彼方の記憶   作:雪宮春夏

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 こんにちは(?)四月二回目投稿です。
 雪宮春夏です。
 筆がのっている間に書かなければと、色々書いております。
 さて、あとどれ位かけるかな?(笑)




 東京から新幹線へ乗り込みはるばる東北……宮城へとやって来たが、ことは簡単には運ばないらしい。分かってはいたが。

「……いないな」

「……見あたらないっすね」

「……迷子か?」

「……迷子じゃないですか?」

 上から、副主将の海、二年でエースの虎、三年でリベロの夜久、今回は補欠枠だが、準レギュラーとも言える芝山である。

 最後の彼の言葉と同時にその場にいる部員の視線を一気に受けた黒尾ががっくりと肩を落としたのは決して大袈裟なことではない。

「……分かったよ。俺が探しに行けば良いんだろう?」

 まぁ、ここまでがいつもの流れでもあるのだが。

 

 

 

 例えば近所を走るだけのランニングや、隣接する地区の高校などで組まれる練習試合への行き来の最中に、あの幼馴染み、孤爪研磨と他の部員達が、離ればなれになってしまう時がある。

 本人のマイペースさによるものか、独特の琴線により、道順を覚える目安が異なるのか、ともかく、迷ってしまった彼を探すのは大概は黒尾の役目であった。

 小学校の頃から共にいた事もあり、迷った彼の行動パターンに慣れているからと言うのが一番の理由である。

 輪にかけて今回は、黒尾達にとっても住み慣れた地元ではなく、遠征で訪れている県外だ。

 下手に探すためにバラバラになっても、迷子が増えるだけという判断でもあったのだろう。

 そんな理由で、黒尾以外の面々は一足先に練習試合の会場である槻木澤(つきのきざわ)高校第一体育館に向かうこととなった。

(さてと……まぁ、あいつも迷子になった自覚を持ってれば分かり易い場所にいてくれると思うんだけどな)

 それもおそらく下手に動くような事もないだろう。

 土地勘を持たない事もそうだが、わざわざ自分から無駄に体力を使うような事はしているとは考えづらい。

(……となると、どこぞの道端で座り込んでるか……取りあえず歩いてきた道、道なりに戻ってみるかねぇ?)

 漠然とした方針を打ち出し、ひとまず戻ろうと黒尾は踵を返す。

 その先に何が待っているのかは、まだ彼は知らない。

 

 我に返った日向は、呆然と辺りを見回した。

 本格的に始まった初めての合宿。

 中学の時はバレー部の人数があまりに少なかった為、合宿はおろか、練習試合も一度もやったことが無かった彼にとっては、昨日からの何もかもが、初めてづくしの体験だった。

 当然その環境下での練習も……常日頃から全力ではあるがそこに輪をかけて力が入り、単なるロードワークも気づけば全力疾走で行っていた。

 その結果が、ご覧の通りである。

「……道、間違えた?」

 知らない道と言うわけではないが、立ち止まっているにも関わらず、走り続けている筈の後続が誰もやってくる気配のない状況に、一度走っていた経路を戻るかと周囲を見渡したとき、その音を拾った。

 ピロン、ピローンと耳慣れた電子音は屋内……家の中ではよく聞くものの、外で聞くのは物珍しい。

 それは日向自身にも周りにも、外でわざわざゲームをするという習慣が無い為だろう。

 しかしそれ以上に日向の視線を引きつけたのは、その視線の先にいた人物が、ここら辺では見覚えの無い真っ赤なジャージを着ていたせいかもしれない。

 生来の好奇心旺盛さとコミュニケーション能力の高さも相成り、あまりに気安い様子で相手に話しかけていた。

「えっと……迷子?」

 答えた当人も状況を上手く理解できていないのか、疑問文で返ってくる。見慣れない服装も重なり尋ねると、やはり他所から来たと言うが、それ以上の会話が中々繋がらなかった。

 手持ちぶさたとなってしまっている事も合わせて、改めて彼の様子を眺めていた日向は、彼の傍らに置かれていたバック……その中身を見て、目の色を変えた。

「そのシューズ!! バレーの!?」

 その問いかけの勢いは口下手にして人見知りなのであろう問いかけられた少年の方が二の句を戸惑う程である。

 しかし、それは周囲からバレー馬鹿と言われる日向本人には全く関係が無かった。

 今し方までの途切れていた会話を取り戻すように、矢継ぎ早に問いかけていく日向だが、ある一つの答えにピンと背筋を伸ばした。

 バレーにおける日向の相棒と同じポジション、セッターだと言う目の前の相手は、日向の一年上にあたる二年の先輩だったのだ。

「いいよ……そういうの……体育会系の上下関係みたいなの……嫌いだ」

 ポツリポツリと呟く相手……孤爪研磨の表情は、俯いているせいか少し分かりづらいが、その言葉に胸をなで下ろした日向は何でも無いように言葉を続ける。

 己のことを話す内に、自然と己の背丈に関する弱音を吐き出した日向に、同調するように孤爪も身の内に抱えた問題を零してくれた。

「お前の学校、強い!?」

 その延長上、何気なく問いかけた日向に、孤爪は、言葉を探るように目を伏せる。

「うーん、どうだろ……昔強かったらしいけど、一回衰えて……でも最近は」

 ざわりと、その瞬間、日向には、孤爪を含む周囲の空気が変わったような気がした。

 それは、孤爪が零した問いの答え故か。

 それとも。

 

「……エマ?」

 前方から聞こえた、弱々しい声に、誘われる様に日向は目線をあげていた。

 





「ゴミ捨て場の決戦」……?
 未だ合宿初日です。
 出来るまで、あと何話かかるか……。
 音駒も烏野も、書きたい場所はまだまだあります。
 がんばります。

 約ネバ原作は第二期製作決定ですし、ハイキュー!!ももうすぐ第四期です。
 公式を栄養にがんばります!
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