彼方の記憶   作:雪宮春夏

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 平成の投稿はこれで最後かなぁと思います、雪宮春夏です。
 再会はしたものの、再戦はしていないという中途半端な状況ですが、どうぞご了承下さい。
 まだまだ色々書きたい場面はありますので、もうしばらくは続くと思いますが……。

 それではどうぞ、ご覧下さいm(__)m




「………クロだ」

 無音から一転、声を上げたのは、唯一人、座り込んでいた研磨だった。

 日向が止める間もなく立ち上がった彼は、前方に立ち尽くしていた青年……と言っても、そこまで年は変わらないかもしれない。

 左手で無造作に掴まれている上着はおそらくジャージだろう、研磨と同じ赤色のものだった。

 ならば考えられるとしたら、研磨と同じ学校の生徒。

 研磨自身も迷子と自覚していた事を合わせると、間違いなく彼の迎えなのだろう。

「いっ……てぇえなぁ。……おい」

 無自覚の内に、別れ際のシンミリとした空気をつくってしまっていた日向は、孤爪とは別の三人目の声に改めて視線をあげた。

 高身長の男だ。

 それがまず一番の印象だった。

 誰かに……この場合はまず研磨だろうが……軽く頭を叩かれでもしたのか、後頭部をさする仕草をしながらも、軽口を叩く男は、何とも特徴的な髪型をしている。

「……またね。翔陽」

 小さく振られた研磨の手に、咄嗟に振り返してから、その言葉に込められた違和感に気付いた。

「…………()()()?」

 再会を誓う言葉に首を傾げるが、それから間もなく、己が練習中だったことを思い出し、慌てて元来た道を走りだした。

 

 それを見送る男が、密かに噴き出したことを知るのは孤爪一人だけだった。

 

「……いやぁ、何つぅか……変わんねぇなぁ」

 懐かしそうに、嬉しそうに呟いた黒尾に研磨は眉間の皺を深くし……次いで足を踏みつけた。

「…………つぅ!!!!」

 痛みで涙目になった幼馴染みを若干冷めた視線で射貫いて、研磨はおざなりに口を開く。

「クロ……あの子は「日向翔陽」だよ。……「レイ」の幼馴染みの女の子と、勝手に 混ぜないでくれない?」

 端から聞けば訳の分からない、唐突な言動だが、当人である黒尾には容易に分かったのだろう、あからさまに視線を逸らし、あーだの、うーだの聞き取りにくい呻き声を零している。

「……悪い。いるわけ無いって分かってんだけど……あまりにも似てたから、つい、な」

 空笑いをもらす彼にも自覚があることは分かっている。

 それと無意識下の内に、それをしてしまっている事実も。

(まるで……二重人格……)

 否、記憶が途切れて別の場所にいる等という、一般的な行動はないことから、確固とした別人の意識があると言う訳では無いのだろうが。

「……しっかりしてよね」

 何分、研磨を含め、彼の周りでこの()()が彼しかいない以上、全てが憶測にしかならない。

 その状態で、もう五年以上も停滞しているのが現状である。

「了解。……さ、行くぞ」

 それとも、アップがわりに走るか?

 そう軽口を続けた黒尾に顔を顰めれば、彼は呆れたように笑い返した。

 そう。黒尾は無意識に、彼女と日向を重ねていたのだ。それ故にある勘違いをしていたのだが、それを研磨が知るのは、合宿の最終日。彼との再会の時となる。

 




 勘違い……素でびっくりする黒尾さんが見たかったんです……(-ω-;)

 どんなものなのかはその時に。
 これにておそらく「平成」の投稿は終わりです。

 「令和」元日には新作あげる予定ですが、それ以外がどうなるかは未定となります。

 久しぶりに近況報告も書こうかなぁと思案中……。

 それでは皆様、「令和」になってもよろしくお願いします。(*^-^*)
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