汗だくやなぁ。走ってきはったん?」

 

友紀「うんうん、汗だくでもカワイイカワイイ。そんな謝らなくても、幸子ちゃん頑張ってくれたの分かってるからさ」

 

紗枝「せやなぁ、むしろ迎え来れんPはんにキレても誰も文句言わんよ」

 

友紀「でさー。汗拭きながらでいいから聞いて欲しいんだけどー」

 

紗枝「幸子はんは、ウチと」

 

友紀「あたしなら」

 

紗枝・友紀「「どっちの方が好き?」」

 

 

 

 

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