亜空の使者 ートラックに轢かれた運命は通りすがりの救世主ー 作:豚野郎
あれって確か………『ハルバート』だっけ?カービィと同じプププランドの住人である、メタナイトの駆る航空戦艦だったはず………。
あれがなんで、ここにいるんだ?
ああ………まずいな。何度もクリアしていたはずなのになんだか、記憶が所々欠けている…。
『お、おい、なんかヤバくないか………。早く帰ろうぜ……』
なんか聞いたことのあるセリフだなぁ。まあ、ヤバいのは確かだ。怪我する前に帰った方が良いぜキノピオくん。
スタジアムの真上で戦艦の腹に当たる部分がゆっくりと開き、中から大量の黒い粒子と人より一回り程大きい陰が複数降りて来た。
「こりゃあ、オレも行った方が良いよな」
背中のブースターを目一杯噴かし、高く跳躍する。上空で背中の赤いウイングを展開し、滑空の要領でスタジアムへと降り立つ。うむ、すげーかっこいい!
唐突に飛来したトリコロールの機体を前に、二人が驚く。
「なんだお前は」←マリオ
「食うぞワレ」←カービィ
やめてください。カービィのキャラが違い過ぎて卒倒しそうです。
「いや、食うぞっていわれても………オレ、一応無機質だから、食ったら腹壊すぞ。多分。つーか、さっきの喋り方はどうした。ポヨとかいうやつ」
「ああ?あんなの小生のキャラ作りの一環だよ。ああやってりゃかわいく見えるだろ」
なるほど。納得できねえ。
わずか2話で曲がりなりにもニンテンドーの顔であるはずのこのカービィが、裏表ラバーズ全開のドグされアイドルだと言うことが判明。やめてください。何も知らない良い子の夢をとらないでください。
「おい、まだ答えてもらってないぞ。誰なんだお前は?」
とマリオが言う。
「オレか?オレは…………」
一瞬、死ぬ前の本名を口に出しそうになって言い淀んでしまう。
…………そうだそうだ。コッチの世界のオレは———
「———デスティニーガンダム。ファイターだ」
「デスティニーガンダム?聞いたこと無いな。何処から来たんだ?」
あちゃー。困ったなぁ……まさか『別世界から来たインベーダーです!』なんて言う訳にもいかないし……。
適当にはぐらかすか。
「何処からってわけでもないな。いろいろあっちこっちまわってるからさ」
「なんだホームレスか」
「旅人だっ」
「はははっ。冗談冗談!まあまあ、仲良くしようや」
マリオが背伸びをして肩をバンバン叩いてくる。なんだ、ただのおっさんじゃねーか……。
「………………で、話してる場合じゃないよなこれ」
「こいつら、なんだかわかるかいニーチャン?」
「さあな。見当もつかねえ」
実際嘘だ。でかい陰の正体はスペース・パイレーツ。確かメトロイドシリーズのMOBだ。
いままさに黒い粒子が固まってできたコミカルな人型の何かは、プリム。Mr.ゲーム&ウォッチから吸い出した陰虫が形をなしたMOB。うむ、こんなものか。
「全く、めんどくさいわね………」←ゼルダ
「あらあら、異常事態ですか?」←ピーチ
うわ、あの特別観戦室から飛んで来たのかよ。すげーな。
さてさて、人間学ぶ生き物だ。機械だけど。
キノピオと言い、カービィと言い、マリオは………グレーゾーンか。これほどのキャラ崩壊が判明した以上、この二人にも警戒しないとオレの心が持たない。どっちかがSでどっちかがMのレズぐらいの覚悟はしておかないとな。
「全く………早く帰って綿棒を両耳に刺してどじょうすくいをしながら犬の格好をして路上徘徊しようと思ったのに………」←ゼルダ
「SM系の薄いBL本を嗜もうとしていたのに、とんだ邪魔が入りましたわね」←ピーチ
想像の斜め上をぶち抜く美女二人の第一印象。すみません。泣いて良いですか?
「……………………………」
「………ところで、このロボット何?」
「あん?これか?ファイターなんだとよ」
「ファイター?これが?」
「本人曰く、な。おい、黙ってねえで何か喋れよカス!(ボコッ)」
「……はっ!?すまんすまん。絶句してた。なんか用か?」
「あんた何者かって聞いてんのよゲロ野郎」
「…………おまけに口が悪いと来た……」
「ああん?」
「ああ、こっちのはなしだ。オレはデスティニーガンダム。通りすがりのファイターだ」
どこぞの仮面ライダーみたいでなんかかっこいいなこれ。
「ファイター……ね。ふぅん、なるほどね………」
「………なにがだよ」
「あんた、なんか変なオーラを出してると思ったから」
おおう、すでにバレかけてる………神様、もう少し細かい説明をして欲しかったんだが……。
まあ、そんなことも後の祭り。向こうもはっきりわかってる訳じゃないみたいだから、変に濁すことも無いだろう。
「まあ、そういうことだ」
「なら、さっさとこれ片付けちゃってよね。暗いしむさいし、空気が悪いわ」
そう言いながら魔力を帯び、まるで帯電しているかの様な手刀で、背後を襲ったスペースパイレーツの頭を両断するゼルダは、心の底から面倒くさそうにしている。いやいや、それだけできるんだったらアンタ一人でやってくださいよ。オレ、闘い方とかわからないんだし。
「オレ、ケンカ苦手なんだけどなぁ」
「はあ?ファイターでしょ?よもや一回も闘ったことないの?」
「べつにそう言う訳じゃないんだけどさぁ…」
「ああもうじれったいわね!もうアンタ一人で全部片付けなさい!!じゃないと鼻とケツにビールビンを刺してマグマ溜まりにダイブさせるわよ!!」
「FAZZ!?この数を!?」
うへえ、なんすかそれ……。
少なくとも20はいるぞ。どうしてくれるんだ。おい。
「あたりまえよ。ようはノリよ。ノリでやりなさい」
「………………たく、しゃーねーな!」
こうなればやけくそだ。成せば成る。先手必勝。油断大敵。やる気満々。意気揚揚。
とりあえず殴り掛かって来たプリムの顔面を右で殴り返す。その流れで左をぶち込み、とどめに肩にかけた対艦刀を叩き付ける。
その一発でプリムは弾け飛び、螺旋しながらスタジアムの壁にぶつかると、小さい陰虫が四散した。ゲッダンみたいだった。
ああ、なるほどね。
ようは、ゲームっぽい動きをすれば良いんでしょ?だからこうやって大剣を担いで力を込めてスペースパイレーツの頭を両断すれば………ほらこの通り。脳髄が飛び散ってオレの鮮やかな装甲を得体の知れない緑色の液体で染める。
「………うわぁ……グロ」
「…………………おいおい、どういうことだ?」
あれぇ?さっきのプリムとはずいぶん違う様な………。
これはなかなか………———
「面白いかも」
闘牛を知っているだろうか?赤い布切れに過敏に反応した牛が突進してくるのを躱すあれだ。
赤い布切れに反応しているのは実は人間の方だと言う話をご存知だろうか?
色は違えどオレが今被った者は地だと言うのは歴然。つまり、この状況も致し方ない訳だ。
「あーっらよっとぉ!!」
スペースパイレーツの頭を鷲掴みにし、掌底から光を放つ。パルマフィオキーナだ。さしずめ、横必殺技と言った所だろう。
炎を纏って吹き飛ぶ敵を視界の隅に流し、横のプリムに横蹴りを放つ。その程度では倒れないらしく、つかみかかり、地面に投げつけるとついに伏した。
その調子でMOBを切り伏せること2分。
「あらかた片付いたかな…」
「なかなか楽しそうでしたわね〜」
「………あまり嬉しくないな」
プリムは物体その物が四散するからあとは残らないが、スペーツパイレーツだけは鮮血をまき散らすどころか死体その物が目の前で転がっているからリアクションに困る。
「さてさて、雑魚も片付いたことだし、帰ってコスプレしましょ———キャァ!」
「やっと薄い本が嗜めますわね———あら?」
二人の悲鳴(?)と共にガチコーンと金属音がスタジアム中に鳴り響く。何事かと後ろを振り向くと———
『ルルルォォォォオオオ!!』
鉄籠に捕われたピーチ姫とゼルダ姫、そしてそれを両手に抱えたボスパックンが咆哮していた。
前書きでは取り乱して済みませんでした。
いやー、もうクリスマスですね。独り身の私に対する当てつけですか?んんー?
そんなこんなでキャラ崩壊はまだまだ序の口。