口が悪くて仲のいいアイドルたち。   作:しましか

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神谷と神崎。

 

 レッスン場

 

 

奈緒「あたしのアイデンティティーが奪われている気がする」

 

蘭子「?」

 

奈緒「何でもない。お疲れ様、蘭子」

 

蘭子「うむ、闇に飲まれよっ」

 

奈緒「そのキャラ辛くない?」

 

蘭子「まあ」

 

奈緒「だよな」

 

蘭子「でも、ゴスロリ衣装もこの髪型も好きですし」

 

奈緒「見た目はいいんだよ見た目は。凝ってるしあたしも好きだから」

 

蘭子「わ、わたしも奈緒ちゃんスキ……」

 

奈緒「何故カタコト」

 

蘭子「言い慣れてなくって」

 

奈緒「愛してるぜ、蘭子」

 

蘭子「はう……(笑)」

 

奈緒「口角が上がってる」

 

蘭子「草生えました」

 

奈緒「ネットスラング使うな馬鹿」

 

蘭子「馬鹿」

 

奈緒「にしてもジャージはともかくTシャツにその髪は恐ろしくアンバランスだよな」

 

蘭子「可愛いのに」

 

奈緒「似合わねえ」

 

蘭子「は?」

 

奈緒「あ?」

 

蘭子「できるだけ外では解きたくないので」

 

奈緒「ふーん」

 

蘭子「ポリシーです」

 

奈緒「あたしはもっと長いドリルの方が好きかな」

 

蘭子「ドリルって」

 

奈緒「ドリルだろ」

 

蘭子「まあ」

 

奈緒「顔を埋めたくなるみたいな」

 

蘭子「……」

 

奈緒「人の頭を見るな」

 

蘭子「そう言われても」

 

奈緒「女の髪は命の次に大切なんだぞ」

 

蘭子「みんながみんなそういう訳でもないですよ」

 

奈緒「例えば?」

 

蘭子「文香さんとか」

 

奈緒「あー……」

 

蘭子「あの人休日前は髪の毛乾かさず寝るんです」

 

奈緒「何で知ってんの」

 

蘭子「たまに泊まりに行くので」

 

奈緒「仲良しじゃねーか」

 

蘭子「仲良くないとは一言も」

 

奈緒「ふーん」

 

蘭子「寝癖立たないらしいんです」

 

奈緒「キレそう」

 

蘭子「(笑)」

 

奈緒「は?」

 

蘭子「あ?」

 

奈緒「夏はマジで髪の毛ばっさり行きたくなる」

 

蘭子「ボサボサになるし?」

 

奈緒「も、あるけど。何より暑い」

 

蘭子「わたしも夏は苦手かなぁ」

 

奈緒「日傘射してるしな」

 

蘭子「服」

 

奈緒「アレはないわ」

 

蘭子「夏服もあるよ?」

 

奈緒「ノースリーブ」

 

蘭子「半袖」

 

奈緒「普通か」

 

蘭子「駄目なの」

 

奈緒「駄目。面白いカッコしてくれ」

 

蘭子「パワハラですよ」

 

奈緒「胸触ってセクハラにする」

 

蘭子「罪は重複しますよ」

 

奈緒「同性ならほら」

 

蘭子「ほらと言われても」

 

奈緒「しっかし厨二病かあ、懐かしいなあ」

 

蘭子「奈緒ちゃんも?」

 

奈緒「そりゃあるって。ただ、基本的に見てるアニメに影響されやすい」

 

蘭子「掘り下げたら苦しむやつですか」

 

奈緒「死ぬ」

 

蘭子「聞かせて♡」

 

奈緒「あたしを殺す気か」

 

蘭子「ふふふ、我が手ずから冥府に誘ってしんぜよう……」

 

奈緒「なるほど、いざとなったら心中してくれると」

 

蘭子「違う!!」

 

奈緒「……あたしのは、普通じゃ聞こえないものが聞こえる系のアレだった」

 

蘭子「小梅ちゃん?」

 

奈緒「アレはガチのヤツだろ。あたしに霊感なんて1ミリもねえよ。……ただ、無機物にも魂が宿ってるから丁寧に扱えだの、その辺の草も生きてるんだから踏み散らかすなだの」

 

蘭子「うわ……。でもまあ、それくらいなら?」

 

奈緒「それくらいなら実際言ってる人もいるしセーフだよな。問題はこっから。あたしはそんな無機物や動植物と話せるって設定だった」

 

蘭子「うっわ(笑)」

 

奈緒「だから友達と普通に過ごしてる時も、おもむろに虚空に向けて話しかけてみたりうぐぉぉぉおおお」

 

蘭子「奈緒ちゃんが死んだ!」

 

奈緒「この人でなし!」

 

蘭子「で?」

 

奈緒「小学生の頃だったし割と徹底してたから運良く友達が無くなるとかはなかったんだけどさ。今思うと寒い目で見られてたんだろうな……」

 

蘭子「いたたたたたたた」

 

奈緒「お前程じゃない」

 

蘭子「は?」

 

奈緒「あ?」

 

蘭子「わたしのは作ってますし」

 

奈緒「Pと最初に会った時のは?」

 

蘭子「……」

 

奈緒「人のこと言えねーじゃねーか」

 

蘭子「でもわたしはまだマシな方だと思うんですよ」

 

奈緒「というと」

 

蘭子「幸子ちゃんと飛鳥ちゃん」

 

奈緒「いてててててててて」

 

蘭子「ね?」

 

奈緒「笑えないヤツらの名前を出すな」

 

蘭子「カワイイボク(笑)」

 

奈緒「あそこまで貫いてると逆に清々するよ」

 

蘭子「お家で誰かと2人っきりとかでもあの態度崩さないらしいですよ」

 

奈緒「素だからな」

 

蘭子「たしかに可愛いから多少は良いんですけど」

 

奈緒「数年後が楽しみだ」

 

蘭子「で、問題は」

 

奈緒「存在証明」

 

蘭子「アレは、素ですよ」

 

奈緒「きっつ」

 

蘭子「厨二病のやばい方と覚えてあげてください」

 

奈緒「サラッと自分の立場を変えるな」

 

蘭子「ちっ」

 

奈緒「今舌打ちした?」

 

蘭子「最近太ってきたかも」

 

奈緒「今舌打ちした?」

 

蘭子「飛鳥ちゃんのソロ曲の語りの部分あるじゃないですか」

 

奈緒「ああ」

 

蘭子「最初でなんて言ってるか分かりました?」

 

奈緒「分からん」

 

蘭子「君もそう思うだろ?」

 

奈緒「うるせえキスさせろ」

 

蘭子「?」

 

奈緒「いや」

 

蘭子「私は古き良き厨二病。飛鳥ちゃんのは最近の病気」

 

奈緒「どっちも病気だろ」

 

蘭子「お互い様なので」

 

奈緒「うるせ」

 

蘭子「ここーだけーのはーなし、そうよ?」

 

奈緒「ゆめのよーうなきもちをー」

 

蘭子「殴られるかと」

 

奈緒「いい歌だろ?」

 

蘭子「作詞さんに罪はないので」

 

奈緒「どういう意味だ貴様」

 

蘭子「貴様だなんて汚い言葉使わない方が身のためですよ?」

 

奈緒「マジレス」

 

蘭子「どこで誰が見てるか分かりませんから」

 

奈緒「煙草吸ってるわけじゃあるまいし」

 

蘭子「そういえば学校で同級生が煙草吸ってるとこ見たことあるんですよ」

 

奈緒「やんちゃだねえ」

 

蘭子「ああいう時ってどうすればいいんでしょうか」

 

奈緒「何真面目な話?」

 

蘭子「半分くらいは」

 

奈緒「パンツでも見せてやれば」

 

蘭子「真面目な話って言ってんだろ」

 

奈緒「んなこと言われても見たことないもんよ」

 

蘭子「つっかえ」

 

奈緒「スラングを使うな」

 

蘭子「比奈さんにもよく言われます」

 

奈緒「向こうはあたし以上にその辺厳しいと思うぞ」

 

蘭子「好き嫌い分かれますもんね」

 

奈緒「あたしは嫌いだ」

 

蘭子「草」

 

奈緒「殺すぞ」

 

蘭子「ファンの人が今の奈緒ちゃん見たら卒倒しそうです」

 

奈緒「お前が言うな」

 

蘭子「奈緒ちゃんいっつもリア充と絡んでますもんね」

 

奈緒「リア充って」

 

蘭子「ほら、凛さんと加蓮さん」

 

奈緒「正直入るユニットを間違えたと思ってる」

 

蘭子「痛さ爆発ダークイルミネイトへようこそ」

 

奈緒「お前飛鳥と接してる時いっつもそんな冷たいこと考えてんの?」

 

蘭子「まさか。大好きですよ」

 

奈緒「ふーん」

 

蘭子「特に痛いセリフにそれ以上の台詞が帰ってするのが、こう、胸の奥むずむずってなる感覚してたまらなくて」

 

奈緒「仲良さそうで何より」

 

蘭子「TPは?」

 

奈緒「トライアドは……今でこそ慣れたけど、昔は時折アイツらのリア充オーラに充てられて死にたくなってた」

 

蘭子「というと」

 

奈緒「だってアイツら、当たり前みたいな顔してスタバ行くんだぜ? カラオケでアニソン歌わないんだぜ? 人混みで大声出せるんだぜ?」

 

蘭子「むぅ〜〜りぃ〜〜〜」

 

奈緒「そういや凛はたまに思い出したかのように乃々のとこに行くな」

 

蘭子「多分あの子の行動が面白いんだと思います」

 

奈緒「カースト上位が下位にやたらと話しかけに行くあの心情か」

 

蘭子「分かる自分が嫌です」

 

奈緒「悪意のない方のな」

 

蘭子「悪意あっても嫌です」

 

奈緒「ギスギスしてない仲のいい事務所が売り文句だし」

 

蘭子「は?」

 

奈緒「あ?」

 

蘭子「は?」

 

奈緒「すまん」

 

蘭子「響子さんが怖いです」

 

奈緒「あたしはまゆ」

 

蘭子「あの2人に並ばれるとえもいえぬ恐怖を感じるので……」

 

奈緒「分かる」

 

蘭子「ああいうのをカースト上位って言うんですね」

 

奈緒「それは微妙な気もするけど……間違ってはないか」

 

蘭子「他には?」

 

奈緒「怖くはないけどすごいと思うのは茄子さんとか心さんとか……」

 

蘭子「その並びなら十時愛梨さんをぜひ」

 

奈緒「強メンタル……」

 

蘭子「この前智絵里ちゃんと藍子ちゃんが一緒にいるとこ見ました」

 

奈緒「うっわ」

 

蘭子「レッスン場への渡り廊下だったので1回外出直しました……」

 

奈緒「そうなる」

 

蘭子「無理」

 

奈緒「テレビではあんななのに」

 

蘭子「並んだからですよ……」

 

奈緒「混ぜるな危険」

 

蘭子「危険物ですか」

 

奈緒「似たようなもんだろ」

 

蘭子「まあでも単体で一番やばいのは」

 

奈緒・蘭子「宮本フレデリカ」

 

奈緒「だよなあ」

 

蘭子「ですよねえ」

 

奈緒「あたしも強い精神が欲しい」

 

蘭子「同感です」

 

奈緒「この前紗南から話聞いたんだけどさ」

 

蘭子「はい」

 

奈緒「ゲーム売り場に城ヶ崎姉妹がいたって」

 

蘭子「へー」

 

奈緒「しかもギャルゲーコーナーだって」

 

蘭子「なんと」

 

奈緒「やった事ある?」

 

蘭子「わたしRPG専なので」

 

奈緒「ただの食わず嫌いだろ」

 

蘭子「てへ」

 

奈緒「あの2人がゲームかあ」

 

蘭子「イメージないですよね」

 

奈緒「まー、実は姉の方はあたしとニチアサ実況してたりするから分からなくもないんだけどさ」

 

蘭子「近づかないでください」

 

奈緒「うるせえ。1回でいいからED見やがれ」

 

蘭子「勘弁してください」

 

奈緒「問題は妹だよなー」

 

蘭子「莉嘉ちゃんはお姉ちゃん至上主義なところがあるので、お姉ちゃんがハマってるものとりあえず全部やっちゃう傾向が」

 

奈緒「全部?」

 

蘭子「はい。その昔髪の毛もピンクにしてみたことがあるそうですよ」

 

奈緒「見分けつかねえだろ」

 

蘭子「そういう事ではない」

 

奈緒「似合わなかったのかな」

 

蘭子「そうじゃないですか?」

 

奈緒「黒髪だった2人を見てみたい気もする」

 

蘭子「あー。そうだ、差し入れ届いてますよ」

 

奈緒「誰から?」

 

蘭子「ドーナツ」

 

奈緒「名前を言えよ」

 

蘭子「疲れた時には甘いものですよねえ。はいどうぞ」

 

奈緒「さんきゅ。ここで食っていいのか悩むとこだけど」

 

蘭子「あ、落としたら汗と油で床に染み込みますよ」

 

奈緒「分かってるよ汚ねえな」

 

蘭子「口悪いです」

 

奈緒「だーらお前が言うな」

 

蘭子「あ、奈緒ちゃんこのあと時間あります?」

 

奈緒「んあ、あるけど」

 

蘭子「この前イヤホン壊れちゃって。買いに行きたいと思ってたんですよね」

 

奈緒「付き添いね。はいはい」

 

蘭子「ありがとうございます」

 

奈緒「パソコン1台な」

 

蘭子「は?」

 

奈緒「あ?」

 

蘭子「――――その声は……我が友よ、闇に飲まれよ!」

 

奈緒「――――よ、お疲れPさん。見回りか?」

 

蘭子「ふっふっふ、我らに対してそのような心配は無用……此度の共演、つつがなくこなして見せようぞ」

 

奈緒「そういう事。何も初対面って訳じゃないし、仲良くやってるよ」

 

蘭子「うむ、我が友も……ひゃうっ」

 

奈緒「こ、こら! 頭撫でんなよ!」

 

蘭子「視線のある場でこのような……! は、恥ずかしいです……」

 

奈緒「だー! 分かった分かった! いい子でいいからさっさと離せ! はーなーれーろーー!!」

 

蘭子「うう……」

 

奈緒「お、女の髪は命の次に大事なんだぞ、気安く触んなよ」

 

蘭子「う、うむ……。あ、もう次のお仕事ですか?」

 

奈緒「早いな……その、もう少しいてくれても別に……。な、なんでもねーよ! さっさと行け!!」

 

蘭子「多忙も瞳を持つ故の悦ばしき苦悩か……。ふふ、次まみえる時は更なる成長をお見せするとしよう。くく、なーはっはっはっ!!」

 

奈緒「………………」

 

蘭子「………………」

 

奈緒「何も言うなよ」

 

蘭子「そっちこそ。イヤホン買いにいきましょう」

 

奈緒「ん。ごっそさん」

 

蘭子(……相変わらずこの人)

 

奈緒(……相変わらずコイツ)

 

蘭子・奈緒(変わり身早いなあ)

 

 

 

 

 

 

 

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