彼方の記憶   作:雪宮春夏

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 一月はこれで終わりかなぁと考えています。
 雪宮春夏です。
 今回は複数視点となります。
 本編の時期はゴールデンウィークです。

 現実の時期とは凄くズレてますが、春夏はあまり気にしません。

それではどうぞご覧下さい。





 その姿を見た瞬間、俺、孤爪研磨の眉間は間違いなく皺を刻んでいただろう。

「おやおやぁ? お早う研磨君。どうしたのよ。そのぶっさいくな顔」

 待ち合わせ場所までゆったりとした足取りで歩いてきた幼馴染みは、茶化す様な口調でこちらをからかっている。

「お早うクロ。……ねぇ、何時間()()()()?」

 しかしそのからかいに、乗って上げられる程の余裕は無い。

 今日から始まるバレー部のゴールデンウィーク遠征。今年から復帰した猫又監督の計らいで、宮城県にて複数の高校と練習試合が組まれている。

 中でも最終日に当たる烏野高校とは、音駒高校は因縁のある相手で、クロ……黒尾鉄朗も密かに楽しみにしているようだったのに。

 研磨の眉間の皺を弄りながらにやつく幼馴染みの目元に微かに現れている黒色に、ジト目で問い詰めるも本人にはどこ吹く風なのか、全く気にする様子はない。

「大丈夫大丈夫。子どもじゃないんだから。全く研磨君は心配性だねぇ~」

 昔……数年前と異なり、そんなものはないと否定しなくなっただけ進歩しているのか、単に開き直り、気にしなくなっただけかは判断がつかないが、軽い口調ながらも彼の言うとおり、既に出来てしまっているものは仕方ないと言える。

「みっともない事だけは、しないでよね 」

 たからこそ、全てをひっくるめて、研磨に言えるのはこの一言だけだった。

「分かってるっての。これでも部長よ? 俺」

 ケラケラと笑いながら、二人並んで学校へ向かう。

 長い遠征が始まろうとしていた。

 

 

 同時刻、遠き宮城の地では、既に始まりを告げているものがあった。

「全く、あいつらは今日も元気だねぇ」

 昨日の放課後から、ここ、烏野高校で始まっていた、男子バレー部の強化合宿である。

 最高学年である三年三人が見守る中、変人コンビと称される、今年入学したばかりの一年二人組が、互いに切磋琢磨するように……食事の量を競い合っていた。

「……あれ、見ている方が胸焼けしてきませんか?」

 唸るように声を上げたのは、彼らと同じ一年部員の月島だ。

 その先には今にも叫び出しそうな程の勢いで、山盛りに盛られたご飯茶碗を空にし続ける二人の姿があった。

「月島の方はもう少し食べた方がいいんじゃないか? あの二人とは別に体調不良でも起こしそうな顔色してるべ?」

 腕も細っこいしなぁと、月島の言葉を貰う前に……そもそも彼に存在を認識される前に腕を手に取り、マジマジと注視してくる。

 当人からしたらいきなり目の前に現れたようにも見えてしまったのだろう。遠慮なく彼の様子を眺める先達を前に、はっきりと月島の眉間には皺が寄っている。

「あの……止めて貰えませんか? ……菅原先輩」

 嫌悪を隠しはしないが、あくまで後輩としての他人行儀は崩さない月島を、じっと見つめていた菅原は、にかっと笑って月島を解放した。

「今日も一日、がんばろうな」

 

 




 次回 初 ゴミ捨て場の決戦(練習試合)!

 烏野の他の部員とか、音駒の他の部員とか教師陣とか出せたら良いなぁと思います。


 それでは、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

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