櫻井家・桃華寝室
みりあ「……いいよね? 桃華ちゃん」
桃華「だめ、だめですわ……。そんなところ、触らないで……」
みりあ「だめだなんて……自室に連れてきておいて、そんないじらしい言葉は誘いにしかならないんだから」
桃華「わたくし、そんな、そんなつもりは……あっ♡」
みりあ「可愛い声……大体、桃華ちゃんが悪いんだよ……」
桃華「え……?」
みりあ「みりあね、気が気じゃないんだよ? 他のみんながみぃんな、桃華ちゃんに言いよって来て……。一番付き合いが長いのは、みりあなのに……」
桃華「みりあさん……ふ、あ……♡」
みりあ「だから……ふふ、桃華ちゃんも随分やる気みたい。嬉しい。しっかり私を、刻み付けてあげる……♡」
みりあ「……そうして二人は一夜を共にした。お互いがお互いの匂いをつけて学校へむかう、その危険を理解しながら……」
みりあ「…………」
みりあ「なにコレ」
桃華「今度わたくしたちが主演するドラマのワンシーンです」
みりあ「濡れ場だよね」
桃華「濡れ場ですわね」
みりあ「放送時間帯は?」
桃華「ゴールデンタイムだそうで」
みりあ「濡れ場だよね」
桃華「濡れ場ですわね」
みりあ「私たち小学生だよね」
桃華「小学生ですわね」
みりあ「PTAに放送停止させられちゃわない?」
桃華「その辺りはわたくしの親がこう……ちょちょっと」
みりあ「ちょちょっと」
桃華「圧を」
みりあ「お金持ちってすごい」
桃華「なんといってもわたくしの主演ドラマですもの」
みりあ「……スリルよりワイルドに、ワイルドよりデンジャラス。少女たちの本気の想いが交差する、限界ギリギリのチャイルド・ガールズ・ラブ・ストーリー……なにコレ」
桃華「ドラマ放映用の煽り文句ですわね」
みりあ「ゴールデンタイムだよね?」
桃華「ゴールデンタイムですわね」
みりあ「やっぱりPTAに」
桃華「まあまあ落ち着いてくださいまし」
みりあ「落ち着いてはいるけど」
桃華「実は別視点からの煽りもありますのよ? ほら、もう少し読んでみて」
みりあ「……。実話を元に創られた幼い少女たちの物語。好奇心を超えた許されざる7つの恋心は、衝撃の結末を迎える……」
みりあ「なにコレ」
桃華「宣伝その2です。簡単に説明しますと、生粋のお嬢様であるわたくしがみりあさんを含めた7人の女の子に言い寄られてしまう話ですわね!」
みりあ「私も主演だし知ってるけど……うーん」
桃華「限界ギリギリでしょう?」
みりあ「限界ギリギリだね、いろんな意味で」
桃華「わたくしの役は箱入り育ちの優柔不断な主人公ですの」
みりあ「ちなみにこの、実話を元に創られたって言うのは?」
桃華「ああ、それは……」
梨沙「アタシたちの名前がそのまま使われてるって点だけよ」
みりあ「あ、おかえりー」
桃華「おかえりなさい、梨沙さん。お湯加減は如何でしたか?」
梨沙「ま、上等」
みりあ「一緒に入れば良かったのにー」
梨沙「パパ以外に肌を見せたくないだけよ。妊娠しちゃうでしょ」
桃華「はいはい」
みりあ「ぷっ」
梨沙「冗談よ」
みりあ「全然冗談に聞こえない(笑)」
桃華「ちなみに梨沙さんの役はわたくしのひとつ上、最高学年で学校最大人気を誇る王子様的存在ですわ」
梨沙「ちょっといけ好かない性格してるわよね」
みりあ「絶対主人公に選ばれないやつだ」
桃華「選ばれないやつですわね」
梨沙「アタシがなりたくてなってんじゃないわよ」
みりあ「しても小学校で王子様的存在って、少女漫画の読みすぎだよね」
梨沙「それに言い寄られるってシチュエーションも中々どうして痛いわよね」
桃華「監督さんに言ってくださいまし」
梨沙「原作と脚本は絶対ロリコンだと思うわ」
みりあ「どっちも女の人だよ?」
梨沙「女にもロリコンはいんのよ」
みりあ「ふーん」
梨沙「にしても普通こういう役目は晴の仕事じゃないかしら」
桃華「あら、案外お似合いでしてよ」
梨沙「うるさい」
みりあ「梨沙ちゃんとの濡れ場もあるんだよね確か」
梨沙「節操なし」
みりあ「ケダモノ」
桃華「わたくしに言わないでくださる???」
梨沙「は……っ、こうして今日家に泊めてくれてるのもまさか」
桃華「収録が長引いたからでしょう」
梨沙「みりあの役は何だっけ」
みりあ「うーんとね、桃華ちゃんが急にモテモテになって焦る幼なじみの女の子」
桃華「ありがちですわね」
梨沙「ありがちね」
みりあ「私に言われても」
梨沙「いつから一緒にいたのよ」
桃華「3歳ですわね」
みりあ「私お嬢様じゃないんだよ」
梨沙「めちゃくちゃな設定だこと」
みりあ「桃華ちゃんのお部屋って広いよねー」
梨沙「それを言うなら家ね」
桃華「その話は複雑な気持ちになるのでやめて頂けると」
みりあ「金髪」
梨沙「金髪」
桃華「だからなんですの!」
梨沙「それって地毛?」
桃華「え?」
梨沙「ギャルのは染めてるとしか思えないけど、その年で……ねえ」
桃華「……誰にも言わないと誓えます?」
梨沙「重そう」
桃華「実は……わたくしも元々お二人のように真っ黒だったのです。……真っ黒だった、らしいのです」
みりあ「らしいって。あー」
桃華「はい。その、物心つくかつかないか……といった時期に、黒髪では櫻井の威厳を保てないとのことで、じいやが」
梨沙「あら」
桃華「どうも毛穴? からしっかりと矯正されてしまったようで、その時を境に生えてくる毛が黒から金髪に……」
梨沙「本人の許可もなく……酷い話じゃない」
桃華「はい……今作った話ですけど」
梨沙「は?」
みりあ「それ嘘だよ?」
梨沙「は?」
みりあ「ここまで来る時に別の部屋にちっちゃ〜い桃華ちゃんの写真あったけど、金髪だったもん!」
桃華「お父様の自室ですわね、全く……」
梨沙「嘘つかれた」
桃華「うふふ♡」
梨沙「ドロボーよドロボー」
桃華「それは大変。こんな可憐な盗人なら何だって差し上げたくなってしまいますわね」
みりあ「幸子ちゃんみたい」
梨沙「自意識過剰のこと幸子って言うのやめてあげなさい。間違ってはないけど」
桃華「逆では?」
梨沙「つまり……アタシたち! 快盗天使!」
みりあ「ツインエンジェル!」
梨沙「なにそれ?」
みりあ「わかんない」
桃華「早苗さん辺りが口に出してたような気がしますわね」
みりあ「昔のアニメかなあ」
梨沙「その辺じゃない?」
桃華「なんとなく違う気がしますが……」
梨沙「何よりアタシの発想がもう存在したってのが許せないわ」
みりあ「沸点ひくーい」
桃華「ですわね」
梨沙「うっさいわね。そういやアンタたちって一緒に泊まったことあるんだっけ」
桃華「少し昔に」
みりあ「懐かしいねー」
梨沙「その瞬間はカメラで撮られてたの?」
桃華「いいえ」
梨沙「かーーーもったいないわねー! 視聴率うなぎ登りなのに!!」
桃華「はあ」
梨沙「櫻井桃華と赤城みりあのパジャマ姿! 戯れる姿! ロリコン大歓喜の映像がそこに!」
桃華「はあ」
梨沙「今からでも遅くないからとりましょう! カメラは!?」
みりあ「枕投げしよ枕投げ!」
梨沙「露骨に無視する精神には感服するわ」
桃華「わたくしの自室なので枕はひとつしか」
みりあ「みりあ枕持ってきたよ!」
桃華「長枕なのですが」
みりあ「いいハンデ!」
桃華「ふふ、上等ですわ」
梨沙「しょうがないわねー。アタシも参加してあげるわよ」
みりあ「嫌ならいいよ」
桃華「嫌ならいいですわよ」
梨沙「やる!!!」
みりあ「やめとこっか」
桃華「そうですわね」
梨沙「何でよ!!」
みりあ「あ。待って、莉嘉ちゃんから電話ー」
桃華「どうぞ」
みりあ「もしもしー。うんお疲れさまー。あ、今? 今私お外で――――」
梨沙「部屋出てっちゃったわね。長くなりそうかしら」
桃華「いいですわねー、年上のお友達」
梨沙「いっこだけでしょ?」
桃華「ひとつといえど中学生なら立派な先輩ですわ」
梨沙「そんなもんかしら」
桃華「そんなもんですわ」
梨沙「この家ゲームとかないの?」
桃華「VRカノジョなら」
梨沙「は?」
桃華「VRカノジョ」
梨沙「は?」
桃華「VRカノジョ」
梨沙「名前は分かったけど内容を分かりたくない」
桃華「やった事ないですか? PCVRユーザーなら誰もが持っていると聞いたのですけど……」
梨沙「PCの前に男性のって入ってる気がするわ。誰に教えてもらったの? 城ヶ崎美嘉?」
桃華「少し前に唯さんから」
梨沙「えっ、ドン引き……」
桃華「急にパソコンとVRを買えと言われて買いまして、そうしたら流れる様に届けられました」
梨沙「明日からどんな顔してあの人に会えばいいのよアタシ」
桃華「普通でいいのでは? 内容が割と……」
梨沙「あーあーあーいい。もういい、アタシが悪かったから」
桃華「性行為のシーンを除けば割と面白かったのですけど……そう言うのなら」
梨沙「性行為とか言うな未成年」
桃華「他ですと64とか」
梨沙「古い」
桃華「ですがコントローラーがひとつしかなくて」
梨沙「ええ……」
桃華「杏さんや紗南さんのようなものが欲しいと言ったらじいやが」
梨沙「おじいさんのセンス」
桃華「カセットもマリオパーティ2がひとつだけで」
梨沙「しかもパーティもの。新手の嫌がらせとしか思えない」
桃華「それくらいですわね」
梨沙「また今度何かもってきてあげるわよ」
桃華「本当ですの!?」
梨沙「さすがに可哀想になったから」
桃華「???」
みりあ「ただいまー」
梨沙「おかえりなさい」
みりあ「うんー、ねー桃華ちゃん。莉嘉ちゃんが泊まりたいって」
桃華「あら、わたくしは構いませんけれど」
梨沙「いんじゃない? あ、なんかゲーム持ってきてもらってよ」
みりあ「ん。なんかね、要約するとお姉ちゃんキモいから嫌になったって」
梨沙「何したのよあの姉……」
みりあ「キモいのはいつもの事なのに」
桃華「ですわね」
梨沙「何したのよあの姉マジで」
みりあ「部屋にいたらお姉ちゃんの部屋から奇声が聞こえてくる……」
みりあ「って」
梨沙「こわっ」
桃華「さすがにこんな時間に1人で出歩かせられませんし、迎えを寄越しますわね」
みりあ「わー便利ー♡」
梨沙「そーだそーだ、ねえ桃華」
桃華「はい」
梨沙「美波さんに聞いたんだけど、愛梨さんと文香さんに何か教えてたげてるんだって?」
みりあ「へー」
梨沙「年上も年上じゃない」
桃華「ええ。あのお二方、人生をかなり損していると思いません?」
梨沙「というと」
桃華「あれだけの顔と身体を持っていながら、アイドルをやっていなければただの女子大生……もっとうまく生きれるはずですわ! と」
みりあ「桃華ちゃん小学生だよね」
桃華「殿方の喜ばし方は心得ているつもりですわ。少なくとも彼女たちよりは」
みりあ「あ、でも愛梨ちゃんは教授におねだりしたら評価Aになるとかなんとか」
桃華「えっ」
梨沙「余計なお世話だったんじゃないの?」
桃華「向こうから言ってきた事ですし……」
梨沙「ふーん。でもいるだけで童貞殺しみたいな二人なのに変な知識与えちゃったら余計大変な事に」
桃華「現にただでさえ多かった仕事も更に上昇、バラエティ路線もそこそこ活躍中、ですわ」
みりあ「でも文香ちゃんお家でTシャツ1枚で過ごしてるんだよ」
桃華「知ってます。そちらもなんとかして欲しいところではありますが……」
みりあ「――――もしもーし。みりあだよー! 文香ちゃん今何してるー? うん、うん、あはは、だよねー! ばいばーい!」
みりあ「Tシャツ1枚で布団にくるまって本読んでたって」
梨沙「謎の行動力」
みりあ「文香ちゃんびっくりしてた!」
梨沙「そりゃそうでしょ」
桃華「ズボンも履かないのは女子力の欠片も無いというか」
梨沙「あの人と掛け離れた単語ではあるわよね」
桃華「っていうか女子力ってなんですの」
みりあ「なんですの」
梨沙「知らないわよ」
みりあ「一番それに近そうな梨沙ちゃん教えて!」
桃華「ですわ」
梨沙「同意が多いわよアンタさっきから」
桃華「ばんなそがな」
みりあ「あ、それこの前映画で見たやつ!」
梨沙「案外世俗に塗れてるのね」
桃華「わたくしだって映画くらい見ますわ!」
梨沙「そらあんなゲームやってるくらいだし」
みりあ「あんなゲーム? どんなゲーム?」
桃華「ぶいいった鼻叩かれましたわ早苗さん!!!!」
みりあ「なんで早苗さん」
梨沙「スマホゲームよスマホゲーム。大したものじゃないわ。あとここに早苗さんは……ん?」
梨沙「――――はいもしもし……え! 早苗さん!?」
みりあ「ええ……」
桃華「ほら」
梨沙「……。怒られたんだけど、あの人何者なの」
桃華「正義の元婦警アイドルですわ」
梨沙「理由あってアイドル」
桃華「最高ですわね」
みりあ「あっちに私たちより年下っているのかな?」
桃華「765さんにいるのは知ってますけれど……」
梨沙「間違ってもむこうにアタシのファンが取られることは無いだろうからマークしてないわ」
桃華「あら、315さんも侮れませんわよ? 元々男性で都合女装してアイドルやっていた人が男として改めてアイドルやってる会社ですし」
梨沙「謎ね」
みりあ「謎だね」
梨沙「そういや男装アイドルっていないわよね」
みりあ「男装する必要ないくらいかっこいい人はちらほら見るけどー」
梨沙「その人の為に名前は伏せてあげてちょうだい……」
みりあ「悪口じゃないのに」
桃華「あら、もうこんな時間……。お二人、紅茶は飲まれますか?」
梨沙「飲めるけどあんまり……」
みりあ「飲んだことなーい」
桃華「では砂糖入りでみっつ、お願いしますわ」
梨沙「誰に言って……うわっ!」
みりあ「すっごーい! 一瞬で持ってきたよ!!」
桃華「ふふ、うちの執事は有能ですので」
梨沙「有能とかそういうレベルじゃない気もする」
桃華「如何?」
みりあ「……。うん! まずい!」
梨沙「まずい」
桃華「お子様ですわねぇ……。折角二人のための高級茶葉ですのに」
みりあ「高級の紅茶なんて子どもがのむものじゃないよ〜。……もっと砂糖入れよ」
桃華「ああもう、それでは風味も何も」
梨沙「どうせここの砂糖も高級品でしょ。へーきへーき」
桃華「そうしておデブへ」
みりあ・梨沙「それ以上言ったら怒る」
桃華「全く。素直にジュースにしておけば良かったですわ……あら」
みりあ「ん」
梨沙「?」
桃華「莉嘉さんが到着されたみたいです。出迎えに行きましょう」
みりあ「はーい!」
梨沙「しょうがないわねぇ。付き合ってあげるわよ」
みりあ「嫌なら大丈夫だよ」
桃華「嫌なら大丈夫ですわよ」
梨沙「行く! 行くから!!」
みりあ「素直になればいーのに」
桃華「ああいうキャラですもの」
みりあ「キャラも大変だねー」
梨沙「キャラとか言うなこのロリ共ーー!!!」