「「「………………」」」
「超特盛炒飯一丁!」
「やったー♪」
現在、星空と魔女の結界にいた3人の少女は『万々歳』に来ていた。目的としては話し合いをするため。
しかし、星空は店に入るやいなや店員の少女『由比鶴乃』に超特盛炒飯(星空用のメニュー)を頼んだ。
3人は自分の耳を疑ったがどうやら気のせいではなかったらしく、目の前に約5、6人前程は余裕であるであろう炒飯が置かれた。
流石にこの状況に言葉が一言も発せられず、ただただその現状に驚くしかない。
「いっただっきまーす♪」
「召し上がれー!」
そんな3人を他所に星空はレンゲを持ち、超特盛炒飯を食べ始めた。5、6人前もあった炒飯はありえない速さで減り続けた。
その状況に3人はさらに驚き、鶴乃とその父は笑っていた。
「ん〜♪美味しい〜♪」
「本当にいい食べっぷりだね、星空ちゃんは。」
「あれ?でも星空ちゃんは今日ジャンボパフェを食べてたんじゃなかったっけ?」
「そうだけど…なんで知ってるの?」
「星空ちゃんが来る前に来たお客さんが「遥花星空がジャンボパフェを見事完食したツイートが上がってきた」って話してたよ。」
「わぉ…。」
星空は自分が何か食べる度にその事が知られるのだろうかと考えていたが3人から言わせてみればジャンボパフェとやらを食べて、更に超特盛炒飯を食べていることに驚きが隠せなくなっていた。
一体、彼女の胃袋はどうなっているんだろうかと疑問を感じずには居られなかった。
「そう言えば君達は名前はなんて言うの?ボクは…もう名乗ったから良いよね。」
「あ…ああ、そうだったね。」
目の前のインパクトに3人は呆気にとられていて自己紹介をするのを忘れていた。
最初に我に返った黄色の髪の少女は自己紹介を始めた。
「私は
「え、えぇっ……。」
「よ、よろしくね……。」
「?どうしてそんな困った反応なの?」
「星空ちゃん。少しは自覚しよう?」
「?」
葉月以外の2人の反応に星空は首を傾げるが、その理由を察した鶴乃は苦笑い気味に星空に言った。その後鶴乃は店の手伝いをし始め、星空は目の前にある超特盛炒飯をたいらげていった。その光景を3人はただ呆然と見るしかなかった。
「さてと…何を聞きたいんだっけ?」
「あ、あぁそうだね。えっとじゃあ君の“あの力”なんだけど」
「あぁ、アレね。」
食べる途中で星空は葉月の方に視線を向けて何を聞きたいのかを聞いた。その質問に葉月は先程の魔女の結界内で見せた星空の“コピー能力”について聞いた。
当然だ、いきなり自分と同じ姿になれば困惑せざるを得ない。
「あれは“コピー能力”って言って私の固有魔法だよ。」
「コピー…能力?」
「そう、直接魔法を見るか頭に触れるかでその人と同じ魔法が使えるの。」
星空は自身の固有魔法を一から全て葉月達に教えた。
それを聞いて葉月達は驚きでしか無かった。同時に疑問が浮かぶ。
一体どんな願い事をしたらそんな魔法を手に入るのかと。
魔法少女になる為には“キュウべえ”と呼ばれる生き物と契約する事で魔法少女になる事ができる。その際、1つ願い事を叶えられる事ができる。そして、その願い事によって固有魔法が手に入る。
例えば、「誰かの傷を治したい」という願い事ならば治癒魔法が手に入るっと言った具合にだ。
それは、どの魔法少女にも当てはまるものだ。
「ねぇ、星空ちゃん?」
「ん?」
「星空ちゃんはいったいどんな願い事をしてその魔法を手に入れたの?」
葉月は気になったのか星空にどんな願い事をして手に入れたのかと聞いた。
もしかしたら、私達よりも凄い願い事をしたのではないかと思った葉月だがかえってきたのは以外な言葉だった。
「…………覚えてない。」
「……え?」
「何も覚えてない……。」
覚えていない。その一言だった。
あまりにも予想外すぎる答えだったもので葉月達は固まった。
近くで聞いていた鶴乃は少し悲しい顔になって
聞いていた。
「何も覚えてなくて、気付いた時には知らない場所にいて、よく…分からなくて、その時に鶴乃ちゃん達とあって。その後一緒に魔女退治に出掛けたりした…かな。」
「「「……」」」
星空は当時の事を思い出して話し出した。
聞いていた葉月達はなんとも言えないと言った感じで聞くしか無かった。
所謂、記憶喪失。
しかし、星空はまるで気にしていないかのように超特盛炒飯を食べ続けた。
「なんか…ごめんね。辛いこと思い出させちゃったみたいで。」
「別に大丈夫だよ?あんまり気にしていないし。それに…。」
そう言って星空は満面の笑みで葉月達に言った。
「今は鶴乃ちゃん達がいるからさらに大丈夫だよ!」
星空は笑顔で超特盛炒飯食べ続けた。よっぽど今が楽しいのか、先程までのより笑顔だった。
星空にとって、友達というのはとても大切な存在だった。
「う~〜星空ちゃ~ん!」
「うわぁ!?鶴乃ちゃん!?抱きつかないで!食べられないよ!」
聞いてた鶴乃は余程嬉しかったのか泣いて抱きついてきた。
星空はその事に驚いたがそれよりも超特盛炒飯が食べられないので離れて欲しいと鶴乃に言うが中々聞く耳持たずと言った感じで離してくれなかった。
葉月達はそれを見て一瞬呆けたが次第に笑みを浮かべた。
これなら大丈夫だろう。そう思い、そのまま見守っていた。
☆
その後、星空は超特盛炒飯を食べ終えて葉月達と連絡先を交換して家に帰り始めた。
かなり話し込んでしまったため上を見ればすっかり夜だ。
そろそろ、同居人が心配してる頃だろう。
メールを見れば『早く帰ってきなさい』の一言だけ書かれていた。
「やばいやばいやばい。」
星空は全速力で家と走り出した。
流石に長く居すぎたと思いながら向かった。
その時。
「っ……。」
突如として頭痛がした。
そこまで酷いものでは無い。だがそれでも痛い。
星空は頭を片手で抑え耐える。
暫く頭痛は続き、漸く収まった。
「何……今の…?」
そう呟く星空だったが左手首に付けられた腕時計を見て慌てて家へと全力で走り出した。
☆
「結構遅かったじゃない。」
「………………ハイ……。」
今現在、星空は正座をさせられている。
理由は明白。帰るのが遅すぎた。
それだけで目の前の人物、『七海やちよ』は腕を組んで星空を見下ろしていた。
記憶が無かった星空をやちよが保護という形で一緒に暮らしている。
「別に話し込むのは構わないけど早く帰ってきてちょうだい。心配したのよ?」
「………ハイ…。」
「もし星空になんかあったら十七夜になんて言われるか。」
「……申シ訳アリマセンデシタ。」
星空はやちよの圧力に片言になってしまう。更には正座をしているせいで足が次第に痺れてきている。暫く説教をした後、やちよはため息をつくと後ろを向き歩き始めた。
「わかったなら次は気をつけるようにね。」
「ハイ。」
「それと、走ってきたからまたお腹すいてるでしょう?軽食程度ならすぐに作るわ。」
「ほんと!?やっtヘブっ!?」
「……もう。」
『軽食』と言う言葉に星空はすぐさま反応して立ち上がるが、先程の正座で足が痺れていたため、顔面から床に倒れた。
それを見てやちよは頭を抑えると星空を椅子に座らせ軽食を作り始めた。
ジャンボパフェ、超特盛炒飯を食べて来た後だと言うのにまだお腹がすいているという事に星空の事を知らない人が見れば驚くだろう。
その後、星空は軽食を食べた後、風呂に入り、寝巻きに着替え、布団に入り眠りについた。
今夜はどんな夢が見れるだろうと星空はワクワクしながら眠りについた。
やはり小説を書くのは難しい
もし、不自然な事が書かれてあったら申し訳ありません