亜空の使者 ートラックに轢かれた運命は通りすがりの救世主ー 作:豚野郎
『そんなん知るかボケ!さっさと本編見せやがれ!』と言う方、または一部のオンラインゲームにアレルギーを感じる方は、どうぞ、おかまいなく前書きをすっ飛ばして本編へとお進みください。
さて、本題に入る前に、ここのところの私のマイブームを教えておきましょう。はい、皆様ご存知『艦これ』です。(ここからが本題)べつにドハマリと言うわけでもなく、毎日ほぞぼそとデイリー任務をこなし、演習に参加し、3-2でレベリングと言う、提督にとっていたって普通なことを繰り返す毎日……。
そして、就任初期から私と共に成長し、旗艦でいてくれた艦むす、大井改二(LV70)。
最初は太ももと胸に惹かれただけだった。しかし、彼女の本質は外見ではなく内側にあった。私を最も引き寄せた物……それは、彼女のキツい口調だった。触れよう物なら魚雷を尻の穴にぶち込まんと言わんばかりの厳しいお言葉。はい、もっと罵ってください。
そんな彼女との生活に一つの刺激が起きた。そう、忘れもしない。彼女を改二にした時。彼女が微笑みながら私と目を合わせてくれたのだ。今まではそっぽを向いて、画面右下を向いてばかりいたのに、私をしっかりと見てくれている。ついにデレてくれた。私の執念が、愛が、セクハラが、ついに彼女を振り向かせた瞬間が確かにそこにあった。
例えば、こんなシチュエーションがあったとしよう。とある公園で大井っちと二人きり。彼女お手製のお弁当を二人で食べていて、私の口にウインナーのケチャップが付いていたとしよう。この時の大井っちの行動が、もしも改、またはそれ以下なら、見向きもしないでただ淡々と弁当を食べ続けただろう。しかし、それが改二の大井っちなら、ポケットからハンカチを取り出し、文句と罵倒ををひたすら垂らしながら私の口を綺麗に拭いてくれたことだろう。この雲泥の差が皆様にも解ることだろう。
改二になった時の彼女の表情だけでそんな事を思い浮かべてしまうくらい、その時の私は歓喜していたのだ。
そして、何よりも嬉しかったのが、彼女が改二になっても尚私を罵り続けたことだ。私は発狂した。その崩れることの無い微笑んだ表情から、遠慮を知らない罵詈雑言が私に放たれるのだ。改二になって彼女が手にしたのは私への愛ではなく、むしろ私への愛想なのではないだろうかと思う程のあっぱれな罵り様。だが、それが更に良い。
勿論、彼女は戦場でも優秀だった。開幕雷撃で敵の戦艦を叩きのめし、夜戦では連撃で敵の体力を根こそぎ奪い取る。そんな性格と全く同じ暴虐無人な立ち振る舞いは、私のレベリングの支えとなっていた。
やがて、艦隊に北上改二を迎え、俗に言うハイパーズを従えた演習では負けを知らず、経験値が溢れ出る噴水の様にレベリング中の艦むすへと注がれて行った。
いつしか、艦隊と私の心を支えていた大井っちは、私の嫁と成っていた。そんな時に現れたのが、ケッコンカッコカリシステム。この画期的なシステムをアップデートで迎えた私は、今現在、最もレベルの伸びが良い大井っちに婚約指輪と誓約書を絶対に渡そうと決めた。
彼女と生活している最中、つい先日解禁されたイベント海域が目に止まった。私は今と言う今までイベント海域に行った試しが無く、難易度も高いと聞くので、なかなか足を踏み入れることが出来なかった。
しかし、私の今の艦隊の平均レベルは65。もしかしたらと言う思考が頭をよぎった。
私は、第一歩を海域に沈めた。E-1は割りかし簡単だった。バケツの消費も20程度ですんだ。問題はE-2だった。ここをクリアすれば、ここでしか手に入らないレアな艦むすが手に入り、協力な装備もゲットできる。挑戦一回目、そこに災難はあった。最初の戦闘は難なくこなせたが、次ぎの戦闘、大井っちがまさかの中破。これは撤退だ。しかし、何を間違ったのか、私の手が滑り、『夜戦突入』へとカーソルが動いた。これは非常に不味い。私は、大井っちへ全身全霊の祈りを込めた。しかし、その願いも虚しく、敵の重巡洋艦の放った魚雷は大井っちに命中し、クリティカル110のダメージ。私は、ダメージエフェクトとほぼ同時に、艦これのタブを閉じていた。おそるおそる再び艦これを起動し、艦隊を確認する。
———そこに大井っちの姿は無かった。声よりも憤りよりも先に、涙が出た。そのすぐ次に憤りが来た。あそこで侵した致死量のミスに、自分の不甲斐なさに憤った。しかし、いくら怒ろうが彼女が画面に現れることは無かった。
その後、私はデイリー任務の度に軽巡レシピを回し、大井がドロップすると言う海域を回した。しかし、ドロップ、または建造できたとしても、その大井は私と一緒にいた大井っちではなく、別の大井なのだ。そうと解っていても、また同じことを繰り返すのだ。この、無限に続く負の螺旋にどっぷりと浸かり、大井が出るまでいつまでも抜け出せないまま………今日も私は、また同じことを繰り返すのだ。
一人だけ暗くなってます。ここまで読んでくださった方々、こんなつまらない前書きにお付き合い下さり、誠にありがとうございます。引き続き、本編をお楽しみくださいませ。
視界に広がるのは、さらりとした前髪、信じられない程透き通った白の肌、物欲しそうに小さく開いた薄い唇、———そして生気を感じさせないうつろな目。
ベットに横たわるオレに多いかぶさる青年は、オレの戸惑いを知ってか知らずか、唇をオレのリップへとどんどん近づけてくる。どうしたんだろう、訳が分からない。身体が動かないや。これが恋煩いとやらかな?
ふと、青年の唇が小さく動いた。
「イイオトコ…クワセロ」
「ホタァァァァァァァァ!!!」
ベットを蹴散らして奇声を上げながら横へと転がる。バカヤロウ!眠気が取れてなかったから、うっかりアーッ♂するところだっただろ!つーか、なんじゃありゃ!身体透けてんじゃねぇか!これが聞く所による幽霊か!?オレ、てっきり霊感ないと思ってたらこの有様だよ!危うくオレヒストリーのページに『ホモ幽霊とベットの上で交わる』という一文が書かれるところだったよ!
「ヤラ……ナイカ…」
「イイイヤァァァァァァァこっちこないでぇ————っ!」
両手を前に広げながらゆらゆら歩み寄ってくる新境地の扉に、背を向けて扉を蹴破る———って暗!え!?照明はどうした!?てか、ここどこ!?壁紙とかめっちゃ痛んでんだけど!もしかしてこれ血糊!?壁の汚れって血糊なの!?ぎゃーここはどこのお化け屋敷だ———!!さっきまでオレがいた屋敷はどこへ行ったんだぁ————!!
後ろのホモの気配が近づいて来たので、慌てて走るが、一寸先は暗闇。数歩歩けば結局の所、壁に手を当てて歩く始末。
恐怖とは不思議な物で、人に日常とはかけ離れた行動を容易にとらせることが出来る。
「お、おでは一体どこに来てしまったんだ……こんな所わいは知りまへんで……は、はは。膝が震えて上手く歩けねえべや……」
この有様である。
ふと、目の前に半透明な白と黒の球体がそれぞれ一つずつ現れた。何かの明かりかと思ったが、それは、微かに回転しはじめ、やがてこちらを向いたのは、ビックリする程裂けた口、白はつぶらな目、黒はつり上がった逆三角形のデカい目。
———ほほう、これが人魂とやらか。
『ゲハハハハハ!』←テレサ
『ゴォ———ス!』←ゴース
「………………………(ダッ)」←オレ
なんだあれなんだあれなんだあれなんだあれ!?本当にここはどこなんだ!?いやそもそもオレはどうやってこの幽霊屋敷に来たんだ!?だって、ほら、オレ、さっきまで小綺麗な館にいたじゃん!?寝てただけだし!?
猛烈ダッシュ中に、足がもつれた。床に追突すると思いきや、何か柔らかい物を巻き込んだらしく、それがクッションとなって衝撃を和らげてくれた。
「つつつ……畜生……全くどうなってるんだここは…」
「いたた……なんだよもう……幽霊には追いかけられるし、変な物にはぶつかるし……」
…………………………………………は?
「………………………」
「………………………」
暗闇にようやく目が慣れて来た。少し目をこらすと、オレの下敷きになっていたのは、厚めの繊維と、それを着た生物だった。
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
一気に飛び退く。———って、この反応、まさか、幽霊じゃなくて……
「…………もしかして、あんた、人間だったりする?」
オレが下敷きにしている、青いパーカーを着た青年に話しかける。
「うわ!ロボットが喋った!」
「まあまあ落ち着け。オレもこの状況にはビックリしている。あんたも、気づいたらここに居た口か?」
「う、うん…………その口だよ。じゃあ、君は幽霊じゃないんだね………?」
「勿論だ。ロボットの幽霊なんて聞いたことないだろ?」
「そ……そうだけどさ……ちなみに、君の名前は?」
「デスティニーガンダムだ……お前は?」
「僕の名前はブルーだよ」
ああー、なんか前世で発売されてたホラゲの主人公の名前だよなそれ。てことは、こいつがここにいてもおかしくないわけだ。本人は不本意だろうけど。
「じゃあ、とりあえずオレとお前は仲間だな。ここから出るために頑張るぞ」
「あっ、ちょっと待って。実は、もう一人連れがいるんだ」
「連れ?」
その言葉を口にしたのとほぼ同時に、顔全体に何かの光が当てられる。
眩しいせいで朧げだが、目の前には人影が映っている。
「あったよブルー君!懐中電灯———うわ!ロボット!」
「ちょ!眩しいからやめろ!」
光が消える。目の前には、ブルーより少し背の高い青年がいた。右手には懐中電灯をぶら下げている。
場所をわきまえない青年が元気な声で喋りだす。
「ああ、ごめんね。ロボットなんて見たのは始めてだからさ。俺は五代 雄介(ごだい ゆうすけ)。ブルー君と同じ大学の同級生。よろしくね」
「お、おう…」
「五代君凄いね……ふつう、もっと怖がるはずだよ……」
「え?何で?ロボットの幽霊なんて聞いたことないじゃん」
「…………………」
ブルーがなんとも表現しがたい表情を浮かべる。
五代とはとりあえずの握手をかわす。
彼らは、大学の友人レッド、ブラック、ピンク、そしてイエローと、怪奇現象が起きると言われる森の洋館へ肝試しに来たと言う。威圧的なレッドの命令で、ブルーは五代と肝試し一組目として、館の散策に出た。
大分進んだ所で、二人は黒いネコを見かけた。ネコの後をなんとなく追い、やがて突き当たりに出た。しかし、何故かネコの姿はない。二人は不思議に思ったが、大して気にはしなかった。とりあえず皆のいる部屋に戻ろうと、話をしている時、ブルーの耳が異様な音を捉えた。ガ…ガ…ガガ、という、低音が確かに聞こえる。しかしそれは機械音ではなく、人が出すかすれた声……エッジボイスとも呼ばれる奇妙な声……その声はこちらへと近づいてくる。もと来た道を早く戻ろうと、ブルーの本能が身体を動かし、後ろを向いた時には既に遅かった。そして、それは既にそこにいた。
無地だが、ゴミ溜めから引き上げたかの様な薄汚れた白いワンピース。それと引けをとらない薄汚れた白い肌。肉など無いかの様な、骨に皮がへばりついただけの四肢。全ての光を拒み、そして吸収して無限の闇を生み出す黒髪。そして、やせ細った顔から突き出す二つの大きな眼球。女性なのだろうか。それすらも解らない程の———この世の物とは到底思えない存在が、ブルーの目と鼻の先、二十センチメートル先に、確かに存在している。
ひょろひょろの腕が上がり、ブルーの肩を掴み、どこからその力は湧いてくるのだろうかと疑う程の握力で、肩の骨を握りつぶして来た。あまりの痛みに声も出ない。ズボンの右ポケットに入った携帯がバイブレーションしているのが真っ白な意識の中で、微かに感じる。きっと、なかなか戻って来ない僕たちを不審に思って、心配性のイエローが電話をかけて来たのだろう。その思考を最後に、ブルーの意識はぷつりと途絶えた。
次にブルーが目を覚ました場所は、見たことも無い血塗られた廊下。隣にはうつぶせに倒れる五代。彼も程なく目を覚ました。目が慣れるのを二人で待ち、やがて目が慣れ、二人は驚愕した。目に映ったのは、二人を取り囲む人——ではない。顔は青白く、身体は半透明。
———そして、どいつもこいつもズボンとパンツを下ろし、必要に二人の腰を抱こうと迫ってくる。
前書きでちょっとした暴走を起こしてしまいました(テヘペロ)。いや、でも、あの話はノーフィクションなんで、そこだけ注意してください。
次回は、アクセルワールドの次に書こうと思っているので、少し時間がかかります。
また次回をお楽しみに。