少女☆歌劇レビュースタァライト 君とキラめくために   作:レリ

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皆様、おはようございます。レリです。

アニサマの三日目に投稿です。アニサマ初の三日全部行くということがおきています。もうね、体がもたん……。

そして、私が投稿をはじめて一周年になります。いや~はやいですね~。

それでは、第十話です。どうぞ。


第十話

双葉と香子が仲直りをして数日がたったある日。零はキッチンルームで料理をしていた。

 

 

「よし、できた」

 

「何してるの?零」

 

「ん?ひかりか。見ての通り、ケーキとか作ってるんだよ」

 

「ケーキ?」

 

「そう。よかったらお前も…一緒に…」

 

 

ここで止まったのは理由がある。それは、ケーキと聞いたとたんにひかりの目がキラキラと光っており、食べたいと目がいっている。

 

 

「ひかり…」

 

「はっ!…零、そのケーキって私も食べていい?」

 

「あ、あぁ。一緒に食おうかと思ってたんだが」

 

「ひかりちゃんだけはずるいな~」

 

「うおっ!」

 

「か、華恋っ!?」

 

「私も食べる!!」

 

「わかったから!三人で食べよう!!」

 

「私たちは食べちゃダメなの?」

 

「え、純那!?ってかみんなもかよ!?わかった!わかったから!!全員してそんな悲しそうな顔をするな!!全員お皿持って並べ!!」

 

 

リビングでワイワイ騒いでいるみんな。廊下でリビングの入口の壁に寄りかかっている少女が一人。その少女は大事そうに台本を抱きしめている。その台本は古いのか、ボロボロとまではいかないぐらいになっている。その台本の題名は、『九十九回聖翔祭』。そして、少女はリビングに入らずにどこかに行ったのだった。

 

 

「………」

 

 

その少女の名は………………大場なな。零はななが立ち去るのを感じとったのだった。

 

 

 

 

星光館の廊下を歩いているなな。ななは何かを考えながら歩いている。

 

 

「今までにない再演……ひかりちゃんが来て、零君が来て……どうしちゃったんだろ…それにあの時……」

 

 

ななが思い出しているのは先日、いつもよりやけに赤い夕陽が校舎の廊下に射し込む場所で帰宅しているひかりを見ている時にひかりより後方のところに零がバイクを支えながらこちらに顔を上げて向いて立っていたのだ。

 

 

「あの時の零君の目……」

 

 

その時の零の目は、なにかを感じている目だった。鋭く、射ぬかれてしまいそうな目だったのだ。

 

 

「彼は…私の過去に気づきつつある…?だとしたら…なんで言ってこないの…?零君……」

 

 

ななは誰もいない自分の部屋に静かに囁いていたのだった。

 

 

「でも、私の再演は変わらないよ。零君」

 

 

そう言いながら、ななは台本をより強く抱きしめるようにするのだった。

 

 

 

時は経って次の日。零は自分のケータイの画面を見ていた。画面にはオーディションを告げる着信と共にオーディション参加と書かれていたのだった。

 

 

「今度は誰なのかね」

 

 

そう呟き、地下劇場へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

地下劇場。

 

 

 

「おい、キリン。今さらながら俺はこれに参加してていいのか?」

 

「構いません。舞台少女による科学反応には、イレギュラーも必要なのかもしれないと最初に言っています」

 

「そりゃ言ってたけどよ。で、相手は?まあ、なんとなくわかってるけど」

 

「わかります」

 

「さて、お前が考えていることを教えてもらおうか。なな!」

 

 

零が叫ぶと対面側にスポットライトがあたり、ななが姿を現す。右手に日本刀を持っている。

 

 

「やっぱり零君もこれに参加してたんだね。ひかりちゃんと同じで」

 

「まあな。で、なな。お前はいったいなにを考えている?」

 

「零君は過去に辛いことってあった?」

 

「……ないといえば嘘になるな」

 

「そっか…」

 

 

(あいつらと別れるのが辛かった……ただそれだけだからな…いや、華恋とひかりと別れた時も辛かったが再会できたから良かったがな)

 

 

零が思っている『あいつら』とは。それは、ここに来る前にいた地域でよく一緒に行動していた五人のことだ。

 

 

「オーディション、開演です」

 

 

ビュッ!

 

 

「っ!?」

 

 

キリンがスタートの合図を言うと、零が今までに見たことのない速度でななに接近し、夜天の剣を振り下ろす。が、なんとか反応したななが日本刀を使って防御した。

 

 

「今の…速すぎない?」

 

「少し本気を出させてもらったからな。完全に本気を出せばアレ以上の速度になるぞ」

 

「人間の素早さじゃないよね」

 

「さあな」

 

「でも、少し本気を出したって事は過去のことを思い出したからかな?」

 

「鋭いなぁ、ななは。で、どうする気だ」

 

「怖がらなくていいよ」

 

「は?」

 

 

つばぜり合いで話していたが、零が凪ぎ払い、ななを後退させる。その隙に零も後ろにジャンプをしてななから距離をとる。

 

 

「全部、私が受け止めて…あげるからっ!!」

 

「っ!」

 

 

キンッ!!

 

 

ななが隠し持っていたもう一本の日本刀を取り出し、振り下ろしてくる。が、零も紅華の剣を鞘から出し、防御するが同時に後ろに跳び、衝撃をなくす。

 

 

「あっぶね。どこからそれ出したよ」

 

「それは聞いちゃいけないやつだよ」

 

「さいです…かっ!」

 

 

キンッ!!

 

 

お互い二刀流になり、零が接近し、つばぜり合いになる。

 

 

「零君とひかりちゃんも私たちの仲間なんだから!!」

 

「仲間…か」

 

「そうだよ。だから、辛かったことを私が受け止めてあげるから。だから…」

 

「辛かったからなんだ?」

 

「え…?」

 

 

キンッ!!

 

 

「誰にだって辛い過去はある。ない人が少ない。だが、その辛かったことを糧に人は成長していく。無かった人は違う方法で成長する。その辛さを引きずったままだと人は成長できない。少なくとも俺はそう思ってる。仲間だからその辛さを受け止めるのはいいことだ。だが、その本人が辛かったらそいつは誰に受け止めてもらえばいい?なぁ、なな」

 

「……私は…辛く…ないよ。私は、私の再演で、みんなを守らなくちゃいけないの。だから、負けるわけにはいかないの」

 

「再演…だと?その再演って九十九回聖翔祭のことか?それはもう終わったはずだ……まさか」

 

「…」

 

「なな、君はまさか、過去戻りをしているというのか」

 

「…眩しい舞台はあれだけだった。仲良くなった仲間と離ればなれになる悲劇でもあるけど、私はあの舞台を終わらせたくないの」

 

「ふざけるなっ!!」

 

「っ……」

 

「その舞台は俺は観てないから知らない。でも、華恋たちのキラめきを見れば、どんなに素晴らしい舞台だったのかは想像できる。だが、ななからはそのキラめきは見えなかった」

 

「え…なんで…」

 

「君からは何かを成し遂げなくちゃいけないという焦りだけを感じていた。だからキラめきが見えなかったんだ。その焦りがなんなのか俺はよくわからなかった。だが、今確信した。君はなぜそこまでその舞台に執着する?」

 

「だって…だって!あれは私たちが初めてやった舞台なんだよ!?それに執着しないわけないじゃない!!それに!スタァライトは八人で紡ぐ永遠の物語!九人目、十人目は存在しない!なら零君は、あなたの役はなんなの!?」

 

「それこそ俺は知らん!スタァライトの主役の水先案内人ってところじゃねぇのか。だが、俺は君のその考えは否定する。過去がダメだったのならそれを糧に未来に繋げ!!」

 

「…未来…に……零君、君はどうしてそこまでしてくれるの。私なんて…」

 

「仲間、なんだろ?俺も」

 

「っ…零君、私…」

 

「未来に繋げ。大場なな」

 

 

シャキンッ!!

 

 

「オーディション、終了します」

 

 

このオーディションは零の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

オーディションが終了し、寮の自分の部屋に戻ってきた零。そこに来客が。

 

 

「どうした?華恋にひかり」

 

「三人でお話しようと思って!」

 

「何の話をするんだ?」

 

「スタァライトの話」

 

「ほう、興味深いな。中入ってくれ」

 

「おじゃましま~す!」

 

「おじゃまします」

 

 

部屋に二人を入れ、お菓子とお茶を出す。

 

 

「この三人でスタァライトの話するのってあの時以来?」

 

「だな。十二年前の東京タワーのふもとの公園だ」

 

「懐かしいね」

 

「俺は関係ないと思っていたがこんな形でスタァライトに関連するとは思ってなかったよ」

 

「あの時も私たちはレイちゃんに関係あるって言ってたでしょ!」

 

「あ、そうだったか?」

 

「もお~!」

 

「そういえばひかりはイギリスに行ってたんだよな?」

 

「うん。イギリスの王立演劇学園に行ってた」

 

「イギリスに行くって聞いた時は華恋はめちゃくちゃ泣いてたよな」

 

「そりゃそうだよ!ひかりちゃんがイギリスに行ったら会えなくなるんだよ?泣くよ!」

 

 

そう話しながら十二年前を思い出す。

 

 

あれはまだ三人が小さかった頃、東京タワーのふもとの公園でよく遊んでいた。

 

『ふぇぇぇぇん!!ひかりちゃん、いっちゃやだよ~』

 

『かれん、なきむしはスタァになれないよ!』

 

『え、だってだって!ひかりちゃん、ドンドンにいっちゃうなんて』

 

『ロンドンな』

 

『レイちゃんだってひかりちゃんにいってほしくないよね!?』

 

『ひかりが決めたのならおれはとめないよ。あとなきながらすべりだいすべるなよ』

 

『え~!?』

 

『きめた!』

 

『ロンドンいくのやめてくれたの?』

 

『わたし、スタァになるまでかえってこない!かれんにもれいにもあわない!』

 

『え、ふぇぇぇぇん!!』

 

『おれにもあわないのかよ』

 

『そうじゃないとかれんはわたしにあまえるから!れいはわたしがあまえちゃうから!』

 

『あまえてもいいんだがな~』

 

『ひかりちゃん!わたしにあわないなんて~!でんわは!?』

 

『だめ!!』

 

『んえ、えと、じゃあ、おてがみは!?ひかりちゃん、かかなくていいから!わたしがかいておくるから!ね!!』

 

『……うん』

 

『えぇぇぇぇぇん』

 

『ないてんのかよろこんでのかどっちだ』

 

『はぁ、かれん』

 

『ふぇ、ひかりちゃん』

 

『ぶたいであおうね』

 

『うん!!やくそく!!』

 

『ちがうよ。うんめい!だよ!』

 

『かんばれよ~』

 

『れいも!!』

 

『おれはおとこだからおまえらがたつぶたいにたてねぇよ!』

 

『ちがうぶたいでたてばいいじゃん!』

 

『んなむちゃくちゃな!』

 

 

 

 

三人で約束したこと。舞台に立つこと。それは変わった舞台ではあるけれど同じ舞台に立っている。

 

 

(叶っただけ嬉しいんだがな)

 

 

「レイちゃん?」

 

「ん?あぁ、いや、昔を思い出してただけさ。だが、ひかり。イギリスに居たのになんで帰ってきたんだ?」

 

「…それは」

 

「ひかりちゃん?」

 

「……二人に言わなくちゃいけないことがあるの」

 

「なに?ひかりちゃん」

 

「実は、私はイギリスで……………………」

 

 

ひかりの過去の出来事を聞いて零と華恋は驚いたのだった。そして、このオーディションの六日目を告げる着信がくるのもそう遠くないのである。

 

 




第十話をお読みいただきありがとうございました。

一つ言わせてください。ななの過去編めっちゃむずいよ!!どう書けばいいかわからなかったもん!!最後に小さい頃の三人を出しましたがやっぱり小さい華恋とひかりは可愛いですね。癒されます。可愛いは正義だ!!……って言いたくなるほどに……。次はひかりの過去編だけどななに比べたら比較的書きやすいですね。まあ、次はあまりひかりの過去に触れないですけどね(若干ネタバレ)。

そして、途中で私はなにを書いているんだろうって思いながら零とななの戦闘描写を書いてました。セリフとかあってるよね?ね!?書き慣れないやつに戸惑いながら書いてました。

それでは、アニサマに来ている皆様、最終日です!頑張っていきましょー!!そうでない方は休日をゆっくり過ごしましょう。体を休めるのは大事なことです。これが癪にさわるって言うのならごめんなさい。では、以上!レリでした!!


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